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【超長文考察】Elysion私的考察
1:町内1周 2007/11/11(日) 13:41:53 ID:z+Pg/kAk (2007年04月08日 12時55分41秒) このチラシの裏は、 グリム童話『ラプンツェル』と『Elysion 〜楽園幻想物語組曲〜』をすり合わせ、 『Elysion 〜楽園幻想物語組曲〜』の全容貌を自分なりになぞった、 邪推と妄想のかたまりの俺考察です。 全く救いのない話に感じてもらえることを祈って。 ラプンツェル http://www.aozora.gr.jp/cards/001091/files/42309_18060.html 物語の外 - 町内1周 (2007年04月08日 12時56分29秒)魔女オルドローズ。 王国を追放されたクリムゾンの魔女。 現世と冥府を行き交いする、冥府≪アビス≫の住人。 何を思ったのか、彼女は現世と冥府≪アビス≫のはざまに壁を作った。 現世の他者の子宮を借りるという形をとってラフレンツェを創り、 現世でラフレンツェを冥府≪アビス≫の番人として育てた。 結果、魔女オルドローズは冥府≪アビス≫に閉じこめられ、ラフレンツェは独りになった。 魔女オルドローズの言いつけどおり、ラフレンツェは冥府≪アビス≫の番人として努めるが、 現世との行き交いできなくなった冥府≪アビス≫の住人達は、番人を罵り続けた。 魔女オルドローズ。 王国を追放されたクリムゾンの魔女。 現世と冥府を行き交いする、冥府≪アビス≫の住人。 かつての名はエリス。 8歳の誕生日、ある男が肖像画をプレゼントしてくれた。 (その男について今は言及する意味はなく、でもきっと誰かに似て盲目的な男だったのだろう) 描かれているのは、無垢なエリス、白いエリス。 しかし流れる歳月と彼女を翻弄する運命は、まるで白いエリスとは別たれさせられたかのようにエリスを変え、 エリスは魔女オルドローズとして冥府≪アビス≫の住人となった。 かくして楽園の扉は閉じられた。 現世の人間は誰もエリスに触れられなくなった。 その間、世界は平穏を得られた。 05. エルの肖像 - 町内1周 (2007年04月08日 12時57分14秒)吹雪く雪原、森の奥の廃屋。 はじまりは少年が≪エリスの肖像≫に出逢ったことから。 その出会いこそが全ての元凶であるが、 おそらくそれはエリスの罪ではなく、 おそらくそれは少年の罪でもない。 少年はエリスに盲目的に恋をし、 少年はエリスを得るためのみにその後の生涯を浪費する。 出会いは罪ではない。 愛憎を抱くことこそが罪。 03. エルの絵本 【魔女とラフレンツェ】 - 町内1周 (2007年04月08日 12時58分14秒)少年は長じて男となった。 それまでにどんな経緯があったのか、 男は、己の理想を叶えるための鍵穴を見つけだした。 目的の為には手段を選ばず、達成する為に何でもしてしまう男だから、 それを見つけるのもそう難しくはなかったのかもしれない。 エリスへ通じる鍵穴、彼の鍵穴、それは冥府≪アビス≫の門番ラフレンツェ。 鍵は己、鍵穴は彼女。 男はラフレンツェを篭絡し、純潔を散らせ、孕ませた。 白きラフレンツェ、彼女の純潔により閉ざされていた冥府≪アビス≫の門は開かれ、 男は、開いた冥府≪アビス≫の門からエリスの魂を引っ張り出し、ラフレンツェの孕んでいる子にエリスの魂を入れた。 ―――男の愛はエリスにこそあれ、わたしにはない!――― 愛憎を知り、白き純潔を貫かれて、赤き血を流し、赤髪となった魔女ラフレンツェ、 残酷な事実を悟ったラフレンツェは子供を産みはするが、同時にある呪いを残し自殺。 魔女ラフレンツェは冥府≪アビス≫へ堕ちた。 ラフレンツェの呪い、 それは、男を呪い、男を奪った女を呪い、 『私はずっとあなたのそばにいたい あなたはずっと私のそばにいて!』と男に懇願する願い。 かくして楽園の扉は開かれた。 魔女は女が堕ちるのを待っている。 魔女は男が堕ちるのを待っている。 07. エルの天秤 - 町内1周 (2007年04月08日 12時59分22秒)子供の名は、エル。 吹雪く雪原、いつかの森の奥の廃屋、 はじまりの地に居を構える男と娘。 しかしその娘は体も心も脆かった。 ≪肖像画のエリス≫は八歳。 だからどうしても彼のエリスは八歳でなければならない。 だからどうしてもエルを八歳まで延命させねばならなかった。 だからどうしても大金が必要だった。 ―――エルが八歳になって、はじめて、私の求める完璧なエリスとなる――― 男は金を求めて汚い仕事に手を染めるが、女の恨みを買って刺されてしまう。 血を流しながらも大金を握りしめ、どうにかエルの待つ家に辿り着くが、ついにエルの傍らで死ぬ。 それはエル八歳の誕生日前。 01. エルの楽園 [→side:E→]& 11. エルの楽園 [→side:A→] - 町内1周 (2007年04月08日 13時00分26秒)大金を手に入れる為に奔走し、エルの傍にほとんどいなかったエルの父。 身体の痛み、心の痛み、孤独の痛みに耐えながら、エルは父を待つ。 傍らで死ぬ父を認識できないエルは、混濁する意識の中でなお父に語りかける。 しかし父の後をすぐ追うように、誕生日を迎えることなく死ぬ。 死の間際に≪エリュシオン≫/≪アビス≫へ、向かう/堕ちるエル。 エルの楽園がふたつ(≪[→side:E→]エリュシオン≫≪[→side:A→]アビス≫の表裏一体)あるように、 ここでエル自身もまたふたつになった。 エルの楽園[→side:E→]のエルは、理想の国・永遠の地≪エリュシオン≫、死を肯定した地へ。 エルの楽園[→side:A→]のエルは、時の荒野・永遠の地≪アビス≫、死を否定した地へ。 冥府≪アビス≫へ堕ちたエルは、そこで魔女ラフレンツェと出会う。 ―――確かにわたしはこの娘を呪った。けど、こんな短い生で、本当に堕ちてきてしまうなんて――― 後悔した魔女ラフレンツェは母親としてエルを庇護し、 エルとともに男を待つことにする。 冥府≪アビス≫へ堕ちた男は、仮面の男アビスとなる。 そこでもなお、彼はエリスを求め、現世と冥府≪アビス≫を奔走。 男が冥府≪アビス≫へ堕ちたエル・ラフレンツェを見つけるのは、楽園より絵本に至るまでのはざま七編を経てからである。 ≪エリュシオン≫へ向かったエルは、愛憎も苦痛も、それらを感じる知覚すらない場所へと消えた。 そこは≪エリュシオン≫ではなく、人間に与えられた唯一の救い、すなわち死、その後は、 ――――無。 09. エルの絵本 【笛吹き男とパレード】 - 町内1周 (2007年04月08日 13時01分53秒)冥府≪アビス≫をゆく楽園パレード。 仮面の男アビスの肩に乗るのは、≪アビス≫のエル。 傍らには、赤髪の魔女ラフレンツェ。 冥府≪アビス≫という場所で、男は永遠にエルを手に入れた。 身体も痛くない、心も痛くない、脆くない、永遠のエル。 しかし厳密には、エルは彼のエリスではない。 彼のエリスは齢八歳でなければならない。 しかしエル(エリスの魂)が七歳にして冥府≪アビス≫こと永遠の地に堕ちてきてしまったからには もはやエル(エリスの魂)は永遠に八歳にならない。 また≪エリュシオン≫に向かったエル(エリスの魂)は既にどこにもいない。 男は永遠にエリスを失った。 それでも男はエリスを求める。 冥府≪アビス≫という場所で、ラフレンツェは永遠に男を手に入れた。 しかし厳密には、男はラフレンツェのものになっていない。 男はそんな状態でもなおエリスを探し求めているから。 ラフレンツェは永遠に男を失った。 それでもラフレンツェは男を求める。 手に入ったが、手に入っていない。 一を手に入れたならば十、十を手に入れたならば百、欲しいのは完全。 幸せだけど、幸せじゃない 理想だけど、理想じゃない 楽園だけど、楽園じゃない 完全なる理想は永遠に手に入らない 完全なる楽園に永遠に辿り着かない そんなものは絵の中や絵本の中でしか存在しない『絵空事』 世界に神(理想・楽園)などいやしない!/それでも神(理想・楽園)求めたい! 私の求めるあなたはどこ!!?? 男の止まぬ妄念とラフレンツェの呪いは、 永遠に背徳の愛という種を蒔き/孕ませ 永遠に背徳の罪人という果実を実らせ/産ませ 永遠に不毛な収穫を続ける。 永遠に彼等の手に堕ちぬひとを求め、 永遠に彼等の仲間――― 永遠に愛憎に囚われ、永遠に満たされぬ想いを抱き、永遠に死を拒絶する背徳者を増やしながら、 彼等は冥府≪アビス≫を練り歩く。 永遠の黄昏の中、永遠に沈まない夕日/死に背を向けて。 12〜43. ??? - 町内1周 (2007年04月08日 13時05分35秒)仮面の男アビスとそのパレードが、仲間をふやしつつえんえんと練り歩く。 44. - 町内1周 (2007年04月08日 13時07分24秒)歴史は繰り返す。 かつてのオルドローズがそうであったように、 ≪アビス≫のエルは、新たな冥府の番人を創り、現世と冥府≪アビス≫を隔て、 楽園への扉は何度でも閉じられるのだろう。 その間、世界は平穏を得られるだろう。 そして歴史は繰り返す。 楽園を追放されたアダムとイブ、 愛憎からは逃れられぬ罪のイキモノが世界に存在する限り、 楽園への扉は何度でも開かれるのだろう。 その間、世界は平穏を失うだろう。 例えばきっかけは、≪エルの絵本≫と少年の出会い。 例えば、絵本のどこかにエルが描かれていたのなら。 例えば、絵本のどこかに『最愛の娘エルの8つの誕生日に』とでも書かれていたのなら。 それは次の物語の始まり。 タンタロスの罰は永劫に終わらない。 44の数字、それは奇数ではなく偶数。 此処は≪アビス≫。 されど此れは≪エリュシオン≫のおはなし。 エルにだって満たされない想いはある。 ――いまのパパは、パパだけどパパじゃない―― ――もとのパパは、おうちにほとんどいなかったけど、わたしだけにつくしてくれた―― ――いまのパパは、いっしょにいてくれるけど、エリスって子だけ見てるの―― ――もとのパパに、会いたい―― だから、あのおうちに行ってね、パパがプレゼントしてくれた絵本に書いたの。 『最愛の娘エリスの八つの誕生日に』って! …ううん、ほんとはパパ、絵本くれなかったね。 だからわたし自分で絵本も描いたの。 冥府の番人もちゃんと創るよ。 これで迎えに来てくれるよね? ねえ、パパ。 嗚呼、彼女は冥府≪アビス≫の罪人達とは違う。 嗚呼、彼女こそが冥府≪アビス≫の真のあるじ、 嗚呼、彼女は神々に祝福された唯一の存在、冥府≪アビス≫の中心≪エリュシオン≫に座す少女。 エリス/Elis(Ellis)―――「ヤハウェは神である」。ヤハウェ/YHWH―――唯一絶対神。 エリス/Eris―――争いと不和を司る女神。 楽園は神にしか許されず、 楽園に至れる唯一の存在が彼女であり、 楽園に至ることを彼女は望む。 現世の父とともに過ごしたあの廃屋こそが彼女の楽園/理想/エリュシオン、 ならばまずは楽園に至る為の種を蒔こう、破られる為の門を創ろう。 神は平穏など望んでおられない。 蒔かれた災いの種/エリスの林檎を巡り、 愚かな人間達は再び神の手のひらで踊らされるのだ。 それは冥府のエウリュディケを迎えに来たオルフェウスと交わす囁き。 それはかつての廃屋ではなく、冥府≪アビス≫の中心≪エリュシオン≫にて交わされる言葉。 『ただいま、E』 『おかえりなさい、パパ』 …………うふふ 境 - 町内1周 (2007年04月08日 13時08分51秒)――――――冥府≪アビス≫の住人には越えられない壁―――――― 45. - 町内1周 (2007年04月08日 13時09分17秒)補足 - 町内1周 (2007年04月08日 13時11分01秒)○物語の時系列 05. エルの肖像 03. エルの絵本 【魔女とラフレンツェ】 07. エルの天秤 01. エルの楽園 [→side:E→] 11. エルの楽園 [→side:A→] 09. エルの絵本 【笛吹き男とパレード】 12〜43. ??? 44. ※乙女達の5編は、エルの楽園・エルの絵本【笛吹き男とパレード】・12〜43. ???、いずれかのはざまに入る。 ○世界の時間の流れ この世界はループしておらず、 ↑ こういう流れは時間的に一切無い。 ↓ 常にこういう流れ。 ↓ ずーーーーーーーーーっと底のない奈落へ落ちていく仕組み。 ↓ ↓ ・ ・ ・ トラック44.のエルが手に入れたであろう『もとのパパ』とは、 厳密には読者が知る物語での『エルのパパ』ではない。 この世界は、 エル的役割を持つ人物・ラフレンツェ的役割を持つ人物・アビス的役割を持つ人物、 上記三者が存在する物語がえんえんと下に連なっていく構成になっており、 冥府≪アビス≫の中心≪エリュシオン≫のエルのもとに訪れたのは、 読者が知る物語の『アビス的役割を持つ人物』ではなく、次の物語の『アビス的役割を持つ人物』である。 *** これを書くにあたり、 考察ファンサイト『地平線の鍵』様、 及び、当掲示板の皆様の意見を参考にさせていただきました。 勝手ながら御礼申し上げます。ありがとうございました。
2:みー 2007/11/24(土) 18:31:45 ID:??? [sage] 面白いです。 >しかし厳密には、エルは彼のエリスではない。 >彼のエリスは齢八歳でなければならない。 >しかしエル(エリスの魂)が七歳にして冥府≪アビス≫こと永遠の地に堕ちてきてしまったからには >もはやエル(エリスの魂)は永遠に八歳にならない。 >また≪エリュシオン≫に向かったエル(エリスの魂)は既にどこにもいない。 >男は永遠にエリスを失った。 >それでも男はエリスを求める。 ここが私の想像と近いです 肩の上の少女はエル。 しかし男の求める「エリス」にはなっておらず、 彼はエルを「エリス」にするために探し続けてるのだと 考えていました。
3:名無し 2011/11/22(火) 06:35:30 ID:??? [sage@yahoo.co.jp] 女ヤッて金もらえるの?(*´ω`)$ gffz.biz/
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