★☆蒼天航路スレッド☆★
897:左平(仮名)2005/05/28(土) 01:09
魏諷の乱、今回で終息です。

前回、「天子まで百歩」と言ってましたね。実際、彼の声は皇帝(隣には、今は皇后の
曹節も)に届きました。
蛇足ながら、曹節、大人の女性の顔つき・体つきになってます(まぁ、少なくとも二十
歳は越えてるでしょうから当然なんですけど)。
新たな奸雄として「皇帝の御稜威(みいつ)」を曹操以上に使う、と言ってるあたりに
彼の目指すところが示されているみたいです。

が、その彼らの前に現れたのは、劉曄と、拷問にかけられ精神崩壊を起こした鼻息男
(陳イ【示+韋】)、そして銭申の首。
何晏の通報により、魏諷達は既に袋の鼠になっていたというわけです。

しかし、魏諷達の意気は衰えません。彼の持つ風靡(というか扇動)の才は、高官の
子息達に大変な影響力をもたらしていたのです。まぁ、出るわ出るわ。
ただ、既に囲まれているため、その後は乱戦…などにはなりようもなく、高官の子息
達もろとも皆殺しでした(高官の子息達は頭を射られて即死。魏諷自身は、曹丕に
斬られてます)。


あらすじを書くと存外あっけないのですが…ただ、この後の歴史の流れなどを考えると、
なかなか示唆に富んだ回ではあります。
1 この変事に遭遇した曹節は、なぜ怯えたのか
魏諷の声を聞いたとき、「とてもきれいな声」と言ってます。皇帝も、その声にかつての
曹操を重ね合わせていました。ということは、魏諷にも、奸雄たる素質はいくらかあった
のではないでしょうか。
(公孫瓚は美声の持ち主でしたし、王莽もなかなか強烈な声の持ち主だったといいます。
「声」もまた、英雄たらんとする者にとっての武器なんですね)
2 曹丕は玉座に値する者か
曹丕、玉座についた状態で登場してました。その傍らには、漢の帝室の血を引く劉曄。
その姿は自信に満ち、皇帝たらんとする意思をみることもできます。実際、これから約
一年後には、実際のものになるわけですが。
しかし、高官の子息達からは「人望は孫仲謀にも劣り〜」などと言われてますし、その
後の台詞からしても、明らかに曹操とは異なるスタンスをとっていることが伺えます。
父とは異なる道を選ぶ。遥か後の世に生きる我々には、その真意をうかがい知ることは
できません。
3 この乱は…
遅すぎたのか(天下は、既に三勢力に収束しつつあった。魏諷はそれらとは異なる勢力を
築こうとしたわけだが…)、それとも早すぎたのか(魏は内部から崩れ曹一族は滅亡の道
をたどる、というのは後に現実のものとなったわけですが…)。
何か、どちらともとれそうなんですよね。

そして、何か変な話ですけど、子の曹丕より、敵の魏諷の方が、曹操に近いのでは
ないか?そんな気がしてくるのです。魏諷の死…関羽の死…そして、曹操の死。

曹操という存在は受け継がれなかった。
個人的には、曹操の死によってこの物語は完結します。というか、しないとおかしい。
1-AA