★『宮城谷三国志』総合スレッド★
171:左平(仮名) 2006/01/10(火) 23:29
今回のタイトルは「密詔」。董承による曹操暗殺計画が語られます。

その発端は、意外にも劉備の存在でした。といっても、劉備が反曹操の急先鋒…など
というわけでは全くなく、むしろ曹操が異様なくらいにそば近くにおいていることから
(刺客として使える)と値踏みされた、という次第。
曹操にとっては劉備は全く異質の存在でした。衰亡しつつある劉氏にあって、ひとりしぶ
とく生きながらえる様はひとつの奇跡。それゆえに近づけ、ついには彼を英雄と評するに
至ります。ただ、劉備はというと、曹操に対して別段恩義を感じるというわけでもなく、
その肚はさっぱり読めません。

劉備にとって、この暗殺計画(皇帝の密詔自体はちゃんと出てます)には二つの意味が
ありました。
一つは、中央政界の生臭さを思い知ったこと。袁術討伐を理由に都を離れたのは、単に
曹操に叛旗を翻すためだけではありません。
もう一つは、自分を相対化させる存在−曹操−を知ったことで、自らの位置づけがより
明確になったこと。今上も自分も、もとをたどれば景帝に至る。ゆえに、皇帝とて全く
届き得ない存在ではない。中央を離れ自立するのよし…。

劉備が去った後も、董承は曹操暗殺計画を進めますが、その計画は粗雑。徐他については
許褚の胸騒ぎという予測不能の要因による失敗でしたが、こちらは失敗するべくして失敗
したという書かれ方です(何より、悪政をしていない曹操を殺して、さてどうするのかと
いうビジョンがないのでは…)。
事件が片付いた後、曹操は、皇帝を半ば無視するようになります。
ただ、今回、皇帝の真意というのがどうも読めないんですよね…。

袁術は、今回で滅びました。何とも呆気なかったです(それはそうと、本作では「喀血」
したとあるのですが、三国志も後漢書も「嘔血」とあります。喀血・吐血・嘔血の意味は
それぞれ微妙に異なるはずなのですが…)。

徐州で自立を図った劉備を逐い、曹操は、ついに袁紹との決戦に臨むことになります。


蛇足:挿絵は村上豊氏が書かれてますが、今回は妙に個人的にはまりました。英雄同士の
対面というのに、何だか、いしい御大の「最底人(↓)」みたいで。

 あほ〜〜〜っ!

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いしいスレで見つけたAAです。
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