★『宮城谷三国志』総合スレッド★
195:左平(仮名) 2007/09/22(土) 23:24
三国志(2007年09月)

今回のタイトルは「雨矢」。対馬超戦の序盤・渡河作戦の顛末などが描かれます。

前回から既に対馬超戦に入ってはいるのですが、曹操自身が臨むのは今回から。まずは、その深謀遠慮が
語られます。
内に外にとにかく忙しい曹操にとって、頼りになるのは名臣のみにあらず。賢婦人・卞氏のことを忘れて
はならないでしょう。(途中までですが)こたびの遠征に連れて行ったのもそのため。彼女は、夫の期待
にみごとに応えます。
それだけではありません。愛子・曹植も同行します。彼が類稀なる文才の持ち主であるということは既に
分かっているだけに、夢想に陥らないよう、現実の戦場を見せておく必要があると判断したからです。

ただ、曹丕はこのことに不快感を示します。またしても留守を任されたことで己が武名をあげる機会を逸
したためです。
それ自体は、曹操から信頼されていることの証といえるのですが…ここではまだ語られないとはいえ、後
のことを思うと、少しばかり影が差しているような。
また、曹丕の正室・甄氏は、義母を気遣う孝婦なのですが、義母には少し劣る(ごく簡単にいうと、大家
族の中で育ったため寂しがり【義母を気遣うのもその故】なところがあり、胆力が弱い)ようです。
本作においては、養祖父・曹騰から書かれていますから、曹操が三代目。『重耳』や『風は山河より』と
比較すると…曹操以降は、さて?
 蛇足ながら、村上氏の挿絵、普段はやや三枚目的な感じのものが多いのですが、今回はまっとうな美女
 (おそらく甄氏)でした。こうしてみると、甄氏の描かれ方って作風が出るようですね。

鍾繇の治績を確認し、潼関に着陣した曹操。もちろん、既に作戦は考えています。徐晃・朱霊もその意図
をしっかりと読み取り、適切な動きを見せます。
ここで馬超側の意見は分かれます。渡河させまいとする馬超と渡河途中を叩くべしとする韓遂。ここでは
馬超の方が正しかったわけですが…韓遂の考えにも一理あるだけに難しいところです。

かくして、渡河作戦が開始されます。それを察知した馬超は手勢を率いて急行。西方の精鋭達がどっと襲
い掛かってきます。
曹操側も精鋭揃いですし、名将・張郃もいるだけにたやすくは崩れませんが、攻撃は激しさを増す一方。
タイトル通り、曹操に向かって雨の如く矢が降り注ぎます。
ついに、曹操の身を気遣った張郃・許褚によって、曹操は後方に引きます(というか、後方に連れて行か
れます)。

ただ、馬超にも抜かりはありました。韓遂達との連携がいまひとつとれていないのです。戦いを仕掛ける
のは馬超側ですが、気がつくとじりじりと押されている状態。和議を持ちかけるなど、焦りの色が見られ
ます。
と、なると…。ここで賈詡の登場。次回は…
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