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★『宮城谷三国志』総合スレッド★
212:左平(仮名) 2008/07/19(土) 21:16:32 ID:EIpoYnVD 三国志(2008年07月) 今回のタイトルは「関羽」。荊州を巡る攻防は、新たな段階に突入します。 わずか四人となった龐悳の軍勢。堤上に孤立し、もはや生きることを捨てた彼らの前に、一艘の小舟が流れ 着きます。 あたりは闇夜。物音をたてずに包囲網をかいくぐり、これなら…とわずかに助かる希望が生じたその時…! 龐悳、そして名も記されぬ三名とも、さぞや無念であったことでしょう。 最期まで戦い続けた龐悳。関羽もその将器を評価しますが、両者は決して交わりません。惜しいところでは ありますが、これが戦というものか。 その直後、関羽が放った偵察網に特大の獲物がかかりました。于禁率いる援軍が、雨中に孤立していたのです。 このままでは全滅は避けられない。于禁は、将としての、一つの決断を示します。 『降る』 この一事をもって、于禁の声望は地に堕ちます。しかし、降るに至った経緯とその後の彼の振る舞いをみると、 それはあまりに酷な話です。 作中では、于禁は、「兵を助けてくれるなら」という条件のもとで降っています。そして彼は、(後の話ですが) 劉備にも孫権にも仕えることなく、魏に復帰しているのです。 何かを救う為に敵に降ったが、節義を損なうことなく帰参した…。これは、関羽と同じです。何が二人を分けた のか。それは、何とも分かりません。 曹操は于禁の投降を嘆きますが、曹操の心身の衰えが、その判断に影響したということはないのでしょうか…。 援軍が壊滅した、となれば、樊城の曹仁は孤立します。しかし、副将の満寵ともども、降ったり撤退するつもりは 毛頭ありません。その理由は、(曹仁には)二つあります。 一つは、戦略上の意義。樊城に曹仁ある限り、関羽といえども軽々しく北上はできませんが、いなくなれば後顧 の憂いなく存分に北上される恐れがあります。 もう一つは、彼の矜持。いかにやむを得ない事情があったとはいえ、江陵から撤退したことは、彼の中ではトラ ウマとなっていました。ここでも撤退したら、二度と立ち直れない。そう、恐れていたのです。 食糧庫も水没し、状況は日々刻々と厳しくなっていきますが、これを乗り越えなければならないのです。 長くなったので、ここで分けます。
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