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★『宮城谷三国志』総合スレッド★
234:左平(仮名) 2009/05/24(日) 01:25:16 ID:85J6nSxv0 続き。 その事態は、極めて急に起こりました。鮑の処刑からほどなく、曹丕が崩じたのです。 病に臥してから一月足らず。当年齢四十の壮年で、武芸にも長け、持病もない彼の急逝は、当然ながら、波紋を投げかけ ました(春秋の筆法で言えば、鮑を殺した報い、ということでしょうか)。 幸い、まだ意識がはっきりしている間に立太子は為されましたので、この点は良かったのですが、太子に曹叡が選ばれた ことには、群臣達に多少の驚きがありました。先の、とつくとはいえ、皇后との間に生まれた嫡長子。なんの問題もなさ そうですが、実母の死に方(死を賜った)は、尾を引いていたようです。 まあ、太子の過去はともかくとしても、一度は地方王になり、中央からは離れたものと思われただけに、その賢愚は未だ 定かならず。 ひとり新皇帝に呼び出された劉曄は、まる一日語り合い、その力量を概ね把握しました(一方で、曹叡もまた、群臣の中 で最も優れていると判断した劉曄を通じて、群臣達の賢愚や時勢を把握したものと思われます)。 秦始皇・後漢光武に近いがわずかに及ばない。劉曄の見立ては、そのようなものでした。 呉との小競り合いに対しての対応をみると、少なくとも、皇帝としては曹丕より上と思わせるに足るスタートを切ります。 さて、魏・蜀漢とも代替わりをした一方、呉は、引き続き孫権です。 自分とは親子ほども年の離れた魏の新帝。しかも、その器量をみるに、魏に揺るぎはありません。また、(魏に備える為 ではありますが)蜀漢と同盟関係になっていますので、攻めるわけにもいきません。 直ちに呉に危難が及ぶわけではない。しかし国威発揚の機も期待できない。そんな中、呉艦隊期待の大型艦の進水という イベントがありました。そう、谷利の見せ場です。 大型艦の進水にはしゃいだか、停滞する現状に苛立つあまりの気晴らしか。一国の主としては軽率な言動を見せた孫権に 対し、厳しく、しかし真摯に諌めた谷利。それをしかと受け止めた孫権。 もう一人の皇帝が現れるのは、そう遠い日のことではありません。
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