★『宮城谷三国志』総合スレッド★
282:左平(仮名)2010/10/03(日) 22:18:31 ID:???0 [sage ]
三国志(2010年09月)


今回のタイトルは「増築」。星落秋風五丈原の次の回にしては…と思うタイトルですが、ちゃんと意味があります。

まずは、諸葛亮の死後の蜀漢の情勢が語られます。
職務怠慢を咎められて失脚した李平(李厳)は、これで自らの復権が無くなったと悟り、悲嘆の余り昏倒し、ほどなく
世を去ります。
暴言が咎められて失脚した廖立は、蜀漢の衰亡が遠くないことを思いつつ、配所で亡くなります。
彼らは、非常に癖が強いとはいえ、優秀な人材です。その彼らが、一度は対立した人物の死に対して、これほどまでに
嘆き悲しんだところに、諸葛亮という人物の器量が垣間見えます。

また、宮中においては、悲嘆とともに言い知れぬ不安が漂います。諸葛亮の存命中は、蜀漢の全権が彼の下に集中して
いたため、政務全般が一元的に、かつ円滑に動いていたわけですが、その根幹が崩れたわけですから、不安を抱くのも
当然でしょう。
何より、皇帝・劉禅自身がその不安の中に居ました。彼は、政務全般を諸葛亮に丸投げしていたわけですから、即位後
十年以上経過しているのも関わらず、政治は全くの素人。一歩間違えば、たちまち亡国の危機です。
ただ、救いは、諸葛亮の遺命が明確であったこと。蒋琬が尚書令となり、事実上の後継者として、以降の蜀漢の政務を
総攬することとなりました。遺命通りの人事なので、本来であれば全く問題ないはずなのですが…

続きます。
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