下
★『宮城谷三国志』総合スレッド★
306:左平(仮名)2011/03/21(月) 01:24:31 ID:???0 [sage ]
続き。
司馬懿が出てきた。このことは、当然、樊城を攻める朱然にも伝わりました。こうなると、朱然としては、両方に
備えなければならない分、心理的重圧がかかるようになります。呉軍の動きから、速さが消えました。
一方、司馬懿率いる魏軍は悠然としています。こう書くと長期戦(突出している朱然をゆるゆると困窮させる)か
と思われるでしょうが、実は、短期決戦。
というのは、朱然の後方には堅実な諸葛瑾がおり補給には不足しない(ゆえに、長期戦にしても困窮しない)ため。
ここで、司馬懿は、「声で呉軍を退かせてみようか」と言います。一体、どうやって。
「声」。それは、司馬懿の(蜀漢の総力を以て攻めてきた諸葛亮と渡り合い、公孫淵を屠った不敗の将という)名声
…だけではありません。
実は、両軍とも間諜が入っているため、将帥の命令は、ある程度敵軍に伝わっています。司馬懿は、これを利用した
のです。
ただでさえ、魏第一の名将が精鋭を率いてきているのに、さらに決死の士を募って奇襲をかけてくるかも知れない。
しかも、包囲しているとはいえ、樊城にもほぼ無傷の敵軍がいる。朱然の精神は、徐々に乱れてきます。
いつ来るか分からない奇襲に怯えるうち、呉軍は、戦わずして崩壊しました。朱然も、命からがら逃走するという
有様。司馬懿は、またしても大いなる武勲を挙げました。
一方、東の方でも、魏軍が勝利。王淩の猛攻の前に、全jの軍勢が敗走しました。
一方では策多き司馬懿が勝ち、一方では策のない王淩が勝つ。戦いとは、何とも不思議なものです。
この武勲により、司馬懿の名声はますます高まりましたが、それに奢れば破滅を招く、ということを知る司馬懿は
ますます謙譲の姿勢を見せるようになります。
続きます。
上前次1-新書写板AA設索