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★『宮城谷三国志』総合スレッド★
381:左平(仮名)@投稿 ★2012/06/04(月) 00:14:41 ID:???0 [sage ]
続き。
それから程なく、多くの高官達が集められました。ここで司馬師が、皇太后・郭氏からの、ある文書を読み上げます。それは、
皇帝・曹芳が皇帝にふさわしくないため、もとの斉王に落とすべきである、と命ずるものでした。
…司馬師は、自分ではなく、皇太后が皇帝の廃位を言い出したという体裁をとったのです。その影に司馬師がいることはみな
察していましたが、それを非難する声はあがりませんでした(曹芳を擁護する声もありませんでした)。
実力者たる司馬師に媚びるという含みもありましたが、手続上は十分な正当性を有すること、司馬師の政治がおおむね妥当で
ある(彼に従っても損をする者はない)ことが、この挙を肯定させたのです。
かくして、司馬師をはじめとする高官達によって起草された―皇太后の命をうけ曹芳を弾劾する―文書が、皇太后の一族の郭
芝によって届けられます。
この時、皇太后は曹芳と同席していました。ことここに至ってはやむを得ないとは思いつつも、血のつながりはないとはいえ
子として接してきた曹芳と別れることに、感傷的になっていたのでしょうか。
場の雰囲気を壊す形になりましたが、郭芝は文書を差し出し、皇帝の印綬を取り上げさせます。
廃位ともなれば相当な抵抗が予想されるところでしたが、拍子抜けするくらい、淡々とことは進みました。あるいは、曹芳は、
皇帝の位に嫌気がさしていたのでしょうか。さすがに皇太后と別れる際には号泣していましたが、それ以外は何の問題も生じ
ませんでした。
続きます。
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