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★『宮城谷三国志』総合スレッド★
213:左平(仮名) 2008/07/19(土) 21:17:29 ID:EIpoYnVD 続き。 ここで、傍目には唐突にですが、孫権が登場します。 実のところ、孫権は、半ば手詰まりの状態になっていました。どうやっても、北上作戦がうまくいかないのです。 無理もありません。「張遼」の回をみてのとおり、あんなぶさまな敗北があったのでは…。 しかも、魯粛も世を去り、国家戦略を語れる人材がいないのです。劉備が漢中王を名乗った際に諮問しても、たれも 答えられないという有様。 いや、一人いました。「男子三日会わざれば刮目して待つべし」の呂蒙です。北上作戦の不利と荊州奪取の有利とを 比較し、後者の作戦を実行するよう、孫権に勧めたのです。 確かに、北上して徐州を取っても、直ちに魏との一大決戦となれば、勝てる見込みも低い上に大軍を張り付けねば なりませんから、やりくりがつきません。 一方、呉が長江を生命線とする以上、本拠地の楊州の上流にあたる荊州の確保は喫緊の課題。 魏が、直ちに呉に兵を向けることがないのを確認した上で、その作戦は開始されることとなります。 対関羽で、魏と呉とが手を組んだ。このことを極秘にすべきか公表すべきか。ここらへんの駆け引きは、なかなかに 面白いものがあります(というか、私などには、一回読んだくらいではよく分かりませんでした)。 知らぬは関羽ばかりなり…ということはありません。この知らせは、関羽の耳にもしっかりと入っています。ただ、 自身(とその作戦)に自信があるだけに、それを突かれることになるわけです。 ラストは、関羽vs徐晃。ただ、ここのくだりをみると、春秋時代の君子の如く振る舞おうとする関羽に対し、当代 の将軍として振る舞う徐晃、という感じで、少しおかしくも思えたのは私だけでしょうか。 …とここまで書いてみて、(個人的にですが)蒼天での陸遜が嫌いなわけが少しみえてきました。 関羽は左伝の愛読者として知られます。そして、(本作においては)左伝に描かれる君子の如くあろうとしています。 恐らく、于禁の投降を受け入れたのもそのためでしょう。戦場にも「礼」はあるのです。 蒼天での陸遜は、それを嘲笑していました(直接の理由は輜重の体制の不備なのですが、その原因は于禁とその軍勢 を捕虜として受け入れたためなので、捕虜を保護すること自体を嘲笑っているようにみえた)。 その、敵への敬意のなさが、気に入らなかったのかな、と。
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