★『宮城谷三国志』総合スレッド★
333:左平(仮名)2011/10/02(日) 01:54:58 ID:???0 [sage ] AAS
続き。

残る二人は、夏侯玄と夏侯覇です。二人は、ともに西方にあって蜀漢との戦いの最前線に立っていたわけですが、夏侯玄が
都に召還されることになりました。夏侯玄は、先に曹爽が蜀漢を攻めた際、その計画に賛同し、同行もしていますから、曹
爽派とみなされて…というわけです(なお、この戦いにおいては、夏侯覇は先鋒を務めている)。
結局、夏侯玄への措置は単なる異動だったわけですが、残された夏侯覇は、気が気ではありません。何しろ、夏侯玄の後任
は、仲の悪い郭淮なのです。
 郭淮というと、かつては夏侯覇の父・夏侯淵とともに蜀漢と戦っている人物。その彼と仲が悪いというのはちょっと変な
 気がしますが、以前に、曹休が賈逵を(一方的に)嫌ったということもありましたから、父の元部下の指図を受けること
 に不快感を持っていた(それを察した郭淮も夏侯覇を嫌った)のかも知れません。
これは、準皇族たる夏侯氏である自分を陥れる罠か。夏侯玄への沙汰が下るのを待っていては危うい。ここまで思いつめた
夏侯覇は、ついに亡命することを決めます。

しかし、魏の西方にあって亡命先となる国はただ一つ。そう、父の仇たる蜀漢です。父の仇を取りたいという気持ちを強く
持っていた(それ故に、先の戦いでは先鋒となった)夏侯覇にとっては難しい決断でしたが、彼の一族の女性が張飛の妻に
なり、二人の間に生まれた娘が蜀漢の皇后になっているという縁が決め手になりました。
夏侯覇は、苦難の旅の末に蜀の地に入り、皇后の縁戚として厚遇されます。没年は不明とのこと。姜維とともに戦うのは、
演義での創作のようです。

続きます。
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