小説、書いてみました。
11:左平(仮名)2002/12/22(日) 00:50
十、

「久しぶりですな、董卓殿。いや、漢の流儀で言えば、仲穎殿か」
「おぉ、あなたは! あの時の族長殿ではありませんか!」
「はは…。 まぁ、お元気で何よりじゃ。いかがお過ごしかな?」
「まぁ、おかげさまで。兄に田と牛を分けてもらいまして、何とか暮らしております」
省38
12:左平(仮名)2002/12/22(日) 00:50
十一、

「瑠よ。帰ったぞ」
族長は、帰って来るや、末娘の名を呼んだ。
「お帰りなさいませ、父さま」
「うむ。ところで、そなた、以前この集落にやって来た漢人の事を覚えておるか?」
省52
13:左平(仮名)2002/12/22(日) 00:52
十二、

「そんな、いきなり言われてもなぁ…。婚儀もせにゃならんし…」
豪放な董卓も、この申し出には驚いた。それにしても、羌族の女の大胆なことよ。漢人であれば、こうはいかないであろう。まぁ、悪い気はしないが。
そんな事を考えていると、いつの間にか馬から下りた瑠が、彼の体にしがみついてきた。彼女の胸が当たってくる。ますます驚いた董卓は、動けなくなった。
「あら、鹿を素手で締め上げた勇者さまが、女の私に締め上げられてるなんて」
省40
14:左平(仮名)2002/12/22(日) 00:59
十三、

光和七(西暦184)年。太平道が蜂起した。世にいう、黄巾の乱である。董卓も、その征討軍の一員として、前線に赴いていた。
既に五十に届こうかという年である。さすがに、自ら武器をとって戦うという事は少なくなっていた。とはいえ、ひとたび武器を手にとれば、そんじょそこらの兵どもには負けはしない。素手で鹿を締めた膂力は、なお健在であった。

眼前に、黄巾の賊の姿が見える。頭に黄色の布を巻いた群衆の姿は、あたかも黄河の奔流を思わせた。
省32
15:左平(仮名)2002/12/22(日) 01:07
あまり構想を練らずに、勢いだけで書きましたので、ちょっと荒っぽいですが…。いかがでしょうか。
今回、これを書いたのには、二つの理由があります。
一つは、今回の宮城谷三国志に董卓が登場したもので、それに影響されて…(漢に虐げられる羌族に同情的というあたり)。
もう一つは、今考えている『牛氏』、第一部は牛輔を描く予定なのですが、どうしても岳父・董卓を抜きには考えられず、考えているうちに、董卓についての記述が長くなり、脱線しそうだったので、別の作品にしよう…と。
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