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小説 『牛氏』 第一部
21:左平(仮名) 2003/02/23(日) 22:24 「婦」という字は、「女」と「帚」から成り、「ほうきを持った女」という意味あいを持つ。そもそもは、神を祀る宗廟を清めるという重要な役割を担っていた様である。この頃には、そういう意味は失われていたものの、婦人が、家庭内においては重要な存在であった事は間違いない。単に、夫の快楽の相手というだけではないというのは、今も昔も同じである。 夫との関係は良いものとなろう。それだけに失敗は許されない。そう、緊張して臨んだ儀礼ではあったが、すんでみれば、そう大したものではなかった。 (良かった。お義父様もお義母様もお優しい方で) 十分に練習はしてきたものの、完璧にできたというわけではない。しかし、真摯に取り組んでいるさまを見て、二人とも大目に見てくれた様である。 自分の顔を見た時、舅がちょっと驚いた様であったが、特に何も言われなかった。あれは、何だったのだろうか?ちょっと気になったが、すぐに頭から消えた。 (さぁ、あとは…うふふ) この後は、お楽しみの、昨晩の続きである。あの人と、飽きるくらいに…。そう思うと、思わず顔がほころんだ。 「あなたぁ。さ…」 「あぁ。おいで」 「ハネム−ン」(=蜜月)という言葉がある。何でも、英国では、新婦が滋養に富んだ蜂蜜酒(ハニ−ワイン)を作り、それを一月にわたって新夫に飲ませるのだとか。滋養に富んだ酒を飲ませてする事と言えば… やはり、であろう。 そういう風習の有無は分からないが、この新婚夫婦もまた、そういう状態であったろう事は、想像に難くない。 それからしばらく経った、ある日の事である。
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