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袁紹はナゼ過小評価される!?
19:上田散人 2003/06/22(日) 03:37 ぐっこさんの言う通りテーマからズレてきたので本題に戻りましょう。ついでに >あえて声をあげるほど、袁紹解釈に不満がある本はやはり昔のものが中心です。 その具体的な不満については次のレスで。 と言ったきりにもなっていたので今回は(ようやく)その具体例を。 取り上げる作品はズバリ「秘本三国志」。 厳密に言えば袁紹の過小評価は、魏王朝=曹操を正統とする「正史」から始まっているのであって、 「演義」の影響を脱した正史準拠である本作にしても、袁紹が「演義」まんまの月並みな描写であるとかは、 この際槍玉に挙げるべきではないとは思う。 しかし、しかしだ。それを差し引いても個人的に私が引っかかったのは章末尾の「作者曰く」なのだ。 「敗因はすべて寝返りなので、袁紹の人柄に帰すべきであろう」(第四巻・黄河を渡るべきか) ……………じゃあ、陳宮・張バクの裏切りはどうなるんですか陳先生。 そもそも陳宮も許攸も乱世にありがちな、忠誠より自身の野望を満たそうとする謀士ですが、 張バクは仁義に厚い事で知られる気骨の士であり、曹操の無二の親友ですよ。 同じ古くからの友人でも、許攸の裏切りなんぞより、こっちの方がよっぽど曹操の人柄を疑わせませんかね。 まぁ、そこらへんは人によって意見も違うでしょうが……。 …………大体なぁ、巷にありがちな、官渡の戦いで袁紹の君臣関係を問題にし、対して曹操と部下との信頼関係を強調して、 比較象徴するパターンってのがすでになんだかなぁ。 官渡で曹操に撤退を踏みとどまらせた荀イクなんて、その後魏公就任を巡って決裂し、疎んじられているのに……。 荀イクら名士層の支持によって勢力を拡大し、基盤を確固たるものにしておきながら、 そこで自分が望む形の権力確立のために、一転名士層の弾圧を始めるというのも、袁紹とは別にえげつないなぁ。 自分としてはそう思っているんだけど、 本作「秘本」では、その荀イクとの決裂は「口裏を合わせていた」という事になっているんだよ、これが。 やっぱり袁紹が家臣と決裂したのは単に身を滅ぼしただけであったのに対し、 曹操は逆に確かな覇業実現へ邁進しての副産物であった、という違いなんだろうかねぇ。 そこらへんに秘本で「実は魏公就任反対は荀イクと口裏を合わせていた」という解釈を成り立たせる余地がある、と。 だから作品内における袁紹の評価は、秘本的、陳先生的には一貫したものになっているんでしょうな。 でもやっぱり章末尾の作者曰くは一方的だろう。
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