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小説『魏延別伝』
4:レイジ2003/08/02(土) 22:11AAS
魏延、馬岱が思わず立ち上がる。
誰が流した噂なのだろうか。
蜀の誰かが流したのなら、その者は自ら蜀を捨てたこととなるだろう。
「馬鹿な…。今、魏延様ほど蜀を想っている人が他におると言うのか……。」
馬岱は無念のあまり、泣き出していた。
これから丞相の代わりとなろうと言うのに、あんまりではないか―――。
魏延の脳裏には『流言』としか浮ばない。
また、それを聞いた外の兵達も無念の余り、泣き出していた―――。
そんな時にも無念にも時は流れ続ける―――。
再び来た急使。
今度は何だという目で見る馬岱。
『牙門将王平が討伐に向かっていると言うこと。』
……あまりの扱い。
兵たちの士気も怒りのあまり上がり、王平を説得し、疑いを晴らすようにしようとしていた。
「魏延。話したいことがある。」
王平は単刀直入に言った。
一方魏延は頭を垂れ、気力が無い。
「お前本当に謀反を―――。」
「噂ダ。俺ガ疑イヲ晴ラス。見テイロ王平。」
王平の言葉を最後まで言わせなかった。
王平も魏延を信用していた。
それどころか憧れていた。
何か考えがある。そう思い王平軍は撤退した―――。
兵達も怒りに満ちている。
自分たちを想ってくれている魏延が謀反を起こすなど―――。
魏延はこっそり馬岱を呼び、自分の考えを言った。
「!!―――いけません!!!」
馬岱の目には涙が浮かんできていた。
さらに言おうとする馬岱を手で制した。
その考えを兵にも話すと、兵は一人も残らず涙を流した。
それから数日。
魏延軍は足取り重く、漢中まで辿り着いた。
城には無数の蜀の旗。
警戒態勢も万全。魏延に備えてだろう。
魏延に気付いた姜維は一応兵を集めていた。
行軍を止め、漢中城を見入っていた。
城門の上ではなにやら話している。
しばらく待つと城門が開き、数千の兵が出てきた。
その真中にでて来たのは麒麟児、姜維であった。
大きく息を吸い込む姜維。
「本当なのか?」
大きく息を吸い込んだわりには小さな呟き。
魏延の兵達は怒りが頂点に達し、今にも襲い掛からんとしている。
「まずはその兵を下がらせてくれ。分裂は好ましくない。」
言葉を続ける姜維。
魏延軍は一歩も下がらなかったが、代わりに持っている武器を落とした。
武器を持っているのは魏延と馬岱のみ。
「楊儀。出テ来イ……。」
かろうじて姜維に聞き取れるほどの声。
謀反など企んでないような声。
しかしその声を聞き、楊儀が出てきた。
「出たな謀反人!!!」
楊儀が叫ぶ。
しかし魏延はまったくの無反応。
……仮面を取った魏延。
それはかの美周朗と見間違えるほどの美貌。
「分裂は好ましくない。今からすることでみなの命は許してくれ。」
……これを悲劇と言うのだろうか。
「皆。あきらめるな。」
彼の持つ長刀は―――。
「魏を倒せ―――。」
彼の意思で彼を貫いた―――。
蜀の皆は、皆の意思で蜀を滅ぼしたと言えよう。
魏延は勇猛だった。
それだけで皆安心であったが、その天命にも限りがある。
旧蜀攻略戦では孔明の指示に従い活躍した魏延。
漢中の平定を見事成し遂げた魏延。
そして今までの北伐でも大活躍した魏延。
蜀の最後の星―――。此処に散る―――。
それからいくときか立った時、魏延の首を踏みつけた楊儀を見た者がいた。
「どうだ謀反人。悔しかろう。フハハハハ。」
その後楊儀は魏延の配下により惨殺される。
その死体は魏延の埋まっているすぐ近くに埋められた。
その後、諸葛亮と魏延の死を無駄にせず、狂ったように北伐を繰り返す蜀。
しかし諸葛亮の政治、魏延の漢中維持能力が無く、幾度無く大敗した、
また、張嶷などの”良将”はことごとく戦死した。
漢中も失い、魏に隙を与え攻め込まれる。
姜維は必死に奮闘する物の、君主劉禅が降伏。
劉備が築いた蜀漢王朝は僅か二代で滅び去った―――。
その後姜維や張翼が反乱する物の、あっけなく鎮圧されたと言う―――。
終り
……一応正史ベースに頑張ってみたつもりです。
って言っても自分正史を持っていないんでネットで調べて書きました。
わからないところは……演義です、すみません。
後、一応どこかの書物かなんかで見たのかもしれませんが、
魏延の首を踏みつけて楊儀がなんか言った。というのがあった
んで此処にやってみました。
魏延が美形……?何だそりゃ>ぉぃ
此処にふさわしくなかったらサクッとこのスレ削除してください。
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