短編(?)です。
22:左平(仮名) 2005/01/02(日) 20:26AAS
「丈夫たる者、将となりては、烈侯(衛青。前漢武帝期の名将)・景桓侯(霍去病。衛青の甥で、叔父と同じく前漢武帝期の名将)の如く、十万の大軍を率いて沙漠を駆け、戎狄を打ち破り大功を挙げるべきである。書物を読み、博士になるのが何ほどのものか!」
「若殿。その様な事をおっしゃっては…」
「おれは、書物を読まぬとは言っておらぬぞ。それともそなた、烈侯・景桓侯を貶めるのか?」
「いえ…その様な事は…」

(家臣どもは、あの頃から何かと「その様な事をおっしゃっては…」などと言ってたなぁ。おれに父上の後を継がせようとでもしていたのか?おれ自身にそんな気はさらさらなかったというのに…)

彰は、こそこそと策をめぐらすなどという事は好まない。
敵であれば、堂々と戦い、打ち破るまでの事。味方であれば、一切の疑いを持たずに信じ抜く事。そう思っている。
その裏表のなさ−単純さとも言えるが−が、彰という人物を特徴づけていると言えるであろう。
だからこそ、彰は、父の面前においても、自らの想いを飾る事無く語った。

(それを話した時、父上は笑っておられた。少なくとも、おれが見る限り、そこにはいやな曇りとか濁りはなかった。器量は到底父上には及ばぬが、嫌うという事はなかったと想う…)
1-AA