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トップ  >  私的「アーベルジュの戦い」考  >  人物考  >  Laurant ローラン(金髪) 

■番外(見えざる腕)

※5th story CD『Roman』内、「見えざる腕」に登場した人物。
この楽曲は、視聴曲発表直後から『聖戦と死神』との関連が指摘されているため、この項を作成した

ローラン(金髪)

Laurant

人物

5th story CD『Roman』内、「見えざる腕」に登場。
冒頭、「アルヴァレス将軍に続け!」と叫んでいることから、ベルガあるいはフランドル、あるいはブリタニアの騎士であると思われる。
物語に登場する単語が、しばしばフランス語で発音されていること、アルヴァレスの軍歴などを照らし合わせると、フランドル騎士である可能性が高い。

アルヴァレスの率いる軍に所属して出陣。一同へ号令を掛けている事から、平の一騎兵ではなく、小隊長級以上の騎士であろう。旗騎士であるかもしれない。
が、戦場で「赤髪のローラン」と剣を交えた際に片腕を斬り落とされ、それ以後は騎士としての役目も失ってしまう。
おまけに、不定期に襲ってくる幻肢痛、腕を失った瞬間のフラッシュバック等に怯え悩まされた結果、精神的にも荒廃し、同棲していたと思われる恋人をたびたび虐待し、とうとう妊娠していたにもかかわらず逃げられてしまうと言う悲惨な人生を辿る。
そして痛みから逃れるためもあろうが、酒にも溺れ、破滅への道を転げ落ちていく。

――が、積もり積もった憎悪が勃然と復讐心を呼び起こしたか、彼はある日片腕の仇を討つべく、長い探索の旅に出る。
そして異国の酒場で、とうとう「赤髪のローラン」を捜し当てるが、当のローランも片腕と片目を失い、おまけに薬物と酒に溺れているという、復讐者に劣らぬ悲惨な状況であった。

おまけに、偶然にもその日その時、赤髪のローランは不意に飛び込んできた「黒い剣を持った男」に殺害されてしまう。
目の前で、長年の仇敵があっさりとこの世から退場してしまったのである。金髪のローランは、呆然とするしかなかっただろう。

彼は、おそらく流血も生々しい酒場の一隅で、達成できなかった復讐を葡萄酒とともに飲み流しつつ、今後の人生について考え始める…。

雑記

『Roman』視聴曲公開当時、まさかの「アルヴァレス将軍に続け」コールで、SHファン全体が浮き足立ったのも懐かしい。
さて、この『見えざる腕』だが、実は『聖戦と死神』が何時代の話か、という疑問に対し、一定の解答を提示するだけのヒントが秘められている。

ちなみにこの「アーベルジュの戦い考」初稿をWEBに公開した当時(2004年5月頃)から、私の空想歴史として「薔薇戦争以前の中世ヨーロッパ史」をベースとした騎士物語を想定していた。所々、アーサー王伝説のようなファンタジックな世界観も含めている。
が、この『見えざる腕』から推定できる材料は、それよりももう少し時代を進めた中世末期、下手をすれば薔薇戦争前後どころか、絶対王政時代に該当するような風景も帯びている。

1.「〜仕事は干され恋人は出ていった〜」
封建制下にある場合、「騎士」とは封土をもつ小領主でもある。騎馬の1兵卒ならいざしらず、戦列に号令を掛けるほどの騎士または旗騎士となると、城館を構えていてもおかしくはない。
が、この「金髪のローラン」は、(戦後からかもしれないが)都市の一郭に「未婚の恋人と同棲していた」。自由恋愛自体も珍しいが、あまり城持ちの騎士のやることではない。
おまけに戦傷によって「仕事を干されている」姿は、小貴族とも思えない。
想像できる姿は、王都や拠点都市に住まう青年士官あたりだ。(※それこそ時代はすっとぶが、三銃士の青年貴族たちを想像してしまった('ω`;)

逆に考えれば、騎士と平民の絶対的な身分格差は薄れ、功績次第では平民も累進できるだけの制度が整っているのかもしれない。キルデベルト6世が中央集権体制をいち早く構築したのかもしれないし、アルヴァレスの軍がことさら開明的な人事制度を用いていたかも知れない。

2.ガラス瓶の割れる音、コルク栓を抜く音?
当然ながら中世の葡萄酒は樽入りがデフォルトだ。瓶売りではなく、酒場の親父が樽から直接蛇口を捻って杯に注ぐものだ。ガラス瓶にしても陶器瓶にしても、産業革命以前は量産が難しく、非常に高価で、浴びるように飲む安酒の容器ではない。
が、けっこう作中でガシャガシャと音を立てている。
また、最後のシーンで金髪のローランが飲むワインを注ぐ音の前に聞こえるキュっという音は、コックを捻る音にも聞こえるが、コルク栓を捻るSEにも聞こえてしまう。神戸ワイン城にある資料によれば、コルク栓が流通しはじめたのは18世紀だが、栓そのものは17世紀後半にも登場しているという。我々のヨーロッパ史に合わせれば、大航海時代以降の話だ。


3.PVでの服装
Revo氏が常に触れているように、PVやライブの演出・物語・装束の類は、本楽曲とは別のものである。
が、視覚的なイメージとなると、どうしても考察の一助にならないか、と見入ってしまう。
そして『見えざる腕』のPVで、ローランたちが着ている服装は、ルネサンスあたりに貴族達の間で流行った開襟シャツであり、彼らが持っている細身の剣も然りである。
あの剣で腕が落とせるのか、というツッコミもあるが、とにかく『アーサー王物語』のような、フルプレートアーマーで室内を闊歩するようなファンタジックな騎士ではなく、わりと現実に即した騎士像を思わせる演出だった。


などなど、色々ごちゃ混ぜに考えると、

チャポンでいいじゃん

という結論に達した。皆さん、読んだことは忘れてください。

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