第6話 「ブロッサム・オン・ザ・ヒル【1】」

1-6 ブロッサム・オン・ザ・ヒル【1】

 西暦195年、夏6月の第一日を迎えた呉城。
 眩いほど真っ青な稲穂の海を縫うようにして、各邑各県から、郡治へ納める銭帛が陸続と到着している。

 SOS団自慢の文官団のみなさんのおかげで、この月も予想以上の税収だ。郊外に増築した造幣所も景気よくフル稼働中である。
 先月の収支はギリギリだったからな。
 ハルヒの奴が無計画に乱発する徴兵令と商業開発せいで、俸禄の不払いが発生するレベルまで窮乏し、王朗さんの判断で貴重な兵糧を売り飛ばして、なんとか銭を作る有様だった。
 まあ、そんなカツカツのやりくりの結果、俺たちSOS団が根城にする呉・越地方は、どうにか財政破綻を免れ、こうやって郡民のみなさんの血税を納入頂いているわけだ。

 …ここでちょっとおさらいするが、現在のこのマヌケ中華時空の勢力は、このような模様を描いている。

SOS団がいるのは地図で言うと一番右下だ。言うなれば中華の最果て、双六の振り出し地点で、俺たちは毎月ギリギリの資金繰りを行いつつ、はた迷惑な超太守・涼宮ハルヒの目指す「天下統一」なる目標めざして奮闘しているわけだ。
 さて、いつになったら、無事このゲームの目標を果たして、21世紀の日本へ戻れるのやら――だ。

 

古 泉:…どうにか乗り切りましたね。

 所変われど、あいかわらず城壁の上で風に吹きさらされている俺のもとへ、また懲りずに古泉がやってきている。

古 泉:毎月の事ながら、為政者としての緊張と幸福をこれほど味わえる時はありません。

 どっちかといえば、不渡りを出すか出さないかで綱渡りをしている零細企業の社長の方だろ。

古 泉:確かに、早いところ、この自転車操業から脱出したいものです。

 疲労の翳を眉間におとしつつ、古泉は苦笑した。
 軍師の肩書きをぶら下げてはいるものの、ここのところずっと都市計画局の開発部長みたいな役どころだったからな。なまじ高い政治能力を持たされたのが仇になったというべきで、まあ同情してやってもいい。

古 泉:臨戦下ですから、むろん武官集めも急務ですが、並行して、一人でも多くの内政官も確保したいですね。一人でも、ね。

 それは古泉の切実な心境であるに違いない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

米の収穫は秋7月にいっせいに行われるが(当たり前だが)、税収は毎月始めに入ってくる。

 2

 ――そんな古泉の願いが天へ届いたのか。その日の正午過ぎである。
 午後からのミーティングに、珍しく遅刻して現れたのは、王朗さんと並ぶ重鎮中の重鎮、華さんだ。※

:府君、お話が――

 華さんは、生真面目に遅参を詫びつつも、ハルヒへ言上する。

 呉郡太守を自称する超太守ハルヒは、相変わらず偉そうにふんぞり返ったまま、華さんのほうへ視線を向けた。

ハルヒ:なに、華さん。有意義な進言を頼むわよ。

 天下の君子と讃えられる人物をつかまえて、ここまで上から目線で語れる奴も珍しい。
 だが華さんは、世評どおりの温雅な微笑を湛えつつ、ハルヒへこう進言する。

 諸葛瑾という青年を、ぜひ招聘なさいませ――と。

 ハルヒは、何回か目を瞬かせた。

ハルヒ:孔明…じゃないほうよね。諸葛瑾って。

 傍らの古泉に小声で尋ねるハルヒ。どうやら、天才軍師伝説を背負う孔明と比べ、兄の方にはそれほど強い印象を持っていないようだ。
 が、古泉は俄然テンションが上がっているようで、

古 泉:素晴らしい! まさに天佑というべきです。府君、ただちに手配なさいませ!

 いつになく積極的にプッシュしている。まあ、な。

ハルヒ:…? まあいいけど。

 過労でいくぶんハイになっているらしい古泉の強い勧めもあって、この日の内に、華さんは自ら特使となって、諸葛瑾さんのもとへ赴くこととなった。
 この頃、22歳の諸葛瑾さんは、継母の孝養のため、この呉郡へ隠棲しているという。

 諸葛瑾さんは当然ながらハルヒへの任官を断った。
 が、さすがにそこは老練な華さん、うまいこと舌戦に引き込み、見事、彼をSOS団へ引き込む事に成功している。
 その経緯からして不本意な任官であったろうに、翌朝、華さんに伴われて現れた諸葛瑾青年は、篤実な青年文人らしく、粛々と拝礼して呉郡太守への忠誠を誓う。
 その顔を見たハルヒが「驢馬に似てるわねっ」などと口を滑らさないかどうかヒヤヒヤしていたが杞憂に終わり、わりと型通りの挨拶が取り交わされた。正直、ハルヒ的にあまり感興を催さなかったのかも知れないが、逆に古泉は文字通り手を取らんばかりの喜びようで、早速かれを執務室へ案内していった。

 ――さらに僥倖は続く。
 この月、後方都市の会稽より、太守代行の許靖さんの差配で大量の軍需物資が輸送されてきたのだが、その輸送隊の指揮官が、これまたハルヒの気に入りそうな武将だった。

 年の頃は20代半ばほどだろうか、若手官僚を思わせる秀麗な目鼻立ちながら、終業後はフットサルに打ち込んでいそうな引き締まった体躯で、見るからに「出来る男」オーラを満身から発している。そして何より特筆すべきは、そのアバンギャルドなまでに華美な装束だ。
 極彩色に塗装された甲冑に、紅白の市松模様の戦袍、朱柄の戟、触覚のような冠飾り…と、どこからツッコめばいいのか迷うような傾きっぷりである。
 こんなイロモノを、ハルヒが放っておくはずがない。

ハルヒ:あなた誰? 新規採用? その格好はロックなの!? 体制への不満!?

 猛暑の行軍を慰労するパーティー兼ブリーフィングの席上である。
 案の定というべきか、身を乗り出したハルヒは、ムダに大きい目を輝かせて矢継ぎ早の質問攻勢だ。
 太守の下問を面白そうに眺めていた指揮官は、涼やかに笑うと、「許会稽(許靖さん)殿に登用頂いた、賀斉と申す者であります」と名乗った。

 

 

 

 

 

 

さん
小説版(演義)では酷薄なキャラだが、正史では王朗さんと並ぶ有徳の人として天下に知られた程の名士。後の魏王朝の宰相。
当時、朝廷から袁術経由で豫章太守として派遣されて江東に来ていたはずだが、なぜか会稽で王朗さんの下にいて、ハルヒに郡ごとゲットされた。
そういえば、世間では華さん>>>王朗さんという人物評らしいな。後世、この二人が人物比較の例に引っ張り出される事が多いとかなんとか。実際は違う人達のエピソードでも、なぜかこの二人のエピソードとして語られたりするようだ。

統率:18 武力:33 知力:82
政治:83 魅力:87 名声

 

 

 

 

 

 

 

 

諸葛瑾さん
かの諸葛孔明の実兄にあたる人物で、史実であれば呉の孫権に仕え、内政や外交に重きを為した宰相クラスの重臣だ。孫呉政権は、孔明が取り仕切る蜀漢の劉備政権とはしばしば対立し、本来なら彼も嫌疑を掛けられるべき立場だったが、その人柄と能力で絶対の信頼を得ていたという。逆に言えば、孔明もそういう目で見られていた時期があっただろうな。
小説版(演義)では、弟に手玉に取られる、ちょっと情けない役どころが多いが。

統率:75 武力:34 知力:81
政治:91 魅力:90 論客

ちなみに15歳の孔明少年は、この頃まだ叔父さんのもとで育てられている。なお叔父・諸葛玄は、よりによって袁術の客分で、史実だとこの1年後くらいに江南の豫章へ派遣され、その地で勢力争いに敗れて殺害される。

 賀斉――と言われても、ピンとこない。オリキャラか?

古 泉:演義では登場しませんが、正史の呉書では名将と讃えられる人物です。

 ぼそぼそっと古泉が耳打ちをする。顔が近いぞ。

ハルヒ:ふーん。なかなか使えそうじゃない。賀斉さん、あなた、今日から呉郡勤務ね。すぐに屋敷を用意させるわ。

 実にあっさりと他郡の人事を壟断する呉郡太守ハルヒ。
 側にいた王朗さんと古泉が、同時に上座のハルヒへ目配せをする。さすがに会稽太守代行の許靖さんへ、慮るところがあるのだろう。

ハルヒ:構やしないわ。わざわざ輸送隊の指揮をさせたって事は、あたしに面倒見なさい、って事でしょ?

 確かに、言われてみればそうかもしれんが…

ハルヒ:賀斉さんだって、会稽みたいなド辺境で一生燻ってるつもりはないでしょ?せっかく男子に生まれたのなら、ガンガン前に出ないとね!
賀 斉:ははは、無論そのほうが面白うござる。

 そのド辺境である会稽出身の人間をつかまえて、えらく無礼な放言であるはずだが、賀斉さんはカラっと笑い了承した。やはり異色の人材であるようだ。

賀斉さん
会稽の人で、孫策の代から呉に仕えたらしい。外征の大軍を率いるというより、例の山越民族との抗争で名を挙げたという。ド派手なのは自分の服装だけでなく、指揮下の艦隊や兵卒の端にまでも、こだわりのコーディネイトを施したというから、デザイナー指向でもあったのだろう。だが、これで内政官としてもかなり有能だったらしく、まさに文武両道を地で行く俊傑だったようだ。

率:83 武:78 知:72 政:64 魅:73 昂揚

 そんなこんなで、呉越連合たるSOS団が着々とそのメンバーを増強しつつあるその間にも、既に北のかた長江上では、激烈な戦闘が開始されている。

 タイミングで言えば、華さんが諸葛瑾さんをつれてくるよりも前から、建業城を発した劉軍は、廬江まで進出している袁術軍の別動部隊(孫策軍)や、袁術軍の濡須駐留軍と艦隊戦を繰り広げているのである。

 この季節、長江下流域の川幅は呆れるほどに広く、日本で言えば軽く瀬戸内海を挟んだ本州と四国程度には懸け離れていて、対岸が見えないとかそういうレベルではない。
 そんな、四方に水平線を望むような大河での艦隊戦だ。
 開戦一月余――。
 廬江にほど近い皖口港、濡須口港を巡って、双方が火矢を交えた猛烈な矢戦を繰り広げ、長江上が一時火の海になるほどの激戦になっているという。

ハルヒ:…いよいよね!

 報告を受けたハルヒは、鼻息も荒くガッツポーズだ。
 前も言ったが、劉さんはこの時点で立派にSOS団の同盟者であり、我々は盟友が負った戦禍を悼み、ただちに共通の敵である袁術勢力を排除すべく、劉軍と連合するべきなのである。

ハルヒ:もちろん、同じ江東に住まう為政者として、あたしも遺憾の意を表せざるを得ないわ!

 などと、心の底から嬉しそうに叫ぶ。

ハルヒ:遺憾の意! みくるちゃん、これ便利な言葉よね! いっぺんこれ言ってみたかったのよね! 
朝比奈:はぁ…。
古 泉:劉軍は意外に善戦し、戦況は全体的に孫策軍優位で一進一退であるそうです。
ハルヒ:なにチンタラやってるのよ、とっとと全滅しちゃいなさいよ、劉軍!もちろん孫策軍もね!

 こんな悪質な盟友を背中に控えつつも、正面の勇敵と開戦せざるを得なかった劉さんには、心から同情申し上げたい。

ハルヒ:さ!古泉くん!我が軍の大戦略を皆に示してちょうだい!

 進み出た古泉が指揮鞭をのばし、巨大な江東の地図を差しつつ、SOS団の戦略を述べ始める。
 その悪辣な内容たるや、長門以外の一同の表情を曇らせるに十分なものだった。

 …要するに、俺たちはは劉軍を支援するという名目で、建業に近い曲阿の港を制圧し、そこを前進基地とする。そして建業の兵力が空になるや、劉勢力との同盟を破棄し、曲阿から一挙に建業を攻め滅ぼす――というのである。

ハルヒ:どう!? この電撃戦(プリッツクリーク)は! この作戦に必要なのは、一に神速、二に神速! 事変に気づいた劉軍が引き返してくるよりも早く、雷霆の如く建業を攻略・占拠する必要があるのよ!

 以前似たような作戦を目の当たりにしている古参メンバーは、もう馴れたと言うより一種の諦観をもって、得意げに語るハルヒの下知を大人しく聞いているが、さすがに新参のメンバーにとって、これは聞き捨てならない内容であったようだ。

諸葛瑾:府君、それでは劉揚州にとって酷ではありますまいか。それに天下へ対し、府君の御名にも障りがありましょう。何より、あまりに義に悖るものと存じます。

 

 

 宰相集団の中では最も若く、最も新参な諸葛瑾さんが、敢えて面を冒してハルヒに直諫する。

  こういう風に自分の構想に舞い上がっている状態のハルヒが、この種の良識的な意見に首肯を与えた事は皆無である。
 しかし、だ。
 このとき、ハルヒは何故か得心したように頷いて、にんまりと頬笑んで見せたのである。

ハルヒ:諸葛瑾さんの言う事ももっともだわ。じゃあ、この戦争は止めるわね。

 笑顔のままで、そう言った。

諸葛瑾:……。

 虚をつかれたのか、一瞬息を呑む諸葛瑾さん。俺たちだって同じだ。

ハルヒ:――なんてあたしが言い出したとして、よ。その後どうなるか、解る?諸葛瑾さん。

 顔に貼り付けた笑顔とは裏腹に、その問いかけの声にいつもの煥発さは無く、そしてそれが諸葛瑾さんだけに対してのものではないという事は、何となく解る。
 腕組みするハルヒは、辛抱強く諸葛瑾さんの返答を待っているようだ。

諸葛瑾:…劉揚州には、孫策・袁術の輩に拮抗するほどの武略は無く、ほどなく孫策に敗れ、建業は袁術の勢力下に落ちるでしょう。
ハルヒ:その後は?
諸葛瑾:さらに孫策は、本貫であるこの呉、そして越を制圧しようと試みるでしょう。

 諸葛瑾さんはそこまで言ったところで、論旨に気づいたか、深々とハルヒへ頭を垂れた。

ハルヒ:そうよね。結局は同じなわけなのよ。…そりゃ、地方の平和を考えるだけなら、テキトーに劉さんの支援をしていればいいけど、いつまでそれで保つと思う?バックに敵の大将の大軍が控えているのを相手に。

 いつの間にか外していた腕章をくるくる指先で回していたハルヒは、まだ諸葛瑾さんを許す気がないのか、しつこく問を重ねる。

ハルヒ:諸葛瑾さん。あたしたちはどうすればいい? 劉さんは倒れ、目の前に孫策軍、袁術軍が迫ってきているわ。無防備マンに頼んで降伏する?
諸葛瑾:……。
ハルヒ:――ああ、そうすれば無血で袁術領に組み込んで貰えるかも。おまけに降伏の功でもって、また郡の役人とかに取り立てて貰えるかもしれないわね!?

 意図してだろうが、ハルヒの言い様は底意地が悪い。
 見れば、諸葛瑾さんは耳元まで紅潮している。それが羞恥によるものか発憤によるものかは解らんが。
 と――たまりかねたか、諸葛瑾さんは深々とハルヒへ拝拱し、前言を翻した。

諸葛瑾:――浅慮でした。己の未熟を思い知りました。小義を知り大義を知らず、小義を高うして矜持を棄てる。目先の正義を弄して、ついに己の矜持さえ守れぬところでした。

 小難しい言い回しだが、要するにこうだ、――自分は目の前の名分に気を取られて、先々の大略を見失い、ついに己の誇りも捨てて袁術に従うという負け組人生を送るところでした――と。
 見ると、どうやら本気で打ちのめされているらしく、伝説通りの縦長い顔を振るわせ、目に涙を湛えて切歯している。
 ああ、また董襲さんに引き続いて、ハルヒの口車に乗せられた犠牲者が。
 なまじ頭がよいだけに、諸葛瑾さんは持論の僅かな綻びに自ら気づいてしまったのだ。どう考えてもハルヒの詐略のほうが穴だらけなのだが、諸葛瑾さんは過分に小義と大義の軽重に拘ってしまったらしい。

ハルヒ:解ればいいのよっ

 ハルヒは満足げに言い放つと、一同を見渡した。

ハルヒ:諸葛瑾さんは、あたしに良い進言をしてくれたわ。――でも、今はみんな知っての通り、右を向けば左から、左を向けば右から、下を向けば四方から殴り掛かられる戦乱の世よ。明日の大義の為に、今日の小義を棄てなさい!一日でも早くこの乱世を終わらせる為に、みんな、迷わずあたしに協力しなさい!

 そう言い放つや、ハルヒはいつものようにびしっと、北西の方を指さした。

ハルヒ:目指すは、曲阿! そして建業よ――!

 こうして超太守の号令一下、俺たちの建業詐取作戦が開始されたのである。

 ――俺を含め、呉のほぼ全兵力にあたる約3万の大軍は、一直線に曲阿県へ浸透し、すばやく城庁と港湾を占拠した。
 ほとんど抵抗らしい抵抗もなく、形としては、無血開城というより単なる軍の移動だ。

 呉越軍動く――の報は、むろん建業の劉陣営にも届けられていたに違いない。
 が、建業の反応は、無、だった。

※繰り返すが、会稽の許靖さんも含め、SOS団の抱える文官団は、ほぼ全員が将来の宰相級ばかりである。

 無理もない。ひとたび袁術派の守将を追い払ってさんが勢力圏におさめたとはいえ、曲阿県は制度上なお呉郡に所属し、いわば呉郡太守ハルヒの正当な縄張りでもあるのだ。ゆえに、劉さんもことさら軍を派遣したりせず、一種の緩衝地帯として、空白地帯にしていたのだろう。

 このたび、同盟国であるハルヒがそこへ軍を移動させたところで、抗議する名分はない。
 おまけに、劉軍はいよいよ袁術軍と泥沼の消耗戦に突入し、一万、また一万、と次から次へと大兵力を長江上に展開させている。後背の動きに、対応できるものではなかった。

ハルヒ:さて、橋頭堡もこうやって確保できたし、いよいよ作戦第二段階ねっ

 曲阿の政庁を接収するや否や、ハルヒは古泉を顧みた。古泉は軽く頷くと、一同へかねて告知のあったとおりの作戦を述べた。

古 泉:――現在、建業の兵力は1万余。建業城の防衛能力は高く、このまま攻め入っても、まず相当の損害を覚悟せねばならないでしょう。ゆえに、今しばらくこの曲阿城で戦況を見定めます。

 見定めるったて、いつまで待つんだ。こんなちっさい港町に、いつまでも大軍は駐留できないぞ。

古 泉:おそらく、あと二ヶ月も経たないうちに、次の兵力が派遣されるでしょう。チャンスは、その一瞬です。

 などと言っているあいだにも季節が過ぎ、収穫の秋・7月が訪れ――

 

 ――劉備軍来襲

 というとんでもないニュースが、もたらされたのである。

※孫策の父方の伯父・孫賁や母方の叔父、呉景たちのこと。孫策が劉http://gukko.net/images/kanji/you2_s-.gifを攻撃しているのも、この一件があったからだ。