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■ 03『黒き女将の宿』 専用考察スレ

159 名前:ミロ:2010/12/28(火) 01:41:13 ID:dDNpNRzH
>>158さん

カトリック教会にとってルター派は「金稼ぎの邪魔をした」存在です。ものすごく目の敵にしていました。
もしカトリック教会内で騒動が起きた時、純粋なカトリック教徒より、一時でもルター派で身分の低いぶらん子が
罪を着せられ殺される…そんな可能性も捨てきれないため、同時に書いておきました。
あと、ぶらん子はカトリックですが、贖宥状は持っていないと思います。ぶらん子の死因については
>>154の4番に詳しく書きましたので一読頂けると幸いです。

ぶらん子の復讐について以下に記します。私もぶらん子の復讐のくだりは素直に取って良いと思って解釈してます。

現実の歴史では農民が復讐する事はありませんでした。そもそも誰に復讐すればいいか分からないからです。
でも、童話の世界では違います。現実の世界には存在しない(であろう)メルとエリーゼがいるからです。
現実の世界では復讐なんてとてもできない。なら、童話の世界で復讐しようじゃないか!
きちんと復讐ができるよう童話を作り上げる事…それがメルとエリーゼがこの童話で行った事なんじゃないでしょうか?

現実世界で戦争に巻き込まれ死んだ農民が、童話の世界でぶらん子と一緒にドアをたたき、
「おらの肝臓を返せ!」と女将を襲う
仮に現実の世界で言いかえれば、カトリック教会で贖宥状を発行した強欲な人間に
「お前の強欲で死んだんだ!」と罵声を浴びせ、強欲な権力者を農民が襲う

こうやって、現実で行う事が出来なかった復讐を、童話の中で果たしたのだと解釈しています。

現実の歴史での宗教戦争ではドイツ領内は荒果て、宗教に振りまわされた農民や庶民の信仰心は
ずたずたにされ地に落ちてしまいます。その前のドイツはとても信仰深い「神の庭」とも呼ばれていたそうです。
女将への復讐は、地に落ちた信仰心、という揶揄も含んでいるのかもしれませんね。

補足
童話の世界では辻褄が合わないが、現実の世界なら辻褄があう会話をしている事から、
おそらくメルとエリーゼには現実の世界も見る事ができると推測できます。
「楽して儲けようとしても、中々上手く〜」→贖宥状を発行して金稼ぎしたらルターに改革起こされ邪魔された
「あんな杜撰な計画、上手く行く方が〜」→贖宥状自体がカトリック教会のでっち上げ、実際はタダの紙切れ
(ついでに言うと、罪を軽くしてもらった効果が出るのは死後の世界なので、死んで贖宥状がでっち上げの
嘘っぱちだとばれても、死人に口なし、文句なんか絶対出ないというものすごい杜撰さ。)

そうすると、メルの言う「境界」は死と生の境界の他に「現実」と「虚構(童話)」の境界という意味もあるのかもしれません。

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