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■ 【1月18日】旭記念日創作発表スレッド【お祭りワッショイ】

1 名前:★惟新:2004/01/16(金) 14:26
『この萌えがいいね』と君が言ったから1月18日は旭記念日

と、いうわけで旭記念日祭りの開催を告知します!
旭記念日は神の光臨された1月18日にあやかる、何かゴリゴリ作ろーぜの日です。
学三暦内に設けられた謎の休日「旭記念日」を巡る創作物を中心とした、創作活動の推進を目的とします。
記念日制定の経緯
お祭り開催の経緯

そんなわけで、皆様、ゴリゴリ作ってくださいませーっ!
学三に関連していればSS、イラスト、漫画、音楽、設定等々、何でも構いません。
参加の際には「学三世界での旭記念日」(1月18日)をテーマにしていただけると幸いですが、
何かと制限を受けますので、どうもアイデアが沸かない、などの場合も大いにありえます。
その際はテーマに関わらず、ご自由に創作なさってください。そこは創作の神の命じるままに! です。
多数のご参加、心よりお待ちしております。

具体的な事項は>>2に。

2 名前:★惟新:2004/01/16(金) 14:31
○「旭記念日」

学三暦内の謎の記念日で、確かなのは「1月18日は学校が休み」ということだけ。
校区や棟、部やサークルなど、様々な所に様々な言い伝えが残っています。
妙にイロっぽいことが起こるという噂も…?
学三世界の休日を、あなたも描いてみませんか?

○鉄の掟

「旭記念日」という限定されたテーマでの創作を推奨するため、
ネタが他の人の作品と被ってしまった、なんて事態も考えられます。
学三の良いところは、矛盾する作品間でもある程度は「異説」として許容されること。
そんなわけで、鉄の掟。

1、出来た作品は勇気をもって発表する。
2、他の人の作品と被っても泣かない。
3、私の不手際には笑って助けてください(哀願


○祭りの期間

いわゆる「祭り」の期間は17日から四日間ほどを見込んでいますが、
投稿はいつでも構いません。原則的に18日近辺での発表をお願いします。

○発表方法

ここが「記念日作品」を発表するスレッドになります。
「記念日作品」の発表に関してはスレ内の混雑を避けるため、単独のスレ立てを推奨しますが、
「スレ立てには抵抗がある」「投稿自体は簡単なものなので混雑を招くものではない」
などの場合はこちらのスレッドをご利用ください。その辺は状況を見てお願いします。
なお、新スレには【旭記念日】などをタイトルに入れるとわかりやすくなるかと存じます。
祭りに関するご質問・ご提案等は祭り期間中は雑談スレにてお願いします。

この祭りは創作推進が目的であり、「記念日」以外の創作物ももちろん大歓迎です。
その場合は通常通りの発表方法でお願いいたします。


3 名前:★惟新:2004/01/17(土) 00:16
ポ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ ン!!!
17日になりました。旭記念日イブです。よって…

旭記念祭りを開催いたします!!

わーパチパチ!! 投稿は無いかもしれませんが、一応ね(^_^;)

……
さ、私も作らなきゃ…(アセアセ

4 名前:★ぐっこ@管理人:2004/01/17(土) 00:28
スレ立て乙! そして減俸!シスプリ男爵!
とりあえずネタ投下までは観戦ラウンジも兼ねますかにゃ。
ワタクシ18日当日は厳しいかも…と最初に逃げ道を造りつつ、少なくとも期間中に
ネタ投下予定ナリ。

脳内設定では、旭日記念日…ってのは第二次蒼天学園の創立記念日なんですわ。
理事長・劉秀さまほか、当時の英傑たちが同窓会したり、学園中で通称プロム前夜祭
なるダンパがあったり。幽州校区は雪に埋まってスキー場と化したり。
まあ、そういうイメージです(^_^;)

5 名前:那御:2004/01/17(土) 00:34
スレ立て乙ッ!
いよいよイブ、そして祭り本番に突入していくわけですね〜。
楽しみです。

ワタシの中では、休みってことで・・・
周瑜が暇つぶしにギターでリフ弾いてたところ、曲を閃いて、
っていうギターメインな一曲・・・間に合うかぁw?

6 名前:★玉川雄一:2004/01/17(土) 01:02
旭日記念日ってば、なんかゴジャースなイベントが目白押し?
まあいいや、長湖部なら中央とはあんまり関係なくやってるよね。
つうか書けば書くほど長くなる(-_-;)←行き当たりばったりで書く香具師の悪い見本

ところで、惟新さん何かやっちゃったですか?

7 名前:★惟新:2004/01/17(土) 01:14
皆様どうも〜!

>ぐっこ様
あ…はは…やっぱり減俸ですか(^_^;)
まぁシスプリっ子よりはシスプリ男のほうが…って全然良くねぇよ !( ̄□ ̄;)
とにかく、爵位を取り上げられないよう頑張ります…
あ、投下まで観戦ラウンジに使用ですか! なるほど〜!

期日は私も間に合わないっぽいです_| ̄|○
ああ…なぜに記念日と同じ日にいらっしゃるんですかK先生にH先生…

>那御様
おおっ! 大期待…(;´Д`)
20日までの開催を見込んでおりますし、満足いくまでどうぞどうぞ!
もちろん18日に投下してくださると嬉しいんですが(^_^;)

>玉川様
以前の減俸と同じく、タグの閉じ忘れです(^_^;)
しっかりせな、しっかり…

8 名前:★玉川雄一:2004/01/17(土) 10:37
ところで、長編は小出しにしてもいいのかしら。
完成してからまとめての方がいいですかのう。

9 名前:★惟新:2004/01/17(土) 12:31
単独スレなら小出しにされるのもよろしいかと存じます。
というか、私もそうしようかと思ってた矢先で(^_^;)
お祭りスレに投下されるのなら、まとめての方が良いかもです。

10 名前:彩鳳:2004/01/17(土) 12:50

 しまったああぁぁぁ!!  

 間違って18日にバイト入れてしまったぁぁぁ!!(アホも大概にせい)

 というわけで、強行突入の予定日は20日です。(19日英語の期末なので。)
 大学のパソコン使うのは不安なので、自宅ので一気に・・・。
(アパートにモバイル置けよ!)
 
 話のほうは、色っぺえのは回避とのでしたが、改善されてません。(^^;

11 名前:★玉川雄一:2004/01/17(土) 13:39
割とノってきたので、書き上げてからうpします。
でもあんまり萌えない… 色っぽくもないし、なんか殺伐としてるし(-_-;)

てか彩鳳さんも修羅場ですな。万全のスケジュールで頑張って! テストも(^_^;)

12 名前:★惟新:2004/01/17(土) 14:15
>彩鳳様
お祭り期間は目安ですので、それほどお気になさらず(^_^;)
てか私も明日はイベントが(-_-;)
実生活を優先しつつ、作りたいものをこそぜひ!
試験、頑張ってくださいませ〜

>玉川様
ぐっこ様も仰られていましたが、みんながみんな萌え系というのもナンですし(^_^;)
個人的にはイロっぽいものも嬉しいですが
やっぱり作りたいものを作るのが一番よろしいかと!

13 名前:★ヤッサバ隊長:2004/01/17(土) 17:49
皆さんごめんなさい。
記念日のネタですが、思いっきり色っぺぇのを製作中だったり_| ̄|○
まぁ、間違ってもいちはちではありませんが。でも、かな〜りびみょ〜(死

ちなみに今回のネタもやっぱりあの人です。
自分の武名は韓信と同等だと思ってるあの漢女…。

14 名前:7th:2004/01/17(土) 21:33
えーと、しょーとれんじスレに書いたように「旭記念日」に起きた出来事のSSじゃないんですが…
この場合ここに投下して良いものでしょうか?
…まぁガッチリ難航中なわけですが。

ネタは痛快アクション?もの。萌えねぇ。
18日中に投稿出来れば良いなぁ…

15 名前:★惟新:2004/01/17(土) 21:53
>ヤッサバ隊長様
何ですとー! い、一体どんな作品が…(;´Д`)ハァハァ
いちはちでなければ全然無問題ですー! 楽しみ…

>7th様
>>2の最後にもありますが、その場合は通常通り、SSスレにお願いします〜
少しでも場所を分散させないと、運営側としては不安なもので(^_^;)

「ネタは痛快アクション?もの」ですか〜!
難航中とのことですが、大期待させていただきます!

16 名前:★玉川雄一:2004/01/17(土) 22:47
抜け駆け一番槍、参る!

17 名前:★玉川雄一:2004/01/17(土) 22:50
 吾粲の眼(1)

−学園暦30年(29年度)、1月18日。


長湖を見下ろす堤防の上を、一人の少女が走る。
一歩一歩足取りを確認するかのようにしばらく行ってはまた折り返し、
時折ステップに変化を加えながら黙々とトレーニングに励んでいた。
ボーイッシュなまでに短くカットされた髪は軽快さをより一層引き立てており、
誰が見ても“スポーツ少女”という表現が思い浮かぶことだろう。
また、くりくりとよく動く大きな瞳は、見る者を惹きつけるに違いない。
彼女の名は吾粲、字を孔休。長湖のほとりに位置する呉棟で学ぶ蒼天学園中等部生であり、
高等部への進級を数ヶ月後に控える身である。



「…………………………」
どうも、先程から視線を感じる。無視を決め込むつもりだったが、仕方なく声をかけた。
「私に、何か用?」
すると、堤防の縁に立っていた少女が決まり悪そうな、それ以上に人なつこそうな笑顔を見せて寄ってきた。
「あら、ごめんなさい。気に障った?」
「いや別に。でも、私が走るの見てて何か面白いことでもあるのかな、って思ったから」
吾粲が見たところ、高等部の生徒ではなさそうだ。たぶん、自分と同じ中等部の三年生…
肩の辺りまで伸びた濃紺の髪は先端の辺りで軽くウェーブがかかっており、
やや華奢に見える体つきも相まってか自身が運動をしているようには見えなかった。
「そうねえ… 偉そうなことを言わせてもらうと、あなたはスジが良さそうだな、って感じたわ」
「スジがいい?」
「ええ。失礼だけど、あなた何か運動をやっている?」
初対面ながら、よく話しかけてくる少女である。吾粲とは異なるタイプではあったが、
不思議と嫌な印象は受けなかった。だから、自然と会話を続けることができたのだろう。
「まあ、多少はね… 別に、上手ってわけじゃないよ」
「そうかしら… でも、今日みたいなお休みの日までこうしてトレーニングしてたんでしょう?
 努力するタイプなのね。これからまだまだ伸びるはずよ」
そういって微笑まれると、自分の事ながらその気になってくるから不思議なものだ。
この娘は話が上手だと吾粲は感じ取った。おそらく、普段から人に囲まれているのだろう。
自分には真似できない性格ではあるが、このように嫌味なく身に付いた人もいるということか。

そう考えると、我知らず相手を値踏みするような目つきになっていたのかもしれない。
少女はふと気付いたように姿勢を正すと手を差し出した。
「勝手に喋ってしまってごめんなさい。私、顧邵、字を孝則っていうの。中等部三年生よ。よろしく」
「ああ、こっちこそ… 私は吾粲、字を孔休。同じく三年生」
吾粲はそう答えると、顧邵と名乗った少女の手を握った。やはり、年相応の細い指をしている。
運動で太くなるのを気に病むクラスメイトの姿はよく見られたが、
彼女のそれはそんな悩みとは無縁だった。やはり、体育会系ではないのだろう。
「それで、吾粲さん。今日はずっと一人でこうしているつもりだったの?」
自己紹介を交わして気を取り直したのか、顧邵はさらに質問を重ねてきた。
「孔休でいいよ。 …ああ、別に予定もなかったし、すこし汗でも流そうかって」
「それじゃ、私も孝則でいいわ。で、そうって事は… あら、“体験入部”には参加しないの?」
顧邵の顔が驚きに包まれる。とすると、彼女は参加するつもりだったのだろうか。

この体格でよくも… とはさすがに知り合ったばかりの相手に言うわけにはいかず、心の内にしまっておいた。


 続く

18 名前:★玉川雄一:2004/01/17(土) 22:52
 吾粲の眼(2)

実は、今日は高等部による『長湖部体験入部イベント』が催されることになっていたのだ。
この蒼天学園では、中等部の生徒はそのほとんどが進級の道を選ぶ。
そのため進級を控えたこの時期に、一足先に中等部の生徒に活動を体験してもらおうということで
今年度から開催が決定していたのである。
長湖部は現メンバーが中等部時代に結成した団体が母体となっているため、
その流れを汲んで中等部からも「ユース参加」を募っている。
しかしそれに加わるのはよほど腕に覚えがあるかもしくは高等部からスカウトされたかというような生徒であり、
長湖部自体が発足間もないということもあってその浸透度はさして高くはなく、
現在の所は高等部進級後からの入部が多いようだった。
吾粲もこの呉棟で学んでゆく以上は長湖部に入部するものだとさして疑問に思うでもなく決めていたが、
だからといってそこで身を立てるなどとは想像したこともなく、
有り体にいえばさしたる動機も持ってはいなかったのだ。

「ああ、どうせ進級すればあそこに入部することになるだろうしさ。それに一緒に行く相手もいない」
と、興味もなさそうに −実際、ないのだが− 吾粲は首をすくめてみせた。
ちなみに最後の一言にさしたる意味はなく、顧邵にもっともらしく理由を付けて説明してみただけである。
彼女とてそれなりの人付き合いはあるが、基本的に一人でいることを苦にしない性格なので
よくこうして黙々とトレーニングに励んでいるのだった。
だが、その一言は却って逆効果だったらしい。顧邵は吾粲の手を取ると、ニコニコと微笑みかけたのだ。
「それじゃ、私と一緒に行きましょうよ。ね?」
「おい、ちょ、ちょっと…」
顧邵は見かけに寄らず強引なところもあるらしく、グイグイと吾粲の手を引き歩き出す。
もとより抗えぬような力であるはずもないのだが、勢いに流されて吾粲は結局ついて行くことになってしまった。
(まあ、それでもいいか)
どのみち、急用があるでもない。きっかけがあるのならば、顔を出してみても損はないだろう…


二人がしばらく堤防を歩くと、なじみの呉棟が見えてきた。
顧邵が教えてくれたことには、現在、長湖部の本部はここの高等部の敷地内にあるのだという。
思えば、青と白のジャージを着た高等部の生徒をよく見かけていたのはそのためだったのだろう。

その間にも色々と長湖部に関するレクチャーは続いていた。相槌を打つばかりの吾粲だったが、
話し上手の顧邵もさすがに一息ついたのを見計らうとふと気付いたことを尋ね返した。
「あのさ、孝則は長湖部のこと詳しいみたいだけど、誰か知り合いでもいるの?」
「え? …そうよ、姉さんがね、マネージャーやってるの。それで私も時々、遊びに行ったりしてるのよ」
名前は、顧雍っていうんだけど、と付け加える。それを聞いてようやく、吾粲も得心がいった。
「あ、そうか… 顧ファミリーだったのか」
「あら……? ええ、まあみんなからはそう言われてるわね」
顧邵は苦笑したが、すぐにもとの優しい表情に戻った。

吾粲は忘れていた、というかさして気に留めてもいなかったのだが、
この顧邵という少女の生家である顧家はこの辺りではちょっとした名門であり、
朱・張・陸と並んで“呉の四姓”と称されていた。
代々優秀な生徒を輩出してその多くは学園の生徒自治組織において指導者を務めており、
あるいは主将として功を挙げる者も少なくはなく、他の生徒たちからは一目置かれていたのである。
そして顧邵もその一員であるというのならば、人当たりの良さや話慣れした態度なども納得がゆく。
以前よりそういったつき合いに慣れているのだろう。
そして吾粲の見るところ、彼女はそれだけではなくおそらく天性の素質を持っている。

一方で顧邵の方としても自分の立場というものは弁えており、それと知って接してくる相手への応対も身に付いていた。
けして自らのステイタスに奢ることはなかったが、それなりに名の知れた存在であることは自覚しているだけに、
吾粲が見せたようなリアクションは新鮮でありまたどこか嬉しかったのだった。
そうして彼女は、見所のあるこの新たな友人をバックアップしようと決意したのである。

「うん、きっと孔休さんは長湖部で活躍できるはずよ。私が保証する」
そう言うと、まあ今の私の保証なんかアテにならないけどね、とペロリと舌を出して笑ってみせた。
彼女のそんな言動も笑って許せてしまうとなると、これは相性がいいのだろうか。
吾粲とて人付き合いが悪いわけではないにせよ、これほどまでに速やかに他人とうち解けたのは初めてのことだったのだ。
「そういう孝則はどうなのさ? 期待されてるんじゃないの」
別に揶揄したつもりはなかったし、顧邵の方もそうと汲み取ってくれたらしい。
少し歩みを早めると、吾粲の前で両腕を広げてみせる。やはり、彼女の体格はお世辞にも運動には向いていないようだ。
当人もその事は熟知しているのだろう、さして悲観するでもなく言葉を継ぐ。
「私は見ての通りだし、あんまり体が丈夫じゃないの。だから、姉さんみたいにマネージャー志望ね」
そういうのって結構向いてると思うのよ、と微笑むその表情に悔しさは微塵もない。
彼女ならよく気が利くだろうし、確かにマネージャー役には最適なのだろう。
裏方稼業の大切さは実感は薄いとはいえ吾粲も知っており、であればこそ顧邵を素直に応援する気になれた。
「ああ、きっとみんなの役に立てると思うよ」
「……ありがと」
彼女は微笑んでくれた。吾粲の気持ちは通じたのだ。


 続く

19 名前:★玉川雄一:2004/01/17(土) 22:53
 吾粲の眼(3)

「さて、そろそろ着くわね。 …ここが、今日の会場よ」
そう言われて気が付くと、何やら飾り立てられた門の前に来ていた。
どうやら長湖部の先輩たちが今日のイベントのために準備してくれているらしい。
辺りには高等部も中等部もとりまぜて多数の生徒の姿が見えていたが、中等部生はやはり数人連れのグループが多い。
この年頃の少女というものは何事につけグループで行動したがるものであるし、
“先輩”の領域に踏み込むにはやはり一人では心許ないのだろう。
吾粲にしてみればその気になりさえすれば別に一人でも平気だったかもしれないが、
今では顧邵が隣にいてくれることをやはり嬉しく思い始めていた。

「あら、孝則ちゃんいらっしゃい。友達と一緒?」
そこへ、例のジャージを羽織った女生徒が声をかけてきた。口振りからして顧邵と知り合いのようだ。
「おはようございます、伯海先輩。この方は先程お知り合いになったばかりですけど、お誘いしちゃいました」
そう言うと、そっと下がって吾粲を前に立たせた。どうやら早速、先輩に紹介してくれるらしい。
「え、えっと… 初めまして。吾粲、字を孔休といいます。本籍はこの呉棟です。よろしく、お願いします」
いきなりのことで通り一遍の挨拶しか言えなかったが、なんとか無様な姿は見せずに済んだようだ。
「はじめまして。私は孫河、字は伯海よ。今は私がここの棟長をやってるから、進級したらまたよろしくね」
そう言うと優しく手を握ってくれた。
温和そうな表情をしているが、その手触りは紛れもなく歴戦の風格を宿していることに吾粲の胸は密かに躍った。

「ユカちゃーん、妹さんたちがみえたわよー!」
「あら、もう着いたのね。…それじゃ吾粲ちゃん、悪いけどこれで失礼するわね。また、会いましょう」
ざわめきの中で上がった声を聞きつけ、孫河先輩はもう一度吾粲の手をギュッと握ると、手を振って門の方へ駆けてゆく。

「はいはい、ここよー…って、あれ、叔武は?」
「従姉さん、叔武ならもう、奥の方に」
「ああもう、いつもあの娘ってば! 公礼、探すからついてきてくれる?」
「はい。それじゃ、あちらへ」

慌ただしいやりとりを残して孫河先輩とその妹らしき少女は人混みの中に消えていった。
「……あれ、孫河先輩、今『ユカ』って呼ばれて返事してなかった?」
「ええ。なんでも、もとは兪家の出身だからとか、孫家から兪家に養子に入ったからとか聞いているわ。
 ちなみに、一緒にいたのが従妹の孫韶さんで、探しに行った相手は実妹の孫桓さんね。二人とも私達と同学年」
なるほどね、と頷く吾粲。やはり彼女と一緒にいると何かと心強い。
「さて、それじゃ私達も中に入りましょう。いい場所、とらないとね」
顧邵はそう言うと吾粲の手を引いて歩き出す。波に揉まれる思いの吾粲だが、出会いの波はまだほんの序の口だった。

−なお、孫河との再会は実現した。数ヶ月後、進級した吾粲が呉棟の執行部から呼び出しを受けたとき、
 何事かと出頭した彼女を待っていたのはニコニコと微笑む孫河の姿だったのだ。
 このときから、吾粲の執行部員として、また長湖部員としてのささやかな第一歩が記されることになる…


「あ、姉さんだ。姉さーーーん!」
人混みをくぐり抜けながら、特設会場である巨大温水プール
 −学園内でも比較的温暖な地域にあるとはいえ、今は真冬である−
へと向かう途中で、顧邵が突然声を張り上げた。
その方を見ると、一人の女生徒と視線が合った、ように見えた。実際は隣の顧邵に向いていたのだが。
相変わらず、顧邵は吾粲の手を引いたまま歩いて行く。どうやら今度は彼女の「姉さん」に引き合わせるつもりらしい。
「ふぅ、ふぅ…… やっぱり人が多いわね。姉さん、大変でしょう?」
「……平気」
ようやく辿りついた顧邵が挨拶も抜きに切り出すと、半テンポ送れて細い声が返ってきた。
見れば、確かによく似た女生徒だった。濃紺の黒髪はやはり肩口あたりまで伸び、先の方で緩く波打っている。
華奢に見える体格も瓜二つではあったが、決定的に異なるのが声もさることながらその表情。
闊達な“妹”に比べ、姉の方はいかにもおっとりとしている。
動作も落ち着きがある、というのを通り越して緩慢ですらあり、巡り巡って運動向きでなさそうな所はまた似通っていた。
(そういえば、お姉さんの方もマネージャーをやってる、って言ってたな)
そう思いつつ、吾粲はまたしてもしげしげと眺めてしまっていたらしい。
「………お友達?」
「そうよ。吾粲さん、っていうの。素敵な人とお近づきになれて、私もう嬉しくって」
顧邵はすっかり舞い上がってしまっている。さすがに買いかぶりすぎだろう、とは思いつつ吾粲は一礼する。
「初めまして。中等部三年生の吾粲、孔休といいます。孝則さんにはとてもお世話になっています」
彼女とはつい小一時間前に出会ったばかりではあったが、そうでもなければここにはいなかっただろうから、
吾粲はできる限りの感謝の念を込めて相手を見つめた。
「…顧雍。……元歎。 …妹と、仲良くしてあげてね」
「はい! こちらこそ、よろしくお願いします」
微妙に肩透かしを食らわせるような会話のテンポが印象的だったが、吾粲は素直に返事をすることができた。
自分の中で、何かが変わろうとしている。長湖部は、今まで知らなかった自分を引き出してくれるのではないか?
我知らず沸き上がる興奮を感じ取る吾粲をじっと見つめて、顧雍は微かに微笑んでいた。


 続く

20 名前:★玉川雄一:2004/01/17(土) 22:54
 吾粲の眼(4)

イベント開始に向けて準備の追い込みに入るという顧雍と別れて、二人はいよいよ参加者集合場所へとたどり着いた。
「うわ、こんなに来てたのか…」
吾粲の想像も付かないような数の中等部生が集まっていた。もちろん全員が入部志望者のはずだ。
彼女らはこれから先輩達のデモンストレーションを見て、志望チームを決めることになる。
様々なウォータースポーツを中心とした運動部の連合体である長湖部には、それぞれの競技を行う数多くのチームがあった。
入部した生徒は基本的にそれらのいずれかに属して活動を行うことになる。
あるいは顧姉妹のようにマネージャーとして部の運営に携わる者もおり、著しく規模を拡大しつつある長湖部においては
その方面でも力を発揮する道が開けていたのだった。
一方で現役部員としても来るべき新入生獲得に向けて今日のイベントには力を注いでいるとみえ、
控えの方からは打ち合わせの声やら威勢の良い掛け声やらが漏れ聞こえていた。

「うん、ここならよく見えるでしょう」
ようやく歩みを止めたところで顧邵が目の前を指し示す。確かに絶景。よくもまあこんな特等席が…
というのも当然で、何せ顧邵は顔が利く。上級生相手ですらあの様子なのだから、同級生には言わずもがな、
会う人会う人から声をかけられてその都度挨拶を交わすハメになった。
そして彼女はその一人一人に、吾粲のことを紹介してくれたのだ。
吾粲にとってはそのほとんどが初対面であり、正直言って一度では覚えきれるものでもなかったが、
顧邵の紹介ということでおおむね好意的に迎えられたようだった。
わずか数十分間で、吾粲の中の人名録は不完全ながらも一気に数倍に膨れ上がったのだ。

−その中には、後に心強い仲間となる少女が数多く名を連ねていた。
 やがて一年、二年と時が過ぎ、無二の親友が既に部を去った後も、
 この時の出会いは吾粲にとって掛け替えのない宝となったのだった。

(あれ、さっきのは……?)
そんな中、吾粲は珍しく知った顔を見つけた。
ダークパープルの髪をショートカットにしたその少女に声をかけてみようとしたのだが、
それより先にまたもや顧邵のもう何十人目かとなった“お見合い”が始まってしまい、
それきり声をかけるチャンスを逸してしまったのだった。
(でも、なんだか目つきがとても怖かった…)
その少女とは特に親しいわけでもなかったが、確か同じ呉棟で何度か見かけた記憶がある。
元々鋭い目つきをしていたような気がするが、今のその瞳は明らかに殺気を宿していた。
(気のせいだといいんだけど…)
吾粲の胸に、微かな不安の灯がともった。

「ねえねえ孔休さん、こちらは張敦さんと卜静さんっておっしゃるんだけど… あら、そういえば同じ呉棟だったわね?」
彼女の密やかな心配をよそに、顧邵はますます絶好調だった。


人の波もそろそろ落ち着きを見せ始め、そろそろ開幕の時間を迎えようとしていた。
吾粲がふと視線をやった先には、長湖部の幹部連と思われる女生徒が整列している。
周囲もそれに気付いたようで、ヒソヒソとかわされる囁きが耳に入ってきた。
「ほら見て、周瑜先輩がいるわよ」
「四天王の皆さん、カッコいい…」
「何言ってるのよ、周泰さまが一番に決まってるじゃない!」
彼女らにとって憧れの先輩かはたまたアイドルか、数ヶ月後にはそれどころではない苛酷な日々が待ち受けているのだが、
今日の日は“夢”を大きく膨らませるためのイベントだからこれでも良いのだろう。

しばらくすると、その前に小柄な女生徒が姿を現した。マイクを片手に何事か周囲と打ち合わせを重ねていたが、
やがて最終確認を終えたのか、背後の幹部連に一声かけるとこちらを向き、それに合わせて一同が整列した。
ホスト席が姿勢を正したのを見て、観客席のざわめきも波が引いたように静まってゆく。
誰が音頭をとったわけでもないが、集団行動の素養は日頃から身に付いているのだろう。
小柄な少女はそれを見て満足げに頷くと、一歩前に進み出る。
(あれ、あの娘って…?)
違和感を覚えたのは、少なくとも吾粲だけではなかったはずだ。
色素の薄そうな巻き毛と遠目にも分かる青みがかった瞳、何よりどう見ても高等部生とは思えない幼げな雰囲気。
訳知りらしい中等部生は周囲にヒソヒソと何事か説明していたようだが、
残念ながら事情通とは対極に位置する吾粲には事情が掴めない。さすがの顧邵も場を弁えてか、おとなしく黙っている。
しかしあれこれ思い悩む間もなく、くだんの女生徒がマイクを握りしめると大きく息を吸い込んだ。
いよいよ、長湖部主催体験入部イベントの始まりである。


 続く

21 名前:★玉川雄一:2004/01/17(土) 22:55
 吾粲の眼(5)

「中等部のみんなー、おはよーーーーっ! 長湖部へようこそーっ!」
「おはようございまーーーーーす!」
外見から想像されるとおりの第一声が発せられると、体育会らしいノリで挨拶が交わされる。
「……って言っても、実はボクもみんなと同じ中等部の三年生なんだけどね」
てへっ、とやってみせると満場がドッと笑いに包まれた。これだけで既にペースを掴んでしまっていた。
「はーい、ほとんどの人には初めまして、だよね。ボクは長湖部の部長をやってる孫権、仲謀っていいます」
ペコリと頭を下げたのに応じて一斉に拍手が鳴り響く。ニコニコと笑顔を浮かべて、
大舞台でも動じたように見えないのはさすがだ。彼女もまた、場慣れしているのだろう。
(それにしても、中等部でもう部長をやってるのか…)
そういえば、吾粲も昨年の夏休み明け頃にそんな噂を聞いたような気がする。
休み中に長湖部で人身事故が発生し、部長が病院に担ぎ込まれたとか云々…
確かに「大事件」ではあったが、中等部でもいっとき話題を席巻していたのは
きっと彼女が後任に選ばれたこともあったのだろう。
年齢以上に小柄に見える彼女の後背に控える高等部の幹部連を見れば、誰もが一緒になって拍手を送っている。
後輩どころか中等部の生徒を部長と仰ぐなど前代未聞の事態なのだろうが、これほどまでの一体感を見せるとは
長湖部はよほど結束力が強いのか、孫権に破格のカリスマが備わっているのか、おそらくはその両方なのだろう。

 −吾粲の目利きは間違ってはいなかった。 ……少なくとも、この時点では。



同年齢ということもあり相通じるものがあったのか孫権自らの司会は絶好調で、イベントは順調に進んだ。
デモンストレーションが開始され、各チームの趣向を凝らした演武に観客席も大盛況となる。
先頭を切るのは文字通りの斬り込み隊長にして四天王の一人、韓当率いる“海兵隊”。
水上を驀進する四隻の強襲揚陸艇『天馬(ペガサス)』、『駿馬(サラブレッド)』、
『木馬(トロイホース)』、『白対手(ブランリヴァル)』に分乗した『解煩』『敢死』の二隊による勇壮な模擬上陸戦で幕を開け、
続いてレガッタ部は一糸乱れぬストロークで水上を滑るがごとき競漕を披露し、
シンクロ部の凛々しさと優美さが融合した絶妙な演技は黄色い声援を巻き起こした。
水球部のミニゲームには手に汗を握り、日頃の鍛錬の成果が次々と中等部生の心を捉えてゆく。
一変して呂範、賀斉、潘璋らのチームによる観艦式もかくやという満艦飾のパレードが雰囲気を一層盛り上げ、
誰もがこのイベントの大成功を確信していたその時、事件は起こったのだった。

「さあ、パレードもいよいよ四チーム目、期待のニューフェイス、チーム“錦帆”だよっ!」
孫権の高らかなアナウンスをかき消すように盛大なドラの音が会場に響き渡る。
先の三チームも華々しさではいずれ劣らなかったが、今度の一団はまた群を抜いていた。
自らの威勢を誇示するかのように舟艇練習用の水路を往復すると、
接岸して上陸してきたメンバーの先頭に立つ少女の姿がまた実に個性的である。
金色に染めた髪を無造作に散らし、比較的暖かいとはいえ真冬のこの時期にもかかわらず
サラシ巻きの胸にジャージを羽織っただけ、その背中には二旒の羽根飾りが揺れており、
腰のベルトにぶら下げたいくつもの巨大な鈴が一歩ごとに派手な音を立てるのだった。
続くメンバーもどこか異質な雰囲気を漂わせており、雰囲気に飲まれた中等部生にも
彼女らが何か“ワケアリ”な集団なのではないかと薄々感じ取った者は少なくなかっただろう。
例の羽根飾りの少女はひとり孫権の前まで進み、マイクを受け取りこちらに向き直ると声を張り上げる。
「お前ら今日は俺のためによく来てくれたな! 俺様が甘寧だ! 根性あるヤツはいつでも待ってるぜ!」
まさに唯我独尊、居並ぶ幹部連も囃し立てる者がいる一方で、苦笑している者はまだマシな方、
中には今にも怒鳴り出すのではないかと思われるほどに顔を真っ赤にしている者もいた。
中等部生は声もない。その気勢に辛うじて追随できる剛の者もいるにはいたが、
大部分はザワザワと戸惑いの声を上げるのみだったのだ。

「あいつか……!」
その時ふと、吾粲の耳に短く押し殺したような声が響いた。
けして大きな声ではなく、誰かに呼びかけたわけでもなかったはずだが、耳に残って離れない。
気になって辺りを見回すと、一人分のスペースが空いている。
誰かがいたような気がしたが、吾粲には思い出せなかった。


 続く

22 名前:★玉川雄一:2004/01/17(土) 22:57
 吾粲の眼(6)

ステージ上では、チーム“錦帆”によるデモンストレーションが続いていた。
何に使うのか、特製と思われる大柄なラバーナイフで演武を行っており、
甘寧自ら鈴を鳴らしつつゴム製の刃を振るうその表情はすこぶる輝いていて、顕示欲の強さは相当なものとうかがえる。
そんな中、観客席の一角のざわめきのトーンが変わった。最初それと気付いたものは少なかったのだが、
席を抜けだして一人の少女がステージ上に現れるに至り、何事かと不審の波が広まっていった。
「あぁん?」
雰囲気を察して、演武を中断された甘寧が闖入者を睨み付ける。
彼女の風体と先程からの言動で誰もが容易に推測し得ただろうが、急速に気分を害していく様子がありありと見えた。
幹部の列からは、不穏な空気を察して数名の部員が進み出ようとしていたが、
それより先に闖入者の少女は一気に甘寧の前に詰め寄ると−
「姉さんの仇!」
「!!!」
誰もが予想し得なかったことに、その少女は一声叫ぶと素手ではあるが甘寧に飛びかかったのだ!
満座が息を飲む中で、だが甘寧の反応はまったく容赦がなかった。
少女の渾身の一撃を上半身を揺らしただけでかわすと怒りに表情を歪め、その身を掠めた右手首を無造作に掴み乱暴に引き寄せる。
そしてバランスを崩した少女に強烈な脚払いをかけ、そのまま片手で地面に叩きつけたのだった。

一瞬の空白の後、あちこちから悲鳴が上がる。狂騒を沈静化すべく長湖部員が各方面へと走り出した。
ステージ上では、投げ飛ばされた少女を烈火の如き形相で睨み付ける甘寧。
ラバーナイフを握り直した手は怒りに震えており、先程の一連の動作を見せつけられれば、
甘寧がそれを躊躇なく少女に振り下ろすであろう事は火を見るより明らかだった。
だが、その少女を庇うように飛び出たサイドポニーの部員がいた。
甘寧の発する殺気に怯える風もなく、却って押し返すように口火を切る。
「目を覚ませ興覇! 今がどんなときか忘れたとは言わせないよッ!」
「………………」
二人の視線は数十秒間絡み合い、やがて甘寧は大きく舌打ちするとナイフをうち捨てた。
一応は、危害を加える気がないことをアピールしたつもりなのだろう。
サイドポニーの少女はそれを素早く拾い上げると、再び倒れた少女の側に駆け戻った。
「わかったよ子明、もう手は出さねえ。だけどな、ソイツと少し話をさせてくれねえか?」
「部長、この場はどうします?」
“子明”と呼ばれた少女はまず、孫権の指示を仰いだ。当事者を相手にするよりは賢明な判断だろう。
「そうね… まずは中等部のみんなを落ち着かせて。それからその娘は… 怪我はない?
 大丈夫だったら、とりあえず話を聞いてみてちょうだい。甘寧さんも収まらないでしょうから。
 大変でしょうけど、呂蒙さん、それはあなたにお任せするね」
サイドポニーの少女は呂蒙というらしい。甘寧が“子明”と呼んだのは字だったのだろう。
孫権からステージ上の収拾を任されたその呂蒙が今度こそ促した。
「……いいわ。ただし、これ以上事を荒立てるようなら今度はアンタをはり倒すからね」
この呂蒙、見たところは普通の少女と変わりはないがなかなか度胸が据わっているようだ。
それでも、息を付く少女に「いい、立てる?」と手を貸す辺り気遣いも持ちあわせているのだろう。
そしてようやく立ち上がった少女はまだ気力を失ってはいないらしい。
傍らで見守る呂蒙に一礼すると再び甘寧へと向き直ったのだが、この時、吾粲にもその少女の顔がはっきりと見えたのだ。
「あれは… さっきの!」
そう、開会直前に見かけた、ショートカットの少女だった。名前は今でも思い出せないが、
あの顔には確かに見覚えがあった。ということは、あの憎しみを含んだつぶやきも…?

「さて、まずは名乗りな。俺様を甘寧と知ってこの場をぶち壊しにしてくれた度胸は認めてやるよ」
やはりまだ甘寧の苛立ちは収まっていないのだろう。しかし少女も一歩も引こうとはしない。
「私は凌統… 字を公績! 姉さんのために、お前は絶対に赦さない!」
だが、名前を聞いて驚きを見せたのは甘寧ではなかった。
「凌統!? あの娘が…?」
「これはまずいことになったわね…」
口々に何事か言い交わし始めたのは、長湖部の幹部連だった。何か知っているようだ。
「姉さん? そういやさっき、仇だとかぬかしていたよな… 生憎と俺様は買った恨みの数なんざ掃いて捨てるほどだ、
 悪いがいちいち覚えちゃいねえ。まあ、あきらめることだな−」
「忘れた、だと……!? 余杭の凌操の名、忘れたとは言わせない!」
背後のざわめきをよそに継がれた甘寧の言葉を、凌統と名乗った少女が遮る。
彼女は思わず制止しようとした呂蒙の腕を振り切ると甘寧に詰め寄った。
「凌操…? ああ、凌操な! ……わりぃ、さっきのは一部訂正な。…うん、アイツはいい腕だった。
 そうだ、久々にマジでやりあった相手だったぜ…」
“仇”の名を聞いて思い出したらしく、甘寧は一人でしきりにうんうんと頷いている。
先程までの張りつめたような空気が一瞬緩んだように感じられ、凌統もわずかに表情を緩めたが…
「だけどな、真剣勝負だからこそ、俺の勝ちは譲れねえ。中坊のお前にはまだ分からねえだろうけど、
 俺らの世界ってのはそういう所なんだよ。そこに殴り込む覚悟はあるんだろうな?」
甘寧の言葉がピシャリと凌統を打つ。だが、言葉こそ荒いが、一方通行の敵意は既に消えていた。
凌統も悟るところがあったのか、唇を噛んでうつむいていたが何事か決意したらしくキッと顔を上げる。
「ならば、私はお前を越えてみせる! いつの日かきっと、私自身の力で…!」
「わかった、いい度胸だ。できれば俺のチームに欲しかったが… まあ、せいぜい頑張りな」
けして“和解”したわけではない。憎しみの輪廻こそ断ち切られたかに見えはしたものの、
ライバルと呼ぶにはあまりに殺伐とした関係がここに幕を開けたのだった。

「部長、勝手な行動でお騒がせしてしまい、すみませんでした。この償いは、必ず活躍してお返しします」
一礼すると、凌統は退場していった。甘寧も苦笑して、孫権に詫びを入れる。
「済まねぇ、またやっちまったよ… この落とし前は必ず付ける。悪ぃが、この後は公瑾のギターでも演ってもう一回盛り上げてくれ」
軽く頭を下げ、チームの面々を引きつれて引き揚げる。盛大にドラを鳴らしていったのは、沈んだ雰囲気をせめて盛り返そうとしたのだろう。

最悪の事態は免れたということで孫権もこの場を収めてイベントの続行を指示し、甘寧のリクエストに応えて真打ちである周瑜の出番を繰り上げた。
周瑜はデモンストレーションのフィナーレを締めくくる予定でこの日のために作ったという曲を披露したのだが、
彼女の的確なパフォーマンスも手伝ってステージには熱気が舞い戻った。
その後も予定は消化され、波乱を含んだデモンストレーションは何とか終了したのだった。


 続く

23 名前:★玉川雄一:2004/01/17(土) 22:59
 吾粲の眼(7)

「ふぅ… 一時はどうなることかと思ったわねぇ」
「ああ。気付いていたら、ああなる前に止めてやれたかもしれなかったけど…」
休憩時間を挟んで、これからは各チームへの体験参加の時間が予定されている。
顧邵はやはりマネージャー志望で、姉の元に行くと言っていた。ここらで別行動ということになるのだろう。
「今日は本当にありがとう。色々と助かったよ。春になったら、また会えるといいな」
やはり、礼を言わねばなるまいと切り出すと、顧邵は何がおかしいのかクスクスと笑い出した。
「ふふっ、なに言ってるのよ。同じ呉棟じゃない、明日からでもすぐ会えるわよ」
「あ、そうか…ははっ、そうだな。うん、それじゃ、明日からまたよろしく」
「ええ。あなたとお友達になれて嬉しかったわ。またね」
ペコリと頭を下げると、顧邵は手を振って去っていった。

(半日前には、全く予想すらしなかったな…)
何が縁になるかなんて、その時になってみないと分からないものだ。
得難い友人に巡り会えたことは、感謝してし足りないということはない。
それに、彼女を通じて吾粲の世界は一挙に広がったし、新たな繋がりもたくさん生まれた。
目の前に開けた新しい世界のことを思うと、長湖部に入部するのが俄然楽しみにもなってこようものだった。
「よし、いっちょ見て回るとするか…」
足取りも軽く、人の波に飛び込んでゆく。


そうして、吾粲は興味の向くままにあちこちのチームを覗いて回った。
先程の一件の記憶も生々しい“チーム錦帆”にも足を運び、怖い者見たさで遠巻きにコソコソしている生徒を後目に
内心少々は怯えつつも操船のレクチャーを受けたりもした。
ちなみにこの時には甘寧の機嫌は全快しており、鈴を鳴らしながら例の調子で立ち回っていた。
吾粲の運動能力は基本的に水準を超えており、“体験”してみる分にはどの種目もそつなくこなしてみせた。
部員の方も来るべき新年度の部員勧誘に向けて多少の社交辞令を交えている感もないではなかったが、
彼女は確かにどこのチームでも絶賛され、入部したらぜひうちのチームに、と誘われたものである。
これまで無名で通してきただけに却って逸材として注目され始めたらしい。
顧譚が最初にかけてくれた言葉もまんざらではなく、さらに実力によって裏打ちされてゆくのだった。

そんな中、一息ついた吾粲を呼び止める者があった。
「失礼、吾粲さんよね? あ、よかった… 探したのよ」
「ん?」
まさか他人から声をかけられるとは思ってもおらず、意外に感じつつ振り向くと−
「あ、あんたは確か… 陸遜、だったかな」
「知っていてくれたのね。呉棟の陸伯言よ。直接お話しするのは初めてよね。よろしく」
ボブカットの少女が手を差し出した。呉棟でその名を聞いたことがある、陸遜だった。
彼女もまた“呉の四姓”のひとつ陸氏の出であり、直接の面識こそ無かったがその噂は耳に届いていた。
たしか、数少ないユース参加者であり、その才能は期待されるところが大だという。
「こちらこそ… それにしても、よく私のことが分かったね」
吾粲はもう何人目の相手か忘れたほどの握手を交わしながら、いつの間にか自分の名が知られていることに内心驚いていた。
「ええ、以前より人づてに噂を聞いて姿はお見かけしていたのだけれど… さっき、孝則にね」
あなたにぜひ会ってくれ、ってもうしつこいくらいに念を押されてしまったのよ、と苦笑した。
(そうか、孝則が…)
あの押しの強さは筋金入りだったということか。それでも、彼女の心遣いは嬉しく思えた。
「いや、私もあの娘にはとても世話になったよ。いったい、今日は何人と知り合いになったのやら」
「ふふっ、あの娘も世話好きよね。 …それで、私からももう一人ご紹介したいのだけれど、いいかしら?」
そう言うと、陸遜は今までにこやかな表情で隣に立っていた長身の少女を前に立たせた。
「吾粲さん、といったね。私は朱拠、字を子範という。お会いできて嬉しいよ」
「ありがとう。私は吾粲、字を孔休。そういえば… 確か君の名も呉棟で聞いたことがある」
お互い有名人になったものだね、と冗談を言い合って笑った。
聞けば彼女もまた“呉の四姓”朱氏の一員であり、従姉である朱桓先輩は新進気鋭の成長株だとか。
朱拠自身は吾粲と同じく進級後からの入部を予定しているそうだが、
従姉のつてもあってか既にあちこちのチームから声が掛かっているのだと陸遜が教えてくれた。
「お互い、頑張ろう。君もこれから、きっと素晴らしい選手になれるはずだよ」
顧邵に加えて、朱拠までもが太鼓判を押してくれた。二人の言葉が持つ言いしれぬ重みが嬉しかった。


 続く

24 名前:★玉川雄一:2004/01/17(土) 23:01
 吾粲の眼(8)

陸遜も含めて三人でまたいくつかのチームに顔を出してみたが、互いにその力量には感じ入るところがあったようだ。
普段は温厚そうな表情をしていながら、朱拠はここ一番で人が変わったような集中力を発揮する。
吾粲は日頃のトレーニングによって培われた基礎体力に加えて、飲み込みの早さが称賛を受けた。
陸遜はといえば既にユースでの活躍が知れ渡っており、三人は今や呉棟の期待の星として話題をさらっていたのだった。
「まったく、今からこれじゃいくら何でも気が重いよ」
一通り見学を終えて休息をとりつつ吾粲がこぼすと、朱拠がクスリと笑った。
「まあ、いざ本活動が始まったらちやほやするどころじゃなくなるだろう。今の内はありがたく受け取っておこうよ」
「そうね、本番は実力第一だから、名前だけじゃとてもじゃないけどやっていけないわよ。特に最近は、そういう風潮が高まっているみたい」
一足先に荒波に揉まれているであろう陸遜がしみじみと付け加えた。
なんでも、七光りやコネだけで実力不相応な地位にある者が、次々とその座を逐われているという。
長湖部自体が、そういった階層を打倒することで今の勢力を築いたのだそうだ。
「そういや、甘寧先輩もああ見えてその辺はよく分かってたから、あんな事を言ったんだろうなあ」
デモンストレーションの際の一件で、姉の敵討ちに逸る凌統に啖呵を切った光景は今でも鮮明に記憶に焼き付いている。
思わず頷いた吾粲だが、陸遜は実に微妙な表情で苦笑した。
「まあ、あの言葉に関しては正しいわ。でも気を付けてね、甘寧先輩は相当付き合いづらい方だから」
色々とワケアリでね、と声を潜めて付け加えた。
「…ああ、何となく分かる気がしたよ。しかし部長もよくコントロールしているな」
朱拠が視線をやった先には、長湖に繋がる水路を出てゆく船団の姿が映っている。
大漁旗もかくや、と見まがうばかりの豪奢なセイルを翻し、ドラを乱打しながら疾走してゆくのはまさしくかのチーム“錦帆”だった。
「彼女の場合は、むしろ呂蒙先輩が一番の押さえ役でね。ほら、あの時もいたでしょう?」
陸遜が言っているのは、あのサイドポニーの先輩のことだろう。外見からは想像も付かない度胸の良さが印象的だった。
あの人も色々あったみたいだから、と陸遜。人は見かけに寄らないということらしい、
「でも、みんな個性的で楽しい所よ。早くあなたたちとも一緒に活動したいわね」
吾粲と朱拠は視線をかわして頷きあう。心強い仲間を得て、期待に胸は膨らむばかりである。

−と、そこへ今日のイベントの終了を告げるアナウンスが鳴り響いた。
『本日は皆さんのご参加ありがとうございました。新年度にまたお会いしましょう!』
その言葉で締めくくられると、誰からともなく拍手がわき起こった。
少々のハプニングは起こったが、全体的には大成功と評して差し支えないだろう。
招いた側、訪れた側のどちらにおいても、その多くが確かな手応えを感じていた。
そしてここにもまた一人。たった半日で数え切れないほどの出会いを重ねた吾粲は、今では参加したことに心の底から満足していた。
願わくは顧邵にあってもう一度お礼を述べたかったが、帰路についた生徒の大移動が始まっており、今から探し出すのは相当困難に思われる。
(そういえば、同じ棟なんだからまた会える、って言っていたよな)
そう考えると、陸遜や朱拠ともまた然り。ユース参加者の招集がかかった陸遜と、
従姉の朱桓のもとに顔を出してゆくという朱拠とはそれぞれ再会を約して別れたが、
これからの日々を考えると俄然やる気が満ちてくるのだった。

 ……私にも、こんな学園生活が送れるんだ。

今までの自分に不満があったわけではない。でも、今にして思えば刺激のない平板な日々の繰り返し。
望んでそれを求めるほど性格が変わったとも思わないが、谷もあれば山もあるという密度の濃い一日も
過ぎ去ってしまえば良い思い出になりそうだ。これからの三年間、新しい仲間とならばきっとやってゆける… 
今は夕陽に照らされたあの堤防を駆けながら、吾粲の眼は活き活きとした輝きを放つのだった。


出会いの場所を、いま一人の少女が歩いてゆく。傍らには最愛の姉。
「でね姉さん、今朝ここで、孔休さんと出会ったのよ」
「……そう」
「やっぱり、何かに真剣に打ち込む眼って素敵よね。私、すぐに分かったわ。彼女はきっと大きくなれる、って」
「…孝則なら、きっとそう言うと思った。あの娘、いい眼をしていたもの…」
「あはっ、姉さんのお墨付き!? ふふっ、早速明日教えてあげなくっちゃ!」
自身に残されたそう長くはない時間を駆け抜けるように、顧邵は彼女らしいステップを踏んでゆく。
その姿を見守っていた姉は夕陽に染まった長湖に視線を転じると、
随分先まで行ってしまった妹が呼ぶまでの間、寄せては返す波を無言で見つめていた。


 続く

25 名前:★玉川雄一:2004/01/17(土) 23:02
 吾粲の眼(9)

−明けて1月19日。

今日からまた、いよいよ中等部三年間のゴールが見え始めた授業が再開される。
一応は進級試験もあることゆえ卒業気分で浮かれているわけにはいかないのだが、やはり昨日の出来事は吾粲の気分をガラリと変えていた。
卒業という区切りが見え始め、惰性という文字がちらつきかけていたのは昨日の朝までのこと。
新しい仲間との来るべき日々を思い描いて無駄に早起きなどしてみたりした次第。

「……まあ、それでも登校時間は大して変わらないのな」
一夜にして熱血に転じるというほど単純な質でもなく、まして続々と登校してくる生徒の顔ぶれに変わりがあるでもない。
朝から早速肩透かしかと思い始めたところに、突然肩を叩かれた。
「おはよう」
「えっ…… 子範!? おはよう」
振り向けば目の前には長身の少女。低血圧の気があるのか、それとも地であったか少々ローテンション気味だが、
吾粲自身が前日比150%程度には盛り上がっているのでそのギャップもあるのだろう。
挨拶を交わした二人は昇降口に向けて歩き出す。クラスメイトとこうして一緒になることは今までにもあったが、
やはり昨日の今日ということもあり自然と心が躍る。
「あ…… 隣のクラスだったんだ」
下駄箱まで来て初めて、朱拠が隣のクラスの生徒だったということに気がついた。
「どうりで、昨日会ったときに見覚えがあると思ったよ」
「まあ、そんなものだよ。今から知ったって別に遅くはない」
自分たちには未来が開けている… 口には出さないがその思いは通じ合っていた。
特に気分を害した風でもなく、朱拠は上履きに履き替える。吾粲も慌てて後を追い、廊下に出たところで−

「おっはよう、お二人さん! うんうん、私の目に間違いはなかった、ってことね」
「はは、孝則… そうか、君も」
「ね、子範。なんたって元歎姉さんもお墨付きをくれたんだもの。あなたもそう思うでしょう?」
「まったくだ。孝則はいつも大袈裟だけど、ウソだけは言わないな」
「ちょっと、その言い方は何よぅ。孔休さん、ひどいと思わない?」
「ええっ? いや、その……」
朝から改めて思い知ったがこの顧邵、見た目に反して相当なバイタリティの持ち主らしい。
これからわずか数ヶ月後に訪れる予想もしなかった別れの日まで、吾粲は日々そのことを再認識し続けることになる。

「ほらほら三人とも、ここまで来て道草しないの。遅刻するわよ!」
「おはよう、伯言!」
朝練あがりの締まった声が眠気の欠片を吹き飛ばす。負けじと一日の始まりを告げる予鈴が響いた。
「ああもう、廊下は走らないの! でも急ぎましょう!」
やはり昨日までとは違う日々が待っているというのは心躍るものだと、吾粲は喜びを噛みしめていた。


広大な学園のどこででも見られるそんな光景の一つ一つに、昨日までと違う新しい何かが光を放っている。
今日からは、どんな小さな輝きでも逃しはしない。


 −吾粲の眼は、そのために大きく見開かれているのだから。


 吾粲の眼・完

26 名前:★玉川雄一:2004/01/17(土) 23:10
はい、お粗末様でした<(_ _)>

これ書くに当たっては『マリみて』が少なからず影響しているワケですが、
(読んだことある方には)雰囲気が伝わるかしら?

なんかもう妙ちきりんなお話でして、祭りにそぐわぬ修羅場もあったりして。
トータルではまあ吾粲が主人公なのですが。登場人物がみな微妙ですね。
ちなみに顧雍姉さんですけど、キャラ元ネタの“セリフ復唱→こくり”は廃しました。
あれって端から見るとわざとらしいし、ネタとしてくどすぎると思いまして。

あ、そうだ。
俺設定としては、この日は長湖部の体験入部イベントということで。
学園暦30年(29年度)の1月で、いわゆる「二年目」年度の出来事。
史実で言うと、205年前後? 甘寧が長湖部に移籍した直後と設定しています。
那御さんの周瑜ギター曲ネタもちゃっかり拝借しちゃいました(^_^;)ゞ

実は、続編というか後日談みたいなのもできるかもしれません。
今度こそ修羅場オンリーで、3年後の「二宮の変」が舞台に。
お気づきの方もいらっしゃるでしょうが、今回のメインキャラは
その多くが二宮の変で悲劇的な結末を迎えることになります。
今回の作品が伏線になったりして… とか思っていたのですが
郭攸長若さんの年表だと「二宮の変」って夏頃のお話になるんですよ。
だから、この記念日には関係なくなってしまう模様。
どっちみち救いのないお話っぽいので今回の祭りとは無縁でございます。

では、私の作品を乗り越えて皆様の力作が続きますように!

27 名前:那御:2004/01/17(土) 23:32
玉川様、抜け駆けグッジョブ!
登場人物は呉ファンが狂喜する陣容ですね〜。
吾粲が主人公のSSが、今だかつてあったでしょうかw
長湖部のシステムっていうのがよくわかる一作でした。
大衆を前にしての甘寧と凌統のバチバチも、臨場感出てましたし。

『マリみて』は1冊しか読んだこと無いので何ともいえないですが・・・

>後日談
ぉ。期待してよろしいですか!

28 名前:★玉川雄一:2004/01/17(土) 23:50
那御さん、早速どうもです。周瑜ネタ頂きました<(_ _)>
甘寧対凌統のネタ(これも後付け)ともども、よいスパイスになりました。
あ、でも周瑜はギターだけ披露したワケじゃないと思います。
ちゃんと実技の方もそりゃあ華麗に!

『マリみて』に関しましては、ことさらに似た展開に…とまで
トレースしたつもりはありませんが、
以前雑談スレで書いた「先輩を仰ぎ見る雰囲気」と
「新しい友との出会い」をイメージしているのは確かです。

続編は… もう少し構想を練ってみますね。
当初は、『恒例となった体験入部イベントの開催を直前に控え、
次期部長後継者として並立していた孫和と孫覇の序列を巡って
吾粲や朱拠、陸遜以下の孫和派が鳩首会議を行っていた。
少々荒療治ではあるが、このイベントを利用してでも孫権の目を覚まさねば、
と決意を新たにした彼女らに、楊竺らの陰謀が降りかかる…』
という流れをイメージしていました。
もっとも、タイムテーブルが大きくずれることが判明しまして、
旭記念日絡みのお話ではなくなってしまいましたけど…
いずれ、書き上げてみたいものです。

29 名前:★惟新:2004/01/17(土) 23:54
一番槍キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!
まさに長大作! 乙です!
内容盛りだくさんのバラエティギフト・呉。
長湖部のユースがいっぱい登場する、本当に欲張りな一品。
思わず一気に読破してしまいました。
吾粲の視点というのも面白いですが、顧邵タンがまたイイ(・∀・)!!
修羅場の緊張感に、吾粲を中心とした出会い、ふれあい。
そして、部長や先輩たちの輝く姿。
これほどの内容がありながらもしっかりとまとまっていて、
本当に楽しく読ませていただきました。

マリみてを消化吸収、さらにぐぐーんと世界の広がった玉ワールド。
後日談が拝見出来る日を楽しみしております。吾粲…(つД`)

>那御様
おお、一冊読まれてましたか。
もしお気に召されましたらぜひ全巻読破を…!

30 名前:那御:2004/01/18(日) 00:01
というわけでッ!18日一番乗りを狙って、曲いきます!
MIDI音源がVSCもしくはSC-88proでない方は、MP3をお奨めしますが、
「めんどいぞ!」という方のために、MIDIも置いておきます。

MP3
http://members.at.infoseek.co.jp/fukunao/lunarize.mp3 target=_blank>http://members.at.infoseek.co.jp/fukunao/lunarize.mp3

MIDI
http://members.at.infoseek.co.jp/fukunao/lunarize.MID target=_blank>http://members.at.infoseek.co.jp/fukunao/lunarize.MID

玉川様に設定を使っていただき、大変恐縮ですが、
周瑜ギターのイメージでお願いします(汗
孫策のVocalのイメージでも可ですw

31 名前:★惟新:2004/01/18(日) 00:36
周公瑾ギターキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!
グッジョブ! ナイスタイミング!
甘い冒頭からアグレッシヴに変調、最後の収束も鳥肌モノ! タマランですなー!
この熱いサウンドならばあの修羅場の後でも聴衆をトリコにすること間違いなし!
おかげで「旭記念日」本祭日の幕開けも素晴らしいものになれました!

そして、ナロー用にMIDI版を用意してくださる心遣いも嬉しい…

32 名前:アサハル:2004/01/18(日) 13:57
3番手参りまーす。
http://fw-rise.sub.jp/tplts/highlander.jpg target=_blank>http://fw-rise.sub.jp/tplts/highlander.jpg

少々こじつけ臭いですが、この日に「蒼天学園」案内パンフ(表紙)用の
写真撮影があったという設定です。
2年前は竇武&陳蕃だったらしいです(李膺は逃亡)。1年前は…誰だろう?

《後日談》
嵩「…で。何でお前はセッティングするだけしてさっさと逃亡したんだ?」
儁「そーだよ!あたし達よりも表紙に相応しいって言われてたのにっ」
嵩「てゆーか元々お前じゃなかったか?表紙は」
植「やーねえ。コスプレは人のを見るものであって自分でするモンじゃないわよ♪」
嵩&儁「「Σ( ̄□ ̄; コスプレ!?」」

>玉川様
……後に悲劇に終わる面子も初めは夢と希望に満ちあふれてたのですね…(つД`)
アウトドアで健全なイベントっぷりが長湖が体育会系サークルだなーと今更ながらに
感じさせてくれますね!
それにしても甘寧と凌統の確執はこんな所から始まっていたのでつか…

>那御様
ピアノパートが!ものっそツボです。
こういう哀調漂う曲に弱いと知っての狼藉でつか(*´Д`)
孫策のヴォーカルですか…彼女は楽譜読めるんだろうか(w

33 名前:那御:2004/01/18(日) 15:05
>惟新様
即レス感想どうもです。
苦手エレキを無理してがんがった甲斐がありましたw(アコギ派な我)
周瑜の激情家の顔っていうイメージを、ソロに込めました。

>アサハル様
感想どうもです。
OP、ED、2分06秒からの3箇所のピアノパートは、
自分で弾いたのを修正しちょりますので、なんか恥ずぃw

そして、パンフ写真!
これは!!パンフ欲しいw!2年前の分とまとめて送ってくだされ!
「Fly High」に激しく萌えたw
そして、こんなところにも盧植の魔の手が・・・

てか、どんな学校でもパンフの写真撮影も、
執行部側のお仕事なんですよね・・・(←経験者

34 名前:★惟新:2004/01/18(日) 17:48
>アサハル様
ハイランダ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!
うわああカコイイ! 女神様じゃあ…女神様が降臨されたあ!!
皇甫嵩、朱儁の両名はもちろんのこと、
たなびく旗やポールが、空間そのものが、カッコいいですよー!
私もパンフ、三部ほど欲すぃ…いや、観賞用と予備用と保存用と…
前回といい、盧植センセったらグッジョブすぎ(;´Д`)ハァハァ

35 名前:★ヤッサバ隊長:2004/01/18(日) 22:28
皆様はやはり神だ(・∀・)
対する現在作成中の俺の作品はというと…_| ̄|○ハゲシクオサッシクダサイ

特にアサハル女神のはいらんだぁは素晴らしすぎですよ(;´Д`)
ああ…もうね、某RPGのキャラ名変更させたい程に(_)

36 名前:★アサハル:2004/01/18(日) 22:52
あはは、やっぱファイル名の「highlander」にツッコミが…(w

すんません、自分的流れということで一つ_| ̄|○
皇甫嵩はまだしも朱儁はどう見ても高地出身じゃねぇし…

37 名前:★教授:2004/01/19(月) 00:01
■■ 休日の過ごし方 ■■


「休みってのは貴重なワケで…日々勉学や課外活動に追われて疲弊しきったからだと心を癒してくれるかけがえのない時間なのよね」
「そうですね」
 切々と熱弁する簡雍、にこにこと聞いてるビ竺。
 時間は昼前、場所は寮の廊下。簡雍とビ竺の他にも一般の女子生徒達の姿も見うけられる。
 冒頭で簡雍が言ってる通り、今日は休日。他の女子生徒達と同様に二人も私服で、いかにもこれから出かけますと言わんばかりである。最も勝負用の服であるはずもないが。
「休日を有効にかつ体と心に負担をかけない為には必要なものがあるの…そう必須と言ってもいいね」
「はぁ」
 端から見ると簡雍の独り言のようにも見える変な会話。ビ竺が最低限の相槌しか返さないからなのだが。少し眠たそうな目で話を聞いてるのかどうかも怪しい。
「だけど、私にはその必要なものが今…欠けてるの」
 ぐっと握り拳を作って悔しそうな顔をする簡雍。次の言葉を発そうとした時、ビ竺が口を開く。
「お金なら貸しませんよ」
「うぇ?」
 簡雍が出鼻を挫かれて言葉を詰まらせる。大方そんな事だろうと予想できていたとは思うのだが、これも御愛嬌。
「そんな殺生な事言うなよー…新しいデジカメ買ったから懐寂しいのよー…」
「そんな事言われても貸せません。第一、休日があるのは分かってたはずですし…計画性の無さが招いた自業自得ですよ?」
「そ、そこまで言う事ないじゃん…」
 ビ竺の正論に打ちのめされる簡雍。ノープランな自分を自覚してるだけに言い返す言葉もないようだ。
「それに…外に出なくても遊んでくれる友達がいるのでは?」
「そんな奴いな…いるわ。サンキュ!」
 否定しようとしたが、脳内に該当する人間を見つけたようだ。嬉々とした顔で廊下を疾走していく。
 一人残されたビ竺は眠そうに目を擦るとふらりと踵を返して壁にぶつかっていた――


「へへー…法正いるー?」
 部屋の前に立ちノックをする簡雍。しかし、返事は返って来ない。
「ありゃ? 留守かな…鍵掛かってるし」
 がちゃがちゃとドアノブを回す、しかし押せども引けども微動だにしないドア。少し考えるような素振りを見せると、簡雍は懐からある道具を取り出した。
「緊急だからねー」
 周囲に人気が無い事を確認するとおもむろに鍵穴に何かを差し込んで二度三度と動かす。まるで手応えを探るように鍵穴をいじるその手は職人級の動きだった。
 程無くして、差し込んだ何かを抜くとドアノブをゆっくりと回す――軽い軋みが聞こえ、ドアが開いた。簡雍が何をしたかは説明できないが、良い子は決して真似をしてはいけない事は確かだ。
「ほーせー…?」
 そろりそろりと泥棒ステップで部屋に侵入する準犯罪者。ドアをゆっくりと閉めると鍵を掛ける。音を立てないように最小限の動きを展開しながら部屋を探索し始めた。
「まず手始めに…寝てないかなー?」
 静かに移動する簡雍、目的地である寝室をちらりと覗く。二段ベッドのシーツは上段下段共に綺麗に整えられていた。誰もいない事は目に見えて明らかだ。
「何処かに潜伏してるって事は…」
 大して広い訳ではないが隠れられそうな場所を徹底的に調べ始めた。クローゼット、浴室、トイレ…冷蔵庫の中も調べて自分にツッコミを入れる。ノリツッコミも好きらしい。一通り調べ終わると安心したように急に態度がでかくなる簡雍。
「なーんだ、本当に留守なんじゃーん。遠慮して損した」
 普通は遠慮云々以前に勝手に鍵を開けて部屋に侵入しないものなのだが、彼女にはそんな定説など通用しない。
 くるりと部屋を見ると、いきなり箪笥の引き出しに手を伸ばした。
「ふーん…寄せてあげるってヤツかな、これ。うわっ、これなんてやらしー…」
 どうも下着を漁っているようだ。一層危険度が増す簡雍、休日だからテンションが高くなっているのだろうか?
 下着を元通りに直すと今度は洗濯機の中を調べる。簡雍は本日最も危ない女になってしまったのかもしれない。ちなみに残念ながら法正は几帳面と言うかごく普通に洗濯物を溜め込まずにちゃんと洗って干しているようで洗濯機の中には靴下一足すら入ってなかった。
 それから十分余り部屋を物色し尽くした簡雍は、この部屋の最大の目玉とも言える代物を遂に発見していた。
「これは…日記だな! よーし…この憲和様が直々に拝見してやる!」
 法正のプライベートなど最早この女には関係ないようだ。
 記念すべき1ページ目を閲覧しようとした時だった、簡雍の耳に鍵を開けるような音が飛びこんだのは。
「やべっ…帰ってきた!」
 逃げ場のない簡雍。日記帳を元あった場所に戻すと素早く二段ベッドの下に潜り込んだ。この部屋で隠れられる場所もしっかり把握――退路の確保とまではいかないがしっかりしている。
 丁度タッチの差で法正が部屋に入ってきた。右手にはネギが突き出た買い物袋、左手にはティッシュの箱を持っている。きっと特売か何かだったのだろう、生活感溢れる姿だ。
「ふー…」
 荷物を下ろして大きく一息。首を左右に振ってこきこき鳴らすとテキパキとした動きで食料品を冷蔵庫に片付けた、実に手際が良い。
 再び簡雍の潜伏している部屋に戻ってくると、椅子に腰掛ける。そして、普通に口を開いた。
「憲和。どーやって入ったのか知らないけど、出てきなさいよ」
「…何でバレたの?」
 いないフリを通すでもなく、簡雍がのそのそとベッドの下から這い出てきた。
「あのねぇ…玄関に見知らぬ靴があったわよ。こんな事すんの憲和しかいないじゃない」
 怒るのもバカらしいのか苦笑いすら浮かべている法正。
「流石は法正だね…伊達に寄せてあげるブラを愛用してないわ」
「し、下着は関係ない! …ってか、見たの!?」
「ぐぇっ」
 簡雍の嫌味の聞いたジョークは法正の首絞め攻撃を招く事になってしまった――


 日も沈み、月と星が広がる時間。法正の部屋――

「あのさー…何でまだいるわけ?」
「んー…? 戻るのもだるいから今日はここに泊まるー…」
「泊まるの? もー…金取るよ?」
 キッチンから法正の声、二段ベッドの下段からは簡雍の声。昼過ぎからずっと居座っているようだ。法正が卵焼きを返し、サラダを盛りつけてテーブルに運ぶ。二人分から察するに夕食は食べていけという意志表示なのだろう。
「金ないから体で払うよー。たっぷりサービスするから」
「帰れ」
「冗談だってば」
 漫才をやってるつもりはないようだが、漫才のようなやり取りになる。絶妙な間は見事なものだ。法正は諦めたのか簡雍のお泊りを許可してキッチンに戻る。簡雍も法正に次いでキッチンに入ると冷蔵庫を開いて缶ビールを取り出した。
「いつの間に…」
「ここに侵入した時に入れておいたの」
「…最初から泊まるつもりだったのね」
「まーね。法正の分もあるから出しとくね」
 簡雍は缶ビールを二つ手に取って椅子に座る。法正も物申す事も無いようで苦笑いすら浮かべていた。
 程なくしてテーブルの上に味噌汁と卵焼きと塩鯖が並ぶ。サラダを除けば古き良き日本の料理。法正、意外と和食好きなのかもしれない。ごはんを盛って椅子に腰掛け、食事が始まる。ここからは少し二人の会話に集中してみたい。

簡「おー…この味噌汁美味いね」
法「そう? 味濃くない?」
簡「これくらいがいーんだって。私のトコに嫁いでこない?」
法「やだよ。私、それなりに普通の人生歩みたいもん」
簡「話変わるけど…今日って何で休日だったわけ?」
法「えーと…確かこの学園の設計が完成した日らしいよ」
簡「へぇ…こんな複雑な学園を作った人ねぇ」
法「名前は確か…あさ…」
簡「待った、それ以上は言うな。放送コードに引っ掛かる可能性が非常に高い」
法「私ったら何を言おうと…危ないトコだったわ…」
簡「誰にでもある事さ。…ごはんと味噌汁、おかわりー」
法「はいはい」

 法正手作りの夕食を食べながら二人の会話。笑ったり怒ったりと一定に定まらない表情、とても楽しそうだ。
 やがて夕食も終わり、法正が食器を洗い始める。その間に簡雍が汗を流しに浴室に入っていた。ちなみに簡雍から『一緒に入る』とやや危険な香りのする発言があったがやんわりと法正が断わるという場面もあった。鼻歌混じりに食器を洗う法正、エプロンが似合う。丁度食器を洗い終えた頃に簡雍が髪を拭きながら浴室から戻ってきた。その姿を見た途端、法正が慌てふためく。
「ち、ちょっと! パジャマ用意したのに何でバスタオル一枚巻いてるだけなのよ!」
「えー…いつも風呂上がりはこーなんだけど…」
「ダメー! ちゃんと服着なさいよ!」
「ちぇー…」
 ぐいぐいと法正に押されて渋々浴室に逆戻りする簡雍。何とも無頓着で無防備な事である。衣擦れの音が浴室の方から聞こえてくる、その音を聞いて法正もちゃんと着ようとしてるんだなと思っていたが…
「法正ー…胸きついー…」
「………我慢!」
「そんな事言ってもー…あ、ボタン飛んだ…」
「〜〜〜……!」

 ――その後、泣きそうになるのを必死に堪えながらパジャマのボタンを繕う法正の姿が部屋の隅にあった。
「シャツも胸きついんだけど…」
「文句言うなー…」
 簡雍が文句を言うのは控えた方がいいと思うが、文句も言いたくなる。自分のサイズに合わせて肌着、寝巻きを購入するのが普通。法正と簡雍も体格的にはそう差はないのだが、残念な事に胸のサイズだけは違っていたのだ。可愛そうな程に伸びた猫のプリント、最早猫として見る事は難しい。
「動きにくい…」
「ぶつぶつ文句言わないでよ! ほら、もう寝る!」
 これ以上心にダメージは負いたくない法正が部屋の明かりを強制的に落として二段ベッドの上段に上った。仕方なく簡雍もベッドの下段に横になる。目を閉じ寝る態勢に入ると徐々に眠気が起こり、やがて小さな寝息が聞こえ始める。

簡「朝になったら起こしてねー…」
法「目覚まし付けてるわよ…」
簡「おやすみー…」
法「おやすみ…」

「……………………………………………………」

簡「…胸きつい」
法「…………」
簡「いてっ…輪ゴム撃つなよ…」
法「ふん………」
簡「……貧乳」
法「…………」
簡「痛いって…飛び道具は卑怯だよ…」


 眠気を呼んだり殺したりと楽しそうな二人。でも、十分もしない内に静かになった。

 休日はのんびり羽を伸ばす事も――
 休日は友達と一緒に楽しむも――
 それは人それぞれだけど、この二人には後者が一番いいのかも――

38 名前:★ぐっこ@管理人:2004/01/19(月) 00:38
ちきしょ――っ! 今日も出遅れた!
旭祭バンザーイ!

>義兄上
一番槍見事!長湖部物グッジョブ!
なるほど、呉粲吾粲できましたか〜。
彼女にとっては、まさに学園人生を大きく変えることになる運命の出会い!
カタチとしては顧邵の故吏になるわけですから、後々まで長湖部の重鎮として、
顧姉妹のためにも尽力するわけですな(;´Д`)ハァハァ
しかし二年後。・゚・(ノД`)・゚・
ユカちゃんほか、第二世代も目白押し! たしかに呉ファン垂涎のメンツですやね…

>那御さま
キイタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ッ!!!!
相変わらずいい仕事だ…
哀愁漂いつつも、激情家っぽい周瑜の雰囲気が…。
きっとアニメ版の赤壁とかだと、このアレンジがBGMになってるのだろうな〜

>アサハル様
>>33-35出過ぎだぞ! そのパンフは漏れが頂いている(;´Д`)ハァハァ
ちうか、ナニゲにそのネタげと。相変わらず構想だけは完成してる旭祭週間用
SSでコラボレートできるやも!

>教授様
おおうぅ! さすが簡雍たんと法正たんネタ本家!
日常ネタでかつ萌えネタが入っているという(;´Д`) いいな〜!お泊まりいいな〜!

ちうか。
涙目でボタン縫う法正たんの背中に萌え♥

39 名前:那御:2004/01/19(月) 00:52
>教授様
またまた法正&簡雍キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!
法正の日常が随所で分かるってのが萌えです!
休日をこういう風に楽しんで(?)に過ごせない自分が鬱になるほどでしたw
学三SSの力、恐るべしw!

>ぐっこ様
Σ( ̄□ ̄; パンフ争奪戦敢行でつか?

40 名前:★玉川雄一:2004/01/19(月) 01:49
あははーっ、祭りですよーっ(´∀`)

■那御さん
相変わらずミラクルサウンド!
音楽を評するボキャブラリーが貧困なのがもどかしくはありますが、
転調するところとか、ギター特有のじんわり感とか最高でございますよ。
やはり周瑜が弾いてるとこ想像すると絵になりますねえ。
何度も試行錯誤を重ねて、自分だけの音を追究してゆく光景が浮かびますわ。

■アサハルさん
あーあ、これだから祭りに名前付けられちゃうんですってば(^_^)
またまたカッ飛ばしてくれちゃって!
シン&コーちゃんコンビの凛々しさもさることながら、背後の旗!
髪を揺らす風にはためく様を想像しただけで卒倒モノですわね。

■プロフェッサー!(゚∀゚)ゝ
祭りだ、祭りですがな! 簡×憲ますます絶好調!
こう、“色っぽさと萌えのボーダーライン上”の雰囲気が絶妙ですよう。
これ以上僅かでも色っぽ方面に振れちゃうとアレですが、
ギリギリのライン上の攻防戦(?)がストライクですわ。

>>38-39
まあアレだ、パンフの印刷は弊社が責任を持って行うゆえ、
掲載写真原稿は一枚残さず私が預かる。

41 名前:★惟新:2004/01/19(月) 01:54
教授様ー!! お待ち申し上げておりましたー!!
相変わらずの職人芸、お見事にございます!

なんだかんだ言って法正の所に遊びに行く簡雍ったらもう!
んでもって法正は法正でちゃんと面倒見ちゃうし!
細やかな描写部分もしっかりポイントが! ポイントが! (;´Д`)ハァハァ…
んでもって二人のやり取り、会話の一つ一つも破壊力高し!
そして夜は…ああ! 萌えすぎてもう言葉にならないー!
簡雍・法正の休日、存分に堪能させていただきましたわ〜

>玉川様
>こう、“色っぽさと萌えのボーダーライン上”の雰囲気が絶妙ですよう。
それですよそれ! それゆえに破壊力倍増!
だから思わず床の上をローリングローリングして悶えてしまうのです(^_^;)

42 名前:★ヤッサバ隊長:2004/01/19(月) 17:33
一日遅れで「はだシャツ魏延たん」完成(つ_T)
http://gaksan1.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/upboard/updir/gien_matsuri.jpg
取りあえず18禁ではありませんが、それこそ色っぽさと萌えのボーダーライン上ギリギリの死闘の末の完成品ですので、
ご覧になられる際はご注意をば(^^;


しかし、それにしてもコレのどこが祭と関係あるねん_| ̄|○
一見すると、魏延がホテルに連れ込まれうわなにするんだお前やめ(ry

43 名前:7th:2004/01/19(月) 19:26
昨日はあれ書いて力尽きた…
そう言うわけでここの感想です。

>玉川様
第二世代ズの出会いですか。でもこの人達、揃いも揃って二宮の変で…・゚・(ノД`)・゚・
『マリ見て』っぽいとのことですが、自分はマリ見て未読…これを機に読んでみるかな?
>強襲揚陸艇『天馬(ペガサス)』、『駿馬(サラブレッド)』、『木馬(トロイホース)』、『白対手(ブランリヴァル)』
そのうち『グレイファントム』とか『アルビオン』とか出て来るんでしょうかね?

>那御様
なんか…俺より強い奴に会いに行きたくなりました。
蒼天航路で周瑜が荀揩ノ会ったときに弾いた、「北の哀調に南の音色が〜」の逆をいくような感じの曲ですね。
きっとこっちが周瑜の本当の持ち味なんでしょうな。

>アサハル様
おおっ、なんかファンタジーっぽい!この服って青空に映えるなぁ。
それはそうと、皇甫嵩の持っている刀、あれってもしかして皇甫規が贈ったやつだったりしますか!?

>教授様
流石は本家様!自分の作品なんかとてもじゃないけど及びませんわ。
特に萌えと色気。もう(;´Д`)ハァハァしっぱなしです。

>ヤッサバ隊長様
ぬお!色っぺぇ!まさか魏延にここまでハァハァするとは思いもよりませんでしたわ。
>一見すると、魏延がホテルに連れ込まれ
この後魏延のパンチが炸裂、一撃でノックアウトする羽目になりそう(^^;

皆様、乙でございました。万の good job を捧げさせて頂きます。

44 名前:★惟新:2004/01/20(火) 00:18
隊長━━━━━━(゚∀゚)ゝ━━━━━━ !!!
あの漢魏延が、なんというあられもない姿に!
くぅ〜! 漢魏延の身に一体ナニが起きたとですかー!(*´Д`)
そうだ、せっかくですから誰か設定とかSSとかキボン!
本当は私も書きたいんですけど…自分のことで手一杯なんスよ…_| ̄|○

45 名前:★ヤッサバ隊長:2004/01/20(火) 01:08
>漢魏延
もし宜しければこうなった背景のSS書きましょうか?(w
今日は今から寝ますので、また後ほどになりますけれど(^^;

46 名前:★ぐっこ@管理人:2004/01/20(火) 01:24
Σ(;´Д`)ハァハァ…
漢魏延め、侮れん…!

さておき時間がねえよヽ(`Д´)ノ 自動的に大トリつとめるの私になりそう。
まあ、間に合わなきゃ外伝てカタチで後日発表できるし(^_^;)

47 名前:おーぷんえっぐ:2004/01/20(火) 05:08
遅れなせばがら・・・”旭記念日祭り”おめでとうございます<(_ _)>
皆さんの力入ったSSや、音楽・イラスト等々一覧させていただきました。
各人の得意技をフルに発揮した作品に、ただただ・・・感服する次第であります

自分、参戦表明しなかったのも、実際描くのに少々時間取られそうだったもんで・・・
自分は文章書くと文章にならないし・・音楽なんか、友人の引くピアノで
”絶対音感ゲーム”などをさせられた時など、”ド”を引いたにも関らず”ファ”と
答えてしまう始末w 他に才ある人がうらやましい限り!(T□T)

でも、なんとか出せるものが完成しました! まぁ、懲りずにマンガなので
ありますが、2Pほどの作品ですw
”旭記念日祭り”という事ですので、今回はアサハルさんのキャラ原案を借用しての
一品となりました! ”萌え”主体との事だったので”お風呂上がりの三姉妹”を
完成させて上げようとも思いましたが・・・これは又後日にw
内容的には、少々著作権問題に引っかからねば良いのですが・・・まぁ、いいや!<おいっw
”萌え”という主旨にも反してるかもしれないけど・・・まぁ、いいや!!<おいおいw
とにかく、できあがったのでリンク貼って逃走します〜〜w 
題名”偉大なる呪い!”にて

http://openegg.bbzone.net/gaku-3/present/idai-noroi01.html target=_blank>http://openegg.bbzone.net/gaku-3/present/idai-noroi01.html  ε=ε=┏( ;・_・)┛ すたこら

 

48 名前:雪月華:2004/01/20(火) 06:11
ええと、盛り下げるようで失礼なのですが…
土曜日、二年にわたって、私の相棒を続けてきた、
ノオトVAI男君が、悲惨な墜落死を遂げてしまいました。
もう電源を押しても、答えようとはしてくれません。
で、日曜日、新たなる相棒「ヴァリュスタ二世」を購入してきました。
VAI男君の4倍、高校入学祝に買ってもらった「ヴァリュスタ一世」の、
実に20倍の戦闘力を誇る万夫不当の豪傑です。
…察しの良い方は気づいたかもしれませんが、
書きかけだった旭日祭りのSS、倚天の剣などの長編、その他短編のすべてが

消えてしまいました

…まあ、それほど出来はよくなかったのですが…
ちょうどいい機会なので、学三に対する充電&冷却期間を設けようと思います。
少なくとも、倚天の剣を完結させるまで、こことラウンジ、カフェには姿を現さないつもりです。
では、桜の花の散る頃、もしくは桜の葉の散る頃、またお会いしましょう。

皆様方におかれましては、ご健康に気をつけて、佳き学園生活を送られますように…

49 名前:★ヤッサバ隊長:2004/01/20(火) 11:13
●魏延 空白の一夜●



…体が何だか重い。

…頭が割れるように痛い。

…今、何時だっけ。

…ええっと……ま、いっか。


1月18日、早朝。
魏延は、この日が学園の休日であるのを良い事に、すっかり深い眠りの中にあった。
しかし、彼女はある違和感を感じ始めていた。
冬だから、寒いのは分かる。
だが、その身を包むのはいつも寝る際に着用しているパジャマでは無く…。

「ううっ、寒っ…」

体全体を覆う奇妙な気だるさを吹き飛ばすような寒さが、彼女の身を痛い程に刺した。
そのお陰で、ようやく魏延の瞼が開かれる。

「んん〜っ…!」

そして、上半身を起こすと、全身に溜まった奇妙な疲れをほぐすべく、大きく伸びをする。
だが、その時ようやく魏延はある事に気づいた。

「な…っ!?」

目を下にやって、自身の体を見渡す。
すると、彼女の身を包むのは白いカッターシャツ一枚のみだったのである!!

「なんじゃこりゃぁぁぁぁぁッ!?」

魏延は、某有名刑事ドラマの若手刑事の殉職シーンの名台詞のごとき絶叫を、部屋中に響かせた。
彼女自身、何故このような姿でいるか全く理解出来なかったのである。

(ええと、思い出すのよ…昨日の夜は…そう!
 今日が休日だってんで、帰宅部の宴会に出席したんだった…!!)

魏延の脳裏に、段々と昨夜の様子が思い出されてきた。

(そっか…あたし、酒を部長達に飲まされて…)

そもそも、未成年の飲酒は法律に反するのだが、蒼天学園自体半ば治外法権の学園であるからして、生徒中に飲酒の習慣が広がっていても、全く不思議ではない。
無論、生徒会には風紀委員が存在するし、帰宅部連合内に於いても、やたらその手の事に厳しい輩もいるのだが。
しかし、だからと言って読者諸兄は真似しないように。

(ええっと…それから……)





「オラ〜! 文長、飲んどるかぁ〜!?」
「おおう!? 文長、酒宴の席でそんな堅いカッコしてんじゃねーよ!
 オラ、脱げェ!!」
「や、やめて下さい、張飛先輩ッ!!
 み、皆!! 見てないで止めてェッ!!」

酒豪の簡雍だけならまだしも、この日は帰宅部員ほぼ全員が酒気を帯びていた。
魏延は張飛によって制服の上着を脱がされ、カッターシャツ一枚にされてしまう。
魏延は必死になって抵抗しようとするが、悲しいかな人並み外れた腕力を誇る魏延ですら、張飛の前では赤子同然であった。
さらに、制服のカッターが第一ボタン、第二ボタンと、次々と外されてゆく。

「ギャーーーーッ!!
 何であたしだけこんな事されなきゃならないのよォッ!?」
「オラオラ! 抵抗するんじゃない、いっちゃえよ!!」

 なおも、マウントポジションの体勢で酒瓶を直接口に当てて飲まされる。
頭の中がグルグルと回転し、最早思考もロクにおぼつかない。

「はぅーっ…」

そして、魏延は目を回して完全に出来上がってしまうのであった。

「オーッ!! ええ飲みっぷりやったで文長!!」
「ええ。漢女たるもの、酒に強くなければならないものね」

その様を、自身も酔っ払いながら観戦する劉備と関羽。
ってゆーか関羽さんよ、あんたも止めんのかい。

「グフフフ〜、良いわねェ、ぶんちょうタンの乱れっぷり!!
 貰ったァッ!!」

カッターシャツの第二ボタンまでも外され、胸の谷間を覗かせているへべれけ魏延に向けて次々とシャッターを切る簡雍。
もしその手のサイトに掲載すれば一日でメガヒットも夢では無さそうな写真になりそうな「それ」は、後に魏延の怒りの復讐劇によって見事全て回収されるのであるが、それについてはまた次の機会。

「えぅ〜…やめれくらさいよぉ、簡雍先輩ぃぃ〜…」

最早彼女は漢魏延と呼ばれた豪傑などでは無く、ただの酔っ払い娘と化していた。
そんな中で、普段は彼女の剛毅さに押され気味であった諸葛亮一派の一人、楊儀が魏延に詰め寄る。

「あはは〜☆ 魏延、あんたも酒が入るとそんなんになっちゃうんだぁ。
 ウフフ、いいわぁ……」

かなり危険な笑みをこぼす楊儀。
普段であれば、魏延がそんな彼女を一喝した後、泥沼の口喧嘩に突入するところであろう。
しかし、魏延は最早目の前の人物が誰なのかすら理解出来なかった。

「ほええ〜…?」
「部長〜ッ!! 魏延借りてって良いですかぁ〜?」
「ええでぇ〜、ウチらも、もう十分堪能したしなぁ」

劉備は、楊儀が何をしようとしているのか全く察する事が出来ず、事もあろうに快諾してしまうのだった。

「ありがとうございま〜す。んじゃ、行こっかァ?」
「う、うぃ〜ッ…了解であります、隊長!!」

楊儀は、魏延の腕を掴んで、ズルズルと部屋を後にする。
そして、そんな彼女の顔には妖しげな笑みがこぼれていた……。

「さ〜て、コイツへの日ごろの恨みをどうやって返してやろうかしら。
 やっぱり、こーゆー時わぁ……ウフフ…」
「ううう〜、」

頭の中で、良からぬ妄想を抱きつつ、楊儀は魏延を引っ張って仮眠室までやってきた。
そして、準備万端で敷かれていた大き目の布団に魏延を寝かせると、スカートを脱がせ…。

「はう〜…何なのよぉ〜?」

酔っ払って思考回路が働かない魏延は、これから何が起ころうとしているのか、全く理解出来ないでいた。
そして、楊儀が実は女色家であると言う事実も。

「さ〜て、いっただっきま〜す…♪」

こうして、楊儀と魏延の夜は更けてゆく。
この後、ここで一体何が行われたのか。それは読者諸兄の想像にお任せするとしよう。


ちなみに、その後仮眠室にやってきた一人の部員が、魏延がカッターシャツのボタンをすべて外された挙句下着を下ろされた姿で発見した時には、既に楊儀の姿は無かったという。
その部員は慌てて魏延の衣服を直し、その他の部員を呼んで魏延の自室に運んだという訳である。





「お、思い出した…思い出したわ……!!!!」

全てを思い出したとき、魏延の怒りは爆発寸前であった。
そして、怒りの矛先が楊儀、そしてかのような乱れた姿を写真に収めた簡雍に向いたのは言うまでも無い。
酒を飲ませて酔いつぶれさせた劉備達に対しては、部長及び幹部という手前、心の中で怒りの炎を燻らせるのみで留まったのだが…。


「許すまじ、楊儀ィィィッ!!!」


今回の教訓。
魏延に酒を飲ませるな。

50 名前:★ヤッサバ隊長:2004/01/20(火) 11:32
ちう訳で、昨日掲載した「アレ」の詳細であります。
本来ならSSの挿絵として一緒に掲載したいところだったのですが、
流石にマズいかな、と(^^;
「アレ」を別窓に表示してお読み頂ければ幸い。

それにしても、楊儀にアレな本性があるという設定を勝手に継ぎ足してしまい、誠に申し訳ありません(滝汗
なお、その夜魏延と楊儀が二人っきりで一体ナニが行われたかについては、余りにも刺激の強い内容となってしまう為に、割愛させて頂きましたが(^^;

まぁ、魏延があんな風になる為には、酒でも無ければ不可能ですし…。
反則技とは思いつつも、メーターが振り切れるような中身にしてしまって、本当にごめんなさい(^^;


PS.良く考えたら学園暦31年1月18日だと、関羽は荊州総代の任について荊州攻略を始めた頃ですな(滝汗
まぁ、矛盾については深く考えないで下さるとありがたい(^^;

51 名前:★ヤッサバ隊長:2004/01/20(火) 11:38
>雪月華さん

ご愁傷様でした…ごゆっくりと充電され、春にまた相見えんことを。
ちうか、PCがイカレるのは致命的ですなぁ…私ももう、いつどうなってしまうか分からないのでドキドキもんです(^^;

52 名前:★惟新:2004/01/20(火) 21:07
■■■■ Party's Party! ■■■■

☆★ 始まり ★☆


 息を吐くと、白かった。それが面白くて、何度も息を吐いてみる。
「冬だねぇ…」
 一頻り寒さに身を震わせると、朱儁はのそりのそりと歩き始めた。
 まだ黄巾事件は発生していない。この時期、学園は比較的穏やかだった。

 朱儁が招集を受けてやって来ると、すでに面子は揃っていた。
「おいっす!」
 声とともに手刀を突き出す。
 しかし、室内は重い空気。
「あれ…どったの?」
 腕を組んだ皇甫嵩が、頭だけをこっちに向けた。
「休日返上、なんだそうだ」
「なんですとー!」
 素早くカサカサ走り、朱儁は皇甫嵩にしがみ付く。
「そんな殺生なぁ! せっかくの休みだよ? ほら、のんびりおコタに入ってー」
「お前の妄想に付き合ってる暇は無い」
「…ううー。子幹ー、最近義真が冷たいよー」
「ふふ…よしよし」
 しがみ付いてきた朱儁の頭を、盧植が撫でる。
 しかし、皇甫嵩が薄ら笑う。
「言っとくが公偉、休みを取り上げたのは子幹だぞ」
「えぇ?」
 朱儁が覗き込むと、盧植はニコニコしている。
「おのれ騙したな! ね、建陽は? 建陽は味方だよね?」
「ふあぁぁ……んに?」
 眠そうに、丁原は目を擦る。話を聞いていないのは一目瞭然。
「観念しろ。ここにお前の味方は一人もいない」
「ふみゅう…」
 肩を落とし、朱儁は椅子に腰掛けた。触覚もしんなり。
 そこに、一枚のプリントが差し出される。
「地図?」
 下[丕β]、の文字。
 顔を上げるとそこには盧植。
「18日は、お使いに行ってきて欲しいの」
 地図に目を落とすと、交通手段、所要時間が書いてある。目的地は……
「メロン?」
「そう。それを10玉ほど」
「10玉ぁ!? それ配達してもらおうよ〜」
 ふにゃふにゃと、机に突っ伏す。
 それでも、盧植はニコニコと。
「こっちから一人行って、品定めしたのを持って来いって」
「もう…誰よ、そんなこと言ったの…」
 盧植は一層ニッコリ笑い、胸の前で手を合わせる。
「鄭玄先輩」
「……マジ?」
「マジマジ」
 ウンウン頷かれる。
 鄭玄といえば、ある意味学園最強の人。孔丘校長の熱烈なファンでもある。
 校長は食通として有名だから、鄭玄がそれに倣うのも想像に難くなかった。

――そんなこんなで。
 盧植はヘイホー牧場へミルクを。
 丁原は晋陽へミカンを。
 朱儁は下[丕β]へメロンを。
 そして、皇甫嵩は漢陽へイチゴを。
 それぞれ取りに行くことになったのである。
 何のためのお使いかは、盧植だけが知っていた。

53 名前:★惟新:2004/01/20(火) 21:08
☆★ 盧植 ★☆


 盧植がバスを降りると、そこには4名の女生徒がいた。制服から、中等部だとわかる。
「ご無沙汰です、先生」
 言ったのは、公孫[王贊]。その横に劉備、後ろには関羽、張飛。
「ごきげんよう、伯珪、玄徳。それに、皆さん」
 優雅にご挨拶。さらに言葉を繋ぐ。
「ごめんね、手伝わせてしまって。それも、こんな朝早くに」
「そんなんいいんすよ〜」
 と劉備。
「こいつらなんて牧場や牧場や、牛や馬や動物やと喜んでますよって!」
「あ…いや…」
 関羽が手を挙げかけるが、諦めろ、と張飛に肩をたたかれる。
 盧植は歩みを進め、その二人の前へ。
「関羽さんに、張飛さんでしたね。これからも玄徳のこと、よろしくお願いしますね」
 きらめく笑顔。それは薔薇の花が咲いたように華やかで。
 二人にとって盧植は、彼女たちが惚れ込んだ姉貴が、さらに師と仰ぐ人である。…当然、
「はい!」
 と、目を輝かせるのだった。
「ところで…」
 盧植が辺りを見渡す。
「確かもうお一人…」
「あああ、あれは急に具合が悪ぅなりましてん…」
 ぶっちゃけ、簡雍は逃げた。
「そう、それは残念ね。ご挨拶が出来ると楽しみにしてたのに」
「いや〜ホンマですわ〜」
 言いつつ、劉備は耳たぶをいじる。
 この頃の劉備には、嘘をつくと耳たぶをいじる癖があった。
(あらあら…)
 盧植はくすりと笑う。
「さあ、それでは参りましょうか」
――登ること数分。
「牧場や牧場や! 牛や馬や動物や〜!」
 劉備が駆け回る。
「おーい、あんまはしゃいで怪我すんなよ〜って、劉備あんたがはしゃぐんか!?」
 公孫[王贊]が盛大につっこむ。
「え? 何ですぅ?」
 劉備は、無邪気に首をかしげ。
「あらあら、玄徳ったら…」
 盧植は鈴の鳴る声で笑う。
 と、そこへ。
「おはようございます!」
 闊達な声が響く。
 振り返ると、数名の男子。南匈奴高校畜産科の生徒である。
 学校側とは話がつけていて、彼らはミルクを運ぶ手伝いをしてくれる約束だった。
「まあ。ごきげんよう、皆様」
 そして、盧植は優雅にご挨拶。
 途端、男子たちに衝撃にも似たどよめきが走る。
「可愛い…」
「可憐だ…」
「美しい…」
「くぅ〜!」
「タマンネー!」
 思い思いに身悶える野郎ども。
 公孫[王贊]はそれを遠巻きに見やりつつボソリと。
「騙されてる、騙されてるよ…」
「何か、おっしゃいまして?」
 くるり。盧植先生が怖いくらいの笑顔で振り返る。
 その袖口に目をやると――二丁の拳銃がキラリ。
「ひっぃ! い、いや、何でも…あはは…」
 公孫[王贊]は思わず頭をかいて誤魔化す…が、男子たちの視線に気付いて一変。
「オラ! お前ら何見てやがる! とっとと出すもん出しやがれ!」
 公孫[王贊]ご自慢の大声量に、男子生徒A〜Eは驚きすくみあがった。
「あ、姐さん…それじゃまるでカツアゲみたいでんがな…」
 劉備が思わずつっこむ。その横で関羽が
「それ以前に男子高校生を怯えさせる女子中学生というのも問題かと…」
 などと言うが、誰も聞いていやしない。
 そんな中、盧植が割って入った。
「伯珪、ダメですよ? そんなふうにおっしゃっては…
 あの方たちは私たちの手伝いをしてくださるのでしょう?」
 そして向き直り、
「ごめんなさいね。この子も口が悪いだけで、とてもいい子なんですよ」
 そう言って、また優雅に頭を下げる。
 男たちは再度盛り上がり…
「だから騙されてるってば」
 公孫[王贊]は頭を抱えるのであった。

 実はこの男子生徒の中に、のちに中華市中を放浪することとなる於夫羅がいたのだが、
それはまた別のお話である。

54 名前:★惟新:2004/01/20(火) 21:08
☆★ 丁原 ★☆


「ん…ふぅ……っ!」
 思いっきり伸びをする。
 そのまま体を回し、軽く体操。
「さ、目が覚ますぞっと!」
 パンパン! 顔をたたく。
 そこで、丁原はやっと周囲の光景を見る。
「あれ?」
 想像していたのとはまったく違う世界。
 薄暗い空は相変わらずだが、見渡せば、山、山、山。
 あっちこっちから鶏の鳴き声が響いてくる。
「何ここ? タイムスリップ? …んなわけないか」
 丁原はまだ血の巡らない頭を、必死に回転させる。
 早朝まだ暗いうち。晋陽方面行きのバスに乗って、アナウンスが聞こえて、降りて…
「あれ?」
 アナウンスが聞こえてから、記憶が飛んでいるような。
「う〜ん、う〜ん」
 悩んでいると、どこからか息遣いが聞こえてくる。
 目をやると、目深にフードをかぶった大柄な人物が、軽く走っていた。早朝ジョギングらしい。
「お、ちょうどいいや。おーい!」
 駆け寄りながら、手を振ってみせる。
 …が、まったくの無視。
「んが。…何もシカトすることないじゃんか!」
 ムキになって並走。小柄な丁原と並ぶと、相手がいかに大きいかがわかる。
 しかし、その巨人は相変わらずお構いなし。
「むむむ…」
 5秒。大噴火。
「ムッカー!」
 丁原は巨人の腰を掴み、必死に止めようとする。
 …が。
「ひえええええ〜っ!」
 全く止まらず、逆に引きずられてしまった。
「ま、負けてたまるかーっ!」
 何とか体勢を立て直し、今度は巨人の前に出る。
「ぐぬぬぬぬぬ〜っ!」
 巨人のお腹に両手を当て、全力で止めようとする。
 すると。急に、体が軽くなった。
「ふに?」
 巨人と同じ目線。
 目が合って、互いにパチクリする。
 そこでやっと、丁原は自分が持ち上げられていることに気付いた。
「うわああん! 放せ!」
 ジタバタもがく。その手が、偶然相手のフードを浮かせた。
「あ…」
 覗く、鋭い双眸。屈強そうな顎。そして、ドレッドヘアー。
「わお、クール!!」
 見るなり、丁原は親指をグッとつき出した。
 巨人は首をかしげた。
「くー…る?」
「カッコイイってこと!」
 やっと降ろされて、丁原はぴょんぴょん飛び跳ねた。
 次第に、巨人の瞳が驚きの色を帯びる。
「カッコ、イイ…の?」
「可愛い、の方が良かった?」
「なっ…」
 ありありと、頬が紅潮する。
 なんか、面白い。丁原は、そう思った。

「ここは五原。私は、呂布。蒼天学園中等部、3年」
「そっか、あんたも蒼天学園なんだ」
 丁原が下から覗き込む。
「ね、こんなところでさ、いつも何して暮らしてんの?」
「え……熊さんと戦ったり……」
「クマ!?」
 それじゃ金太郎である。
「クマって…あの、月の輪熊とか、グリズリーとか?」
「いや…熊さんは…近所のおじさん…」
 盛大にコケる。
「ああビックリした。それで? 何でこんなところに住んでるのさ?」
「生まれた、山だから」
 そう言って、呂布は遠くの山々に視線を投げかける。
「ふぅん」
 丁原は片眉を跳ね上げ。
「ね、たまにはさ、街に行こうよ?」
「街…?」
「一緒についてきなよ。なんか、あんた面白いしさ」
「いや、でも…」
「今日は何も無いんだろ? それとも、何かある?」
「いや、特に…」
「じゃあ決まり! 急ぐから、今から行くよ!」
 丁原が引っ張る。
 最初のときとは打って変わって、呂布が引きずられる。
「え、あ、でも…今朝のメニューは…鯨の竜田揚げ…」
「アハ! あんたいつの時代の人だよー?」
 バシバシ叩かれ。呂布の抗弁は、空しく終わったのであった。

 のち、丁原が[千千]州校区総代に任じられたとき、二人はまた再会を果たすが、
それはまた別のお話である。

55 名前:★惟新:2004/01/20(火) 21:08
☆★ 朱儁 ★☆


「どんな〜坂〜、こんな〜坂〜」
 楽しそうに歌いながら、朱儁は緩い坂をどんどん上る。
 早朝。川沿いの町、下[丕β]。
 ここに、それはそれはたいそう美味しい温室メロンがあるそうな。
「品定め…ってことは、味見くらいできるよねー?」
 思い浮かべては、うっとりと目を輝かせるのであった。
 そのとき、朱儁の触覚がぴくんと反応した。
「うみゅ?」
 辺りを見渡す…と、そこには年配のご婦人。
 駅への階段を、杖を突きながらゆっくりゆっくり昇っている。
 その階段が、また長い。
「うわ。ここってまた不親切な駅だわ」
 お年寄りは大切に、というキャッチコピーとともに、
 くれぐれも寄り道しないでね、という盧植の声が聞こえる。
 2秒ほど朱儁の触角が揺れ。ピーン!
「ま、ちょっとくらい遅れてもいいよね」
 言いながら小走りに駆け寄り、老婦人に声をかけたのであった。

――すぐに、朱儁はそれを後悔することになる。
 なぜなら、この駅を訪れるお年寄りは、しばらく尽きることが無かったからである。

「……や、やぁ…みんな……」
 思いっきり息を切らせ、ヘロヘロになりながら朱儁は手を挙げる。
 彼女は駅の階段を何往復もしたのち、上り坂をひたすら走ってきたのだった。
「お、お疲れ様です……」
 朱儁の凄惨な姿に、待っていた中等部の女生徒たちが一様に引きつる。
「さ…行こうか……」
「あ、あの、大丈夫ですか? 少し休まれては……」
 気遣う女生徒。
 しかし。
「いいの」
「…はい?」
 朱儁の目がくわっと見開く。
「いいの!! 私が行きたいの!!!」
「は、ハイィッ!?」
 迫る。壮絶な勢いで迫る。
「ひ、ひぐっ……わ、わかりましたぁ〜…」
 哀れ、情けをかけた女生徒は今や半泣き状態である。 
 だが、それでも朱儁は。
(まだ、まだなのよ…私は成し遂げていないのよ…
 そう…メロンを食べるまでは!!!)

 結局、今度は朱儁のほうが助けられるカタチで歩き、
 やっとこさ、ガラス張りの温室の所へ辿り着く。
(着いた……これで、やっと……)
「おお、やっといらしたか。程普、案内ご苦労!」
「は、はい…」
 程普はまだ半泣きだった。
 彼女に代わり、声をかけてきた女生徒が朱儁を支える。
「何があったかは存じませんが、大変でいらしたようですね」
(メロン…メロン…)
「私、依頼を受けておりました、孫堅と申します」
(メロン…メロン…)
「あまりに遅かったものですから、先にこちらで品定めをし、梱包まで済ませておきましたよ」
(メロ…ん?)
 ギギィ…と、朱儁が孫堅を見上げる。
「今、なんと…?」
「? ですから、後はもう運ぶだけだと」
「なっ……!!」
 ズギャーン! 朱儁の全身を雷撃が貫く。
(なっ、なんですってぇえええええ!!!)
 心で叫ぶとともに、朱儁はその場に崩れ折れた。
「どうなさいました? 朱儁先輩? 先輩?」
 どこか遠くで、孫堅の声が聞こえる。
 薄れゆく意識の中で、しかし、朱儁は永遠の誓いを立てたのである。
(孫堅め…いつの日か思いっきりこき使ってやるぅう!
 この恨み…晴らさでおく…べき…か……)
「先輩? 先輩ー!?」
 そんなこととは露知らず。孫堅は呼びかけ続けたのであった。

 数ヵ月後。黄巾事件が勃発すると朱儁は孫堅を帷幄に招き宿願を果たすが、
それはまた別のお話である。

56 名前:★惟新:2004/01/20(火) 21:09
☆★ 皇甫嵩 ★☆


 風が、少し砂っぽい。
 漢陽に降り立って、最初に感じたのはそれだった。
 ふいに圧迫感を覚え、思わず立ち止まる。
 そこへ、何かが投げ込まれた。
「何者!?」
 反射的に掴むと、それは竹刀。
「これは一体…」
 突如現れる“気”。
 すぐに構え、摺り足で周囲をぐるりと見渡す。
「……上か!」
 朝日を背に跳躍する肢体。その顔には覆面。
 地に落ちたかと思うと、それは驚異的な速さで迫って来た。
 気合を一閃。
「チェストオオ!!」
 ざっ。
 あと一歩踏み入れば打ち込む、というすんでのところで、覆面は後方へ跳んだ。
 しばしの睨み合い。そして。
「……恐れ入りました。さすがは、音に聞こえた剣の達人です」
 覆面は無防備だが、皇甫嵩は残心したまま。
「何ゆえの狼藉か」
「二の太刀要らずの剣」
 自らの覆面に手を掛け。
「その二の太刀とやらを、見てみたかったのです」
「……ほう」
 現れた姿は、まさに美丈夫だった。
 皇甫嵩自身もかなりの長身であり、密かに“ミスター蒼天”などと呼ばれていたりするが、
しかし、相手のそれは上回る感すらあった。
 その相手が、長躯を曲げて膝を折った。
「ご無礼の段、何卒お許しください。私は中等部3年、傅燮と申します」
 そこではじめて、皇甫嵩は竹刀を納めた。
「そうか、君が傅燮か。噂には聞いていたが、ずいぶんと無茶をする」
 仕事振りには定評があるが、なかなかの問題児。
 盧植からはそのように聞かされていた。
「それで、気は済んだのか?」
「はい。これで、心置きなくあなたの指揮に従うことが出来ます」
 そう言って、再び傅燮は長躯を折った。
 皇甫嵩は溜息をつき、
「小癪な物言いをする」
 竹刀を手渡し、苦く笑った。

 注文のイチゴを受け取っていたときだった。
「おや。あなたは、もしや皇甫嵩様では?」
 振り向くと、高等部の制服。
 しかし生憎と、皇甫嵩にはその顔に見覚えが無かった。
「失礼。どこかで、お目にかかりましたか」
「いえいえ、私が勝手に存じ上げているだけでございます」
 恭しく頭を下げる。
「私、韓遂、と申します。端役とは申せ、蒼天会でお役目を頂戴しております」
「ああ、そうでしたか。これは失礼申し上げた」
 皇甫嵩もまた恭しく頭を下げる。
「ときに…」
 韓遂。
「皇甫嵩様は、いかなるご用向きでこちらまで?」
「用向き、ですか」
 お使いでイチゴを買いに、なんて言いにくいことだが。
「イチゴを運んでおります」
 現場を見られてしまっては言い逃れも出来ない。
「そうですか、イチゴを」
「そうです、イチゴを」
 言って、不適に笑いあう二人。
 ふいに、韓遂の目が妖しく光った。
「皇甫嵩様ほどの大人物にイチゴを運ばせるとは、蒼天会も大したもので」
 ジリ…
 知らず、体が下がる。
 直感が叫んでいた。この女は危険だ、近寄ってはならない、と。
 皇甫嵩の異変に気付いたか、韓遂は和やかに笑って見せた。
「それでは、お気をつけて、イチゴをお運びください」
「ありがとう。私は気をつけて、イチゴを運ぶことにします」
 笑顔を交わし。韓遂は踵を返した。
 その背中、ウェーブのかかった長い黒髪を眺めつつ。
 皇甫嵩は、恐るべき時代の到来を、予感せずにはいられなかった。

 皇甫嵩、傅燮、韓遂。三人の運命は複雑に絡み合い、時代を創っていく。しかし、
それはまた別のお話である。

57 名前:★惟新:2004/01/20(火) 21:09
☆★ Party's Party! ★☆


 昼過ぎには、四人ともその役目を終わらせていた。
 搬送を手伝ってくれた人たちにはそれぞれが丁重に礼を述べ、送り出したが、
呂布だけは、丁原が離さなかった。どうやら、今夜は泊めてやるつもりらしい。
 皇甫嵩、朱儁、丁原、呂布の四人は、何となしに集まって、しばらく休んでいた。
「ああ、ちょうど良かった!」
 そこへタタタ…と、盧植が駆け寄って来て、
「皆様、鄭玄先輩がお呼びになってますわ」
 そう言って、ニッコリと微笑むのだった。

「ほう……」
 皇甫嵩が感嘆の声を上げる。
 その横で、鄭玄が誇らしげに胸を張った。
 ウェディングケーキと見紛うような、巨大ケーキ。
 まだ完成途上であったが、その大きさは並外れたものだった。
 新年パーティ。
 それも劉家の主催で、袁家をはじめとした超名門のお嬢様だけが参加を許されるという代物。
 その目玉として鄭玄が依頼されたケーキが、これだった。
 盧植は、いうなれば鄭玄の弟子。それで鄭玄に頼まれたのが、今回のことだった。
「これは、凄い…」
 まだ溜息をつく皇甫嵩を、朱儁がつっついた。
「わかるのぉ? 芸術科目総崩れの、義・真・さ…ぐむ!?」
「…うるさい」
 皇甫嵩に触角を掴まれ、朱儁はジタバタもがく。
 それを横目に苦笑しつつ、盧植が鄭玄に話しかけた。
「最終的、球状のケーキになるんですよね?」
「そう! 我が渾身の『渾天儀ケーキ』は、そこではじめて完成するの!」
 さらに一層、鄭玄は胸を張る…が。
「でもね、ちょっと困ったことになってて…」

 調理場。
「なっ…」
「ふぇ…」
 皇甫嵩、朱儁の両名が同時に声を上げた。
 調理場には死屍累々。エプロン姿の女の子たちが、ぐったりとしている。
「あ、あの、これは一体…?」
 目を丸める盧植に、鄭玄は。
「まったく最近の子は根性が無いのよ!
 あのね、言っときますけれど、私だって鬼じゃありません。
 寸法の狂いも0,5ミリ、0,3度までは許したのよ!」
「…………」
 一同絶句。
「そ・こ・で」
 鄭玄はにっこりと笑った。

 カチャカチャカチャ…
「何で私がこんなことを…」
 三角巾にエプロンを着込んだ皇甫嵩が、泡立て器を握り締めてプルプル震える。
「ええー? 結構楽しいヨー?」
「いいよなお前はいっつも楽しくて!」
 皇甫嵩が朱儁にマジつっこみをかます。
 ピシッ! 痛そうな音に首をすくませれば。
「ほら、そこ集中して!」
 彼女らの後ろでは、現場監督の鄭玄が手の内で鞭を弄んでいた。

 一方、会場では盧植の指揮の下、5、6名ほどがケーキを組み立てていた。
「もうちょい右、右!」
「こ、こうか…?」
 呂布に肩車をしてもらって、丁原が高いところの飾り付けをしている。
 盧植はそれを盗み見ては、嬉しそうに笑うのだった。

「し、死ぬー」
「…………」
 はじめの元気はどこへやら、朱儁はバッタリと倒れた。
 その横で、皇甫嵩も膝をつく。
 3時間に及ぶ苦闘の果てにやっと解放され、二人は休憩室へと入った。
 そこでしばらく休息していると。
 バタン! 物凄い勢いでドアが開く。
「!?」
 二人は跳ね起き、入り口に向かって構える。
 …入ってきたのは、盧植。
 盧植は困ったような笑顔で、小さく手を振った。
「……ん?」
 朱儁は目を瞬くが、よく見ると…盧植、浮いてる?
 視線を上に戻すと、盧植は襟首を掴まれていて…その後ろには…
「い、威明姉さん……?」
 それは間違いなく皇甫嵩の姉、皇甫規であった。
 室内に入ってくるなり、盧植を降ろす。
「は、はは…」
 そのまま床にへたり込む盧植。
 皇甫嵩は息を呑み、
「姉さん、なぜここに…」
「義真」
「は、はい…」
 一呼吸。
「あんたよくもこのあたしから逃げ回ってくれたわね!?」
「あああああいやいや、落ち着いて姉さん!!」
「何が落ち着いてですって!? あんたね、うちにもこのパーティにお誘いがあったのよ!?
 あたしはもう引退したから代わりにあんたに出てもらうつもりでいたのに…
 それなのにあんたときたらあたしの顔を見るなり!!」
「そ、それはその…ほら、姉さんも受験で」
「おだまりっ!!」
 皇甫嵩、打つ手なし。
 朱儁は身を縮め、こっそり部屋から抜け出そうとしたものの…
「どこに行くのかしら? 公偉ちゃん?」
 お姉さまに触覚を捕まえられてしまい、観念したのか黙ってひたすら涙を流す。
「さあ義真、あんたも観念なさい…
 いまならフリフリのドレス一日の刑で済ませてあげるわよ…!」
「!?」
 皇甫嵩は色を失い、歯噛みする。
(本当に、本当に何も打つ手は無いのか!?)
 ……皇甫嵩は、覚悟を決めた。
「たとえ、及ばずとも」
 ゆらり、立ち上がる。
「戦って倒れるは、剣士の誉れっ!」
 叫び、得物を取り出す。
(今の私には、これしかない。
 だが、私たちはあれだけ苦しい修羅場を戦い抜き、生き残ったのだ!)
 その得物――泡立て器が、鈍い光を放つ。
「ふふん。面白い!」
 ゴゴゴ…
 皇甫規の全身からオーラが立ち上り、それが竜を形作る。
 対峙する皇甫嵩からもまた虎が生まれ、竜虎もまた相対する。
 廊下の外。
 そこには、何か面白そう? と、丁原が来ていた。
「すごーい! 修羅場だよ呂布ー!」
 と、呂布の背中で、のんきにはしゃぐ。
(何という…力だ…)
 巨大な二つの気に、呂布も思わず全身の血が滾る。
(戦いたい! 私も、戦いたい!)
 その体から壮絶な気が発せられ、やがてそれは鬼神を…
「何お前まで燃えとんじゃ!」
 耳元で大声を出され、呂布はハッと我に返った。


――結局。
 皇甫嵩は三日間、フリフリドレスの生活を余儀なくされたのであった。


━━━━━━━━━━━━━おしまい。━━━━━━━━━━━━━━━

58 名前:★惟新:2004/01/20(火) 21:22
すみませんすみません…_| ̄|○
一度やりたかったんす、この四人の話…

気がつくといやに長い話になってしまいました(^_^;)
このカルテットってもうすでにキャラが立ってましたから、
そのおかげですごく動かしやすかったですし、楽しゅうございました。
…とはいえ、他人が読んで楽しい作品になれたとは限りませんが…


さて、告知です。
祭りは明日、つまり21日で一旦終わらせようかと思います。
もちろん、>>2にもあります通り、もしお作りになられてましたら
たとえ22日以降でもこちらに投稿されてかまいません。
運悪く祭りに間に合われなくとも、もし、お作りになられたのでしたら、ぜひ、発表を!

59 名前:★惟新:2004/01/20(火) 21:51
>雪月華
な、何ですと!? なんというご不幸…
いやいや、祭りを盛り下げるなどとお気になさらず!
雪月華様のお気持ちは察するに余りあります…が、
充電&冷却期間、ですか…

どうしても、と言われるのでしたら仕方ありませんが…
私たちはいつでもお帰りをお待ちしております。
桜の花の散る頃、もしくは桜の葉の散る頃。
どうかその頃には、こちらにお帰りくださりませ。
さらにパワーアップした雪月華様を、心の楽しみにお待ち申し上げております。

60 名前:★惟新:2004/01/20(火) 22:01
>おーぷんえっぐ様
本気でワラタ!! お腹痛いですってば〜!!
そもそも着想が素晴らしい! 私だったら絶対思いつかないですよ!

いやいや、気が付くとお祭りの趣旨自体が
いわゆる「萌え」とは違うところに行ってますんで、ご心配なく(^_^;)
そもそも私個人は「萌え」を一般的な色気とか、可愛らしさに限定するつもりはなく…
たとえば”偉大なる呪い!”のキャラたちも、物語も、私には十分「萌え」に感じるわけで…
もちろんこれは新しい言葉ですし、概念ですから、色々と難しいんですけど(^_^;)

>ヤッサバ隊長様
グッジョブ!!
お代官様な張飛ってばもう何てことを…
妙にしおらしくやられる泥酔魏延に(;´Д`)ハァハァ
まさかその挙句楊儀に…なんて、魏延にしてみれば一生の恥辱!
これはさぞや恐ろしい復讐劇が始まることでしょう…(^_^;)

61 名前:那御:2004/01/20(火) 23:52
>雪月華様
ぬぅ・・・PCの昇天は、避けられないこととはいえ、
突然のご不幸・・・お心お察しします。
我々はいつでも、お待ちしておりますので、じっくり充電&冷却なさって下さい。

>おーぷんえっぐ様
呪いだ!これは絶対に呪いだ(何)!
いや、爆笑ですよw。1ページの横○の顔の時点で呼吸不可となりましたw
「萌え」の要素に関しても、我々がイィ!と思えば、
それが「萌え」になるのではないでしょうか?

62 名前:那御:2004/01/21(水) 00:07
>ヤッサバ隊長
魏延がぁ!Σ( ̄□ ̄;
泥酔魏延、脅威の人材揃いの帰宅部連合に屈す!w
そして楊儀が・・・怖い・・・なにより、後が怖い。
簡雍も、回収される前に一部を回していたり・・・

>惟新様
グッジョブ!
各章に、後漢ズ4人のエピソードに関わる小ネタがあり、
どういうパーティなのか?と思っていたところ、姉さん登場w!
嗚呼、哀れ義真、公偉、子幹は威明姉さんに捕縛・・・
皇甫嵩のフリフリドレス・・・(;´Д`)ハァハァ

63 名前:★ヤッサバ隊長:2004/01/21(水) 17:52
>惟新殿
後漢カルテットマンセー(w
後に歴史を動かすことになる大人物達の、雄飛前夜のエピソードを見事に描いておりますな。
それにしても姉さん恐ろしすぎ…この人が引退する前に黄巾事件が勃発していたらどうなっていたやら(^^;

また、公偉タンの触覚がとても上手い具合に使用されており、その辺も萌えポイントか。

>おーぷんえっぐサン
もう、全編うち回りながら笑いつづけてました(^^;
そう言えば、ゴ●タ版の皇甫嵩ってば、やけに小物っぽいキャラとして描かれてましたけど…(^^;
無双3での皇甫嵩が総大将のクセに情けないのは、その影響アリ?(^^;

64 名前:★ぐっこ@管理人:2004/01/21(水) 23:52
旭記念特別短編集



サタデイ・ナイト



■悪魔襲来

「それ」は、突然に襲ってきた。

 午前3時過ぎ――。
 不寝番の高等部生以外、全員が寝静まっている深夜。
「それ」は、何の前触れもなしに、呉匡へ襲い掛かってきた。

 最初は、激痛。物凄く重く、鈍い激痛だった。
(え――?)
 呉匡の意識はその瞬間に覚醒していた。
 しかし、夢の世界から現実へ意識がスイッチする間にも、激痛は醒めない悪夢のように
酷さを増していた。
(な、何、これ――っ!?)
 思うよりも先に、第二波。剥き出しの筋肉を鉤爪で引きちぎられる、信じられない程の
痛み。いや、痛みなんてものではなかった。
「ア……ア……! ア…ッ!」
 もう訳がわからず、ただ激痛から逃れようと、呉匡は自分でも気がつかないうちに、絶
叫していた。
 正確には、呉匡はこのときの自分の声で、はっきりと目覚めたといえる。
「何!?」
「どうしたの!?呉匡さん!?」
 呉匡の二人のルームメイトが、同時にはね起きた。
 すぐに真っ暗な部屋が、急に明るくなった。
 二段ベッドの上段で、呉匡は身をよじらせて激痛から逃れようとしていた。
 大声を出したら、痛みが治まるどころか、意識がハッキリしたせいで、余計に非現実的
な激痛が呉匡を襲ったのだった。
「どうしたの!? どこか痛いの!?」
 梯子から身を乗り出すようにして、呉匡へ声をかける袁紹さん。
 しかし呉匡は、うなずくことも出来ず、陸揚げされた海老のように、体を丸めて身悶え
するだけだった。
「お腹?お腹なの!? 大変、救急車を呼ばないとっ――!」 
 いささか取り乱した様子で言う袁紹さんに、ようやく呉匡は、小さな声で伝えることが
できた。
「あ…し…が」
「――え?」
「あし、つった…すごく…!」
「足…?」
「あ――.こむら返りだな、呉匡たん」
 と、許攸さんが一段目のベッドに乗っかって、呉匡の寝るベッドの手すりごしに、呉匡
が抑えている部位を見て言った。
 そう。
 呉匡は、ふくらはぎの筋肉を押さえて、七転八倒していたのである。


「――驚かさないでよ、全く、大げさなんだから」
 袁紹さんがはーっとため息をついている。
 でも、そんなことを言われても。
 本当に痛いんですってば。さっきよりは、幾分か楽になったけど、ふくらはぎの筋肉を
引きちぎる様な痛みは、まだ続いているのだ。
「ありゃあ、大げさじゃないよ。袁紹はなったことないの?」
「幸いにね」
 袁紹さんは、許攸さんからひったくった家庭医学辞典でこむら返りの項を探してくれて
いた。許攸さんは脱線して別の病気を読み耽っていたようだ。
「――ふうん、足の指を引っ張ってふくらはぎを伸ばす…か。やってみる? 呉匡さん」
「絶対無理!」
 涙声で訴える。呉匡のふくらはぎの筋肉は、もうガチガチに収縮してめいいっぱい上に
引き上げられている。引っ張るとか伸ばすとか、想像するだけで気を失いそうだ。
「うーん、こりゃ元に戻るの、二日はかかるなあ。今日は大人しくしとかなきゃ」
 許攸さんが、ふたたび二段ベッドの呉匡の様子を見て、重々しく言った。
「え…じゃあ、今日のパーティは?李膺さまとのダンスは?」
「少なくともダンスは無理」
「そんなあ…痛あっ!?」
 慌てて立ち上がりかけた呉匡は、再び炸裂した激痛にもんどりうって転げまわった。
 時計は、午前4時を指そうとしている。
 ――この日は、学園の創立記念式典のある「旭日記念」の最終日であった。

65 名前:★ぐっこ@管理人:2004/01/21(水) 23:59
■秘め事

 蒼天会・内務局長執務室。
 この広大な部屋の主である、麗しの李膺さまは、壁に掛けられた蒼天の旌旗を背に、静
かに佇んでいた。
 腕を組んだまま呉匡の報告を黙って聞いていたけど、ふと呟くように言った。

「――そう。大変だったわね」

 相変わらず抑揚に乏しい、低い声。無機質で、無感情。
 でも。

 あぅ…李膺さま、怒ってる…怒ってるよ!

 呉匡には解ってしまうのだった。
 紅珊瑚で造られた小さなタツノオトシゴが、李膺さまの指にはじかれ、胸元でちりんと
音を立てた。
 身を飾ることにとんと無頓着だった李膺さまが、たった一つだけ所有しているアクセサ
リー。
 その贈り主である呉匡は、首をすくめて「お姉さま」の叱言に身構えていた。
 でも――
「痛かったでしょう? 片足?両足?」
「えと、…右足です」
 呉匡の答えを聞きながら、李膺さまは立ち上がり、部屋の隅のラックから鞄を下ろした。
 しばらくごそごそしていたかと思うと、中からスプレーを取り出してきた。
「まっすぐここに来たんでしょう?医療棟へ寄ってきたらいいのに」
「はあ…でも」
 それだと、李膺さまに知らせるのが遅れてしまう。
 李膺さまはどうか知らないけど、少なくとも呉匡は楽しみに待っていた創立祭最終日。
 一月も前から、李膺さまと踊ることだけを夢見て、この日のためにソシアル・ダンスを特
訓してきた。下級書記、しかも中等部の自分がパーティに参加できるよう、色んな方から
アドバイスと有形無形のサポートを頂いて、嫌がる李膺さまを粘り強くダンスにお誘いし
て――ようやくOKを頂いたのが、先週のことだった。
 そして今日、多忙なスケジュールを都合して貰って、夕方から時間を空けてもらってい
たというのに――
 何もかもが…当日になって無駄になってしまった。
 それも誘った方の呉匡が原因で。
 なんて無様なんだろう。
 だからせめて、一秒でも早く、李膺さまに直接お知らせして、謝らないと。
 呉匡は朝一番、痛い足を引き摺って、李膺さまの執務室に直行したのだった。

「それにしても、間が悪い子ね」
「…すみません」
 ここに掛けて、と出して頂いたパイプ椅子に座ると、李膺さまはいきなり呉匡の脚もと
にしゃがんだ。
「炎症を起こすといけないから、今すこし冷やすわよ。後できちんと冷湿布を貼って貰い
なさい」 
 言うや、李膺さまは呉匡の素足をちょっと持ち上げてソックスを足首まで下ろし、、ス
ポーツ選手なんかがよく使う冷却スプレーを、ふくらはぎの所に吹き付けた。
「☆○@■★※!?」
「なんて声出すの」
「だって…!」
 普通びっくりしますってば!
呆然となすがままにされていたけど、いま呉匡の手当てをしてくださっているのは、高等
部三年生の大先輩。畏れ多くも先の司隷校区総代、そして学園都市六万のナンバー4たる“
八俊”筆頭さまなのだ。
 その李膺さまが、出来の悪い中等部の後輩の足元に屈みこんで、甲斐甲斐しく手当てを
なさっている!
 “司州の秩序”と全校生徒から畏怖され、「李膺さまが見てる」と学園中の悪党が竦み
上がり、呉匡など恐ろしくて顔さえまともに仰ぎ見ることができなかった、あの李膺さま
が。
 今でも関心の無い人の顔を覚えるのが極端に苦手で、全般的に人間嫌いで、その逆に動
物好きなのは変わってないけど…。それでも、少し呉匡に対して笑ってくださるようにな
ったと思う。
 まあ、呉匡を「愛玩動物」の一種として認識してるだけかもしれないけど…
「で、今日のパーティーはどうするの?」
「――李膺さまは、どうなさるんですか?」
「ダンスはやめておく。勿論パーティーには参加するけどね。会長が出られるのだし。出
ないわけにはいかない」
「私は――」
 どうしよう。踊れないのに、高等部のお姉さまや、招待客のお偉いさんばかりが何百人
と集るパーティーに顔を出していいわけがない。
 と――
 重々しい音を立てて、執務室の扉が開かれた。
 すらりとした、長身の「王子様」が、美しい「姫君」を連れて入ってきた。
「――と、失礼。お取り込み中だったか」
 開口一番、王子様――いや、男装の麗人(男装して無いけど)のほうが、男装歌劇団のト
ップスターのような声で言った。
(――お取り込み中?)
 と、呉匡は、自分の膝と膝のあいだから顔をのぞかせている李膺さまと目を見合わせて、
二人して小首をかしげた。
 どちらが先に気づいたかは解らない。
 呉匡はのけぞるように、李膺さまは飛び退るように、二人は慌てて体を離した。
 二人きりの部屋で、なんという体勢だったのだろう! 遠目にはとんでもない光景に見え
たかもしれない。
 ああああ…顔が火照る…と、見れば李膺さまも、何か耳まで真っ赤だった。

「もう…可顒さま。お二人とも真面目なんですから、からかわないでください」
 うしろで抗議の声を上げた「姫君」は、張?さん。
 この一見フワフワのお人形みたいな張邈さんと、ダンディズム溢れる美青年顔の女剣士・
可?さまの組み合わせは、本当に絵になる。かたや中等部三年生にして“八厨”のひとり、
かたや高等部一年生にして今年度“ミスター蒼天”。今日もダンスでペアを組むというか
ら、ほとんど公認カップルのノリだった。
「休日登校ご苦労様。で、何の用?」 
 照れ隠しか、李膺さまはいつにましてツンツンした口調だった。
「パーティまで時間つぶしにブラブラしようと思いまして。――袁紹から聞いたよ。大変
だったみたいだね、呉匡さん。」

「はい…すみません。折角お手数おかけして頂いたのに、当日になってこんな…」
「ま、こういうこともあるよ。パーティには出るんでしょう?」
「それは…」
 答えかけたとき、ふいに校内放送が呉匡の声を遮った。

――中等部三年、呉匡さん、至急、雲台正面玄関までお越しください。
――中等部三年、呉匡さん、至急、雲台正面玄関までお越しください。

 一同は顔を見合わせた。
 放送部員の美声はもう一度、三連休の真ん中で、人気のない校区に響き渡った。

66 名前:★ぐっこ@管理人:2004/01/22(木) 00:00
■家族の肖像

(誰だろう?) 
 あれこれ考えながら、呉匡は道を急いだ。急ごうにも、びっこを引きながらだから、た
いしたスピードは出ないけれど。
 廊下ですれ違った何人かの見知らぬ先輩がたが、肩を貸してあげようか、と声を掛けて
くださった。お気持ちはうれしいけど、李膺さまや可顒さまのお申し出を断ったのに、他の
方の力を借りるなんて、呉匡の気持ちが許さない。丁重にお断りした。
 もっとも、蒼天会内務局があるのはクラウド・タワーの7階なわけで、ロビーまでエレベ
ーターで降りればいいだけの話だけど


 豪華なロビーを抜けて、外へ出る。
 雪こそ降っていないが、外は底冷えするような寒さだ。でも今日は風もなく、穏やかな
冬の陽光が空に満ちている。
 振り返ると、クラウド・タワー。
 司隷特別校区に転校してきて、このビルを仰ぎ見てから、もう半年以上経っていた。
 あの時は、たしか、後ろからふいに袁紹さんが声を掛けてきて――

「お姉ちゃんゲットぉぉおお!」

 すぐ後ろで、だしぬけに元気のよい女の子の声。石畳を蹴りつけるローファーの音。
 この気配は――!
 考えるよりも早く、呉匡の体は正確に反応していた。
 振り向きざま後ろから殺到する気配に向かって、無事な左足一本で跳躍!
 人影はふたり。呉匡はためらうことなく、最初の一人目の頭を踏みつけて、さらにジャ
ンプした。
「わたしを踏み台にした!?」
 下で叫んでいるようだが無視して、もう一人目の眼前に着陸すると、すばやくでこピン
を食らわせた。
「痛あっ」
 倒れるふたり。
(やったか――!?)
 気を抜いた一瞬――
「甘ぁ――いっ!」
 横合いから裂帛の気合。
「しまった!」
 悔やんだ瞬間には、呉匡の小さな体は、脇から抱き上げられていた。
「まだまだ甘いわねー、匡ちゃん」
 聞き覚えのある、甘ったるいハスキーボイス。
「お母さん!」
背中向きの「高い高い」状態から、身をよじって下を見おろすと、そこには中学生の娘を
軽々と持ち上げている、わが母の姿があった。


「何? アンタ脚挫いたの?」
「ええと、コブラがえり」
「こむら返り。どうせ前の日までダンスの練習してたんでしょ? で、整理体操しないまま
シャワー浴びて、夜も興奮してあまり眠らなかった――てとこかしら?」
「……。」
 うう…全部あたってる。何者なんだこの人…ってお母さんだけど。
「――く――っ! 可愛い――っ!」
 なんだか勝手に感極まったらしく、お母さんは思いっきり胸で抱きしめてきた。息が出
来ずにもがく呉匡。
 道行く生徒たちが、この風変わりな母子をしげしげ眺めていた。


「で、なんでお母さんがいるの」
「何で…って、おばか」 
 お母さんのこの日のいでたちは。ラメラメ光る黒いロングブーツに、黒いロングコート。
下はたぶん黒いドレス。腰まで届く長い髪も、これまた見事な漆黒。
 身長180センチ。この迫力ある黒ずくめのマザーは、あきれたように言った。
「創立祭のゲストよ。毎年来てるでしょ」
「あ。そうか」
 お母さんの名前は呉漢。この学園都市のOGだ。
 それも、第二次蒼天会、つまり現在の蒼天会の設立のときに活躍した、伝説的に有名人
なのだった。別に隠していた訳じゃないけど、お母さんの名前が知られたとき、あの袁紹
さんでさえパニック状態になって、サイン色紙を渡されたものだった。
 そりゃあかっこいいことを認めるのはやぶさかでないけど、そこまできゃあきゃあ騒が
れるほどの母じゃないと思う…。親ばかだし。
 そんなこんなで、タワー前広場のベンチに腰掛けて、しばらく話をしていると、妹の呉
班と従妹の呉懿が、缶コーヒーを両手に持って駆け寄ってきた。
 ふたりとも、遠州学園校区の中等部にあがったばかりの可愛い盛り。ちなみに最初に踏
み台にされたのが呉班で、でこピンされたのが呉懿だ。
「サンキュ」
「どいたしましてー」
 異口同音に答える二人。実際、双子姉妹同然に育ってきたから、性格は正反対でも、シ
ンクロ率は高いらしい。
 ちょっと羨ましいかな、とも思う。

「今日、ちゃんとパーティー出なさいよ」
 不意に、お母さんが言った。
 また、見透かされてる…
「変に遠慮したら、せっかく席を用意してくれた人たちに失礼だからね。」
「…うん」
「それにお母さんも踊るし」
「踊るの!?」
 やっぱり出たくなくなりました。
「んっふっふ。あなたにママンの新しい魅力を見せてあげるわ。いや、むしろ魅せてあげ
ると」
「絶対遠慮します」
「ちょっとだけでいいから。遠くから見るだけで」
「いやです」
  
 結局、熱いハグに捕まって音を上げ、とにかく出席すると約束させられた呉匡は、ひょ
こひょこと片足をかばいながら、来た道を戻っていった。

67 名前:★ぐっこ@管理人:2004/01/22(木) 00:01
■百合さま

 創立祭がはじまった。
 一般の生徒たちにとっては、学校の創立記念日なんて、タナボタ休暇に過ぎないかもし
れないけど、生徒会行事の運営に携わる人間にとっては、外部からもお客様を招く大切な
日だ。
 司隷特別校区の高等部役員の多くが何週間も前から準備に駆り出され、当日も会場の警
護や案内のために百人単位が動員されている。
 式典とパーティーに参加できるのは、招待されたお客様(ほとんどがOG)、教職員の
大人たち。
 生徒からは、蒼天会・会長以下、連合生徒会の最高幹部、各校区の生徒会長、そしてわ
ずかなゲストだけだった。
 パーティ会場は、クラウド・タワー最上階にある、式典用大ホール。
 なんだかホテルの「真珠の間」のような、学校施設とは思えない豪華なホールに、これ
また豪華なシャンデリアが眩いばかりに輝き、全校区選りすぐりの奏者で構成された管弦
楽団が、絢爛豪華な祝宴の空間を演出していた。
 ――これが、生徒会行事!
 会場の設営から手配、招待状の発送、必要なら外部業者の手配・発注、連絡・運用、当
日の司会進行そのほか全ての業務が、生徒たちの手によるものだ。言うまでもなく、文化
祭や学芸会のレベルではない。
 そして招待客の方々も、それを当たり前のこととして平然と談笑ている。
 OGの方々は、ご自分達の時代も同じようにやってこられたのだし、他の父兄や招待客
の方々も、この学園都市がもつこの種の育成機能を知悉しているからなんだろう。


 全校生徒を代表して、新たに蒼天会長に立てられた「霊さま」こと劉宏さまが開会を宣
言されると、いっせいに拍手がおこった。
 その後、現学園理事長・劉秀さまの挨拶につづいて、新連合生徒会長・竇武さまの音頭
で、一同起立。壁に掛けられた特大の蒼天旗へ乾杯して、祝賀会がはじまった。

「すごい…」
 雰囲気に呑まれた呉匡が、心細くつぶやいた。
 実際、すごく心細かった。
 中等部でこのパーティに参加しているのは、数えるほどしかいないのだ。
 与えられたテーブルが、目立たない隅っこであるのが、唯一の救いだった。頼りの張邈さ
んは、ダンスの準備で可顒さまと控え室へ行ってしまっているし、顔見知りの高等部の先輩
方は、遠くはなれた席で談笑している。
 立食パーティじゃないので、勝手に立ち歩くのは気が引けた。
 ただ、並べられる豪華なディナーを食べるだけ。
 ちょっと離れた位置には、司州中等部生徒会長の袁術さんがいるけど、こんなときにだ
け挨拶へいくというのも、お互いにいやな話だろうと思う。
 ちょっと体を乗り出して、連合生徒会の席の方に李膺さまの姿を探してみたけど、見つ
からない。そういえば連合生徒会長・竇武さまも、蒼天会長顧問役の陳蕃さまも、姿が見
えない。どうしたのだろう?
 と――、ふいにテーブルの向かいの席に、ふわりと誰かが腰掛けた。
「――あ」
「ごきげんよう。退屈そうね、呉匡さん」
「ご、ごきげんよう、姫百合さま」
 姫百合さまは、ニッコリと微笑んだ。…一回お会いしただけなのに、覚えていらっしゃ
ったとは!
 学園都市を統べる劉一族のなかでも、“百合さま(リリウム)”の称号を冠することが
許されているのは、時期蒼天会長候補となる資格を持つ者だけ。
 彼女たちは、一種の「皇族」として、階級章や蒼天会派序列とは違う次元で、他の生徒
とは一線を画している存在だった。

 目の前にいる“リリウム・コンコロム”劉表さまは、呉匡とおなじ中等部三年生だけど、
百合さまであると同時に、張?さまと同じ清流会派序列の上位者でもある、凄い方なのだ。

 改めて見回してみると、なるほど、“三君”のおひとりで、かつ現「乙女百合」の劉淑
さまと、次期乙女百合さまの劉虞さまが談笑してるし、「黒百合」劉焉さまや、劉繇さま、
その姉の劉岱さまなど、他の百合さま方も、かなりの数が招かれているようだった。
「なんというか…豪華ですね」 
 回りを見回しながら、呉匡は率直に感想を述べた。
「そうね」
 劉表様は頷く。
「百合の展示会みたいね。ここらのブロックは」
 呉匡が、さすがに口に出せなかった台詞を、あっさりとつぶやいた。
「まあ、こういう時くらいしか、一堂に会することもないから。呉匡さんも、観客として
楽しんだ方がいいわよ。」
「…そのつもりなんですけど」
「李膺さま」
「え?」
 劉表様は、呉匡の反応を見てにっこりとほほえんだ。
「李膺さまが、これからダンスに参加されるのはご存じ?」
 何ですって!?
(私と踊れないなら、出ない――って仰ったのに!) 
 わなわなと、震える呉匡。
 誰が相手なのだろう。竇武さまと陳蕃さまはペアのはずだし…。“三君”の劉淑さまは、
そこで劉虞さまとお話しされてるし…。李膺さまと釣り合いのとれる方が、他にいるとは
思えない! いったい誰が!
 煩悶する呉匡の様子を、面白そうに眺めていた劉表さまは、「ほら、じきに始まるわよ
」と会場を指さした。
 会場はいつのまにか騒然としたざわめきに包まれ、ホール中央にまたがっていたコード
類が手早くどけられていた。ダンスのできる空間を空けようというのだろう。
 参加希望者を募るアナウンスが流れ、幾人かが挙手しながら、案内状の方へ向かってい
る。
「楽しみね、李膺さまのお相手」
「……。」
呉匡は黙ったままだった。悪気がないのはわかるけど、この劉表さまは、あきらかに呉匡
の反応を面白がっている。
 こういういたずらを吹き込むとしたら――袁紹さん経由で、許攸さんあたりに違いない。
 憮然とする呉匡をよそに、会場が急に薄暗くなり、管弦楽団の演奏が、どこかで聞いた
ことのあるような、緩やかなワルツに代わった。

68 名前:★ぐっこ@管理人:2004/01/22(木) 00:01

■夜の夢

 ――舞う。
 みんなが、思い思いに、楽しそうに、幸せそうに、舞っている。
 スポットライトが、ホール中央にさっと集中し、ひと組ひと組を代わる代わる照らし出
す。そのたびに、大きな拍手が会場内にひろがる。
 さすがは、この日の席に呼ばれるだけあって、皆途方もなく上手だった。
 男性パートのリードにあわせて、女性パートの方が、それこそ胡蝶のように軽やかに舞
う。めまぐるしく位置を変えながら、他のペアとぶつからないように、お互いに足を踏ま
ないように、細心の注意を払い、かつ舞う。男性パートの方は、ゆとりを持って微笑みを
絶やさず、女性パートの方は視線を四囲に配り、笑顔を振りまいている。

 …なんて、上手なんだろう。

 呉匡の知らない先輩方だったけど、それでもこれだけの踊りができるのだ。
(…出なくてよかったかも)
 さすがに赤面する思いだった。
 
 スポットライトが別のペアを照らし出す。
 ――あ、可顒さまと張邈さんだ。
 マニッシュタイプの式典服に身を包んだ可顒さまは、正直怖いくらいに似合っていた。 
ペアである張邈さんも、いつにも増してお姫様ぶりを上げ、周囲を圧倒するように舞ってい
た。
 すごい。
 お二人のダンスは、どちらも武闘派なだけあって、なんというか、ほとんど剣舞だった。
 先ほどのペアに比べて、たとえば技術的な洗練は少々劣るかもしれないけど、代わりに
恋人同士が白刃で戯れ合っているような――なんというか、研ぎ澄まされた気を感じるほ
どだ。
 周りの人も、みんな感じるのだろう。ほう、という感嘆のつぶやきが聞こえた。

 その後も、知ってる顔、知らない顔が入れ替わり立ち替わり、ライトを浴びた。
 どうやら最初のペアと、次の何?さまたちが特別だったようで、続きのペアは、いわば普
通の踊り手であるらしかった(それでも呉匡なんかよりずっと上手だけど)。
 連合生徒会会長の竇武さまと、蒼天会顧問の陳蕃さまのダンスは、陳蕃さまらしい几帳
面さで、きっちりと基礎のステップをはずさない。それでいて、ややストリート風に踊る
竇武さまを、流れるようにエスコートし、なんだか新しいダンスを見ているような気がし
たものだ。

 さらに何組かが過ぎたとき――。
 呉匡はごく自然と、ライトに照らし出された李膺さまの姿を認めた。
 李膺さまは…

「ドレス!?」

 呉匡は素っ頓狂な声を上げた。
 李膺さまはたいていの方より長身だから、まず間違いなく男性パートであると思ってい
た。そもそも呉匡と踊るのだって、その予定だったはずだ。
 しかし、いま李膺さまが身にまとっているのは、体にぴったりとフィットした、黒に近
い深赤のドレスだった。
 その李膺さまの手を引いて、白い光の中に登場したのは――

「お母さん!?」

 呉匡はさっきよりもさらに大きな声を出した。
 さすがに集中する視線に気づきもせず、わなわなと震える。

(なんで――なんで――!?)

 お母さんこと、後期蒼天会の初代格技部連総帥・学園公安弾圧委員長・通称“死神”“
ミス・ブラック”“皆殺しの黒”呉漢さまは。
 真っ黒なタキシードを隙無く着こなし、その長身を翻しつつ、ホールの中央へ李膺さま
をエスコートしていた。
 長い髪を一つにくくり、紳士の余裕で微笑むさまは、なんというか、あの何?さまよりも
遙かにダンディだった。
 そして。
 あっという間もなく、いきなり李膺さまを抱きすくめた。

 きゃああああ! と会場からいっせいに悲鳴とも歓声ともとれる声があがる。呉匡は、
ただただ震えているだけだ。

 一瞬の間が、のろのろと通り過ぎ――。
 
 荘重な曲が始まったとたん、二人は、舞いだした――。
 




 李膺さまの執務室。
 今夜は、本当に観客でしかなかった呉匡は、お疲れの李膺さまのために、せめて美味し
いお茶を淹れているところだ。

 さっきから、二人はなんとなく無言。
 そもそも李膺さまの様子が、おかしい。
 妙によそよそしい。そして、ちょっと不機嫌そうだった。

 …そもそも、この日の始まりは、呉匡のこむら返りからだった。
 もしアレがなければ、今頃呉匡は、李膺さまと今日一緒に踊ったダンスについて、パー
ティーについて、楽しくまくし立てていたに違いないのに。
 願わくば、今日一日が夜の夢でありますように…

 呉匡は、またも暗澹たる気持ちにともすれば転落しかける心を励まして、何とか話題を
探そうとしていた。
 と。

「――今日はお疲れさま」

 李膺さまが、ぽつりと、不意に言った。
「あ、とんでもないです! 李膺さまこそ、お疲れさまでした!」
 あわてて呉匡は返答した。――お茶をお出ししながら、笑顔で言おうと思ってたのに。
「ううん、私は踊っただけだったけど。呉匡はいろいろあったみたいだから」
「はあ…」
 色々あったといえばそうだけど、そうすごいことがあった訳ではない。だいいち、一番
すごかったのは、李膺さまのダンスだったわけだし。
「――ええと、李膺さま」
「何?」
「その――母と、踊られてたところ拝見して――びっくりしました」
「ああ…」
 李膺さまは、いつもの冷たい声で相槌をうった。
「てっきり男性パートを踊られると思っていたものですから」
「あれは――呉漢さまに、持ちかけられたの」
「…だと思います。でも、どうして受けられたのですか?」
「うん…ちょっと」
 李膺さまは、珍しく口調を濁すと、視線を逸らした。
 ――激しく気になる。
 でも、気になると言えば、今日の李膺さまの見事なダンスだ。
 授業で習うとはいえ、これまで李膺さまが女性パートを踊る回数は、ずっと少なかった
はずだ。
 でも、今日の李膺さまのダンスは、他の誰よりも美しくかった。贔屓目なしに、そう断
言できるほど。
「密かに特訓を?」
「してない。それどころか、あのステップは、授業で一度習ったきりだった」
「え…!?」
「呉漢さまのエスコートね。気が付いたら、勝手にああいう風に身体が動いているの」
 へええ…。お母さん、そんな特技があったのか…
「凄いわよね」
 李膺さまは、ようやく微笑んでくれた。

69 名前:★ぐっこ@管理人:2004/01/22(木) 00:03
■夢の夜



 お茶が入って、すこし頭がほぐれてくると、色々と今日のことがお話しできるようにな
った。
「――そういえば母が、ホールで破廉恥な行為を」
 あれに代わって、私がこうして謝りますから、と頭を下げると、李膺さまはため息をつ
いた。
「確かに驚いたけど。あれは何だったの」
「親愛のハグです。もしくは求愛のハグ」
 一瞬、視線を泳がせる李膺さま。
 そういえば母や妹の悪癖について、李膺さまには一度も言っていなかったっけ。
「今朝わたしもされましたけど…味見されたと思ってあきらめてください」
「味見!?」
「はい」
 で。
「結局、李膺さま」 
「何?」
「どうして、李膺さまは、よりによって母とペアを組まれたのですか? それに、パート
の入れ替えとか…」
「……。」
 黙り込む李膺さま。
 なんと、仄かに赤面している。
 まさか…

「変なコトされたとか」
「されてないっ!」

 失礼しました。
 
 ――でも、ならどうしてなんだろうなー?
 じいいっと、李膺さまを見つめる。まるで小動物が、怯えと好奇心に満ちた目を人間に
向けるように。
 
「……。」
「(じいー)」
「………………。」
「(じいぃぃー)」
「……………………。」
「(じいぃぃー)」

 李膺さまが、おれた。
「ちょっと、教わったの。交換条件として」
「教わったって…?」
「呉匡のこと」
「――私のこと?」
 赤面しながら、李膺さまがうなずいた。
 何? 何? お母さん、いったい私の大切な李膺さまに、何を吹き込んだの!?
「ええと――。子供の頃のこととか、ですか?」
「それもあるけど…。最近のこととか」
「最近?」
「うん。…たとえば、写真のこととか、人形のこととか」


 ――――――――っ!

 
 ぼっ!
 と赤面したのは、呉匡の方だった。

 百枚くらい集まった李膺さま写真は勿論、私が李膺さま人形をつくったことは、誰も知
らないはずなのに!
 いつのまにバレてた!? ていうか、なぜ寮の中のことを知ってるの――!?
 まずい! まずい! 李膺さまの耳にだけは、絶対に入れてはならない事なのに!

「いや、あのあのあの、あのですね、その、私将来写真部とか新聞部とかに入ろうかなと
か思ってまして、ついその、身近な被写体といいますか、ついつい勝手にオートフォーカ
ス…」

 言いかけて、やめた。
 ティーカップを置いて、李膺さまが仄かに微笑んでくれたから。



「私ね――」
 李膺さまは、胸元のタツノオトシゴを指先で弄りながら、つぶやいた。
「クラウド・タワーに飾られている、あの呉漢さまに憧れて、生徒会に入ったの」
「え――?」
 今日、初めて聞くことだった。
「他の二七人と違って、呉漢さまだけは、人から好かれようとしなかった。主である劉秀
さま以外は、全員が敵だった。いつも殿堂の碑を見て思ったわ。――なんて強いんだろう。
なんて気高いんだろうって」
「……。」
「だから、結構、私のやってきたことって、呉漢さまに似てるんだ」
 人を嫌い、信ぜず。正しい制裁が、正しい正義をつくる。親愛よりも畏怖。
 李膺さまが、これまで李膺さまとして振る舞ってきた道のりは、確かに、そういう孤高
の道だったはずだ。
「でも――あなたの逸話を教わった後に、諭されたわ。少しはまぬけじゃないと、友達で
きないわよ、って。それは寂しいことだわよ、って」
 李膺さまは、タツノオトシゴをつまんで見せた。
「これ、今日つけて踊ったの。知ってた?」
「――はい」
 それだけは、私の目だけが気づいていた。
 李膺さまと言えば登竜門。だから、タツノオトシゴ。
 他に何も思いつかなくて、なけなしのお小遣いを叩いて買った、李膺さまへのプレゼン
トだった。
「呉漢さまも、知ってらしたのでしょうね。可愛い後輩のために、もっといい先輩になり
たいでしょう、って、この子をつつきながら仰ったんだ」
「お母さんが…」
 普段は、迫力あるけどドジで大ぼけで、子供の目から見ても子供を溺愛していて。難し
いことは何も考えないで。
 でも、李膺さまの心が、お母さんにはわかるんだ。
 いつもつまらなそうにしている李膺さまが、本当はどんな気持ちで、外を眺めているの
か。
 お母さんは卒業するまで変われなかったみたいだけど、李膺さまは、あと二月、学園に
いることができる。取り戻すには足りないけど、変わるには十分な期間。
「それでまあ――多少なりと、人生観が代わった気がする。これが今日の感想」
 李膺さまは、普段のツンとした顔に戻りかけて、また微笑んだ。
「それに、うれしかった」
「え?」
「私のことを本当に慕ってくれている可愛い後輩がいること。自分の耳で確認できた」
 うぁ――。
 またしても、私が赤面する番だった。


「部屋まで送っていくわ、呉匡」
 今日の執務を終えた李膺さまが立ち上がったのは、夜も11時をまわった頃だった。
 書類のナンバリングをしていた呉匡は、呼ばれた犬のように立ち上がった。
「とんでもありません! もう大丈夫なんですから!」
「だめよ。今日も少し無理をしていたでしょう。肩を貸してあげる」
「――ありがとうございます」
 李膺さまは、どうやら早速試してみたくなっているらしい。おとなしく、そして喜んで
ご好意に預かろう。
 それならば――
「李膺さま――。その、私たちの部屋、ベッドが一つ余ってるんです。明日、日曜でお休
みだし、一度お泊まりになりませんか?」
「私が!? あなた達の部屋に?」
 そう。以前の司隷校区総代だった李膺さまに同じ事を言ったら、校則違反教唆罪で現行
犯逮捕されていたところだ。
 でも、今の李膺さまは、お母さんに一皮むかれている。
「――面白そうね。シャワー、お借りできる?」
「シャワーも喜びます!」
 ほら、早速、踏み出している。李膺さまは、即断即決即実行の方なのだ。
「ルームメイト、なんと言ったかしら。確か袁成さんの妹か何か…」
「袁紹さんですよ! いい加減、覚えてあげてください!」
「そうね。呉匡のルームメイトなら、私も覚えないとね…」
 うふふふ、袁紹さんも驚くだろうなあ。
 それに許攸さんにも、これは不意打ちになるはずだ。今日のささやかな仕返しになる。

「呉匡、そちらの電源は落とした?」
「はい! もう大丈夫でーす!」
「じゃあ、電気消すわよ」
 かちっ、とスイッチの音と同時に、部屋が真っ暗になる。
「じゃあ、行きましょうか」 
「はい、李膺さま!」
 ちょっと大げさにびっこを引きながら、李膺さまの肩を借りて歩き出す。
 こむら返りの襲撃に始まった一日の終わりは、まるで夢のような夜の始まりだった。


  <完>

70 名前:★ぐっこ@管理人:2004/01/22(木) 00:22
( ゚Д゚)ご静聴ありがとうございました!

あー。まあ、第一話が間に合ったからイイか…

71 名前:那御:2004/01/22(木) 00:27
フィナーレキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!
そして、李膺さまデタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!

威厳に溢れた李膺さま有り、素の李膺さま有り、もうフィナーレに相応しい!
ぐっこ様グッジョブです!
しかし・・・呉漢さまはなにやら派手な伝説を作り上げていますね・・・
なんか読んでいて時代を感じてしまう作品です。
古き善き時代を・・・(別に三国が嫌いって言うわけじゃないですがw)

72 名前:★惟新:2004/01/22(木) 01:03
    ┃   ┏━┃              ┃┃
  ━┏┛ ┏━┃ ━━(゚∀゚)━━┛ ┃┃
  ━┏┛ ┛  ┃              ┛┛
    ┛       ┛              ┛┛

はぁはぁ、思わず床の上をローリングローリングしてしもうた…(;´Д`)
お忙しい中、これほどの質・量を備えた作品を創られるとはさすが!
想像以上の盛り上がりを見せた旭記念祭、私も感無量でありましたが、
そのトリを飾るに相応しい逸品でございます!

まず、タイトルロゴで撃沈(^_^;)
そして、キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!に、(;´Д`)ハァハァ…の連続!
飽きることのない、先を読ませない話運びに、しっかりと通った物語の筋。
この楽しさは、本当に羨ましい…
マリみての世界を踏襲しつつ、しかしそれを自分のモノとされていて、ただただお見事!
表面的なものに惑わされない、しっかりとした世界が形成されています。
ああ、李膺さまったらもう…(;´Д`)
それにしても、「呉漢ママ」とは(^_^;)
しかも壮絶な伝説付き。おまけにパーティでは美味しいところを…

これほどのものを拝見してしまっては
「リヨみて」本編の続きを楽しみにするしかあるまいて!(;´Д`)ハァハァ…

73 名前:★ぐっこ@管理人:2004/01/22(木) 01:15
>>47 おーぷんえっぐ様
コラネタキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!
Σ(;´Д`)!!ワロタ

ううむ、ここまでメディア展開が進んでいる作品世界だと、えてしてこいう
ことが起こるんですねえ(^_^;) つうか学三とかの方が異様なのか。
…欣太皇甫嵩(((( ;゜Д゜)))ガクガクブルブル…

>>48 雪月華様
。・゚・(ノД`)・゚・ むう、今はゆっくり休らうべし。
復帰をば、心待ちにしております! それにしても逝っちゃったのは
HDなのですか…? 痛〜っ!
とにかく、桜の舞う季節を待ちまする。

>>49 ヤッサバ隊長
乙! なるほど、あの漢ハァハァ魏延たんの裸シャツショットの詳細
でありますか! …なるほど、楊儀たん、いい仕事だ…
うーん、しかし魏延たんは酒でああなるのか。攻略しやすそうだな(←何の?

>>52-58
惟新様も大作投入乙っ!( ゚Д゚)
むう、ボリュームだけなら私が一番気合い入ってると思ったのに、意表をつかれたわ!
カルテットがそれぞれに後継者ないし因縁の連中とエンカウントする、燃え萌えな
アンソロ展開!
そしてオオトリというか無敵キャラ登場(;´Д`)ハァハァ…
うーん、皇甫嵩をじろっと見るだけで黙らせて、朱儁以下を子供扱いできる姐さん…
無敵だなー。

>>64-70
長ェよ
あと、ユニコード化けてるところあるし。

>>71 那御さま
うい…。時間的に間にあわなそうだったので、真ん中(昼間のイベント)が
ごっそり抜けてしまってます(^_^;) ホントはジャケ写帰りの皇甫嵩たちと
出会ったり、曹節や王甫の陰謀の伏線があったり…(第二次党錮は、この3日後)
まあ、本編に組み込んだりリメイクしたりするです…

呉漢お母さん、伝読むたびにカコイイなあと。惟新様ならストライクでしょうけど、
イメージはフルーツバスケットの今日子お母さんです。

74 名前:おーぷんえっぐ:2004/01/22(木) 04:22
一応の締め切り、真にお疲れ様でした^^;
しかし、力作が一通り揃いまして”凄い”という他ありません!
ヤッサバ隊長さん>魏延の色っぽいお話に少々赤面w この作品が基で自分の
制御リミッターが外れたかもしれませんw
惟新さん>シカトされた丁原が呂布につかまるシーンに笑いましたw
呂布に肩車をしてもらってのイメージは自分的に映画”マッドマックス3”の
”マスター&ブラスター”でしたよw
ぐっこさん>蒼天の先輩方のお話に”宝塚”的要素が含まれて華やかな印象を受けました
あまり、この時代の詳細を知らない自分でも楽しく読ませていただきました〜^^
ここ> http://www32.tok2.com/home/mm2/3k/inupdate.html target=_blank>http://www32.tok2.com/home/mm2/3k/inupdate.html 行って少々勉強してきます(大汗w)

75 名前:★ヤッサバ隊長:2004/01/22(木) 18:08
旭祭り終了おめ〜&皆様お疲れ様でした。

>おーぷんえっぐサン
何をおっしゃいますか!
貴方様が「学三おえび」にて掲載されたあの「プライベート三姉妹」こそ、我が萌えるハートに火をつけたのでありますよ!(゚∀゚)
アレが無かったら、魏延にあんな格好させませんって(w
ちう訳で、俺的最萌賞はおーぷんえっぐさんに進呈。…ぱちぱちぱち。

>グコ兄ィ
マジで萌え狂いまくりますた(;´Д`)
いやはや、まんまあっち方面の展開ながら、学三らしい内容に上手くコラボレートされてるって感じですな。
ちうか、呉漢母様ステキすぎ。
こりゃ本編が楽しみだわぁ…。

76 名前:★惟新:2004/01/22(木) 20:42
>>73
>イメージはフルーツバスケットの今日子お母さんです。
なんですとー!! どーりで無茶苦茶心惹かれるわけですよ(*´Д`)
伝説の「赤い蝶」時代といい、なるほど、確かに合いますな!
今しがた7巻を読み直しましたが、やっぱり今日子さんは凄いです。・゚・(ノД`)・゚・。
よーしパパ「呉漢お母さんファンクラブ」とか作っちゃうぞー!
てか、いつの間にぐっこ様もフルバを(^_^;)

77 名前:★惟新:2004/01/22(木) 20:45
さて! 皆様、お疲れ様でした!
私も言い出した当初はどんどん大きくなる話にどうしたものかと戸惑いましたが、
終わってみれば、やって良かった! と感激しております。
素晴らしい意欲作、大作の数々がズラリと立ち並ぶ様はまさに圧巻!
予想を上回る盛り上がりに、驚くと同時に狂喜乱舞しておりました。

皆様のご協力のおかげで旭祭りはつつがなく終えることができました。
万感の思いを込めて、お疲れ様でした。そして、ありがとうございました。
また、ぐっこ様、玉川様、隊長様には個人的に心より御礼申し上げます。
これからも皆様益々ご発展されるよう、お祈り申し上げております。
ビバ! 学三☆

…と、一応締めの挨拶をしましたが、もし、「まだ作ってるのよ!」
という方がいらっしゃいましたらどうぞ遠慮なくご投稿なさってくださいませ〜
お待ち申し上げておりますm(__)m

78 名前:★ぐっこ@管理人:2004/01/23(金) 01:03
惟新様 乙ッ!

わずか1週間たらずでここまでの祭に仕上がるとはっ!
惟新様、司会進行および盛り上げ、会場の設営等、本当にお疲れさまで
ありました! 呼ばれない限り決して自分から動かないこの怠惰な管理人
とは違い、見事なまでの運営ぶり、一参加者として感服いたしましたわー♥
年に一度の旭記念祭、まずは大成功と言うことで、学三史に長く記される
ことでありましょう! 

では、引き続きこのスレにて、残弾投入、感想、打ち上げ雑談などをマターリ
つづけますかにゃ。

79 名前:★ぐっこ@管理人:2004/01/23(金) 01:26

>惟新様
あら、時間差で>>72づかなんだ…(^_^;) あれです、タイトルロゴは本編用
に造ったやつを引っ張ってきました。結構お気に入りだったり。
かなり派手に踏み込んで、リヨみての世界観をリリアン風に合わせてみました。
正直「百合さま」はやりすぎかも_| ̄|○  でも本来は演義のパロディシーン「劉虞
さまが見てる」の設定なので、別に今出しちゃってもイイかな〜と。つまり演義でも
出てきます、百合様設定。ちなみに乙女百合さまは“リリウム・ルベルム”。
タグでルビふれるので(Winのみ)、けっこうそれっぽく見えます。

お母さん…こちらでかなり詳しく解説が!
訳する手間がだいぶ省けました〜。
イヤもう、この人呉匡を主役にする、って決めたときからお蝶さんって決めてたんですね(^_^;)

>おーぷんえっぐ様
イエイエ〜。まんま少女小説の世界でして(^_^;) 
正史コーナーで仮公開中の本編の、半年後くらいのお話、ということで。
第一次党錮の禁と第二次党錮の禁の間、というあたりです。
そうそう、MM2さまの辞典、めっさ使いまくりましたよ! 実は職場でコソーリ細切れに
文書いてたんですが(ばれないように)、八厨とかの序列は、名士番付のところで参照したり…

>ヤッサバ隊長
うい! 開き直って、おもいっきり祐巳チックに!
よーしパパ本編もこの調子で書いちゃうぞ〜! ちなみに後輩の曹操さんは辣腕新聞部員だったり。
しかもいきなり袁紹さんの妹気取りで登場する、縦ロール属性をも持っています(^_^;)

80 名前:那御:2004/01/24(土) 00:04
皆様お疲れ様でしたッ!
特に主催者の惟新様は、色々と大変だったこと、お察しします。
かくいう私は一曲投下したのみに留まりw
「間に合うかな〜」と思って着手した2曲目は、全然間に合いませんで(汗
後日、投下しようかと思います。

兎にも角にも、皆様、本当にお疲れ様でした!

81 名前:★惟新:2004/01/24(土) 18:50
皆様どうもありがとうございます〜!
主催役、小心者の私にはドキドキものでした(^_^;)
何かと後悔の連続でしたが、それでも何とかなったのは、やはり皆様のおかげ!
学三はみんなで作っているんだなぁと改めて実感いたしました。

今回のお祭りはアサハル様の神絵が動力源となったわけですが、
もしこのような機会がありましたら、いつの日か、またお祭りを開きたいですね。

>那御様
2曲目ですとー! 楽しみ…(;´Д`)ハァハァ

82 名前:★項翔:2004/01/27(火) 23:47
うぐぅ.....(T T)
リアルタイムで『イゼルローンをも凌ぐお祭り気分』を
堪能できなかったのが本当に残念です......。
なぜなら当日はセンター試験だったから..........(T▽T)

しかし、あまりにも寂しかったので、私も遅ればせながら......
試験が終わった翌日だけパソコンが全日解禁されたのを好機として
速攻で製作した音楽サイト『学三style(仮称)』を公開させて頂きます。
曲のジャンルは、私の少ない知識をもとに独断で決定しました(^_^;)

全くの未完成品ですが、いつか再び自由な時間が持てるように
なりましたら、更新の続きを行おうと思います。

83 名前:★ぐっこ@管理人:2004/01/28(水) 00:12
Σ(゚Д゚;)スゲエ!
なんかカコイイ! こんな短期間で!?
学三関連の音楽を集めるってのもイイですやね〜。
さしあたって那御さまの神midiがメインで〜。

ちうか、項翔様受験生でしたな(^_^;) 三月まで、まずは人生を変えうる
受験の方に専念! そして戻られた暁には(;´Д`)ハァハァ…

84 名前:那御:2004/01/28(水) 00:45
項翔様ッ!感謝感激です!
センター翌日の短期間で、ココまでのサイトを作り上げるとは・・・
何気に画像までこだわっていらっしゃる。
お礼の言葉もありません。
ジャンルも「どうぞご自由に」、のワールドで作ってるので・・・

年下が言うのもなんですが、がんがれ受験生!
ラストスパート、ここが踏ん張りどころです!

85 名前:★項翔:2004/01/28(水) 15:03
いえ、実は単なるパロディーなんですが(^_^;)(元ネタ
サイトのデザインから内容まで真面目に考えるなら、
私の場合は最低でも2ヶ月は必要なので…。

更新の方も、オリジナルのデザインを忠実に再現するという意味なので、
まったく褒められたものでは無いわけでして。

…「正直、スマンカッタ」ですm(_ _;)m

86 名前:★惟新:2004/01/28(水) 20:28
項翔様、センターお疲れサマー!
いやー見事に祭りと重なってしまいましたね(^_^;)
今は二次に向けて励まれていらっしゃる? あとはあまり根は詰めず、
より好ましいと思われる精神状態の維持にお努めください。

>パロディー
ビーマニだなーとは思いました(^_^;)
でも、パロディといってもなかなか大変ですし、センスも求められますですよ?
そんなわけで、グッジョブ!
項翔様流の味付けは受験後の楽しみにお待ちしております。
なぁに、あとほんの少しじゃありませんか! 今は人生の分岐路大勝負、ファイトー!

87 名前:★アサハル:2004/01/29(木) 19:10
…どもです。
皆さん祭りお疲れさまでした!なんかもう…何処から感想付ければ
いいんですか!?ってぐらい目眩みまくってます。眼福だ…。
そして当の本人が最後は見事な尻切れトンボでごめんなさい_| ̄|○
嵩&儁コンビの3年前の蒼天学園パンフ(竇武&陳蕃)とか描いてたんですが
衣装がしっくりこなくて(竇武似合わねー)描き直す事数回…

項翔様、センターお疲れさまです!
あとは2次試験…無理せず頑張って下さい(・∀・)b

88 名前:★惟新:2004/01/31(土) 00:36
アサハル様もお疲れ様ですーノシ
すでに嵩&儁パンフやワンピ簡雍で壮絶に萌えさせていただいたわけですが、
そのうえ竇武&陳蕃をもお考えでしたか!
改めて竇武のキャラ絵を拝見しましたが、う〜む、濃ゆい!
めさめさ美人、かつ派手系。むぅ、これなら衣装を選ぶのも道理…
アサハル様をこれほどまでに困らせるとは、恐るべし、竇武ねーさん!
イロイロと大変でございましょうが、
もし創作の神が囁かれましたら、ぜひに…(;´Д`)

89 名前:★ぐっこ@管理人:2004/01/31(土) 00:46
>項翔様
遅くなりましたが、そういえばセンター乙!
悲惨な人みたいにならずによかった…

あ、音楽サイト、元ネタありでしたか(^_^;)
それでもグッジョブ! 後付設定を含めて、年を経るごとに変化してゆく
学三萌え(;´Д`)ハァハァ…
さしあたって勉強ガンバ! そして栄光を勝ち取って後、またガンガン
参加してくださいませ〜!

>アサハル様
イエイエ〜!丁度一年前、アサハル様が投下された神絵からスタートした旭祭、
見事成功でございます。
ホント、この短期間に皆様がネタをひっさげ、神絵が飛び交い…本当に眼福でしたわ〜。
ワタクシこそ、序盤の盛り上がり時に参戦できず、最後に滑り込むように…

 >嵩&儁コンビの3年前の蒼天学園パンフ(竇武&陳蕃)とか描いてたんですが

Σ(;´Д`)

外伝補完版の決めネタゲット!

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