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■ 【1月18日】旭記念日創作発表スレッド【お祭りワッショイ】

1 名前:★惟新:2004/01/16(金) 14:26
『この萌えがいいね』と君が言ったから1月18日は旭記念日

と、いうわけで旭記念日祭りの開催を告知します!
旭記念日は神の光臨された1月18日にあやかる、何かゴリゴリ作ろーぜの日です。
学三暦内に設けられた謎の休日「旭記念日」を巡る創作物を中心とした、創作活動の推進を目的とします。
記念日制定の経緯
お祭り開催の経緯

そんなわけで、皆様、ゴリゴリ作ってくださいませーっ!
学三に関連していればSS、イラスト、漫画、音楽、設定等々、何でも構いません。
参加の際には「学三世界での旭記念日」(1月18日)をテーマにしていただけると幸いですが、
何かと制限を受けますので、どうもアイデアが沸かない、などの場合も大いにありえます。
その際はテーマに関わらず、ご自由に創作なさってください。そこは創作の神の命じるままに! です。
多数のご参加、心よりお待ちしております。

具体的な事項は>>2に。

73 名前:★ぐっこ@管理人:2004/01/22(木) 01:15
>>47 おーぷんえっぐ様
コラネタキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!
Σ(;´Д`)!!ワロタ

ううむ、ここまでメディア展開が進んでいる作品世界だと、えてしてこいう
ことが起こるんですねえ(^_^;) つうか学三とかの方が異様なのか。
…欣太皇甫嵩(((( ;゜Д゜)))ガクガクブルブル…

>>48 雪月華様
。・゚・(ノД`)・゚・ むう、今はゆっくり休らうべし。
復帰をば、心待ちにしております! それにしても逝っちゃったのは
HDなのですか…? 痛〜っ!
とにかく、桜の舞う季節を待ちまする。

>>49 ヤッサバ隊長
乙! なるほど、あの漢ハァハァ魏延たんの裸シャツショットの詳細
でありますか! …なるほど、楊儀たん、いい仕事だ…
うーん、しかし魏延たんは酒でああなるのか。攻略しやすそうだな(←何の?

>>52-58
惟新様も大作投入乙っ!( ゚Д゚)
むう、ボリュームだけなら私が一番気合い入ってると思ったのに、意表をつかれたわ!
カルテットがそれぞれに後継者ないし因縁の連中とエンカウントする、燃え萌えな
アンソロ展開!
そしてオオトリというか無敵キャラ登場(;´Д`)ハァハァ…
うーん、皇甫嵩をじろっと見るだけで黙らせて、朱儁以下を子供扱いできる姐さん…
無敵だなー。

>>64-70
長ェよ
あと、ユニコード化けてるところあるし。

>>71 那御さま
うい…。時間的に間にあわなそうだったので、真ん中(昼間のイベント)が
ごっそり抜けてしまってます(^_^;) ホントはジャケ写帰りの皇甫嵩たちと
出会ったり、曹節や王甫の陰謀の伏線があったり…(第二次党錮は、この3日後)
まあ、本編に組み込んだりリメイクしたりするです…

呉漢お母さん、伝読むたびにカコイイなあと。惟新様ならストライクでしょうけど、
イメージはフルーツバスケットの今日子お母さんです。

74 名前:おーぷんえっぐ:2004/01/22(木) 04:22
一応の締め切り、真にお疲れ様でした^^;
しかし、力作が一通り揃いまして”凄い”という他ありません!
ヤッサバ隊長さん>魏延の色っぽいお話に少々赤面w この作品が基で自分の
制御リミッターが外れたかもしれませんw
惟新さん>シカトされた丁原が呂布につかまるシーンに笑いましたw
呂布に肩車をしてもらってのイメージは自分的に映画”マッドマックス3”の
”マスター&ブラスター”でしたよw
ぐっこさん>蒼天の先輩方のお話に”宝塚”的要素が含まれて華やかな印象を受けました
あまり、この時代の詳細を知らない自分でも楽しく読ませていただきました〜^^
ここ> http://www32.tok2.com/home/mm2/3k/inupdate.html target=_blank>http://www32.tok2.com/home/mm2/3k/inupdate.html 行って少々勉強してきます(大汗w)

75 名前:★ヤッサバ隊長:2004/01/22(木) 18:08
旭祭り終了おめ〜&皆様お疲れ様でした。

>おーぷんえっぐサン
何をおっしゃいますか!
貴方様が「学三おえび」にて掲載されたあの「プライベート三姉妹」こそ、我が萌えるハートに火をつけたのでありますよ!(゚∀゚)
アレが無かったら、魏延にあんな格好させませんって(w
ちう訳で、俺的最萌賞はおーぷんえっぐさんに進呈。…ぱちぱちぱち。

>グコ兄ィ
マジで萌え狂いまくりますた(;´Д`)
いやはや、まんまあっち方面の展開ながら、学三らしい内容に上手くコラボレートされてるって感じですな。
ちうか、呉漢母様ステキすぎ。
こりゃ本編が楽しみだわぁ…。

76 名前:★惟新:2004/01/22(木) 20:42
>>73
>イメージはフルーツバスケットの今日子お母さんです。
なんですとー!! どーりで無茶苦茶心惹かれるわけですよ(*´Д`)
伝説の「赤い蝶」時代といい、なるほど、確かに合いますな!
今しがた7巻を読み直しましたが、やっぱり今日子さんは凄いです。・゚・(ノД`)・゚・。
よーしパパ「呉漢お母さんファンクラブ」とか作っちゃうぞー!
てか、いつの間にぐっこ様もフルバを(^_^;)

77 名前:★惟新:2004/01/22(木) 20:45
さて! 皆様、お疲れ様でした!
私も言い出した当初はどんどん大きくなる話にどうしたものかと戸惑いましたが、
終わってみれば、やって良かった! と感激しております。
素晴らしい意欲作、大作の数々がズラリと立ち並ぶ様はまさに圧巻!
予想を上回る盛り上がりに、驚くと同時に狂喜乱舞しておりました。

皆様のご協力のおかげで旭祭りはつつがなく終えることができました。
万感の思いを込めて、お疲れ様でした。そして、ありがとうございました。
また、ぐっこ様、玉川様、隊長様には個人的に心より御礼申し上げます。
これからも皆様益々ご発展されるよう、お祈り申し上げております。
ビバ! 学三☆

…と、一応締めの挨拶をしましたが、もし、「まだ作ってるのよ!」
という方がいらっしゃいましたらどうぞ遠慮なくご投稿なさってくださいませ〜
お待ち申し上げておりますm(__)m

78 名前:★ぐっこ@管理人:2004/01/23(金) 01:03
惟新様 乙ッ!

わずか1週間たらずでここまでの祭に仕上がるとはっ!
惟新様、司会進行および盛り上げ、会場の設営等、本当にお疲れさまで
ありました! 呼ばれない限り決して自分から動かないこの怠惰な管理人
とは違い、見事なまでの運営ぶり、一参加者として感服いたしましたわー♥
年に一度の旭記念祭、まずは大成功と言うことで、学三史に長く記される
ことでありましょう! 

では、引き続きこのスレにて、残弾投入、感想、打ち上げ雑談などをマターリ
つづけますかにゃ。

79 名前:★ぐっこ@管理人:2004/01/23(金) 01:26

>惟新様
あら、時間差で>>72づかなんだ…(^_^;) あれです、タイトルロゴは本編用
に造ったやつを引っ張ってきました。結構お気に入りだったり。
かなり派手に踏み込んで、リヨみての世界観をリリアン風に合わせてみました。
正直「百合さま」はやりすぎかも_| ̄|○  でも本来は演義のパロディシーン「劉虞
さまが見てる」の設定なので、別に今出しちゃってもイイかな〜と。つまり演義でも
出てきます、百合様設定。ちなみに乙女百合さまは“リリウム・ルベルム”。
タグでルビふれるので(Winのみ)、けっこうそれっぽく見えます。

お母さん…こちらでかなり詳しく解説が!
訳する手間がだいぶ省けました〜。
イヤもう、この人呉匡を主役にする、って決めたときからお蝶さんって決めてたんですね(^_^;)

>おーぷんえっぐ様
イエイエ〜。まんま少女小説の世界でして(^_^;) 
正史コーナーで仮公開中の本編の、半年後くらいのお話、ということで。
第一次党錮の禁と第二次党錮の禁の間、というあたりです。
そうそう、MM2さまの辞典、めっさ使いまくりましたよ! 実は職場でコソーリ細切れに
文書いてたんですが(ばれないように)、八厨とかの序列は、名士番付のところで参照したり…

>ヤッサバ隊長
うい! 開き直って、おもいっきり祐巳チックに!
よーしパパ本編もこの調子で書いちゃうぞ〜! ちなみに後輩の曹操さんは辣腕新聞部員だったり。
しかもいきなり袁紹さんの妹気取りで登場する、縦ロール属性をも持っています(^_^;)

80 名前:那御:2004/01/24(土) 00:04
皆様お疲れ様でしたッ!
特に主催者の惟新様は、色々と大変だったこと、お察しします。
かくいう私は一曲投下したのみに留まりw
「間に合うかな〜」と思って着手した2曲目は、全然間に合いませんで(汗
後日、投下しようかと思います。

兎にも角にも、皆様、本当にお疲れ様でした!

81 名前:★惟新:2004/01/24(土) 18:50
皆様どうもありがとうございます〜!
主催役、小心者の私にはドキドキものでした(^_^;)
何かと後悔の連続でしたが、それでも何とかなったのは、やはり皆様のおかげ!
学三はみんなで作っているんだなぁと改めて実感いたしました。

今回のお祭りはアサハル様の神絵が動力源となったわけですが、
もしこのような機会がありましたら、いつの日か、またお祭りを開きたいですね。

>那御様
2曲目ですとー! 楽しみ…(;´Д`)ハァハァ

82 名前:★項翔:2004/01/27(火) 23:47
うぐぅ.....(T T)
リアルタイムで『イゼルローンをも凌ぐお祭り気分』を
堪能できなかったのが本当に残念です......。
なぜなら当日はセンター試験だったから..........(T▽T)

しかし、あまりにも寂しかったので、私も遅ればせながら......
試験が終わった翌日だけパソコンが全日解禁されたのを好機として
速攻で製作した音楽サイト『学三style(仮称)』を公開させて頂きます。
曲のジャンルは、私の少ない知識をもとに独断で決定しました(^_^;)

全くの未完成品ですが、いつか再び自由な時間が持てるように
なりましたら、更新の続きを行おうと思います。

83 名前:★ぐっこ@管理人:2004/01/28(水) 00:12
Σ(゚Д゚;)スゲエ!
なんかカコイイ! こんな短期間で!?
学三関連の音楽を集めるってのもイイですやね〜。
さしあたって那御さまの神midiがメインで〜。

ちうか、項翔様受験生でしたな(^_^;) 三月まで、まずは人生を変えうる
受験の方に専念! そして戻られた暁には(;´Д`)ハァハァ…

84 名前:那御:2004/01/28(水) 00:45
項翔様ッ!感謝感激です!
センター翌日の短期間で、ココまでのサイトを作り上げるとは・・・
何気に画像までこだわっていらっしゃる。
お礼の言葉もありません。
ジャンルも「どうぞご自由に」、のワールドで作ってるので・・・

年下が言うのもなんですが、がんがれ受験生!
ラストスパート、ここが踏ん張りどころです!

85 名前:★項翔:2004/01/28(水) 15:03
いえ、実は単なるパロディーなんですが(^_^;)(元ネタ
サイトのデザインから内容まで真面目に考えるなら、
私の場合は最低でも2ヶ月は必要なので…。

更新の方も、オリジナルのデザインを忠実に再現するという意味なので、
まったく褒められたものでは無いわけでして。

…「正直、スマンカッタ」ですm(_ _;)m

86 名前:★惟新:2004/01/28(水) 20:28
項翔様、センターお疲れサマー!
いやー見事に祭りと重なってしまいましたね(^_^;)
今は二次に向けて励まれていらっしゃる? あとはあまり根は詰めず、
より好ましいと思われる精神状態の維持にお努めください。

>パロディー
ビーマニだなーとは思いました(^_^;)
でも、パロディといってもなかなか大変ですし、センスも求められますですよ?
そんなわけで、グッジョブ!
項翔様流の味付けは受験後の楽しみにお待ちしております。
なぁに、あとほんの少しじゃありませんか! 今は人生の分岐路大勝負、ファイトー!

87 名前:★アサハル:2004/01/29(木) 19:10
…どもです。
皆さん祭りお疲れさまでした!なんかもう…何処から感想付ければ
いいんですか!?ってぐらい目眩みまくってます。眼福だ…。
そして当の本人が最後は見事な尻切れトンボでごめんなさい_| ̄|○
嵩&儁コンビの3年前の蒼天学園パンフ(竇武&陳蕃)とか描いてたんですが
衣装がしっくりこなくて(竇武似合わねー)描き直す事数回…

項翔様、センターお疲れさまです!
あとは2次試験…無理せず頑張って下さい(・∀・)b

88 名前:★惟新:2004/01/31(土) 00:36
アサハル様もお疲れ様ですーノシ
すでに嵩&儁パンフやワンピ簡雍で壮絶に萌えさせていただいたわけですが、
そのうえ竇武&陳蕃をもお考えでしたか!
改めて竇武のキャラ絵を拝見しましたが、う〜む、濃ゆい!
めさめさ美人、かつ派手系。むぅ、これなら衣装を選ぶのも道理…
アサハル様をこれほどまでに困らせるとは、恐るべし、竇武ねーさん!
イロイロと大変でございましょうが、
もし創作の神が囁かれましたら、ぜひに…(;´Д`)

89 名前:★ぐっこ@管理人:2004/01/31(土) 00:46
>項翔様
遅くなりましたが、そういえばセンター乙!
悲惨な人みたいにならずによかった…

あ、音楽サイト、元ネタありでしたか(^_^;)
それでもグッジョブ! 後付設定を含めて、年を経るごとに変化してゆく
学三萌え(;´Д`)ハァハァ…
さしあたって勉強ガンバ! そして栄光を勝ち取って後、またガンガン
参加してくださいませ〜!

>アサハル様
イエイエ〜!丁度一年前、アサハル様が投下された神絵からスタートした旭祭、
見事成功でございます。
ホント、この短期間に皆様がネタをひっさげ、神絵が飛び交い…本当に眼福でしたわ〜。
ワタクシこそ、序盤の盛り上がり時に参戦できず、最後に滑り込むように…

 >嵩&儁コンビの3年前の蒼天学園パンフ(竇武&陳蕃)とか描いてたんですが

Σ(;´Д`)

外伝補完版の決めネタゲット!

90 名前:★アサハル:2004/01/31(土) 01:57
それがですね…陳蕃はあの衣装(嵩&儁コンビが着てたアレ)が
バシッと決まるんですよ。
竇武が………笑っちゃうくらい格好良いカッコが似合わないのですあの娘!
制服いつも適度に着崩してるし…もういっそ惟新様のダンスシーンの如く
タキシードにドレスとかでもいいかなこの二人、と途方に暮れ中です。

…「俺なら旭のヴァカよりも竇武タンを格好良く描けるぜ(*´Д`)ハァハァ」と
何方か名乗り出てくれないものかと_| ̄|○

>悲惨な人
(゚Д゚;≡;゚Д゚)
ど、どーなっちゃったんだこの人…!!・゚・(ノД`)・゚・

91 名前:★惟新:2004/01/31(土) 18:14
確かに、竇武にあの式典用制服は難しいですね(^_^;)
かといってあれを着崩すのもちょっと…ですし。
ストリート系で、フェミニンで。学三の中じゃ彼女は特異なんですよね。
う〜ん、仰るとおり、着る衣装自体、考えたほうがいいのかもしれません…

>タキシードにドレス
(・∀・)!!
それは…ものっそ見たいです…(*´Д`)
ついつい妄想が膨らんでしまいましたが…余計なことは言わないでおきます(^_^;)
あ、ダンスパーティーは私じゃなくてぐっこ様のお話ですよ〜

92 名前:★ぐっこ@管理人:2004/02/01(日) 02:35
Σ( ̄□ ̄;)!! それいいっ!
しかし…むしろあの式典服を彼女流に着崩してる姿ってのも(;´Д`)ハァハァかと。
ハーマイオニーばりに髪が豪奢なんですから、結構大時代な格好も似合いそう。

ところで「李膺」でぐぐってワロタ。01話はファイル名変わってるから404なんだけど…

>悲惨な人
この人のためにもネタと信じたい…

93 名前::2004/02/12(木) 13:43
http://s1.kcn-tv.ne.jp/users/syo/gaku3fan/newsongs/top.html target=_blank>http://s1.kcn-tv.ne.jp/users/syo/gaku3fan/newsongs/top.html :学三style UNOFFICIAL HOMEPAGE

二次試験の願書提出期限を守れなかった『悲惨な人』こと項翔です。
これから一年間は浪人生活に突入致しますので、おそらく当分の間は
お邪魔できなくなるかもしれません。
激励・御声援のお便りを下さった皆々様には、大変申し訳ない気持で一杯で、
正直に言うと、この記事を書き込む事、この事実をありのままにご報告することを一再ならず躊躇いました。

現在皆様がご覧のこの記事は、編集済みのものです。
以前の物は、湿っぽい話題を持ち込む事を恐れたことにより、
結果と理由のみを書き込んだものでしたが、改めて
読み直していくうちに、非常に誠意に欠ける内容であることに気付きました。

私のいい加減で無責任な言動と、
皆様の御声援に応える事が出来なかったことを、
深く、お詫び申し上げます。

94 名前:★惟新:2004/02/12(木) 23:28
項翔様、お疲れ様でした。
……
「悲惨な人」については個人的にメールをしたためました。
明日の夜に送信しますから、よろしければお読みください。
きついことを申し上げているかもしれませんから、そのおつもりで。
もし読む気にならなければ破棄してくださっても結構です。返信もご自由に。
お気に触る内容かもしれませんが、今後とも変わらぬお付き合いをお願いします。

さて、学三style!
思いっきり開き直ったQ&Aにワロタ…
そうですね、相手が「あの」メーカーでは、どうなることやら(^_^;)
これからも項翔様のご活躍、期待しておりますよ!

>ぐっこ様
いっそのことサイトごとお祓いを受けてみては…
なんぞと申し上げたくなりました_| ̄|○

95 名前:★おーぷんえっぐ:2004/02/13(金) 02:32
項翔さん>お疲れさまでした。 又一年なにかと大変でしょうが、くじけずに
がんばって下さい。 陰ながら応援しております。

しかし・・キャップがなぜ?(汗)

96 名前:★惟新:2004/02/13(金) 13:54
>項翔様
怒っている人なんて誰もいませんよ。
ご本人が一番おつらいだろうと、みんなわかっていますから。
私は、勇気をもってお知らせくださったことを喜ばしく思っています。
どう返答してよいか悩んでしまうお話ではありましたが、
場の空気うんぬんより、それが筋というものですからね。
…ていうか、一番空気を悪くさせているのは私なんですが_| ̄|○

項翔様は事態をしっかりお受け止めになっていらっしゃるようですから、
ぜひ、今夜送信のメールをご一読ください。余計なお世話なのは承知の上。
隣県の住人(ですよね?)として、お手伝いできることがあれば、と思っています。
挫折をバネにして、これからの一年、また頑張ってくださいね。

97 名前:那御:2004/02/13(金) 19:24
項翔様、お疲れ様でした。
とりあえず、今はやるべきことをしっかりなさってください!
応援しています!

98 名前:★ぐっこ@管理人:2004/02/13(金) 23:25
(((( ;゜Д゜)))ガクガクブルブル…項翔様!お気を確かに!
うむ!まあ! そういうこともあります!
まあ人生半分くらいネタだと思って、一年がんばってくださいませ!

むー、確かに学三どころでは無い話ではありますが(..;) 息抜きがてら、
いつでもご参加くださいまし! 何しろ学三ファンページは本家よりも
上に位置する筆頭サイトなんですから(^_^;)

99 名前:★アサハル:2004/02/14(土) 02:16
・゚・(ノД`)・゚・項翔様、頑張って下さい…

かくいう私も後期試験の待合室で爆睡して起きたら試験終わっちゃってて
それで1年浪人した人なんで何を言えた義理かって感じなんですが。
(流石に親には言えなかった…未だに言えない…)
大丈夫です!1年の寄り道って案外後で振り返って悪い気しないモンですから。

100 名前:★玉川雄一:2004/02/22(日) 11:34
遅ればせながら、項翔さんとにかく一区切りお疲れさまでした。
ご自身の気持ちを前向きに切り替え、再始動といきましょう。

浪人生活に関しては、個人の心境、家庭の事情など様々な要因で
気の持ちようも変わるものですが、これだけは確実なことがひとつ。

「来年は上手くいかない訳がない」

私は、大学に入るときも出るときも回り道しているので
そうそう偉そうなことも言えないのですが、悲観しない、これが一番です。
(もっとも後から振り返らないと分からないかも。でもそういうもんだ!)
自分をあまり追い込まず、時には学三にも目を向けながら頑張って!

101 名前:★玉川雄一:2004/04/04(日) 00:04
リアル引っ越しにかまけて途中から感想書いてなかったんで、遅まきながら。

■7thさん
>そのうち『グレイファントム』とか『アルビオン』とか出て来るんでしょうかね?
いや、まあ、ねえ(^_^;)ゞ 実は別の話で使おうかと思ってます。
『アルビオン』は「白亜」で字を当てられるんですが、『グレイファントム』がねえ…
ファントム=亡霊は漢語的に「鬼」の字を当てるとして、問題はグレイの方。
グレイ=灰だと字面的にどうかな、ってのもありましたし、
そういや「蒼」の字に灰色の意味があったよなあ、とおぼろげに記憶していましたが、
調べてみたら「あおぐろい」「草木の青い色」という意味だったのでアウト。
漢語で「グレイ」を表すシャレた字ってないものでしょうかね。

■おーぷんえっぐさん
何度見返しても笑える…(^_^) まずこのネタを思いついたことに脱帽。
そりゃみんな首も吊りたくなるでしょうて…
しかしアフター三国志もさることながら、プレ三国志の面々もまだまだ扱いがぞんざいというか…
それを覆そうというのがこの学園三國志と思えば我々の使命も重大ですね!

■ヤサーバ隊長
イエロー! これはイエローカードですじゃ!
おまけにSSで追い打ちとは… つうか楊儀怪しすぎ(^_^;)
まあヤバくならない程度に、この線で魏−楊の確執を描くというのもアリかしら?
あと、宴席で魏延を苦もなくヒネリ倒す張飛がさすが。

■雪月華さん
これはご愁傷様… その後経過はいかがでしょうか?
一から書き直せば案外とまとまった作品に仕立て直すこともできるとはいえ、
それも量が多ければ限度があるというもの、
お亡くなりになったデータができる限り復活されることを願いつつ、
雪月華さんの復帰と新作をお待ちしています。

■惟新さん
四者四様のお使いエピソード、そして頂上決戦…!
それぞれの新たな出会いとも絡めて、少女たちの日常(…なのか?)が
鮮やかに描かれていますね。でも傅燮タンには何故かもの悲しさを覚えてしまふ(つДT)

ところで、私この辺のバックグラウンドには疎いのですが
『渾天儀ケーキ』って元ネタありますのん?

■グコーさん
相変わらず凄まじいまでの情報量。
マーベラスな呉漢ママンに圧倒され、呉班、呉懿コンビのシンクロっぷりは微笑ましく、
百合さま方の勢揃いはいろんな意味で蒼天会の“よき時代”の象徴のよう。
李膺さまも何やらいい方向へお変わりになられたようで何より。
…って第二次党錮の直前のことだったのか!Σ(゚Д゚;) 切ねェ…

で、まあ後漢成立期のことには尚更疎いのですが、
呉漢って方は大層な功績を挙げられたようですね。この時代も面白そうだなあ…

しかし学三の精鋭が一堂に会したこのイベントは大成功でしたわね。
惟新さん、改めてお疲れさまでした。

そういや、ぐっこさんの改訂試作版年表だと二宮の変が旭記念日に重ねられそうなので、
続きを書いてみようかしら。間にもう一本入りそうですが。

102 名前:★玉川雄一:2004/04/04(日) 01:10
あー、でもあの年表だといろいろズレが発生しちゃうんですね。
お話を考えるのはもう少し様子を見てからの方がいいかしら?

103 名前:★ぐっこ@管理人:2004/04/06(火) 00:11
うわ、懐かしい! …つうてもまだ二月ちょいですか。
二宮の変のヨカーン!? ちなみに年表いじってみましたが、偶然にも旭記念日
のあたりに、一年繰り上がって二宮の変の渦中が当てはまりました(^_^;)
一月ほど解決が遅れてますが…
とにかく期待( ゚Д゚)!

104 名前:★玉川雄一:2004/04/06(火) 00:49
新年表、二宮の変はちょうど旭記念日に重なったんですけど
祭りの時に書いた「吾粲の眼」の話がズレちゃった。
一応は赤壁前のつもりだったけど、さほど時期を限定してるわけでもない…
と思ったら周瑜がリタイアしてたのか。

まあ、あちらを立てればこちらが立たず、ですやね。
上手いこと再編成ができれば、新年表準拠に移行できるでしょう。

105 名前:岡本:2004/04/07(水) 20:50
>グレイファントムの当て字
久しぶりにお邪魔します。

アルビオン=白亜の壁 からすると色別系の字を当てたほうが
とおりがよいのでしょうが、
ファントムを中国系の”鬼”にした時点で、色表示にすると”泣いた赤鬼”
系の誤解連想を生みますので
グレイ=薄明、黄昏から
グレイファントム=「朧鬼」あるいは「幽鬼」はいかがでしょう。

愚案でした。

106 名前:★玉川雄一:2004/04/07(水) 23:09
なるほど! 毎度ながら岡本さんの着想には驚かされると同時に助かります。
けして“厳密に”合わせなければいけない理由はなく、(露骨にパクリというのもアレですし)
むしろイメージ優先で多少揺れていた方が好ましいので非常に参考になりました。
「幽鬼」は熟語のイメージに引っ張られそうですので、「朧鬼」が良さそうです。

機会が来たときには、ぜひ使わせていただきまする<(_ _)>

107 名前:惟新:2004/04/09(金) 04:04
二宮の変! あの大事件がどのように描かれるのか…(;´Д`)ハァハァ

あ、渾天儀ケーキの元ネタは私が取った中哲講義のメモでして(^_^;)
なんでも鄭玄は渾天儀の計算で馬融に認められて直弟子になれたとか。

108 名前:★玉川雄一:2005/01/11(火) 23:13
さて、じゃあ今年もこのスレを使用ということでよろしいか。
ネタ合わせのために現行版年表を見てみたら…
前回の吾粲ネタは旧年表に準拠してたんだけど、一年ズレちゃったみたい。
終わり(二宮の変)で合わせると、現行年表では吾粲の高等部進級は
曹操の高三年度ということになるのね。
だもんで、その前の体験入部ネタは211年相当の時に起こった「ことにする」。
(書いた時点では205年頃を想定してた)
新年表に合わせると周瑜が既に引退してたりとか矛盾があるけど(゚ε゚)キニシナイ!!

で、ネタだけは以前から(それこそ前回の直後)温めてたんですが、
吾粲と顧邵たちのお話の続きを書いてみたいな、と。
222年相当の時期に吾粲は東方で呂範、賀斉らと共に曹休を食い止めたのか。
でもゴメン、回想シーン(厳密には旭祭りの時期から外れる…)が
メインになりそうだけど許してつかぁさい<(_ _)>

109 名前:★ぐっこ@管理人:2005/01/14(金) 23:20
OK(゚ε゚)キニシナイ!!
つうか私の中の年表も、実際と一年ずつずれてるのに気付いた…

そして義兄上の続編に期待でありますッ!
渋いメンツだなあ…相変わらず(^_^;)

110 名前:法全:2005/01/15(土) 15:51
祭なんでございますか.私は文章ヤれん人間ですが,何かヤらかしたい
所存です.年表の一月を見ましたれば・・・例えばこんなネタができる
かなぁと.
http://www.geocities.co.jp/Playtown/4144/gk3/050113.jpg target=_blank>http://www.geocities.co.jp/Playtown/4144/gk3/050113.jpg
あ,ちょうど三分帰一の予兆篇にもなりますね.

111 名前:★玉川雄一:2005/01/16(日) 14:11
あ、友情コンビだ! グッジョブ!!(b^ー°)
この二人のエピソードは外せませんわね。

ところでちょいとマジレス気味に。
以前に調べてみたんですが、羊コって荊州に赴任するまでに
軍歴がほとんどなかったんですよね。宮中の親衛隊の指揮を執っていた程度で。
それが荊州に入って、なまじ善政で落ち着かせちまったもんだから、
小競り合いとか小規模な軍事行動しか経験してなかったみたいなんですよ。
そこで西陵戦役が勃発したわけですが、陸抗は百戦錬磨とは言わないまでも
十分な軍歴を積んでいたのであって、キャリアが段違いだったんですな。

だもんで、あのような結果に終わったのも致し方ないというべきでしょうか。
むしろ羊コが初めての大規模な軍事行動であれだけ戦術を駆使したことを
褒めるべきで、本質的な指揮官としての才能は有していたと見てよいでしょうね。
そして陸抗はその全てを封殺したわけで、やはり一枚も二枚も上手だったと。

もっとも羊コはその後も何度か軍事行動を起こしてそれなりの戦果は挙げているようですし、
なにより軍政官として比類ない手腕を発揮したということで、
トータルでは優れた人物であったことはいうまでもありませんが。

112 名前:takahisa@受験間際:2005/01/17(月) 23:09
大阪私立受験一ヶ月前(2/10)のtakahisaです。
旭祭りにコソーリ投下しときます…。

htttp://takahisa.net/game/gaku3/download/gaku3game_ver0.00.lzh

…ごめんなさい。時間との勝負に負けました。
デキとしては最悪なんですが、今回は「雰囲気体験版(2回目)」ということで、これで許してください…。

113 名前:★玉川雄一:2005/01/18(火) 00:17
ああもう、このお子は!
そこまで身を削らんでもええというに(;´Д`)
私ゃ明日の夜に第一弾投下の予定。

114 名前:惟新:2005/01/18(火) 01:05
受験直前にめーっよ! めーっ!
でも、ものごっつ(;´Д`)ハァハァしましたので
合格の朗報を条件に今回だけは不問とします。
いやホント、頑張ってくださいね!

さておき、旭日祭りの幕開けに相応しい作品乙です!
ゲーム化のこれからに期待を抱かせてくれる、いい感じな出来映えかと!
改めてお話にもワラタですが、ゲームになるとまた違った楽しさが!

え〜私のほうですが、HDDクラッシュボンバーアタックにより
データが吹っ飛んでしまいましたので(;´Д`)
出来れば週末までにはなんとか…したいんですが…_| ̄|○

115 名前:法全:2005/01/18(火) 01:19
まあ,受験中って他事にエネルギー使いたくなったりするもんですが
・・・私も受験中に絵描きました(笑)・・・別に学三は義務では
ないので,そう気負いなさらず.受験後はとんでもないパワーが出る
ので(笑),その時にとっておいて下さいな.

116 名前:★惟新:2005/01/18(火) 02:03
遅くなりましたが!
お祭り開催中宣言をします!
ホントは17日からなんですけど…ごめんなさいごめんなさいごめ(ry

今回はとりあえず一週間くらい見積もって長い目でひとつ。
要は創作推進週間ですので、記念日ネタに限らず、SSにも限らず、
何か作ろう会なノリで参りとうございます。詳細は>>2辺りで。
なお、同時並行して「あの人は今」大会も実施中です。
現在生存確認済みは私を含めて三名でございます。
もし何かしらのご祝辞等賜れますれば幸いに存じます〜!

>>110
りくこちゃんとようこちゃん(*´Д`)ハァハァ…
敵味方を超越した友情にはものすごく憧れるものが!
ああ、眺めているだけで幸せになる…

玉川様のお話もためになりました!
なるほど、ただの「名将」とは一味違った羊[示古]観が!
そのように考えていくと、二人の友情も何やら味わい深く…

117 名前:海月 亮:2005/01/18(火) 22:16
未だ正史読解中の弱卒の身ながらッ…願わくば、某も祭の末席に参加させていただきたく…<(_ _)>

なんだかんだ言ってみたところでやっぱり、血が抑えられなくなったみたいです…_| ̄|○
無礼を承知でネタSS製作に入ってみたりしたんですよ。それを投下したくて辛抱たまらんのです。
ついでに言えば長湖宴会ネタ。しかも、この上なく不真面目な内容になる予定です…(え
仕事はあるんですけど…ミョーに筆が進むので、日付が20日に変わる頃には完成…するといいなぁ。

》110
陸抗と羊(示古)…学三設定では幼馴染みなんですよね、確か。
それが敵味方に…なんと、萌えを掻き立てるシチュだろう…(´ー`)~*

私めも先日玉川様のご教示を仰いだ身ですが…ぐむ…ためになる…。

》112
何気に初めてレス返しさせて頂いとります。なんと言うか、きっかけがつかめなくて_| ̄|○
完成の楽しみな逸品、堪能させて頂きました(≧∇≦)
春には吉報をお聞かせ願えること、心より願っております。

118 名前:★惟新:2005/01/18(火) 23:10
ヽ(´∀`)ノ
なにせお祭りですので!
多少はっちゃけられても全然オッケー、むしろはっちゃけろーな勢いで!
心よりお待ちしております(;´Д`)ハァハァ

119 名前:★ぐっこ@管理人:2005/01/19(水) 01:10
うほ――ッ! 遅参申し訳ない( ゚Д゚)! ただいま帰社であります!

>>110
りくことようこたんっ!幼稚舎あたりからずっと一緒っぽい彼女たち
ですが、敵味方として対峙する悲しい運命…。羊角かわいいなあ〜
玉川様の仰る通り、こと軍事に関しては、りくこちゃんの方が当時桁外れ
というべきであって、ほとんど彼女自身の存在が戦略レベル。
ガチでは勝てないと踏んだようこちゃんは、仲良し政策で荊州校区の切り崩しを…
といった流れ。決してコブシで語る親友同士に留まらない関係だったのですね〜

>>111
ゴルァ(;゚Д゚)! だから禁止とあれほど!その時間で一つでも多くの単語を覚えなされ!
しかし許す!でも不合格だったら許しません!
あははー、やはりノベルゲームはnscriptか吉里吉里ですよねー。あずまんがnextゲーム化
計画が懐かしい…

>>116
宣言乙( ゚Д゚)!
くそう、ホントは格好良く第一陣投入したかったけど、まだもうすこし!
私は正当派の旭日記念日ネタで!
うふふふ、そして海月様も本気の構えだッ! 存分に萌え狂われよ!

120 名前:★玉川雄一:2005/01/19(水) 02:22
うぃー、でけた。

http://gaksan1.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/upboard/updir/gosan01.jpg

例の四人組。向かって右から陸遜、顧邵、吾粲、朱拠。
高等部に進級して、正式に長湖部に入部した直後のシーンと思いねェ。
っつか断言できる。このメンツでギャル絵描いたの俺が史上初。

それじゃ、みんな続け!

121 名前:海月 亮:2005/01/19(水) 19:59
何時も通り仕事逝こうとしたならば…今日お休みだったの忘れてました。
でもって昼まで二度寝して、SSの仕上げで一日潰してみました(゚∀゚)

では新参の身で僭越ながら…この場合、二番手なのか?それとも三番手?
ええぃ、とにかくこれより死地に入るであります!(゚∀゚)>

122 名前:海月 亮:2005/01/19(水) 20:02
-長湖、新春の攻防戦 そのいち-


揚州学区・呉郡学生寮、その陸遜の部屋。その扉が乱暴に開け放たれると、必死の形相をした二人の少女が転がり込んだ。そしてまた、乱暴に扉が閉じた。
一人は、緑なす黒髪をショートボブに切り揃えた少女−長湖部実働部隊の総括責任者・陸遜。
もう一人は、その頭の両サイドに、何かの耳のように跳ねたクセ毛があるロングヘアの少女。今年卒業を控え、推薦での進学も決定したものの、来年も特別顧問として残留が確定している諸葛瑾だ。
二人は暗がりの中でお互いの顔を見合わせると、強張った顔のままで呟いた。その衣服は、大分乱れており、彼女達がどんな目に遭ったかをよく物語っている。
「こ、ここまで来れば一安心ですね、子瑜先輩…」
「え、ええ…ようやく、逃げ切ったわね」
ここのところ平穏そのものだった長湖部。
正月の松の内も大分過ぎた1月18日に存在する学園休校日。この日に行われた体験入部イベントもそこそこの成功を見せた。でもって次の日も特別休校ということで、その夜に新年会を兼ねた打ち上げを行うことになったのだ。
昨年は帰宅部連合との悶着でそれどころではなく、さらに孫権が公孫淵の裏切り行為に相当なストレスを溜めている事を考慮し、少々羽目を外すくらいは…というのが、発案者・陸遜の弁だった。しかし特別に招いた、卒業を控えた魯粛や甘寧らのリタイア組参加希望者のリクエストに応え、酒の類を持ち込むことを容認したのが間違いの始まりだった。
案の定、先ず孫権が暴走した。公孫淵の一件から来た鬱憤に加え、いつも宴席を支配していたシャンパンが、よりアルコール度数の高いチューハイや日本酒に替わっていたことで、テンションの上がりようが半端でなくなっていた。
いつもなら止める筈の張昭が不在で、ストッパーの谷利が一緒になって呑んでいたのも災いした。甘寧の暴走を止められる呂蒙が、センター試験の為に学園を離れていたのも不運だった。
しかも悪いことに、一滴もアルコールを口にしたことがない凌統が、特待生として大学進学が決まったことに気をよくして大杯を干し…正確には、甘寧と魯粛が面白がって凌統の口に一升瓶を突っ込んだのだが…とにかくこれで酒乱の本性を顕した凌統が大暴れを始めたのが狂乱に拍車をかけたのだ。
陸遜を筆頭として大人しくやっていた連中が、孫権を筆頭とした酒乱共の襲撃を受け、程なくして会場は阿鼻叫喚のサバトと化した。その狼藉っぷりに恐怖した何人かが会場を次々に飛び出していくと、夜の帳の落ちた建業棟周辺で、酔いどれ天使と哀れな小羊達による鬼ごっこが展開されたのだ。
普段大人しい孫登や孫和すら、酔った勢いで陸遜にへばりついてくる有様だった。操を奪われそうになった(w)すんでのところで二人は何とか脱出し、会場からそう遠くない呉郡寮へ逃げ延びた、と言うわけだ。
「とにかく…」
「…ええ」
「「助かったぁ…」」
二人は同時に、その場にへたり込んでしまった。

所変わって、会場のすぐ傍の物陰に、二人の少女が隠れている。
一人は艶やかな黒髪を三つ編みに結った、気の強そうな少女。縁無しの眼鏡が、妙にはまっている。
もう一人は、亜麻色髪をセミロングにした小柄の少女。白のリボンをヘアバンドのように結っており、それが暗がりでは妙に目立って見える。
「…どうしよう〜…はぐれちゃったよぅ…」
「しっ! 情けない声出さないの。つーか敬文、そのリボン目立つから、外しときなさい」
「うぐぅ…うん…」
敬文こと、長湖部次期部長後見補佐を務める薛綜は、震える手で結ったリボンを外し、ポケットに仕舞いこんだ。もう一人、眼鏡の少女は長湖部風紀委員長の厳S、字を曼才。
こういう宴会事だからこそ、会場に居なければならない彼女達が、何故会場から遁走し隠れているのか…理由は陸遜達と何ら変わることはなかった。
「仲翔さんが居なかったらどうなってたか解らないわね…まぁ、あのヒトもどうなったことやら」
しみじみと呟く厳S。
この年度頭の宴会で、虞翻は孫権の逆鱗に触れて交州学区に左遷されていたのだが、今日は卒業間際という事で特別に交州から呼び戻されていた。そう言う引け目もあってか、この日の虞翻は陸遜や厳S達に混じっていた。直截な物言いも影を潜め、これまで彼女を快く思っていなかった者達とも、この日はかなり打ち解けていた。
孫権その他が暴走を始め、混乱を極めた時に逃げる連中の殿軍を買って出たのも虞翻だった。かつて、課外活動で孫策を窮地から救った杖術の腕を活かし、群がる酔いどれ天使達を捌く虞翻の姿を思い返し、薛綜の目に涙が溢れる。
「うぅ…仲翔さぁん…」
「泣かないの敬文! 仲翔さんの犠牲を無駄にしないため、絶対に呉郡寮まで逃げましょう、ね?」
「…ぐすっ…今日一緒に居ても…」
「あたしもこんな日に正直、一人は御免よ。合図したらここを出て全力で走るわよ…いい?」
「うん…」
そうして、そーっと暗がりから顔を出し、辺りを確認した厳S。
「よし…いちにのさんで飛び出すわよ…いち、にの…」
息を飲む二人。
「さんッ!」
合図と共に飛び出した…のは、二人だけではなかった。
「残念―――ッ!」
「!!」
視認出来ない両サイドの死角、そこから三つの影が実にいいタイミングで飛び出し、二人に折り重なるように飛びついたのだ。
「ふっふっふー! この朱桓様から逃れようなんざ百年早ぇんじゃい!」
「さっすが〜、あたい、あんたのこと見直したよ休穆ぅ〜」
「姿隠して声隠さず〜甘いぜぇお二人さんよぅ」
飛び出してきたのは朱桓と朱然、そして全Nだった。いつか対蒼天会の学園無双で、戦略上の行き違いがあって大喧嘩した朱桓と全Nだったが、何時の間にか仲直りしていたらしい。
「ちっくしょー! やっとここまで逃げてきたってのに〜!」
「うぐぅぅ〜!」
悔しそうにうめく厳Sと、その下で苦しそうにもがく薛綜の上で、
「…んで、分け前どうするぅ?」
「あたいはどっちでもいいよ〜? 休穆は?」
「う〜ん…じゃあうち等は敬文もらいっ! いいよな義封?」
「おーけーおーけー。じゃあ子黄は曼才持ってってね♪」
「有難き幸せ〜」
分け前相談をする三人であった。

(続く)

123 名前:海月 亮:2005/01/19(水) 20:04
寮の外からがやがやと声が聞こえていた。
追っ手がかかったことを知った陸遜は部屋の電気をつけず、ベランダの窓にバリケードまで築いた上で懐中電灯とヘッドスタンドを持ち出していた。
扉は鍵をかけた上つっかえ棒もしてあるという厳戒態勢だ。
「これでひとまずは安心だな…」
「ええ。でも、懐中電灯の光も結構目立ちますからねぇ…」
「でも、本当にいいの? お邪魔させてもらって」
「はい。むしろ朝までいてください…今日ばっかりは、一人は嫌です…」
自分が貸したシャツの袖を引っ張って、泣きそうな顔で見つめてくる陸遜。
しかたないなぁ、と呟きながらも、諸葛瑾もそれに関しては同意見だった。
そのとき、ドアをノックする音がした。二人はぎょっとして顔を見合わせると…ドアの隙間からうめくような声。
「は、伯言…いたら助けてぇ〜!」
「御願いぃ〜」
慌ててドアを開けると、二人の少女がなだれ込んだ。赤みがかったショートカットの少女は吾粲、飴色の髪をポニーテールに結っているのは朱拠だ。
「孔休、子範!……よく無事だったわね」
「し、死ぬかと思ったわよ」
そう言ってへたり込んだ吾粲、上下のジャージを着ていた筈なのに、ズボンを失っている。
朱拠に至っては、スカートも靴も履いておらず、厚手のストッキングもボロボロだ。
恥も外聞も捨て、まさに命からがら逃げてきた、という感じである。ドアのバリケードを直しながら、陸遜はしみじみと言った。
「…どうしたの、とは訊かないわよ…解ってるから」
「しゃ、洒落にならんぞアレは…何で女の子同士の宴席で操を狙われにゃならないんだか…」
「あ〜ん…怖かったよぅ〜」
いつのも気丈さは何処へやら、泣きついてきた朱拠を宥めつつ、陸遜は当然の疑問を投げかける。
「しかし、よく逃げ切れたわね」
「仲翔さんが血路を開いてくれたからぎりぎり逃げて来れたんだけど…敬文とか曼才とか、どうなったのかな…徳潤さんも相当呑んでたみたいだし…」
実は虞翻もそうなのだが、(カン)沢は一旦アルコールが入ると豹変するクチだ。捕まれば無事では済まないだろう。
「その仲翔さんも、結局部長と谷利にとっ捕まったみたいだしなぁ…そういや子山は?」
「うぅ…多分いち早く逃げたと思う…何時の間にか元歎と一緒にいなくなってたじゃん」
「見てないのね…公績先輩が興覇先輩に羽交い絞めにされてたくらいの頃に、二人して裏口からこっそり出て行くの」
陸遜は、こそこそと逃げる歩隲と顧雍の姿を目の端で捉えていた。その時には自分も孫登達の襲撃を受けていたのでそれどころではなかったわけだが。
「嘘ッ、そんな早く逃げてたのぉ? ずるいよぅ!」
朱拠が非難の声をあげる。だが、いち早く逃げた二人の気持ちも解らなくはない。この場合は要領の悪かった自分達を責めるべきだろう。
「で、悪いんだが…」
「ぐすっ…会稽寮まで戻れそうにないから…朝までいい?」
「大歓迎よ。情けない話だけど、私も怖くて…」
二人の顔が、ようやく安堵の表情に変わった。

一方その頃。
「くそぉぉ、捕まってたまるモンですかぁ!」
柔かそうな黒髪をショートカットにした、ややキツめの顔に黒縁眼鏡をかけた少女が部屋の小窓から脱出しようと釣り下がっている。その形相は、必死そのもの。
少女の名は潘濬、字を承明。かつては荊州学区で関羽の信任を得、後方の守備を任されていたのだが、張湖部の荊州攻略の際、力及ばず軍門に屈した少女だ。彼女は帰宅部連合に対する信義を貫こうとし、部屋に閉じこもっていたが、孫権自らが彼女を諭し、以来幹部として厚遇されていた。
同じ直言の士であっても、張昭のようにやり込めてくるタイプではなく、親友がそうするように真摯な姿勢で諭してくれるスタンスが気に入られ、孫権の信任は非常に厚い。だが、あくまでそれは孫権が素面であった時の話に過ぎない。
酔った孫権にしてみれば、潘濬とてお気に入りの玩具のひとつでしかないのだ。
「う〜、逃がさないのらぁ〜承明ぃ〜」
「わぁぁ! そんなところに手をかけないで下さい部長〜!」
「お〜、いいよいいよぅ、もっとやれ〜♪」
「おねぇちゃんがんばれ〜」
「もう少し〜」
潘濬は、そのスカートの根元を孫権に捕まれ悲鳴をあげた。それを見て、座の中央で(カン)沢と孫登・孫和姉妹が無責任に声援を送る。援軍の期待できない状況に、潘濬は泣きたくなった。
逃げた連中を追っかけて、甘寧や凌統、徐盛に周泰といった猛者たちは方々へ散らばり、数人しか残っていないのですっかり静かになった宴会場は、それでもまだプチハチャメチャ状態を継続していた。
部屋の隅のほうでは、座った目をした朱桓と朱然が、制服の半袖にブルマというマニアックな格好をさせられ、泣きべそをかいている薛綜に酌をさせ、時折抱きついては慰み者にしている。
孫権が最初に座っていた辺りでは、散々弄ばれた後なのだろう、下着姿で突っ伏している厳Sと、弄んだ張本人の全Nが、酔いつぶれて倒れている。その近くには、普段孫権の後ろにくっついている谷利が、手酌で何かぶつぶつ言いながら痛飲している。
部屋の中央には、頭から酒を浴びせられ、衣服を乱され酔いつぶされた虞翻の姿がある。
どれも一瞬後の自分をみているような気がして、潘濬の顔が蒼白になった。
彼女は最初の大脱走(w)の際、機転を利かせて外に飛び出すと見せかけ、階上のトイレに隠れていたのだ。しかし、騒ぎがひと段落した頃を見計らいトイレから出たところで、徘徊していた孫権とばったり出くわしたのが運の尽き。陸遜という玩具を失ってヒマを持て余していた孫登・孫和姉妹を交えた壮絶な鬼ごっこの末、彼女は宴会場に戻ってくる羽目になった。
「むぅぅ〜しぶといなぁ〜…えいっ!」
「え?」
次の瞬間、孫権は潘濬のスカートの根元を掴んだまま、勢いをつけてぶら下がた。
スカートに限らず、この学園の制服は課外活動に伴う戦闘行為のために相当丈夫な生地を使っているはずだが、偶然ホックの辺りに手をかけていたからたまらない。勢いでホックが外れ、スカートがずり下ろされ…
「―――――――っ!」
その惨劇に、潘濬は声にならない悲鳴をあげた。その顔が、恥ずかしさのあまり瞬間沸騰する。
間の悪いことに、彼女は下着の上にはスカート以外に何も身に付けていなかった。普段堅物振りを発揮して、お洒落にも気を使わないと思われた彼女らしく、シンプルなストライプの下着が姿をあらわす。
「むぅ…白地に青の縞パンか…やるな承明」
なにが「やるな」なのか知らないが、しみじみと呟く(カン)沢。その目の前で露になった下着を隠そうと手を放してしまった潘濬と、未だにそのスカートから手を放そうとしない孫権は一緒に崩れ落ちた。
頭から落っこちた潘濬は、痛む頭をさすって起きあがろうとするが…何故かその上にはマウント・ポジションをキープした孫権がいた。
口元はこれ以上ないくらい妖しく歪み、手の動きが否応なく恐怖をかきたてる。潘濬は涙目で、必死になって逃げようとするが、竦んだ身体に上手く力が入らない。
「あ…あ…」
「つ〜かまえたぁ…たぁっぷりかあいがったげるから覚悟しろ承明ぃ〜」
そして建業棟に、潘濬の悲鳴が木霊した。

(続く)

124 名前:海月 亮:2005/01/19(水) 20:05
「開けろおらぁ! 居るのはわぁってんらお〜!」
「逃亡者はお持ち帰りらぁ〜出て来いやぁ〜!」
鉄製の扉を執拗に蹴り続ける激しい音と、酔った魯粛と甘寧の声がする。蹴っているのは恐らく甘寧であろう。慌てた陸遜達は、下駄箱やテーブルでバリケードを固めて抵抗した。
「な、何、なんで? 何で居るのがバレたのよっ!?」
「そんなの知らないよっ!」
小声でやり取りする朱拠と吾粲。
「まさか…」
築かれたバリケードの上から、可愛らしいカエル柄の散りばめられたパジャマに着替えた陸遜が小窓から外の様子を伺った。そこには、制服のスカートとジャージのズボンをそれぞれの手に握り締めながら、物凄い形相で蹴りを入れてくる甘寧の姿が見えた。
「やっぱり…二人の匂いを嗅ぎつけたんだ…」
「んな馬鹿な! 犬じゃあるまいしそんなこと」
当然の物言いをする吾粲。しかし、陸遜は真顔で、
「承淵から聞いたことがあるの。興覇先輩って、匂いだけでどんな料理を作っているのかは愚か、材料まで完璧に言い当てるって…私も最初は信じられなかったけど…そんな嗅覚なら、人の匂いを嗅ぎ分けるくらい出来るかも」
「うそ…でしょ?」
その言葉に顔面蒼白になる朱拠。陸遜が授業で使っている竹刀を持ち出してきた諸葛瑾も姿をみせる。
「開けたら一巻の終わりよ…私、窓のほう見てくる。ここ三階だから多分大丈夫かもしれないけど…」
「いえ、酔ってるあの人たちに、常識なんて通用しません! 私も行きます! 孔休、子範、此処は任せた!」
「承知!」
必死の形相で、かつ強い語調の小声で、陸遜が指示を飛ばす。
二人がベランダのほうへ行くと、なにやら声がする。ギョッとして駆け寄れば、その声の主が潘璋と凌統であることに気がついた。鍵をかけているベランダの戸がガタガタと乱雑な音を立てる。
「公績ぃ、石かなんか持ってない〜? こりゃ割るっきゃないっしょ〜?」
「そだね〜てかアンタの部屋から何かもってくりゃいいじゃん?じゃん?」
「や〜よ、ヒトのならともかく、あたしのモノでガラスなんて割りたくないも〜ん」
そんな物騒な会話に、二人は息を飲んで顔を見合わせる。
「…忘れてた…確かこの隣りって、文珪の部屋だった…ベランダ伝いで来れたかも」
「というかあの二人まで来てるなんて予想外だったわ…まさかあたし達狙いだったなんて」
二人は入ってくる様子はない。何か言っては二人でげたげたと笑っているが、それは中に立てこもる少女達の背筋を凍らせるには十分すぎる内容だった。
しばらく考え込んでいたが、陸遜が意を決したように立ち上がった。
「…こうなったら先制攻撃あるのみ!」
「え、ちょっと伯言!?」
諸葛瑾から竹刀を奪い取り、陸遜はベランダの鍵を開けて外に踊り出る。
「お♪ 伯言みっけ…」
「先輩、御免なさいっ…たぁっ!」
それに気を取られた潘璋と凌統の一瞬の隙をつき、ベランダの手摺を使って宙に舞った彼女は正確に二人の脳天を打ち据えた。パジャマの上着の裾を鮮やかに翻して着地すると、凌統と潘璋は折り重なるようにして倒れた。
この年度に入って、部下として宛がわれた丁奉に感化され、陸遜も剣術道場に通うようになったのだが、その成果がきっちり現れたらしい。一瞬の出来事にぽかんとする諸葛瑾が、感心したように呟く。
「……お見事」
「感心してないで下さい…とにかく、のびてるうちに動きを封じましょう」
「え…ええ、そうね」
運び込むと、タオルを持ち出してきて、なれた手つきで手かせ足かせにしていく。その上で毛布をかけてやると、気を失っていた二人は何時の間にか寝息をたて始めた。その様子をみると、陸遜と諸葛瑾もほっと一息ついた。
その決着がつく頃には、玄関のほうも静かになっていた。朱拠が恐る恐る小窓を除くと、どうも酔い潰れたらしく、外の二人は抱き合うようにして大いびきをかいていた。

酔っ払いという名の狂嵐が去って、その翌日のこと。
「昨日はすいませんでした先輩…この通りです」
「いや、それはむしろあたしたちの台詞だ…本当にごめん伯言」
「ごめんなさいぃ〜平にご容赦をぉぉ〜」
陸遜の部屋では、一晩寝て正気を取り戻した凌統と潘璋、そしてその二人をのばした陸遜がお互いに土下座している珍光景が展開されている。
そこには明け方、それぞれ衣服を取り返し、それに着替えた朱拠と吾粲、そして明け方自分の部屋に戻って私服に着替えてきた諸葛瑾の姿もある。皆、陸遜が用意した朝食代わりのインスタントスープを啜っている。
甘寧と魯粛はというと、潘璋の部屋に放り込まれ、未だ高いびきをかいていた。
一通り平謝りしあうと、沈んだ表情で頭を抱える陸遜。
「今回の件…学園管理部にどうやって説明しよう…」
「ってか…バレたらむしろヤバいのあたしら卒業生とリタイア組だから…握りつぶしてもらえると助かるかな」
「…それは善処しますよ」
潘璋のひとことに陸遜も苦笑する。
「てか、あたしらがこの有様だったんじゃ…部長はどうなったろうな」
「他の子達も心配だし…早めに見に行ったほうがいいかも」
「そうだな。興覇と子敬はどうする?」
「あのまま寝せとけばいいよ。子敬はともかく、子明抜きで興覇を無理やり起こせる自信、ある?」
潘璋の言葉にお互いの顔を見合わせ、頷いた一同、衣装を調えると会場へと駆け出していった。

125 名前:海月 亮:2005/01/19(水) 20:07
その頃、会場のど真ん中で目を覚ました孫権は大きく伸びをした。
「ふぁ…あれ、ボクどうしてこんなトコで? …ええええ!? 何これぇ!?」
見渡せば、周りは目も当てられぬ惨状の光景が広がっている。
そこいらじゅうに転がった一升瓶とチューハイの缶、そして散乱した紙コップ。
少し離れたところで、大の字で寝ている(カン)沢と、その腕を枕代わりに、抱き寄って寝ている孫登と孫和。
その隣りに、ずぶ濡れになって死んだように寝ている、服を乱されたままの虞翻。
己の傍らには、あられもない姿の厳Sと潘濬が、憔悴しきった顔で寝ている。
主賓席には、未だ目を覚まさずぶっ倒れたままの全N。誰がやったのか、これもあられもない姿だ。
窓際に、日差しを浴びながら突っ伏して寝ている谷利。手には、一升瓶が握られている。
部屋の隅では、泣き疲れて眠っている薛綜を抱き寄せながら、幸せそうな顔で眠っている朱桓と朱然。
整然と並べられていたテーブルも、あるいは倒され、あるいは酔った誰かがやったのか、積み上げられたり無意味に並べられたりしている。
何人かが居ないのは、恐らく途中で逃げたか、あるいは会場の外で大暴れしたことは、窓の外、路上で大の字になっている周泰と、花壇に頭から突っ込んでいる徐盛を見れば予想がつくことだった。最初から一緒に飲んでいた筈の賀斉、呂岱、周魴、太史享らの姿がないのも、会場外に飛び出していったからだろう。
あまりの惨状に呆然とする孫権。よくみれば、自分も上着を肌蹴させていると言う、みっともない格好をしていた。慌ててそれを直すと、スカートの下には何も身に付けていないことに気がついた。慌てて辺りを見渡すが、その下に身につけていたと思しきものは、何処にも落ちていなかった。
「…何が…いったい何が…」
「うぃーっす、起きてるぶちょ…うっ!」
呆然と立ちつくした孫権の姿を見た吾粲、その光景に思わず絶句した。
そう、その孫権の頭には…その姿に、駆け込んできた陸遜達も噴出しそうになる。
「な、なに? みんなどうしたの?」
「ぶ…部長、頭、あなたの頭の上…っ」
「へ…?」
必死に笑いをこらえる陸遜が指差し、孫権が恐る恐る頭に触れると…そこには、彼女が探していた例のものが被せられている。その正体に気付いた瞬間、顔面蒼白になり、次の瞬間…
「やあぁぁぁ―――――! みんな見ちゃ駄目ぇぇーッ!」
恥ずかしさのあまり顔を真っ赤に染め上げ、孫権が部屋から飛び出していった。
一拍置いて、少女達の笑い声が会場跡に弾けた。

このあと孫権はしばらく、気まず過ぎて居合わせた陸遜達とはしばらく口も利けず、潘濬達も、それぞれの畏怖の対象となった人物たちをそれとなく避け、近づかなかったらしい。
そして真冬の路上で高いびきをかいていた周泰たちも、大方の予想通り風邪を引いて寝込んだとのことだった。酒をかぶってびしょ濡れのままだった虞翻も、その例に漏れることはなかった。
当然ながら、孫権の頭に彼女の下着を被せた犯人も不明である。
この事件は学園史に載る事こそなかったが(当たり前か)、それでも当時の長湖部員の間では長く語り草になったという。当事者・孫権にとってはかなりのトラウマになったようだが、それでもこうした酒盛りが止む事はなかったらしい。

(終わり)

126 名前:海月 亮:2005/01/19(水) 20:31
…ああ、やっちまった_| ̄| ...○
私的には孫権が潘濬を襲っているくだりに全力かけてみました。
何気にそのいちとか書いてありますけど…ミスですのでお気になさらず。多分続き無いので…。

時期的には二宮の変の前年、夷陵回廊戦の翌年の正月になるかと。登場人物の年齢設定などはかなり勝手に決めちまってますが…
因みに張昭不在の理由も、バリケード事件の真っ最中であると勝手に思い込んでます。

>玉川様
流石は本家…祭の先陣を切るにふさわしい逸品でありますな(´ー`)b
実は夕方頃に一度来たのですが、それを拝見いたし吾粲と朱拠の描写を早速拝領させて頂き…というか、いきなりとんでもない扱いをして面目次第も_| ̄|    (((○

127 名前:7th:2005/01/19(水) 22:31
時の流れは万人に平等である。
それは多忙を極める蒼天学園の生徒にも例外ではない。好む好まざるとに関わらず、年は暮れ、そして年は明ける。
そう正月。流石に大晦日及び三が日程度は休みでも良いのではないだろうか、と云うか休ませろ、とのことで、その期間は一死の活動が停止され、生徒達は思い思いの休暇を楽しんでいる。
ことに幹部級の人間にとっては本気で得難い休日。それこそ遊び倒すか、惰眠を貪るかの二者択一である。
寮を出て実家へ帰省する者も多い。市外から来ている者のみならず、市内に実家を持つ者もだ。
例えば趙雲は実家の常山神社の手伝いをしに帰っているし、張遼もヘイホー牧場で馬と戯れ三昧の正月を送っていることだろう。孫権などは二人の姉に連行されて、元日から海に繰り出している。
そしてここにも、正月をまったりと過ごしている人達が居た。


〜〜或る姉妹(達)の正月風景〜〜


「はー、実家はやっぱり安心しますねー。まるで第二の故郷です」
「第一の、の間違いでしょうが」
「あ、そうでしたねー。うっかりうっかり」
炬燵に入りながらのほほんとボケる妹に、姉がツッコミを入れる。割と良くある光景ではあるのだが、姉の方の表情は、呆れたを通り越して少々うんざり気味だ。
「全くこの子は大ボケなんだから……いや、良く考えるとマシな方か。何しろウチは問題児揃いだし」
長女の苦しみである。エキセントリックな性格の妹たちの世話をするのは、昔から彼女だった。その苦労、推して知るべし。
彼女の名は諸葛瑾。長湖部の中堅幹部にして、諸葛姉妹の筆頭である。人望篤い事で知られる彼女の思慮深さと温厚さが、妹達の世話によって培われた事を知る人間は少ない。
「あのー、瑾姉さん。一応訊いておきますけど、問題児ってのはアタシの事じゃありませんよね?」
「クリティカルヒットで私達です。それすら気付きませんか愚鈍な姉」
「…アンタは自覚があって何よりだよ、喬」
「姉さんは自覚が無くて何よりです…バカの」
「何だとー!!」
姉妹間の会話ながら、余りにも容赦ない言葉に、顔を赤くして怒っているのが諸葛恪。彼女は頭が滅法切れるものの、性格は直情径行で調子に乗りやすいのが玉に瑕。将来が思いやられると云う点で、家族内では割と問題児である。
そしてナチュラルに口が悪い諸葛喬。一卵性の双子のためにこの二人の顔立ちはほぼ同じだが、ショートカットで活発に見える恪に対し、喬はロングヘアに眼鏡の理知的風味。加えて、生来よりの病弱のため、見た目は薄幸の美少女と云うかなり得したルックスをしている。ただし、中身は猛毒を吐く危険生物じみた、諸葛家で一二を争う問題児である。
「あ、駄目ですよ喬ちゃん。家族にそんなこといっちゃめっ、ですよー」
「均姉さんは頭が小春日和で何よりです」
「んー、私も春は好きですよー。あ、でも夏も良いですね。スイカ割りとか」
「訂正。均姉さんは脳がお目出度くて何よりです。色々と尊敬しますよ」
「えへへ、誉められちゃいました」
天然はあらゆる悪意を超越する。喬が家族中で最も苦手とするのがこの天然ボケボケ娘、諸葛均である。ほんわかふわふわオーラ全開の彼女には、いくら罵言をあびせても、暖簾に腕押し糠に釘。柳が風を受け流すが如く、ことごとくが効かないのだ。だがその天然ぶりとは裏腹に、家事などは姉妹中で一番出来るのだから世界は侮れない。瑾の言にあるように、姉妹中ではまだマトモな方である。
「……そう云えば、瞻はどうしたの?亮と尚は何か怪しいことしてるみたいだけど、あの子も朝から見ないわね」
「あー、あの子まだ寝てるわ」
時刻は既に11時を回っている。大晦日の昨日も瞻は早々と寝てしまっていたため、かれこれ12時間以上寝ている計算になる。いくら正月でやる事が無いにしても、流石に寝過ぎの感は否めない所だ。
「起こしてらっしゃい」
「へいへい」
瑾にそう言われ、炬燵から名残惜しそうに出ていく恪。そのまま瞻へ行くかと思いきや、おもむろに台所へ。そこでフライパンとお玉を装備して、ようやく瞻の部屋へ出撃した。
しばらくして鳴り響く、雷音と聞き紛う程の音。時折、「起きろー!!」とか「二度寝すんなー!!」とか云った叫びが聞こえたりもする。
この家の中で道路工事をしているかの如き騒音の中、誰一人として動じてないのは驚異的である。慣れって怖い。
そして30分後、寝起きのためにふらふらした足取りの諸葛瞻と、疲労のためふらふらした足取りの恪が居間へとやってきた。
「せ〜ん〜、アンタもう少し早く起きようって気は無いの!?起こす側の身にもなってみなさいよ」
ぜはぜはと息を荒げ、抗議の声をあげる恪。寝ボケ眼でそれを聞いた瞻が一言、
「ん、努力はしてみる」
とは云うものの、その努力はついぞ報われた事は無い。そもそも努力していないのだから当たり前なのだが。
『春眠、暁を覚えず』とよく言うが、彼女の場合は一年を通して暁を覚えていない。いや、寝るのに時と場所を全く選ばないので、そもそも夜と云う概念を認識しているかどうかさえ怪しい。諸葛瞻、生粋の眠り姫である。
「皆さん、明けましておはよーございます」
「何か間違ってない?それにもう昼よ」
「ではおやすみなさい」
「って寝ないでー!」
「ねむねむ」
炬燵に入るや、早々に眠ってしまった瞻。半日寝たくせにまだ寝足りないのか。
すやすやと寝息を立てる瞻を見て嘆息する瑾。恪や喬もおそらく同じ思いだ。
「寝る子は育つって云うけれど、あれは本当ね。邪魔ったらありゃしない」
「瞻ちゃん背がおっきいですもんね。格好良いです」
この寝ボケ娘の何処が、と反射的にツッコミたくなった瑾だが、良く良く考えてみると、格好良いと云うのもあながち嘘ではない。顔立ちは何時も寝ボケ眼であるのを除けばまずまず整った顔立ちをしているし、性格も眠たげでやる気無いのを無視すれば飄々とした感じで悪くない。何より、180p近い長身が絶大なアドバンテージである。総じて、寝ボケてさえいなければ、かなり格好良い女なのではなかろうか。
「成程、確かに背が高くて格好良いのは認めよう。だがどうよ!この胸は!」
やたらエキサイトした恪が指し示す先は瞻の胸である。一言で言うと、おっきい。
「くうぅ〜、寝る子が育つのは解るけど、何で!胸まで!育ってるのよー!!」
ちなみに恪、貧乳。彼女の悲憤は果てしなく深い。
「持たざる者の悲哀、と云うやつですね。……哀れな」
「心底哀れっぽく言うなー!!大体喬もアタシと大して変わんないでしょうがっ!」
「亮姉さんが言うには、私はこの位が萌えのストライクゾーンど真ん中だそうです。何も問題有りません。問題なのは姉さんだけ」
「何よそれ!えこひいきじゃないの、あンのバカ姉め」
彼女たちの姉である諸葛亮だが、どうも喬にえらく萌えているらしく、姉妹中で最も喬に甘い。尤も、喬自身は余り亮のことを好意的には思っておらず、せいぜいが嫌いではない程度の感情しか持っていない。哀れ、一方通行の愛。
「ちくしょー、何時か、何時の日か、胸がおっきくなってみんな見返してやるー!!」
「そんな都市伝説を未だに信じているんですか、姉さんは」
「未来の事なのに既に伝説呼ばわりですか!?しかも都市伝説って一体何事ー!?」
「それはもう怪奇現象の域と云う事でしょう………。おや姉さん、頭を抱えてどうしました?頭痛なら早めに薬を飲んだ方が宜しいと思いますが」
「はいはい喬、そこまでにしときなさい。少しやり過ぎよ」
ネタがネタなだけに流石にこれ以上恪の心の傷をえぐり倒すのは拙いと判断して、瑾が止めにはいる。隣では、あうあうと頭を抱え込みながらうめいている恪を、均は懸命になだめている。ふわふわオーラに影響されて、復帰自体は早そうだ。だからといって問題が解決する訳ではないが。
ふぅ、と一息ついて瑾は考える。一体どうして姉妹間でこんなにも胸の大きさに差があるのか?と。彼女の主観は入るものの、大体の比率では、
均≧瞻>瑾>亮>恪=喬>尚
と云った所である。うち尚は将来性と云う点で除くとしても、この比率には何か法則性があるのではないか、と邪推してみたくもなると云うもの。
上位二人の共通点………………心の余裕?
「つまり心が大きいと胸も大きくなる、と云う事かしら?」
確かに均は天然入ってはいるが、それ故に心の余裕は大きいし、瞻はこの通り一日の大半は寝ているので、精神的な煩わしさなど皆無であろう。
対するに恪は何でも人並み以上にこなす秀才ではあるが、どうにも器が小さい。喬は幼い頃から病弱というハンデを負っている。あの毒舌も、そういった無意識のストレスの発散とも取る事が出来る。そう云う訳で、二人とも心の余裕は少ない。
「まさか…ね?私も何考えてるんだか」
はは、と軽い笑いで己の思考を誤魔化しつつ、迂闊にこの話題には触れるまいと誓った諸葛瑾であった。……時として怪奇は、怪奇のままであった方が良いのだから。

128 名前:7th:2005/01/19(水) 22:31
さて、時刻は正午を回ろうとする頃。正月でごろごろしているとは云え、間食などしていなければ、健康な人間なら小腹も空く頃合いだ。
「……お腹空いた」
起きてまた寝て一時間余り。今まで沈黙を守っていた(単に寝ていた、とも云う)瞻が、のそりと炬燵から身を起こす。
「そりゃ空くでしょうよ。何たって半日以上食べてないんだからねアンタ…。ま、アタシもお腹空いてるから丁度良いか。均姉、何か食べるものあるー?」
「えーと、おせちとお雑煮の残りとお餅がありますね。後は私の秘蔵のサラミとか缶詰とか」
「何処の酒飲みだアンタ。ともあれ、朝も食べたものばっかりって事ね…」
瞻に向けていた半目を今度は均に向け直し、恪は溜息を吐いた。まだまだこの姉の生態については未知の部分も多い。姉妹のくせに謎、と云うのも或る意味問題だが。
それはさておき、昔より正月には餅を焼く・雑煮を温める・お茶を沸かす以外の事に火を使わないと云われる。近年ではその風習は失われつつあるが、諸葛家はどうやら昔からの風習を守るようにしているらしい。
「仕方無いわね。均の所蔵物はともかく、適当にぜんざいでも作りますか」
「えー、サラミは美味しいですよぅ」
均の反論をさらりと流し、皆が瑾の提案に肯く。どうやらこの家、辛党は少ないようだ。
「じゃあそう云う事で。…恪、亮と尚も呼んで来なさい。どうせロクでもない事しかしてないんだから、ドアぶち抜いて引っ張って来て良いわよ」
「あー、それについてなんだけど、亮姉ってばこの間ドアを改造したらしくってさ、アタシの力じゃアレ抜けないわ。多分耐爆シェルター並よ」
「…一体何から部屋を守ってるんだか。しかし困ったわね、どうしたものかしら」
ふむ、と顎に手を当てる瑾。しかしその次の瞬間、
「その必要はありませんぞ!!」
響いた声と同時、背後の襖が快音を立てて開く。そして流れ出る、白煙と高笑い。
ぶしゅー、と吹き出す煙を背負い、諸葛亮が腕を組んだポーズで仁王立ちしていた。その後ろ、諸葛尚がドライアイスの入ったバケツを、パタパタと団扇であおいでいる。
ひとしきりバカ笑いを上げたあと、亮は尚に向き直り、
「ふっふっふ。我が助手尚よ、どうかねこの装置。昨日から徹夜して制作した甲斐もあると云うもの」
「凄いですハカセ!まるでデパート屋上のステージみたいです!」
「うむ、これなら何処へ出しても恥ずかしくあるまい。完成だぞ我が助手よ」
「ハカセー!!」
「………あんたら一体何のコントよそれは」
感極まって抱き合う二人に、呆れと諦めを半々にカクテルした声で瑾が問う。本音を言えばツッコミさえ放棄したい気分なのだが、一応訊いておかないと延々とこの二人のコントを聞かされる羽目になるかも知れない。
「コントとは失礼な。これはただの実地試験です。幸い動作は確認しましたので、早々に片付けますが」
「そう、だったら早く片付けなさい。…一応訊いておくけど、それ何?」
「見ての通りですが、暇ですから説明位はしておきましょう」
そう言って、背負っていた装置を降ろす亮。その装置、原型となった物はは小型のリュックサックらしいのだが、所々に謎のボンベやら何かのアタッチメントと思しき物体が装着され、さらには何本もの細い管が突き出ていると云った、怪しさ全開のデザインだ。少なくとも街中でこんなモン背負っていたなら、まず間違いなく警察へしょっ引かれるだろう。見ての通りとか言っているが、どう見てもこれが何なのかは解らない。
「これは孫乾殿に頼まれて制作したもので、小型のドライアイス噴霧機です。何でも旭記念日の部活動説明会でヒーローショーをやるとか」
「ヒーローショー?帰宅部連合の出し物でやるの?」
「いえ、無届けですのでゲリラショーかと。とまぁその折に使用する訳です」
本来ならそれを取り締まる立場にある彼女が、こんな物を作ってまで協力していて良いのだろうか。答えは絶対に良くない、だ。
「つまり年をまたいでまで作っていた物がそれ、と云う事ですね。……馬鹿ですか貴女は」
「うわ相変わらず容赦ないな我が妹よ。お姉さん悲しくて微妙に嬉しいぞ」
何やら矛盾した発言を繰り出す亮。もしかすると精神的Mなのかも知れない。
「酸素が勿体ないので黙れ馬鹿姉。尚、貴女もこんな馬鹿と付き合う必要はありません。馬鹿が伝染りますよ」
「えー、楽しいのに」
「楽しくても駄目です。私的に馬鹿は法定伝染病と同レベルですからね、感染したら完治するまで学校に行けません。最悪の場合、生物災害(バイオハザード)指定で隔離されますよ。嫌でしょう、それは」
「う、うん。馬鹿って怖いね。ゾンビで拳銃でハーブで回復なんだねっ」
字面的にはそう間違ってもいないのだが、微妙に間違った認識をしている尚。この姉たちに囲まれて、末っ子がマトモに育っているのは奇跡に近い。尤も、この辺の認識に見られるように、少しずつ歪み初めているようだ。将来が不安な所である。
「亮姉さん、貴女も尚に変な事吹き込まない様に。貴女の馬鹿は特に凄いんですから。私的にはエボラ出血熱級です」
「致死率90%とはこれまた凄い。或る意味誇らしいな」
「ええ存分に誇って下さい。近い内に病名『馬鹿』で生物災害に認定されるでしょうから。人類初ですよ?良かったですね」
「うむ、脳が悪いのに良かったとはこれいかに、と云った感じだな。はっはっは」
本人達の認識では、せいぜい「軽口のたたき合い」と云った所なのだが、空気は物凄く刺々しい。周りの人間にはたまったものではない。
「思うんだけどさ、あの二人って同類なんじゃない?類友が亮姉で、同族嫌悪が喬」
「言い得て妙よねぇ…。二人ともイカレてるのは間違いないし」
「イカレてるって云うのはあんまりですよ。確かに二人とも何処かおかしいですけど」
「均姉さん、そう云うのは『他人と行動様式が一線を画している』って言うと良いよ。馬鹿が知的に聞こえるから」
「な、なんか文字数が多くて偉そうです。馬鹿って偉い?」
流石に大声で言うのも憚られるので、小声でひそひそミニ姉妹会議。包み隠さぬ本音なので、みんな結構酷い事を言っている。
そんな外野の心の内を余所に、舌戦はますますヒートアップ。
「時に喬よ、内政戦隊は只今5人目募集中だそうだがどうかね?今なら好きな色の全身タイツに、先程のバックパックが漏れなく付いてくるが。きっと似合うぞ。私の趣味的に」
「ふふ、だんだんと変態性がオープンになって来ましたね亮姉さん。心から辞退させて頂きますよ。それよりも貴女が入るべきでしょう。白い全身タイツにレインボー染め抜いて、リーダーでもないのに真ん中でポーズ付けてる……何てお似合いなポジション」
「○ャッカー電○隊とはこれまたマニアックな。だが私は現状で満足しているのだよ。考えてもみたまえ。『正義の味方としての博士』、この役割の方が遙かに私に相応しい」
「成程、確かに博士は良い感じの役どころですね。その変態マッディーな性格を存分に活かせますから」
「そうとも、マッドサイエンティストは世界を救うのだよ。ビバ科学の力。ラララ科学の子」
「ええ、ついでに言うと、世界を滅ぼすのも大抵マッドサイエンティストですが」
既に状況は加熱から混沌に移り、もはや常人の理解の及ばぬ域へと達しつつある。この二人、やはり似たもの同士か。
「えぇい、我が妹達ながら何て子達よ。何時育て方間違えたのかしら」
「ん、多分母さんの影響だと思う。母さんってほら、結構バイオレンスな人だし」
ちなみに彼女たちの母親の名は諸葛豊。蒼天学園OBで、現役時には清廉かつ正義の人として知られた硬骨の人である。年を経て家庭に入った後も、瞻の言にあるように性格の強さは健在のようだ。
「それにしてもこの馬鹿さ加減は変よ。均と恪と瞻は……まぁ多少問題有るけどあの二人程じゃないし」
「瑾姉、比べる相手が悪い上に、そもそもアタシは問題児じゃないっての!」
「後半無視するとして、流石に相手が悪いのは事実よねぇ…。尚、あの二人には近づかない事ね。馬鹿を通り越して大馬鹿になるから」
「え、えと…つまり、馬鹿ってバカなの!?」
「ああっ、尚ちゃんがついに正しい認識をっ!ううっ、良かったですねー」
ミニ姉妹会議も微妙な盛り上がりを見せている。やってる事は現実逃避以外の何者でもないのだが。
誰でも良いから何とかしてくれ、と云うのが一貫した外野陣の本音である。自分たちは手を出さない。ただ願うだけ。誰だって、進んで火の中に手を突っ込みたいなどとは思うまい。
その願いが祈りとなって天に通じたのか、ぴんぽーん、と家のチャイムが鳴る。
彼女らにとってそれはまさしく福音。もはや一も二もなく、我先にと争って駆け出す。向かう先は玄関のドアだ。
バタバタと転がるように走り込んできた5人。一番早かった瑾が代表でドアを開け―――
「どちら様ですかありがとうございます!!」
「なな、何や一体!?ウチ何か悪い事……や無くて何か善い事でもしたか!?」
その先には帰宅部連合総部長・劉備が、突然の事に目を丸くしていた。
「……と、これは劉備先輩、お見苦しい所をお見せしました。改めまして、明けましておめでとう御座います」
慌てて居住まいを正し、劉備に礼をする瑾。呆けていた劉備も、それに応じるように軽く一礼する。
「ん…ああ、新年おめでとさん。…しっかしさっきのは何や?えらい泡食っとった様やけど」
「いえ身内の事情ですのでお気になさらずに。しかし我が家に何の御用でしょうか?しかも御三方お揃いで」
先刻はパニックになって気付かなかったが、良く見れば劉備の後ろ、関羽・張飛が並んで立っている。家の中にいる諸葛亮を含めれば、帰宅部連合首脳陣の揃い踏みである。
「いや正月やしな、孔明誘って初詣にでも行こ思たんやけどな。丁度子竜も神社でバイトしとるし、巫女服見がてらな。…折角やから瑾のねーちゃん、アンタらも一緒に来るか?家族みんなで行った方が良いやろ?」
「はぁ…。しかし今両親は年始回りで家に居りませんし、妹達の事で先輩方に御迷惑をお掛けする訳には…」
躊躇する瑾。だがそれを叱り飛ばす様に、思わぬ所から声が出た。
「おいおい諸葛の姉さんよ、ウチの姉貴とこのアタシが、まさかその程度気にする程ケチな人間だと思ってんのか?」
張飛だ。口調こそ荒っぽいが、その表情は笑顔。人懐っこい感じの、良い笑顔だ。
「左様。学園内のしがらみも、今日ばかりは関係有りませぬ。今日は元日、年の初めの目出度き日ですよ」
続けて関羽。目元にたたえた微笑が、何時になく柔らかい。
「ちう訳や。昼メシがまだなら外で食べればええやん、屋台もいっぱい出とるで。ほれ、そこのちっこいの、おねーさんが何かオゴったるでえ〜」
「本当!?ワタアメとかでもいいのっ!?」
「ちょっ、尚!駄目だってば。先輩も妹を餌付けしないで下さい!」
「ええやんええやん、ワタアメの一本位、大した事あらへんて。ほな尚ちゃん、おねーさんに付いて来るかー?」
「うん!」
劉備に頭を撫でられながら、満面の笑顔で返事する尚。
「ほい決まり。どうよ瑾のねーちゃん、まさかこの子だけウチらに付いて行かせる気か?」
にんまりと勝ち誇る劉備の顔を見て、瑾は両手を上げた。流石は劉備、役者が違う。
「解りました。御迷惑を掛けさせて頂きます。そう云う訳だからみんな準備―――って」
振り返った先には誰も居ない。どうやら行くことが決まった時点で、皆早々に中に引っ込んで外出の準備を始めたらしい。
独り取り残された瑾の傍ら、劉備がさも可笑しそうに肩を震わせて笑いを噛み殺している。
「いやー、おもろい家族やな。退屈せんやろ、アンタ」
「ええ、本当に。毎日がエキセントリックの嵐で泣けますよ」
はぁ、と肩を落とす瑾。その背中を一発叩き、劉備が言う。
「泣くな、笑え。泣きながらでも笑え。笑う門には福来たる、って言うやろ。笑っとった方が人生たのしいで」
かか、と笑う劉備。瑾もつられて微笑し、
「そうですね、年の初めから泣き言はよしましょうか。何はともあれ」
背をのばし、威儀を正して劉備達に向き直る。
「本年も姉妹共々、宜しくお願いいたします」

かくて始まる新たな年。
それはきっと、楽しい年になる。そんな気がした――――

129 名前:7th:2005/01/19(水) 23:10
何とか一日遅れで間に合った〜!
今年は諸葛姉妹のお話です。
ホントは後二人くらい(諸葛融と諸葛京)が居るはずですが、話がややこしくなるので泣く泣く割愛。
何時か補完できると良いなぁ、と思っていたり。
あー、でもこの文中にもネタが一杯有るなぁ…。内政戦隊ゲリラショーとか諸葛姉妹が常山神社で巫女服とか。
何やらアサハル様の方の参加が遅れるらしいので、もう一本書いてみようかなぁ…。

何はともあれ、玉川様、海月様、GJでした。
そしてこれからの方たちも頑張って下さい!
以上、7thでした。

130 名前:法全:2005/01/22(土) 00:32
それでは続かせて頂きます.三分帰一・番外篇.
http://www.geocities.jp/hosenkosou/gk3/index.html target=_blank>http://www.geocities.jp/hosenkosou/gk3/index.html
より,左フレーム下「番外」の01〜08です.学三では羊示古と陸抗
が幼馴染という設定とのことなので,そこを狙おうと.
ただ,旭記念日に対する認識はこんな感じでいいのか,そこが少々
怪しいですが

131 名前:takahisa@倍率7倍♪:2005/01/23(日) 02:47
本日の朝刊によると、行くつもりの私学志望校の倍率が7倍で、府下第5位ぐらいの倍率になっててたまげているtakahisaです。
もっとも、模試でその学校の希望者の1位を取ったとこがあるので、受かる気自信は結構あるんですが。
…並み居るライバルを蹴散らして、合格を掴み取ってやるぜ!です。

…さて、学三ゲームが少しバージョンアップしたのでお知らせします。
http://takahisa.net/game/gaku3/download/gaku3game_ver0.00.lzh target=_blank>http://takahisa.net/game/gaku3/download/gaku3game_ver0.00.lzh
…前回とバージョンは変わってませんが、内容と画像が少し変わってます。
とりあえず、見てのお楽しみ!ということで。

あ、ぐっこさん、時間があれば、私のサイトの学三ページのアドレスを、
http://takahisa.net target=_blank>http://takahisa.net(ウチのトップ)
に変更していただけますでしょうか。gakusan.takahisa〜というアドレス、諸事情により消したので…。
よろしくおねがいします。

132 名前:★教授:2005/01/23(日) 12:45
■■ 旭記念日企画 〜十色の側面〜 ■■


「え、法正休みなの? 何でまた…」
 意気揚々とデジカメを手に会議室に姿を現した簡雍。法正休みの報を聞き驚きの色を隠せない様子だ。
 珍獣を見るような目をしながら、その報告をした伊籍は続けて休みの理由を話す。
「えーと。何でも風邪引いたらしくて…熱が39度程あるようです。身動き取れないし伝染しそうなので今日は大人しく寝てると電話がありました」
「たかだか39度で寝込むなよなぁ。鍛え方がなってねーっての」
 休みの理由に張飛が茶々を入れる。普通の人間は39度も熱を出せば寝込むのだが…彼女は違うらしい。
「まあ、休みの人間はこの際置いておいて…報告書のまとめを始めましょう。成都棟の花壇を踏み荒らした咎人の探索もしなければなりませんし……あら?」
 とんとんと報告書及び被害届をまとめながら李恢が会議室中を見渡す。しかし、ここにいるはずの面子が一人足りなくなっている事と窓が一つだけ開いてカーテンが風に靡いて寒い事に気づく。
 李恢は訝しがるのと好奇心も手伝ってか窓際を確認に行く。窓から顔を出して周囲の様子を見て、下を見下ろした。そこで目にした光景は―――
「張飛さん…ここ3階なのに…」
 規格外の衝撃に苦笑いしか浮かばない李恢。どうやら窓が開いていたのは張飛がそこから飛び降りて脱出を試みた形跡のようだ。しかも飛び降りて無事着地を果たした上に駆けて行く姿を見てしまったのでは苦笑いしか浮かばないのだろう。
 その時、今までだんまりだった簡雍が口を開いた。それと同時にドアを開けて出て行く。
「悪い、急用があったんだー。後、ヨロシク!」
「あ、ちょっと待ちなさい! 手伝わなきゃ終わらないよ!」
 伊籍の制止の声が届く前にドアは閉じる。たらりと冷や汗が流れた――


 場所は変わって法正の部屋――

「うー…私が風邪なんかでダウンするなんて…私のバカ…」
 ベッドに横になったまま法正は自分に悪態を吐いている。脇の棚にはミネラルウォーターのペットボトルと風邪薬が置かれている。更にその横に子供用の液体シロップと謎のアナログカウンター(現在11,800Pt)が鎮座していた。
「はぁ…もうやだなぁ…」
 うつ伏せになって溜息を吐く。ちょっとした病でも人はこんなにも弱くなる…身を持ってそれを実感している法正。いつもの強気姿勢は欠片も見当たらない。
 そんな弱弱しい姿に反応したのかカウンターがまた動いた。勿論、法正自身気づいてないし意識してやってる訳ではない。やはり謎のカウンターは謎のままだった。
「法正〜。生きてるかー」
 悲観に暮れる法正の部屋にノックもせずに簡雍が突然闖入してきた。勿論、法正は心臓が停止せんばかりに驚いたのだが。
「わわっ! 憲和! 何しにきたのよ!」
「何って、見舞いに決まってるでしょーが」
 見舞いときっぱり言い切った簡雍に対して真っ青を通り越して透き通りそうな色になる法正。
(憲和がお見舞い? え、見舞いだけで済むの? もしかしたら悪化の一途を辿るだけなんじゃ…)
 普段が普段の簡雍に疑問と警戒をしてしまうのは当然なのだが、今の法正には簡雍に対する抵抗力は皆無に等しい状態。進退此処に窮まれり、神様私を見捨てないで―――法正は神に祈るしかなかった。
 渦中の人――簡雍が法正に近づく。身動きが取り難い法正には最早逃げ道は残されていない。法正はそっと伸ばされる簡雍の手に思わず目を閉じてしまう、そして少々冷えた感覚が自分の額に感じられた。
「………え?」
「うーん…まだ熱高めかな」
 顔を顰めながら自分の額にも手を当てて熱の確認をする簡雍。思いもよらぬ行動に法正は別の意味で驚いている。
「えーと…ホントにお見舞い?」
 恐る恐る確認を取る法正。簡雍がその問いに一瞬呆けた顔をしたが、それも本当に一瞬だった。
「お見舞い以外の何だってのさ。まさか病人にいかがわしい事するとでも言うの? もしかして、そっちの方が良かったとか」
「それは絶対ないから」
 悪そうな笑みを顔ににじり寄る簡雍に真顔できっぱりと断りの返事を返す法正、あっそと踵を返した簡雍を見てほっと安堵の息を漏らす。だが、危機感知を担うべき人一倍優れた勘までは働かなかった。刹那の瞬間、簡雍の姿は既に法正が横になってる…その上にあった。マウントポジションを取られてしまったのだ。
「ち、ちょ…何もしないって…」
「服が透けてるよ…汗かいてるでしょ? 着替えるの…手伝ったげる」
 確かに風邪の副産物、高熱と暖を取るための布団の影響で多量の汗をかいている。しかし、今はそれに冷や汗と脂汗まで加わってしまった。
「い、いいわよ! 自分で…」
 語気を強めた言い方が誤解を生んだ、簡雍の顔が輝く。
「いい? いいんだね!」
「うわ、ちょっ…そんな事言ってな…。ひゃあ! そんなトコ…や、ん…やめ……やめてーっ!」
 無駄な抵抗をしながら簡雍の為すがままになってしまう法正、着せ替え人形の如く扱われてしまう。薄れ行く意識と理性の中、『コトバって難しいんだなぁ…』と思ったとか思わなかったとか―――


 ――で、1時間後。
 シャツとスパッツだった法正は簡雍の手によって猫柄パジャマ(背中に旭印)に着せ替えられていた。当の法正は赤い顔で横になっている。もっとも顔が赤いのは熱のせいだけではないのだが。1時間前まで着ていた着衣は簡雍が洗濯機に放り込んでいた。そして、その簡雍はと言うと―――
「〜〜♪」
 最近、流行している歌を口ずさみながら掃除機(竜巻式)を掛けている。物を動かして隅々まで掃除をしている辺りに真面目さが窺える。行ってはいけない世界にチェックメイトしている法正に自分も着替えると言い残して浴室に消えた簡雍が変身した姿、それはメイドだった。この格好には法正も思わず飲んでいた水を噴出して倒れこんでしまったのだが。
 そんな法正も今はぼんやりしながら掃除中の簡雍を目で追っている。
(うーん……結構几帳面なんだね…。歌上手いし…あの服も似合って………じゃなくて、真面目にやってくれるのはありがたいかも…)
 思考の中で道を踏み外しかけたが、一応感心はしているようだ。引き続き、ぼんやりと動きを追い始めた。ふと、机の上に目が留まる。自分用の薬…意味不明なカウンター(現在14,000Pt)…ここまでは分かる、だが、その隣に新たにビール缶が二本鎮座していた。
「け、憲和さん…そのアルコール成分がふんだんに盛り込まれた飲料は…」
 聞かずにはいられない、まさか飲まされる訳じゃないだろうか…そんな心配が過ぎる。が、それも杞憂に終わると共に不安も広がった。
「それは自分用。合間に飲んでるだけだから、気にしないで」
 事も無げに言う簡雍。口説いようだが、彼女は高校生である。法正の不安は高校生は飲んじゃダメではなくむしろ、自分用という言葉にあった。自分用という事は法正用も用意してある可能性が浮上したからだ。今、飲まされたら確実に二日は寝込む…ある種の危機を感じていた。法正が危機対策を痛む頭で捻り出してると、簡雍が覗き込んで来る。法正思考停止。
「掃除終わったけど、何か食べる?」
 意外や意外。まともな事言うもんだ…と感嘆の息をこぼす。
「そーね………任せるわ。…憲和って料理出来たっけ…」
「大した料理は作れないけど、御粥くらいで手を打ってよ…病人の必須だし」
「必須かしら…でも、それが一番かも……台所は適当に使っちゃっていいよ」
「おっけー」
 そそくさとキッチンに移動する簡雍。法正がふぅと軽く息を吐く。
「人って分からないものね…憲和にもあれだけの顔があるんだから…」
 その表情に小さな苦笑いを篭めて彼女の後姿を見ていた――

133 名前:★教授:2005/01/23(日) 12:46

 ――更に1時間後

「お待たせー」
「また随分と時間が掛かったわね…」
 お盆に御粥と付け合せの漬物を乗せた簡雍を見てぽつりと呟く。確かに御粥だけなら1時間も掛かるまい。
「いやー。何を付け合せようかと酒飲みながら考えてたら、何時の間にか酒に没頭しちゃっててさ」
 赤い顔で笑い飛ばす簡雍。酒気を帯びているのは一目瞭然だった。
「もう…病人をほったらかしにして飲酒なんてとてもメイドのする事じゃないわよ」
 上体だけ起こして溜息を吐く法正。
「ま、このだだっ広い世の中にこんな不良メイドが一人くらいいてもいいんじゃない?」
「自分で言うかなー、そういう事」
 盆を受け取りながら苦笑いする。私がふーふーして食べさせてあげよっかとか発言した簡雍を無視して一口掬って口に入れる。よく噛んで嚥下する…ちょっと驚いたような意外そうな表情をする法正。
「あら…美味しい…」
「当たり前じゃん。憲和ちゃんの手作りなんだからね」
「…やるわね…うっ」
 胸を張る簡雍、そんな胸元を見て呻く法正。コンプレックスは健在のようだ。
 その後は歓談を交えながら食を進めていく。気が付いたら全て平らげてしまっていた。若干調子が良くなっているのかもしれない。
「ごちそうさまでした」
「はい、お粗末さまでした…と。何か随分良くなってない?」
 そっと手を伸ばして法正の額に触れる。法正も害意がなさそうなのは分かっていたので目を閉じてされるがままだ。
「熱は…下がってるなぁ。他は何ともない?」
「うーん。ちょっと気だるい感じがするくらいかな…これなら明日は大丈夫かも」
 目を閉じたまま自覚している症状を報告。と、次の瞬間…自分の唇に何か柔らかくて暖かい物が触れた。
「な、何…え、何かした?」
 驚いて目を開ける法正。別段その場から動いている訳ではない簡雍に問いかける。
「別に何もしてないけど…どうかした?」
「え…い、いや何でもない…」
「ふーん。それならいいんだけど…洗い物してくるね」
「あ…お、お願い…」
 盆を持って再びキッチンへと足を運ぶ簡雍。そんな後姿を見ながら自分の唇に指先を宛がう法正。
(今の感触…ま、まさか唇…? い、いや…憲和は動いてなかったし…え、じ、じゃあ何よ…あれは…)
 髪を掻き毟りながら塞ぎ込む。禁断の想像(妄想?)を思い浮かべては赤くなったり小さく暴れたりと忙しい。そんな法正の姿をちらちらと見てる簡雍がキッチンにいた。
(指先を唇に触れさせただけであそこまで悩むなんてね…愛いわ…ホント)
 簡雍は蛇口を捻り水を止めると、手を拭きながらしたり顔だった。

 その日、簡雍は法正の部屋に泊まりこんだ。どうやらお泊りセットも用意してきていた様で法正も呆れ返って物が言えなくなってしまい、唯々首を縦に振るだけだった。
 そして簡雍は本当にお見舞いと家政婦をやりにきただけで被害自体ほとんど被らなかった法正は就寝前に心の中で疑ってごめんと謝っていた。
 翌日――

「げほ……法正…だるいよぅ…」
「ホント、憲和もお約束な事するわね…何で伝染るかな…」
 昨日、法正がいた場所に簡雍が寝込んでいる。熱も高めで全く身動き取れなくなってしまっていた。そして、法正はと言うと完全に復調して朝から元気だった。
「授業始まるから…行ってらっしゃい…」
 しっしっと手をひらひらさせながら布団に潜り込んで丸くなる簡雍。ドアを開ける音が聞こえたので行ったんだなーと思い目を閉じる。
 しかし、暫くするとまたドアが開き足音が聞こえてきた。そっと布団から顔を出して確認する…その光景に目が点になってしまう。
「な、何してんのさ…法正」
「何って…昨日のお礼。借りを作ったまんまじゃ寝覚め悪いもん」
「い、いや…それは置いといて…。その格好なんですけど…」
「これ、結構暖かいし。…似合う?」
 くるりと一回転してスカートを靡かせる。昨日、簡雍が着ていた作業服を今日は法正が着ていたのだ。スカートの両裾を指で摘みあげると恭しく頭を垂れる。
「不束なメイドですけど、よろしくお願いします………なーんてね」
 くすっと悪戯っぽく笑う法正に苦笑い一辺倒の簡雍。
「あ、頭痛くなってきた…好きにやってよ…もう」
 布団をかぶりなおして溜息を吐く。しかし、満更でもない表情だった…。
 机のカウンターがカタカタと音を立てて回っている。
 味気ないBGMを背景に今日も少し変わった一日が始まる―――

 
 物語を終える前に、もう一つの場面に切り替えよう――

「はぁ…今、何時かな…」
「うん、1時ね。…深夜の」
 李恢と伊籍は廃人寸前の表情で鬱オーラを放ちながら書類と格闘していた。ほったらかしにして帰ればいいのに――
 と、会議室のドアが突然開く。濛々と白煙を立ち込めて登場したのは…
「手伝いに来たぞ、諸君。私が援軍として来たからには何も心配する事はない!」
 その人の高圧的かつ高慢ちきな言動に顔を見合わせて溜息を吐く李恢と伊籍。
「今日は…帰れないね」
「明日はお休みね…これじゃ」
「何か言ったかな、御二方?」
「「いーえ、何にも言ってません…」」
 李恢&伊籍は諸葛亮に落胆しながら声を揃えた――

                      糸冬

134 名前:★教授:2005/01/23(日) 12:51
多忙に多忙が重なって最終日に投下と相成りました。しかもへっぽこ。
これからも多分こんな駄文が続きそうですが、今後も広い心で見逃してあげてください。
絵化期待(コラッ)

旭記念日は永久に不滅。そして簡×法も不滅と信じております。
引き続き皆様の作品を心からお待ちしております。
勝手に旭記念日営業部窓際役員を名乗りつつ…

135 名前:★ぐっこ@管理人:2005/01/23(日) 21:55
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
つうかいきなり遅れてごめん_| ̄|○  結構いっぱいいっぱいの時期なの…

>>120
ウホッ!いいメンツ…つうか今なお前人未踏の域を歩み続ける義兄上と学三流石だな( ゚Д゚)!
陸遜、顧邵、吾粲、朱拠…吾粲カンジ出てるなあ…(^_^;) いちおう顧氏の閥に属する故吏
にしても、ツレどうしってのが嬉しいやね。
長湖部メンバーは、特に世襲の風が強いから、人間関係も複雑な階層になりがちですけど、
フラットな友情ってのがずっと続いてるというカンジで〜。

>>121-126
海月様ぐっじょぶ!
むう、長湖部酒宴ネタ! …そういえば魏蜀よりも呉の方が酒関連の
エピソード多いんですやね。お国柄というか、君主のハメの外しっぷり
が他国よりひどいというか。
そりゃともかく、いいなあ(´ワ`)=3 かなり可哀想属性の強くなった
陸遜といい、瑾姉さんと言い…
あと潘濬たんの職人っぷりに萌えました。

>>127-129
7thさま( ゚Д゚)GJ!
なるほど!諸葛姉妹か!勢揃いですか!
あははは、孔明抜き出も結構個性は揃いというか、普通にいがみあって
じゃれ合う姉妹だったのね(;´Д`)ハァハァ… 
なんつうか、本当にみんなキャラ立ちしてるなー!天然あり意地っ娘あり
ツンデレいいんちょあり…。
心の大きさ(;´Д`)ハァハァ… こういうキャラがひしめき合ってる中でも、
諸葛亮がいかに目立つキャラか、登場しなくても容易に想像できます(^_^;)

>>130
うおおおお!法全様!お美事!
三分帰一番外編! ようこちゃんとりくこちゃんの、ホロッとなるエピソード!
いまでこそ敵対する勢力の前線責任者どうしですけれど、たまには幼馴染みに
戻るっつう(´Д⊂ あー、色んな角度で羊角かわいい…触りてえ…(;´Д`)ハァハァ
通りすがりの張悌さんたちワロタ。

>>131
この子ったらまたこんな時期に( ゚Д゚)!高校受験を甘く見ない! 本番以外の試験は
すべてフィクションであり実際の試験の結果とは一切関係ありません!油断無きよう!
というわけで、またやってみる〜ヽ(´ー`)ノ
あとアドレス了解しました。

>>132-134
教授様っ!久々の簡×法モノありがとうございます!
つうか今回は メ イ ド と ネ コ パ ジ ャ マ で す か 。
あー、なんか簡雍のキャラが確立されて久しいですが、かなり隙のない
傑人に…。要領よく生きる典型…と思ってたらお約束なのな(;´Д`)ハァハァ
しかしあのカウンターはどういう原理で動いてるんだろう…(^_^;)

むう、感想だけ述べて私はどうしたよ(;´Д`)
がんばるー

136 名前:那御:2005/01/24(月) 01:02
>玉川様
先鋒GJ!呉の実力派四人組ですね。凄く感じ出てます!
確かに知名度的に陸遜以外は苦しいでしょうから・・・やっぱり史上初でしょう。
いつでも学三はパイオニアですわなw

>海月様
長湖部酒乱騒動!かなりワロタぐっじょぶ!
潘濬が凄くいい味出してますw!キャラ作りが上手い。
呉の酒ネタは君主が凄いのもありますが、
配下とのやり取りがネタになりがちってところがあるような気がしますw

>7th様
エキセントリック過ぎるぜこの姉妹( ゚Д゚)!
確かにキャラ立ってますねぇ。一作で何回おいしいんだろうか・・・w
なるほど、諸葛亮の才は、この壮絶極まりない生活から生まれたのか!
7thぐっじょぶ!

>法全様
いやぁ・・・心温まりますねぇ。法全様ぐっじょぶ!
こんな友情素敵過ぎます・・・w
って角隠すと顔割れないんか!そんなとこもまた可愛い(^▽^)。

>takahisa様
おおーい・・・時期が時期だけに・・・(まぁ自分も1年前ですが)
とにかく、今一番切羽詰った時期だと思うので、
ここを乗り切って、合格掴み取ってくだされ!
ゲームのほうはこれ書いたらプレイしてきまーす。

>教授様
わぁい、恒例の簡×法だっ!教授様ぐっじょぶ!
二人が「何かを着る」ってのがお決まりになってきてますなw
ましてや今回はメイドとネコパジャマということで・・・(;´Д`)
それにしても簡雍は思った以上にマメで家庭的ですね。。素敵だw

>ぐっこ様
いっぱいいっぱいですかー、焦らず無理せず、ガンガってくだされぃ。

>皆様
陳謝・・・○| ̄|_
お祭り前にお仕事入れてしまいまして、そっちに勢力注いでおりました・・・
さらに言えば、私はやはり文も絵もできませんで、このお祭りの本質を考えて、
今回は感想オンリーということで。どうかご容赦を。

137 名前:★惟新:2005/01/24(月) 23:03
わぁい、皆様の作品がっ♪

えー、明日辺り一旦終了宣言出しますので、もしご都合のある方はお申し出くださいまし。
…私の出せるのはその後だろうなあ…すみません、こんな体たらくで_| ̄|○
もう今日は試験やら課題やらに忙殺されております_| ̄|○
私の感想等も明日のそのときにさせていただきます。もうしばらくお待ち下さ…い……_| ̄|.....○

138 名前:海月 亮:2005/01/24(月) 23:35
祭は一週間ほど続くと伺ったので、さらに何かやろうと目論んでましたが…やっぱりこんな短期間でもう一本SS書くなんて芸当、私には無理でした…。
_| ̄|     ...○

>7th様
すげぇ…この姉妹とにかくすごすぎだよ…でも諸葛家と言われるとミョーに納得いくのが不思議w
しかしこれだけの人数にも関わらず、全員ちゃんとした個性があることを表現できているのが素晴らしいです。
(;;゚Д゚)

>法全様
寒い冬空の下、待ちぼうけのお詫びにちょっと冷めた缶コーヒーを貰った時のような(どんな例えだ)心温まる話、いいですなぁ(´ー`)
このあと陸抗が居なくなって、羊(示古)が長湖部攻略を進言した心中を察するとまた萌える…のは私だけですか?

>takahisa様
私めの場合はもう、入試なんて数年前の出来事になるんですけどね…この時期は本当に修羅場ってるのが普通ですし…とにかく、御健闘を。
私も持って帰ってこれからやらせて頂くとしますかねぇ。

>教授様
お初にお目にかかります、去年の暮れ頃からこちらにお邪魔させて頂いている海月という者です。
SSスレに投稿された数々の作品、ヒマさえあれば拝読させて頂いてますが…未だにそのパワーが衰えを見せないのは流石です(;゚Д゚)
何気に存在している萌えカウンターが凄い数値になってるのが…まだ、あったのかw

>ぐっこ様、那御様
年末年始、やはりお忙しい折でしょう…お察しします。
ご健勝であられること、謹んでお祈りする次第ですm(__)m
で、潘濬ですが…そのお言葉を戴けただけで、書いた甲斐があるというものです。縞パンはいいものだ(え?

139 名前:海月 亮:2005/01/24(月) 23:39
>惟新様
なんか私のが上がった後に書かれてるのを知りました_| ̄|○
そう言えば…もう一週間経つのか…早っ。
私も書きかけのヤツ(二発目)を持ち込めたらいいな…今月中には。

140 名前:法全:2005/01/26(水) 01:02
>玉川さん
まったく,ギャル化以前に,三国志好きとは言ってもたいていの人は存在さえ
知らない面々ですよねぇ(笑).そこがまた,三足鼎立後派(?)の私には
しんぼーたまらんのです!

>海月さん
長湖部というか呉といえば酒宴,呉臣にとどまらず蜀の外交官にまでもエピ
ソードがある酒宴・・・いやいや,是非ビジュアル化してみたいシーンが,
こう・・・さすがに自粛しますが(笑)

>7thさん
公式の場で会った時は,決して私的な会話をしなかったという諸葛姉妹
ですね.なるほど,これじゃできない,という感じでしょうか(笑)

>takahisaさん
う〜ん,まさに当人はどうあれ,周囲が不安になっている状態(笑)
集中力や気力を切らさないことが重要な時期なので,ゆめゆめ油断なさ
いませんよう.

>教授さん
こ,これが音に聞きし簡雍・法正・・・メイドを特に好まない私ですが,
法正のcourtesyにヤられましたので
http://www.mc.ccnw.ne.jp/hosen/img/050125.jpg target=_blank>http://www.mc.ccnw.ne.jp/hosen/img/050125.jpg

#フリルなんてモノきっちり描ける人ってすごいですよねぇ・・・

141 名前:★惟新:2005/01/26(水) 06:59
>玉川様
萌えのあまりに『吾粲の眼』>>17-25読み返したっ!
吾粲ちゃんってばすっかり可愛がられちゃって(;´Д`)ハァハァ
でもって何気にノッポさんの朱拠に萌えました〜!(〃ノ∇ノ)

>海月 亮様
グッジョブ! てか、萌えに萌えたこの気持ちをどう責任取(ry
やー、まず薛綜、厳Sコンビにつかまれたっ! 可愛い…(;´Д`)ハァハァ
酔いどれ天使達の暴走劇! かの虞翻でさえ孫権の餌食に!
でも潘濬ってば仲良くやってるみたいで良かった(^_^;)
最後もしっかりオチて、見事!

>7th様
「頭が小春日和」の均姉さんワラタ(^_^;)
内政戦隊ゲリラショー見てえ…ってか、あの方々は
すっかりヒーローショーに嵌ってしまわれたようで(;´Д`)
それにしてもしっかりくっきりキャラクターが描かれていらっしゃいます!
毒々しくも愛情に満ちた(?)やり取りの数々に大笑いたしました〜!

>法全様
りっこちゃんとようこちゃん漫画が! ヽ(▽`*ヽ)(ノ*´▽)ノ
二人の熟年カップルな友情に、も〜(;´Д`)ハァハァ
でもって私も通りすがりの張悌さんたちにワラタです(^_^;)

>takahisa様
他の皆様も仰ってらっしゃるので、きつくは申しませんが(^_^;)
三年間ずっとA判定でもダメなときはダメですので、決してご油断なきよう!
以上、これでも県下一の公立進学校に何人も教え子を送り出してきた元塾講師より。
それでは、頑張って!

>教授様
黄金の簡×法キター!!
ますますパワーアップ、萌えに磨きがかかっておいでで!(;´Д`)ハァハァ
いや、ホントにもー(;´Д`)ハァハァな展開で!
どんどん簡雍たんが可愛くなってくなあ…法正たんも…(*´Д`*)
それにしても萌えカウンターワラタ。懐かしい…

>那御様
や、ご感想いただけるだけでも助かりますってか勝手に感謝させていただきます!
本来なら盛り上げる側の私がこんな体たらくですので…
でもでも! 皆様のおかげで素晴らしいお祭りになってヨカッタ…!

>そして再び法全様
キャー! 私の萌えスカウターが煙噴き出してげふんげふう〜ん(*´Д`*)
こりゃ簡雍さんもドッキドキだったでしょうて…(;´Д`)ハァハァ

142 名前:★惟新:2005/01/26(水) 07:00
ちうわけで!
ご参加の皆様、お疲れ様でしたー! おかげ様で大変盛り上がりましたですよ☆
やーホント、たっぷり楽しませていただきました♪
では、ここで一旦切ります! 
学三のますますの発展を祈念し、萌えの更なる新境地に思いを馳せて――

第二回旭日記念日、ここに終了を宣言します!


えー、私がそうですが、まだ完成してないけど出したいという方は引き続き頑張るということで(^_^;)

143 名前:海月 亮:2005/01/26(水) 23:40
祭の後は何時も寂しいものだって、確か何かで言ってましたな。
それはそうと、皆様方、本当にお疲れ様でした。
てなわけで、記念日ネタはもう浮かばないみたいなので(オイ)、完成した日常ネタをSSスレに放り込んでいきます。

…密かに水面下で続けていた長湖部員穴埋め計画も再開せねば…(え?

以上、なんだか勝手に紛れ込んで勝手に楽しんだ感があってちと恐縮気味の海月でした。

144 名前:★ぐっこ@管理人:2005/01/30(日) 01:07
惟新さま宣言乙っ(´Д⊂!

いやさ、今年はマジすんません(´Д⊂
可及的速やかに、対旭祭用作品を投下する所存!
ちうか皆様もお疲れさまでございました!
一番何もやってない管理人が言うのもアレですが、まだまだ後夜祭が続いている
ということで、しばらくこのスレもよろしくであります( ゚Д゚)!

145 名前:海月 亮:2006/01/07(土) 18:34
|Д`)ダレモイナイ…アゲルナライマノウチ…


というわけで僭越ながら、私めがageておきます(゚∀゚)
というか今年もこちらでええんでしょうか?
ついでに言えば、やっぱり17日(火)を前夜祭と位置づけ、18日(水)〜25日が祭りということでいいんですかね?


一応ネタはあるので、前夜には何か持ってくる予定でつ。

146 名前:雑号将軍:2006/01/07(土) 23:10
おお、海月様。あけましておめでとうございます。ご無沙汰しており言葉もありません。
旭祭ですな!むむむ、初参加ですが、頑張りますよ!

147 名前:海月 亮:2006/01/08(日) 10:52
>初参加
一瞬「あれ?そうだっけ?」とか思って小首を傾げてしまった私。
そしてなんとなく勢いで初来訪者スレとか見直してようやく思い込みだと気づきましたさ_| ̄|○


そしてその意気や善し(´ー`)b
そしてわれらで、更なる神作品光臨の先駆者となりましょうぞ!(゚∀゚)

148 名前:★教授:2006/01/09(月) 20:20
海月様、age乙!

長期出張でPC触る機会無かったので死亡説すら流れてました私ですが…え、まだいたの的存在? はい、そうです or2
…こほん。ともあれ旭記念日3周年目も参加しますー。いつもの二人メインだろって? はい、そうです o... r2
では、記念日に会いましょうー(沈黙)

149 名前:海月 亮:2006/01/11(水) 00:39
>教授様
うお、ご無沙汰でした!
これで今年もめいっぱい萌えさせていただけるということですな(゚∀゚)

((*゜∀゜)o彡°簡×法! 簡×法!



そうしたらこの海月めがやることもただひとつ…はい、ワンパターンながら、多分虞姉妹っつーか長姉と誰か…_| ̄|○

150 名前:雑号将軍:2006/01/17(火) 22:31
  旭日記念作品 ▲出逢いと楽しみは危険な香り▲

今日は一月一七日火曜日。この日、蒼天学園の行事の中でも屈指の賑わいを見せる、旭日記念祭を前日に控え、まもなく前夜祭が始まろうとしていた。   
前夜祭と言っても、実際は午後三時から始まるので、強いて言うなら「前昼祭」と呼ぶのが妥当かもしれないがそれほど重要なことではない。
今、重要なのは午後四時だということである。しかし、蒼天学園のどの校区を見渡しても生徒の姿はない。
いや、体育館がぞろぞろと生徒がはき出しているではないか。どの生徒もけだるそうに猫背になっていたり、あくびをしている。
無理もない。なぜなら、三時から一時間の間、学園長の演説を聴かされていたのだから。

ここは司隷特別校区。蒼天学園の首都とも言える校区でさきほどまでこの第一体育館で学園長が演説をしていたのだ。
まあ、聞いていた側の生徒にしてみれば迷惑この上ないものなのだが・・・・・・。
「ホント、何が起こったらあんなに話が長くなるよ!義真もそう思うでしょ?あーあー。あたしの初めての旭日記念祭をどうしてくれるのさ」
赤い髪で小柄な女生徒が、横にいた、自身が「義真」と呼ぶ、長身かつ長髪の女生徒に尋ねた。
 どうやら二人とも学園長の餌食にあったらしい。
「同感だな。あんな形ばかりの儀式になんの意味があるのか、私には到底、理解し得ないな」
 義真と呼ばれる女生徒は風でなびく長髪を気にしながら皮肉を込めてそう言った。
この女生徒の名は皇甫嵩。親しいものは義真と呼んでいる。多少きつめの顔に、一七〇センチを超える長身。そして、光加減によっては青色に光る長髪が彼女の凛々しさを強調している。
そして、彼女のハスキーな男口調が大きな影響を与え、一部の腐女子の間ではかなりの人気を誇っている。
もちろん皇甫嵩にとってはいい迷惑なのだが。
 皇甫嵩は横に並んで歩く少女の不機嫌そうな顔を見て話を続けた。
「どうだ、公偉。これからショッピングモールにでもいかんか?」
 旭日記念祭は蒼天学園も含めた華夏学園都市をあげての祭りのためショッピングモールも例外ではなく、様々な催しものが開かれている。
その何気ない誘いかけに「公偉」と呼ばれた少女は目を輝かせるのと同時に、なぜか前髪のひとふさが天を向いて逆立った。
「本当〜!やったあ!義真とデート〜デート」
 少女は「デート」という単語をあからさまに強調しながら、皇甫嵩の周りをくるくると回っている。
 この少女の名前は朱儁。親しいものは公偉と呼ぶ。いつも前髪のひとふさが天を向いて逆立っている。 
また皇甫嵩と朱儁は小等部からの親友で、寮のルームメイトなのである。
「やっぱり、行かん!」
 「デート」という単語に狼狽した皇甫嵩は照れ隠しのつもりで言い放った。
「うわ・・・・・・もしかして義真、照れてるの?」
 朱儁の言葉に皇甫嵩はますます赤面する。そして一言、
「帰るぞ!」
 そう言って、スタスタと早足で駆けていってしまった。
「ちょ、ちょっと待ってよ〜義真〜!」
 朱儁はあわてて、皇甫嵩の後ろを追いかけていった。

「見て見て、義真!これもいいよねぇ」
「そ、そうなのか?」
 結局、皇甫嵩はショッピングモールに来てしまっていた。そして今は朱儁の洋服選びに付き合わされているのである。
 皇甫嵩は右手に買い物袋をぶら下げ苦笑していた。
 しかし、皇甫嵩は決して、洋服選びが嫌いにわけではない。事実、皇甫嵩はすでに、紺のジャケットの購入を決めているのである。
しかし、朱儁は二種類のワンピースを見比べていた。こんな状況が、もう三〇分も続いているのだから皇甫嵩が苦笑しているのも、もっともであった。
「うん、決めた!こっちにする」
 結局、朱儁はオレンジと白のワンピースを選ぶと会計の方へと向かっていった。皇甫嵩がその後ろから疲れ気味について行く。 
二人は会計を済ませると、店員の明るい声を背中に受けて二人は店を後にした。

二人は店を出てしばらく歩いていると、一件のコスチュームショップが目に入った。
 朱儁は、自然と上目遣いで皇甫嵩を見やる。これには「皇甫嵩へのお願い」が込められている。皇甫嵩はこの手の視線には、めっぽう弱いのである。
「・・・はあ。今日はお前に付き合ってやるよ」
 皇甫嵩はそう言うと、二人並んで、コスチュームショップに入っていった。
 入ってみると中は思った以上に広く、かなりの種類の装飾品が所狭しと並べられていた。
「いったいどこからこんなものを・・・・・・」
 皇甫嵩が呆れるのも無理はない。
リボンやネクタイといった、一般的なもの以外にドクロのブレスレットなどのオカルトグッズも並べられていた。
それだけならまだしも、なかにはアニメの登場人物が着ている衣装までもが販売されているのであるから驚きである。
それらを凝視している女性客がいたのを皇甫嵩は見逃さなかった。
 皇甫嵩がそうやって辺りを見回していると、朱儁が戻ってきた。
「これ、どうかな?」
「どうって、なにがだ?」
 皇甫嵩が首をかしげて、そう言った。
すると朱儁は両手を開いて二本のリボンを見せた。一本は燃えさかるような深紅。そしてもう一本は澄み切った海のような紺碧色をしていた。
「おそろいにしようよ〜?あたしが赤で、義真が青にしてさあ」
「なるほど、確かにそういうのも面白いかもしれないな。よし、私は青を選ばせて貰うことにしよう」
 皇甫嵩は珍しく、なんの躊躇いもなく朱儁から紺碧のリボンを受け取ると二人揃って会計をすませた。
皇甫嵩はさっそく後ろの髪を束ね、リボンで結び、ポニーテールにした。
その輝くばかりの凛々しい皇甫嵩の姿に朱儁はうっとりしていた。
髪の長い皇甫嵩に対して朱儁は髪が長くないので結ぶことができなかった。そのため朱儁は制服のクロスタイをはずし、そこにリボンを通し、前で蝶結びにした。
 このリボンは二人が三年の夏休み二週間前になるまで、外されることはなかった。

151 名前:雑号将軍:2006/01/17(火) 22:35
続き・・・・・・

この後もしばらく、ショッピングモールを歩き回った皇甫嵩と朱儁は近くにあったカフェテラスでティータイムを楽しんでいた。
「なんか、開会式の疲れがどっかに吹っ飛んじゃったわね」
「そうだな。たまにはこういうのもいいものだな」
 二人はそう言って、声を上げて笑っている。
太陽は二人の笑顔を象徴するかのように、空高く、そして、さんさんと照らしていた。
 二人がしばらく談笑していると、ある女生徒が声を掛けてきた。
どうも不思議な感じの少女だ。
「進呈」
 彼女はブレザーのポケットから、封筒を取りだし、二人に差し出した。
「うん・・・・・・?」
 皇甫嵩は封筒を受け取った。少女はじっと二人を見つめてくる。
「開けてもいいのか」
 皇甫嵩は一応、聞いてみることにした。まあ、渡しておいて開けてるなとは言わないだろうが、これが社会の礼儀なのだろう。
「正解」
 皇甫嵩と朱儁は同じように首をかしげた。その姿を見て、少女はに唇に手を当てコロコロと楽しそうに笑っている。
そんな光景がしばらく続いていると、不意に少女が口を開いた。
「あ、時間切れ・・・・・・ああ、これもどうぞ」
「お米券?」
「そうです。蒼天学園ならどこでも・・・・・・本当にもう、時間切れです」
 心地よい春風がカフェテラスを吹き抜けたとき、すでにその少女の姿は、なかった。
少女の摩訶不思議な言動に、皇甫嵩と朱儁の頭の中では無数のクエスションマークが駆けめぐっていた。
「な、なんだったんだ。優しさだけはありありと感じ取れたが・・・・・・」
「う、うん。なんだか、母性みたいなのを感じたけど・・・・・・」
 そして、しばしの沈黙。
「それで、義真。あの子が置いていった封筒の中に、何が入ってるの?」
 朱儁が沈黙を打ち破って、尋ねた。
皇甫嵩は握っていた封筒の封を丁寧に破った。そこからは、示し合わせたように、二枚のチケットが出てきた。
 そこには「蒼天学園の新鋭オペラ歌手・張角!旭日記念祭特別野外公演」と書かれていた。
「場所は・・・冀州校区の広宗音楽堂前自然公園、時間は七時開演か・・・・・・どうする、公偉?」
 皇甫嵩は取り出したチケットを読み上げると、顔を上げて朱儁に尋ねた。せっかくもらったチケットなので、皇甫嵩としては見に行きたかった。
しかし、「今日は付き合う」と言った手前、とりあえず、聞いてみることにしたのである。
「楽しそうだし、行こうか!」
「そ、そうか・・・・・・公偉がそう言うのなら、私も行くことにしよう」
 皇甫嵩は朱儁の同意を得られてうれしかったのだが、悟られないように、あえてこんな言い方をした。
「またまたぁ、そんなこと言っちゃってさあ。義真だって本当は行きたいんでしょっ」
 朱儁がそう言って、皇甫嵩を肘でつつく。
「むむむ。そ、そのなんだ・・・・・・ああ!もういい、行くぞ公偉!」
 言い訳を考えていた皇甫嵩だったが、結局、なにも思いつかず進退窮まったため、朱儁に背を向けて、足早に歩き出していた。
「もう、義真はシャイなんだからあ〜」
 朱儁は皇甫嵩の背中にそう言うと、自分も歩いていった。
 二人はもう、数分前に会った少女のことなど忘れてしまっていた。

「ここね。もう人がたくさん・・・義真、空いてる席ある?」
「ああ、なんとかな。それにしてもひどい人気だな・・・・・・」
 朱儁は精一杯背伸びしているのだが、残念ながら彼女の身長では前が見えなかった。そのため一七〇センチを超える長身の皇甫嵩が空席を確認していたと言うわけである。
 二人は広宗音楽堂前自然公園に来ていた。
この自然公園は広宗音楽堂の八〇〇メートル先にあり、たくさんの自然が広がっているのどかな公園である。と、言えば聞こえがいいが、その実は何か施設を建てるほどの予算が、慢性的に不足しているためなのである。
 しばらく歩き回った皇甫嵩と朱儁はやっとのことで、席を見つけて座ることができた。
ちょうど、二人が座ったのと同時に、割れんばかりの歓声が沸き起こった。
それもそのはず、ステージの奥から、一人の少女が姿を現したのである。
彼女こそが、このコンサートの主役、張角である。
 彼女は腰まで伸びた黒髪をなびかせ、それと対極的な白一色のドレスという衣装でステージの階段を上っていく。
さらに、ドレスの襟元からは黄色のスカーフを覗かせていた。
そんな張角の優しさに満ちあふれた女神のような美貌に、皇甫嵩と朱儁の二人は目を奪われていた。
 と、不意に朱儁が皇甫嵩に、恐る恐る声をかけた。
「ねえ、義真。あの人の目の色、両目とも違わない?」
「ああ、あれはオッドアイだ。それも金と銀のな・・・・・・」
 朱儁の質問に答えた皇甫嵩は思った。
(と、いうことは、彼女の片耳は聞こえない可能性が高い・・・・・・はたして、そんな状態で歌えるのか?)と。
 しかし、そんな皇甫嵩の不安は全くの杞憂となった。
 ステージの中央で歌う張角の歌声は音質、音程、声のつやなど、どこをとっても非の打ち所がなかったのである。
そしてその歌声は、彼女の身体から出るオーラを代弁していた。
例えて言うのであれば「母親の子守歌」といったところであろう。彼女の歌には、なにものをも包み込むような優しさがあった。
 皇甫嵩と朱儁は日頃の疲れも忘れて、張角の歌声に魅せられていた。

 ・・・・・・そして、歌が終わった。

152 名前:雑号将軍:2006/01/17(火) 22:37
続き・・・・・・パート2

「よかったねぇ〜義真」
 朱儁は祈るようなポーズをとりながら、張角の姿にうっとりしている。
 彼女の眼は潤んでさえいた。
それほどまでに張角の歌は人の心を震わせる力があるのだ。
「ああ、見事としか言いようがない。どうやら彼女は数々の奇跡が重なり合って、生まれてきたようだな」
 さすがの皇甫嵩もいつもより幾ばくか、頬をほころばせていた。
そして、二人が、張角の二曲目に聞き入ろうとした。
 そのとき―――
 そのときである。
 最前列に座っていた数人の観客が一斉にステージに上ってきたのである。
「な、なんですか?あなたがたは?」
 張角が観客の異様な雰囲気に、後ずさりする。しかし、観客はすでに張角を取り囲んでおり、逃げられない。
「今日は学園きっての祭りと聞いて、かわいい女の子がいると思ったら、両目が色違いの萌えっ娘に逢えるたあ、俺はついてるなあ〜」
 そう言った途端、張角を囲んでいた観客は来ていた服装とカツラを取り払った。
なんと張角を取り囲んだ者たちは男であったのだ。
それを見た周囲の動揺は凄まじいものだった。会場の観客は我先へと、逃げ出していく。
それもそのはず、この「華夏学園都市」は男子禁制であるため「男子=怪物」の公式が立っているのである。
この学園の生徒が男子生徒に出会うことは、人が山の中で熊に遭遇したのと同じような状況なのであると言えば理解して頂けるであろう。
もっとも、中には逃げない者もいるのだが・・・・・・。
「大変だよ!早く助けないと!義真!『義を見てせざるは勇なきなり』って学園長も言ってたよ!」
 そう言って、朱儁が皇甫嵩の左腕を掴もうと手を伸ばしたが、その手は彼女をとらえることはなかった。
 それもそのはず、皇甫嵩はすでにステージを駆け上がっている所だったのだ。朱儁は微笑を浮かべると、皇甫嵩の後を追った。
「なあ〜これから俺と付き合ってくれよ」
さっきの男が張角に詰め寄る。
張角はそれから逃れるように後ろへ下がるが、別の男がその行動を阻んだ。
「お、お断りします!」
張角は健気にもそう言ったが、この言葉が彼らの興奮を煽った。
「そんなこと言うなよ!いいとこに連れてってやるからさあ!」
 男は強引に張角の腕を掴んで、自分の方へ引き寄せた。
張角は必死に抵抗するが、残念ながら、腕力の差がありすぎた。
「は、離してください!こんなことが許されると思っているのですか?」
 と、そんなとき、どこからか、声が響いてきた。
「やめておけ。そのような下衆共に道理を説いても無駄なだけだ」
 男たちが、あわてて辺りを見回すと腕を組んでいた長髪の女が一人、スピーカーにもたれかかるようにして立っていた。
 皇甫嵩である。
「なんだあ、お前も相手して欲しいのか?」
「せっかくのお誘いを断るのは心苦しいのだが、私はこれからそこにいる彼女とデートでな。悪いがお前らは、養豚所にいる雌豚の相手でも、していてくれんか?」
 彼女の言葉には、あきらかな皮肉と侮蔑が込められていた。
「んっだとう!俺を烏丸高校(蒼天学園の北側にある男子校の一つで、過去から何度も蒼天学園に嫌がらせを繰り返している)の蹋頓と知ってそんな口をきいているのか!」
 馬鹿にされた男は、あからさまに敵意をむき出しにしている。
その殺気は尋常ではなかった。幾度も死線をくぐり抜けてきた眼だった。
 並の女子高生だったら、すぐさま詫びを入れていただろうが、幸か不幸か、皇甫嵩は並の女子高生ではない。
「養豚だと!はっはっはっは!やはりお前には養豚所の雌豚がお似合いだ。なんなら、私が紹介してやろうか?」
 皇甫嵩はウソ丸出しに驚くと、これまで以上の皮肉を込めて言った。
「な!俺は蹋頓だ!お前ら!このアマをやっちまえ!」
 ついにキレてしまった蹋頓は近くにいた数人の男たちと共に、皇甫嵩を取り囲んだ。そして、バットケースに手を入れると、あろうことか、バットではなく摸造刀を取り出したのである。
 それを皇甫嵩に向けて突きつけた。しかし、皇甫嵩はぴくりとも動かない。
「最近のガキは面白い玩具を持っているらしい・・・・・・なっ!」
 皇甫嵩はそう憎まれ口を叩いたその刹那、真横から斬りかかってきた男のみぞおちに豪快なストレートをきめ、気絶させると、その手から模造刀を奪い取った。
 さらに、彼女は不敵な笑みを浮かべると、こう言い放った。
「『剣とは敵を破る物にして、自己を護る物に非ず』この言葉を知っているか?まあ、しわの少ない貴様らの脳みそでは、知っていたとしても本来の意味など理解し得んだろうが・・・・・・」
 ここでも、皇甫嵩は彼らをさんざんに侮辱する。
男たちは、顔を真っ赤にして、斬りかかってきた。
 皇甫嵩はまったく動じず、右手で自然に振り上げた形に左手を添えるようにして、上段に構えた。
 次の瞬間、正面にいた男めがけて、刀を振り下ろした。男は刀を胸の前に突き出すようにして受けを取ったが、それがいけなかった。
二本の太刀が激突した瞬間、男の太刀が男の胸に跳ね返ってきたのである。
男は地面へとたたき落とされ、胸の痛みにもがき苦しんでいた。
蹋頓はこの型を見て、さっき皇甫嵩が言った言葉を思い出した。
「お、お前ら一斉にかかりやがれ!」
 蹋頓は驚きを隠しきれずにいたが、周りにいた男共に指示を出す。
「ほう・・・・・・しかし、養豚所の豚にやられるほど私は甘くはないぞ!」
皇甫嵩はニヒルな笑みを浮かべて言い放つと、左右から斬りかかってきた男たちの胴を薙ぎ払った。
さらに正面から拝み打ちを放ってきた男の太刀に自分の太刀を合わせると、そのまますくい上げるように刀をはじき飛ばし、容赦なく、男の右肩から袈裟切りにしてみせた。
残った、蹋頓たちは後ずさりしている。
もう、彼らは生きた心地がしなかったことだろう。
そのとき、別の方でもうめき声が聞こえてきた。
「義真〜!張角さんは助け出したよ〜!」
 朱儁だった。彼女は両手を大きく振って、皇甫嵩の方を見ている。
 皇甫嵩の作戦通りである。皇甫嵩が主力を引き付けている間に、朱儁が張角を助ける。見事であると言えよう。
 完全に、いいところなしの蹋頓は歯ぎしりして、朱儁と合流を果たした皇甫嵩たちと対峙した。
 そのとき、数十人の男とたちがステージに上ってきたのである。
「なんだあ、蹋頓。女二人にやられやがって!」
「丘力居の従兄(あにき)!面目ありません」
 どうやら、この男が親玉らしい。丘力居は手慣れた手つきで男たちに命令をし、皇甫嵩たちを包囲した。
 このとき、皇甫嵩には誤算があった。張角を逃がせなかったことである。
(どうするの、義真!二人だけだったらどうにかなるけど、張角さんがいたんじゃあ)
(うろたえるな、公偉。何か策があるはずだ)
 二人はそう言うと、張角を守るように挟み込んだ。
「もう、やめてください!私が行けばすむだけですから!」
 柔らかくも、切実な張角の声が、二人の耳に響いた。
「行く必要なんか無いよ!」
「公偉の言う通りだ。君にはもっと、格好のいい人がお似合いだ。あんな豚の相手をする必要はない」
 皇甫嵩は彼らにも聞こえるような声で、張角に言った。もちろん「豚」を強調することも忘れてはいない。
「どうやら、置かれてる立場が理解できていないようだな」
 皇甫嵩の言葉に顔を引きつらせた丘力居は、ひび割れ寸前の声で言った。
「置かれた状況・・・・・・そうだな、エサを求めてのさばり回る顔の悪い野良犬といったところだろうか・・・・・・」
「そうね。付け足すなら、弱虫のってところかな」
 皇甫嵩の揶揄に朱儁が完璧なタイミングで答える。こんな状況でも口が減らないのがこの二人である。
 二人の言葉に、ついに彼らが完全にキレてしまった。
「もう、詫びぃいれたって、ゆるさんからな!おい!お前ら、腕の一本ぐらい、へし折っちまってもかまわねぇ!二度と喋れないようにしちまえ!」
 丘力居はそう命令すると、男たちは模造刀を振りかざして、一斉に飛びかかってきた。

153 名前:雑号将軍:2006/01/17(火) 22:41
続き・・・・・・パート3

すると突然、公園の茂みから無数のBB弾が彼らめがけて降り注いできたのである。
さらに、別の茂みからは、金髪の少女が二人の男を蹴り飛ばした。
「大丈夫かい?」
 金髪で小柄な少女は瞬く間に、三人の男を殴り飛ばし、ファイティングポーズをとった。
 それと、同時に別方向からも悲鳴があがった。
「邪魔すんなやあ!どかんかい!」
 反対側から、ガラの悪い関西弁が響き渡る。
「しーちゃん!こっち、こっち!」
「建ちゃん。飛び込むのはやいんだから。どなたかわかりませんが、丁原と、わたし、盧植が援護します!」
 盧植と名乗った少女(しーちゃん)は触りたくなるような、ふわふわしたライムグリーンの髪をバレッダで二つに留めている。さきほどのガラの悪い関西弁からはまったく考えようもない美少女であった。
「援護、感謝する!公偉!私たちも続くぞ!」
「まかせといてよ!」
 朱儁はそう言うと、飛びかかってきた男に合わせるように自分も飛び上がると、レッグラリアートを顔面に見舞ってやった。
 その横では上段から斬りかかってきた男の刀を皇甫嵩が身体を半回転させて、攻撃をかわすと、そのまま大外刈りの要領で相手の足を刈り、体勢を崩し倒れかかった所を、刀で後頭部を強打してやった。
 男は脳震盪を起こして気絶してしまった。
さらに丁原は模造刀をものともせずに、懐に飛び込むと五発の正拳突きを瞬時に放ち、男を完全に仕留めた。
「お前らは、ホンマいらんことばっかしよって!早う、帰らんかい!」
 盧植は再びガラの悪い関西弁でそう言うと、向かってきた男の足を思い切り踏みつけると、ハリセンを容赦なく男のあごに叩き込んだ。
 男は飛び上がって衝撃を和らげることもできずに、失神してしまった。
 盧植のハリセンは堅い厚紙で作り、骨組みには竹を使用しているため、威力は想像を絶する物であることは言うまでもない。
 つまり、彼女のツッコミはそれだけでも立派な凶器なのである。

「二十二人の男が、たった四人の女にヤられたのか!?五分も経たずにか!ば、バケモノかぁ・・・・・・」
 丘力居は横にいた蹋頓と共に、驚きの声を上げた。今回連れてきた彼らは決して弱くはないのだ。彼らを倒す、彼女ら四人の強さが異常なのだ。
「さあ、お二人さん!覚悟してもらうよ!」
 朱儁の声と共に四人が一歩ずつ、二人を取り囲むようにして近づいてくる。
 今の二人には彼女ら四人の姿がとてつもなく大きく見えたことだろう。
「くっそーなめやがって!」
 蹋頓がやけくそになって、摸造刀を上段に振りかぶり、朱儁に斬りかかってきたのだ。
 それに対して、朱儁はぴくりとも動かなかった。
蹋頓が勝利を確信したとき、朱儁は蹋頓の太刀を真剣白刃取りで受け止めていたのである。
朱儁は刀をある程度引き寄せると、右手を振り上げ、そして振り下ろした。
残ったのは、模造刀の柄の部分だけだった。
さらに朱儁は、大きく飛び上がり、蹋頓の顔面に蹴りを入れよろめいた所と同時に、腹蹴りをかました。
蹋頓は数メートル吹き飛ばされ、そこで大の字にのびていた。
「あとはお前だけだな・・・・・・私が地獄へと案内してやろう」
 皇甫嵩はそう言うと、奪った模造刀を再び右手で自然に振り上げた形に左手を添えるようにして、上段に構えた。
 そのとき、急に丘力居が脅えだした。
「そ、その薩摩示現流特有の『蜻蛉』の構え・・・・・・思い出したぞ。お、お前はかつて、南羌中学校の奴らを一人で、しかも一刀の太刀のもとに切り伏せた・・・・・・あの伝説の剣豪・皇甫嵩か!」
 彼の脅えようは尋常ではなく、歯をガタガタと震わせ、もはや立っているのがやっとのようだ。
「正解だ。悪いが二ヶ月程度は蓑虫になっていて貰おうか!」
「う、うわああああああああああああああああ!」
 絶望と恐怖に精神を支配された丘力居は何ともわからず、ただ闇雲に太刀を振りかざして突っ込んできた。
 皇甫嵩は、完全にその刺突を見切って左身体を反らすと、その体勢から丘力居の手首を容赦なく打ち据えて、刀を落とさせた。
皇甫嵩は再び「蜻蛉」に構えると、がら空きになっている背後に回り込み、そして、右肩目掛けて刀を振り下ろした。
 丘力居は激痛にこらえきれなくなり、グシャリと鈍い音を立てて地面に転がり込んだ。間違いなく骨にひびは入っていることだろう。
「ふう・・・・・・終わったな」
 皇甫嵩は持っていた模造刀を放り投げると、朱儁たちのいる方に駆け寄っていった。
 張角を助けるため、そして今後、こんなことを起こらないようにするためとはいえ、過剰な暴力をふるってしまったことに、本当に、本当に、多少ではあったが、皇甫嵩は心が痛んだ。
(しかし、こんな奴らの侵入を許すとは・・・・・・蒼天学園はどうなってしまったのだ)
 皇甫嵩が心の中でいろいろと考えを巡らせていると、横から回り込むようにして、張角が抱きついてきた。
「本当にありがとうございました。私、怖かった・・・本当に怖かったんです」
 皇甫嵩はあまりのできごとにあたふたしていたが、取りあえず、さらした張角の黒髪をゆっくりと撫でてあげた。
「もう、大丈夫・・・よく頑張ったな・・・・・・しかし、礼を言う相手は私だけではないだろう」
 皇甫嵩は張角に優しくそう言うと、張角はハッとして皇甫嵩から離れた。
「みなさん、本当にありがとうございました」
 張角はそう言って、深々と頭を下げた。
 そうすると、向かい側に立っていた少女は笑って答えた。
「気にしないでくれよ。あたいはケンカ相手を探してただけなんだからさ。祭りだけじゃあなんか、もの足んなくてさあ」
「もう、建ちゃんったら。それに、蒼天学園はみんなで護るモノですから」
すると、朱儁がふと思い出したように言った。
「まだ、自己紹介もしてなかったよね。あたしは朱儁。公偉って、みんなからは呼ばれてる」
「そ、そうだったな。私は皇甫嵩。皆からは義真とよばれている」
「わたしは盧植。みんなは子幹って呼んでるわ。蒼天学園の一年生です」
 このとき盧植の頬は赤く染まっているように見えた。
「シンちゃん(義真)に、こーちゃん(公偉)か・・・・・・あたいは、丁原。建陽って呼んでくれよ」
「わたしは・・・張角です」
 五人はそう言うと、がっちりと握手を交わした。

154 名前:雑号将軍:2006/01/17(火) 22:46
最後です・・・・・・

「ねえ、みんな。前夜祭は・・・・・・もう終わっちゃったから、気分直しにカラオケにでも行かない?」
 朱儁の提案、盧植と丁原が飛びついてきた。
「ああ、いいんじゃないか。私は聞いている方が好きだがな」
 皇甫嵩は朱儁から目をそらすようにしてそう言った。
そんな皇甫嵩を見た朱儁は悪戯っぽい笑みを浮かべ、言った。
「また〜そんなこと言って〜義真はオン・・・ふぎゃあ!」
 最後の一文字を言いかけたとき、皇甫嵩が朱儁の「ツノ」を目一杯に引っ張った。
「な、なんでもない。張角、君も来るだろう?」
「よ、よろしいのですか?」
 皇甫嵩は「ツノ」から手を離すと、黙り込んでいた張角に尋ねると、張角は驚いたように顔を上げていた。
 皇甫嵩たち四人は、張角の問いかけに頷いてみせた。
「・・・・・・わたしの眼を見て何も思われないのですか?」
 張角は恐る恐る尋ねた。このことから、張角が眼のことにコンプレックスを抱いていることは間違いなかった。
「ふっ、人を外見で判断するのは小人のすることだ。大事なのは・・・・・・いや、言わなくとも、張角、君にならわかるだろう」
「もっと自分に自信を持ってよ!蒼天学園には手が膝ぐらいまである人だっていたんだから、目の色が違ったり、空を飛べたりなんか――」
「空なんか飛べるかい!」
 朱儁のボケに廬植のハリセンが見事に答えた。
「いたいよう〜子幹〜」
「ご、ごめんなさいっ!つい、いつもの癖で」
盧植はあわててぺこりと頭を下げた。彼女が大阪弁を話す理由は二つある。一つは出身地が大阪であること。もう一つは彼女が小等部から在籍している幽州校区にはなぜか、関西出身の生徒がほとんどであったため、彼女が標準語を使って話す機会があまりなかったためである。
 そんなやりとりをしていると、突然、張角が声を出して、笑った。
「皆さんの言う通りかもしれませんね。私、頑張ってみます!・・・・・・それじゃあ、私もご一緒させて貰ってもよろしいですか?」
「もちろん」
 四人は声を揃えてそう言った。

「ねえ、義真〜張角さんとラブラブだね〜」
 カラオケボックスに向かっている最中、不意に朱儁が声を掛けてきた。
 盧植の顔が一瞬曇った・・・・・・気がした。
「なっ!何を言うか!そんなことは断じてないっ!」
 皇甫嵩は顔を真っ赤にして否定する。
「・・・・・・わたし皇甫嵩さんとなら・・・・・・」
それを横目で楽しんでいた張角は真面目な顔つきで答えた。
「張角・・・・・・公偉が邪推するではないか・・・・・・それに、本気だったとしても、悪いが、私にはその気はないぞ」
 皇甫嵩は頭を抱えながらそう言った。
 
はあ・・・・・・高校ってこんなに忙しいものだったのでしょうか?変ですよ…週三で英語の小テストをするとか!いつ小説かけって言うのか!?というわけでしばらくご無沙汰致しておりました雑号将軍にございます。なんとか前夜祭に間に合わせようと必死で完成させてみました。
ただ、当初は入学式設定で昼だったというどうでもいい話。
本祭作品は早くても金曜日になりそうです。

155 名前:海月 亮:2006/01/19(木) 00:41
同期の桜は散らない-


きっかけは一本の電話だった。
「…もしもし」
『あ、やっぱり居た。私。子瑜だよ』
その夜、年内最後の食事を終え、年明け間もなくの推薦入試に向けて少し勉強でもしようかと、自室に戻ろうと階段に足をかけたときだった。
父が医者、母が看護婦という仕事柄、珍しくこの年は家族団欒のかなっていた虞家の居間から、電話だと呼びつけられた。
彼女…虞翻にとって、こんな大晦日の夜にわざわざ電話をくれるような友人に、心当たりは少ない。無論その電話を寄越した主…諸葛瑾にしても、そういうことをしそうなイメージは湧いてこなかった。
ましてや、この年は互いに受験を控えた身。互いに模試の志望校合格率がほぼ七割前後という安全圏内に居はしたが…。
『ね、今日明日は暇…というか、どこかに出かける予定はないよね?』
「…ん…まぁ、確かにそんな出かけなきゃいけない理由も、特にないけど…」
確かに予定はなかったが、虞翻には"出かけたい"場所の心当たりはある。
『だったら、これから常山神社の二年参りに行かない?』
「え…二年参り?」
思わずどきっとして、一瞬言葉に詰まる虞翻。
これまでその口の悪さが災いして、あまり長湖部内でも親しいものが居なかったため"近寄りがたい一匹狼"になっていた彼女であるが、そのとっつきにくさに反して生来のお祭好き人間である彼女である。実は年末年始にまたがる一週間、学園都市最大の神社である常山神社の歳末年始の祭を見に行きたくて仕方のないところではあった。
しかし、流石の彼女も夜一人で出歩く気に慣れなかった。妹たちは妹たちで集まって祭を見に行くつもりで居たが、流石にそれに混ざっていくのも気が引けて、年明けて日が昇ってから行くつもりで居たのだ。
『部長は相変わらず南国の海、陸家も顧家も朱家も年始の集まりで、他に付き合ってくれそうな人もいなくてさ』
「でも、わざわざ二年参りでなくてもいいじゃない…明日でも別に」
『何言ってんのよ〜、せっかく高校生活最後の年末年始なんだから、たまには趣向を変えて、ね?』
やはり何か変だ、と虞翻は思った。
確かに行けるなら二年参りにも行ってみたいし、旅の道連れが向こうからやってきたわけだから願ったり叶ったりである。
だが問題は、その相手。
(確かに子瑜なら、信用できる相手だけど…)
一応、疎遠だったと思っていた幹部会の"仲間"達でも、今は自分を受け入れてくれるということも彼女は解っている。
しかし、幾ら気のおける仲間でも、油断のできない者と言うのはわずかながら存在する。基本的に"悪戯っ子"の集合体みたいな長湖部員のこと、今までそっけない態度をとってきた自分が急に尻尾を振って寄っていけば、どんな罠を仕掛けているものだか解ったものではない。
現に彼女は、一週間前のクリスマスパーティではえらい目に遭わされていた。
確かに楽しかったけど、終始自分は晒し者同然の扱いを受けていたのだ。隠し芸で得意の占いを実演したりするまではいいが、その後はほぼ自分のオンステージ状態。似ても居ないモノマネはやらされるわ、ゲームセンターにあるようなゲーム筐体を持ち出されて即興のダンスを踊らされたり…終いには孫権とその従姉妹達に赤ワイン漬けにされ、次の日は二日酔いでマトモに起きる事すらできない有様だった。
しかもその謀主が陸遜と歩隲だと知らされて以来、虞翻は陸遜に対してさえ何処か警戒心を捨てきれずに居る。相手の性格上、悪気があったわけではないことが解っているだけに、なおさらのことだ。
その点、諸葛瑾なら問題ない。喩えるなら、御人好しが服着て歩いているような…他人をハメるという観念から最も遠い思考パターンの持ち主だ。
(でも…どうして急に?)
だから、突発的に何か行動に出るような…正確に言えば、自分の衝動に他人を巻き込むようなタイプではない彼女が、今日になって唐突にそんな行動に出たのが彼女には引っかかっていた。

『…お〜い…起きてる仲翔さん?』
電話から諸葛瑾の声が聞こえてきて、虞翻ははっとして自分の思考を打ち切った。
「あ…ごめん。解った、ご一緒させてもらおうかな」
『あなたならそう言ってくれると信じてたわ。こういうお祭、本当は大好きだからでしょ?』
「…誰から聞いたのよ」
『舐めてもらっちゃ困るわ。私の友達にはあなたの友達だって多いんだからね。子敬(魯粛)とか公紀(陸績)とか』
流石の虞翻も苦笑するしかなかった。
「そういえばそうだったわね…じゃ、待ち合わせは?」
『そうね…確か会稽から琅邪経由の常山行きがあるわよね? それの11頃のバスというのはどう?』
どうやらバスに乗り合わせていくということらしい。虞翻は手元にあったバスの時刻表…数日前に発行された、年始ダイアの記載されているものを確認する。
「会稽営業所発の年始特別便で、そっちに35分に着いて常山着が12時15分前っていうのがあるわ…それでどう?」
『おっけー、じゃあそれで』
「うん」
電話を切ってふと時計を確認する。待ち合わせに指定した時間までまだ二時間弱余裕がある。
「姉さんに電話なんて珍しいわね…誰から?」
妹たちと年末のお笑い特番を見ていたすぐ下の妹…といっても歳は四ツも離れているが…の虞レが、興味津々と言った風で寄ってきた。もうお互いに入浴は済ませ、それぞれがパジャマ姿だ。
コノヤロウ、一匹狼の私に電話をくれるような友達が居るのがそんなに不思議か…と喉まで出掛かったが、此処でムキになってしまったらどうあしらわれるか解ったものじゃない。
「子瑜から。受験生同士年を跨ぐデートのお誘いよ」
と、普段はまったく言わないような強烈な冗談をしれっと返して見せたら、居間のほうからいきなり、がたがたがたっと凄まじい音がした。何事かと思って覗いてみると、末妹の虞譚を以外の三人が、まるで鳩が豆鉄砲を喰らった様な顔をして、床にのけぞったり椅子からひっくり返っていたりと楽しい格好で呆けている。既に皆入浴を済ませたのか、そろってパジャマ姿である。
「……何やってんのよあんた達」
「…お、お、お姉ちゃんにそんな趣味があったなんて…」
いちばん手前に居たセミロング…三番目の妹・虞忠が何か恐ろしいものでも見たかのように呟く。
「はぁ?」
「頑張ってお姉ちゃん、あたしたちは応援してるからっ」
「世間が理解してくれなくても、あたしたちはずっと仲翔お姉ちゃんの味方だからね〜」
椅子から仲良くコケていた虞聳・虞キの双子姉妹が何時の間にか、虞翻のそれぞれの手をとって、何か哀れむような表情で見つめている。
此処まで来て、虞翻もようやく自分の冗談が冗談に思われてないことを理解したようだった。
「いや…あんた達、アレは冗談…」
「隠さなくていい、隠さなくていいからっ」
「あたしたち口は堅いほうだからっっ」
もしかしたらからかわれているのかも知れないが、最早怒るよりも苦笑するしかない虞翻。虞レも呆れ顔だ。
そして起こっている状況がよくわからない虞譚は、しきりに小首をかしげていた。

156 名前:海月 亮:2006/01/19(木) 00:41
その後たっぷり一時間かけて妹たちの誤解を解き、外出の許可を貰って自分の部屋に戻ってきた頃には、バスの時間まで30分くらいとなっていた。
初めは普段どおりの服を着て行こうかと思っていたが、ふと着物架けの方を見やる。
そこには一着の振袖があった。薄い緋の地に、赤、黄、白と色とりどりの花模様をあしらった着物と、濃い海老茶の帯。初詣用の晴着として、去年まで来ていたそれを妹に譲り、新調した物だ。
「…折角だから、今日着ちゃおうかな?」
毎年というか、夏だって着物を着ることがある彼女にとって、着物の着付けくらいはひとりで問題なくできる。時間的にも支障はないし、こういう機会でないとなかなか着ない服でもある。
「よーしっ」
彼女は着ていた猫の手柄のパジャマを躊躇なく脱ぎ捨て、着付けにかかった。

「…なんかそこまでめかし込んでいくとなると、またあの子達騒ぎ出すわよ? やっぱり〜とかいって」
着付けの途中で乱入してきた虞レ。こちらはクリーム色無地のタートルネックセーターにジーンズ、その上からダークブラウンのダッフルコートにクリーム色のマフラーという文句つけようもない冬の普段着だ。
「う…でも、こういう機会でないと、なかなか振袖も着づらいし、せっかく新調したから」
「確かに、結構奮発したようだしね。飾っておいて虫に食わせるには勿体無いか」
そういいあって微笑む姉妹。
軽口を交わしながらも、彼女は見事な手つきで最後の仕上げを済ませ、姿見の前でポーズを取った。
「うん、我ながら上出来」
「いつもながら見事ね…あたしも見習わなきゃね」
感心したような、その一方でうらやむような眼差しの妹に、
「明日は解らないけど、祭の最終日には姉妹水入らずで行こう? その時でよければ、教えてあげるわよ」
その頭に軽く手を置く虞翻。
そんな歳じゃないとは思いながら、無碍にその好意と、実は大好きな姉の手を払いのけられず、
「…うん」
少し紅潮した頬を隠すように俯く妹の姿に、彼女からも笑みがこぼれた。


何のハプニングにも出会わず、時間通りにバスに揺られること10分。人出のピークが和らいだのか幾分か席に余裕のあるバスが琅邪に到着すると、見覚えのある少女が居た。
気づいて手を振ると、向こうもこちらに気付いて手を振り返す。
"ロバ耳"と称される癖毛はそのままに、結い上げた髪をべっ甲作りの簪で留め、濃い赤の地に桜や菊の文様をあしらった振袖を、柑子色の帯で締めた晴着姿で居るのは、紛れもなく諸葛子瑜その人である。
バスが止まると、数人の客と共に彼女も乗り込んできた。
「やぁ」
「こんばんわ。ごめんね、急に呼び出しちゃって」
「…丁度行きたかったところに、あなたが呼んでくれただけよ」
そして隣の席に彼女も座る。
虞翻はまじまじとその顔を見つめる。
未だに、彼女は諸葛瑾が突然こんな行動に出た理由を図りかねていた。見た目には普段どおりのようだが…というか、もともと素地がいいだけあって、やっぱりちゃんと着飾ると、彼女は美人なのかもしれない…などと、何時の間にかそんなことを考えてしまう虞翻。
「どうしたの? 私の顔、何か付いてた?」
「あ…い、いやそうじゃないけど」
不思議そうな諸葛瑾に、つい数時間前の妹たちとのやり取りを思い出して、赤面して慌てる虞翻。
変なの、と微笑む諸葛瑾。やっぱり、そうした反応を見ても普段の彼女とは別に変わったところはないようだ。こういうときは、やはり当人にきちんと聞いてみるべきではないのか…?
しかし、虞翻は口を開こうとして思いとどまった。
諸葛子瑜という少女は、その温和な性格と、一門の人間はおろかそもそも姉妹同士で別々の勢力に身を置いている。彼女と四番目の妹の諸葛恪は長湖部に、二番目の妹諸葛亮と、三番目の妹諸葛均、それぞれ五番目と六番目にあたる諸葛喬、諸葛譫が帰宅部連合に居るという塩梅だ。
まして今年、帰宅部連合…というか諸葛亮の進退あたりにかなり不安なものがあると、何気に懇意にしている交州学区総代・呂岱に聞かされていた虞翻は、諸葛瑾も表には出さないものの大分心労を溜め込んでいるのだろうと思っていた。
彼女がこういう行動をとったのも、その気晴らしのためなのだろうが…そうは思った虞翻だが、ならば何故自分を誘ったのか、それが気になっていた。
彼女なら、わざわざ虞翻を誘わずとも、他に誘うべき人間は居るはずだろう。確かに孫権やら陸遜やらという連中は不在で、恐らくは敢沢、歩隲などは相変わらずバイトに勤しんでいるはず。それでも厳Sや潘濬、吾粲とかが居るはずではないか、と。
(…もしかしたら、後の子達は現地集合かもしれないか…)
そんなことを考えているうちに、バスは見物客の車でごった返している終点・常山神社の敷地内へと入っていった。

「ねぇ…」
バスから降り、門前の階段を何事もなく昇り、鳥居をくぐろうという時点で、虞翻はたまりかねて言った。
「他のみんなは? 誰か待ち合わせとかしてないの?」
「え?」
振り向いた諸葛瑾は、「なんで?」といわんばかりの表情をしている。
「なぁに? 私とふたりきりなのは嫌?」
「ううん…そんなんじゃないよ…でも」
その不躾な物言いにも、穏やかに微笑んで咎めようともしない諸葛瑾に、虞翻は一瞬、次の言葉を吐き出すのを躊躇ってしまった。
だが、このままこのような気持ちの澱みを抱えながら、彼女の行動に付き合うのも心苦しいように思えた。
「…あなただけを呼び出したのが、そんなに気になった?」
その一言に、無言で頷き、そのまま俯いてしまう。
きっと彼女のことだから、特に理由はなくとも自分を誘ってくれただろう。それなのに自分は変な勘ぐりをして、なおかつそれを態度に表してしまった。もしかして、愛想をつかされたかもしれない。
肩に手を置かれて、ふと見上げると、そこには苦笑した諸葛瑾の顔があった。
「相変わらずね…でも確かに、今日の私の行動はちょっと唐突に過ぎたかもね」
寂しそうに笑う諸葛瑾。
「何でなのか解らないけど…なんだか急に、あなたに会いたくなった。それが本音なの」
「私…?」
自分を必要としてくれていたことは、嬉しいと思った。
しかし、あまりに唐突なその一言に、虞翻はただ戸惑うばかりだった。

157 名前:海月 亮:2006/01/19(木) 00:42
境内に所狭しと並ぶ屋台。そして行きかう人並みの中、ふたりはしばらく言葉もなく、本殿の参拝の列に混ざっていた。
「うちの妹の話…あなたはもう知ってるわよね?」
先に沈黙を破ったのは、諸葛瑾だった。
虞翻は無言で頷く。
諸葛亮の件については呂岱からの又聞きだが、大体の事情は解る。
そしてもうひとつ、彼女の妹たちといえば…
「このまま卒業したら…いったい恪や融がどうなるのか、やっぱり心配で仕方ないの」
虞翻には返す言葉が見当たらなかった。
諸葛恪と諸葛融。虞翻も虞レからその人となりを伝え聞き、また実際に逢った事もあるので知っている。
「こんなことを聞くのもどうかと思うけど…あなたはあの子達のこと、どう思う?」
確かに諸葛恪は頭の回転も速いし、言葉も巧みだ。しかし虞翻は…それが諸葛瑾の妹であることを考慮したとしても…どうしても良く評価できない点が見受けられる。
自信家で鼻に付く態度と、あまりにも些事に無頓着な大雑把さ。この二点により、恐らく諸葛恪は一身を完うできない…己が才知に身を誤るのではないか、と。我侭で騒がしいだけの諸葛融に至っては論外と言わざるを得ない。
しかし、自分が交州へ移ったあの日…自分の為に泣いてくれたこの少女の心を抉るようなその評価を、彼女はどうしても言い出せなかった。
「…他人のモノは良く見える、と言うけど…私はあなたが心底羨ましいわ」
「え…」
「あなたは私よりずっと優れた才能もある…そしてあなたの意思をついでくれるだろう子達にも恵まれている…知ってる?あなたって割と下級生に人気があるのよ。あなたの妹…世洪ちゃんだけじゃなく、幹部候補生となった子達の中には、あなたにその才能を見出された娘が、それだけいっぱいいたってことなのね」
寂しそうな表情のまま、諸葛瑾は軽く頭を降った。
「結局、私は何も長湖部に…楽しい思い出をいっぱいくれた場所に、何も残さずに去っていくような気がして…」
「そんな…そんなことないっ!」
自分でもびっくりするくらい、大きな声で叫んでしまったらしい。周囲の目がこちらに向いたことに驚き、虞翻は真っ赤になって慌てて口を押さえてしまった。
その様子が可笑しかったのか、諸葛瑾も少し笑った。彼女も釣られて、少し笑った。

少し時間を置いて、周囲の注目から開放されるのを見てから、虞翻は気持ちを落ち着かせ、
「それは違うよ…個人の意思だけを受け継いできただけなら、きっと長湖部はとっくの昔に無くなっていた…長湖部は、その活動に関わったみんなが担い手になって、次の世代にその人たち全員の思いを受け継いで、今の長湖部があるんだと思ってる」
一言ずつ、大切な宝物を扱うように、彼女はその想いを言葉にしていた。
「私たちの想いは、これからの長湖部を担っていく娘達みんなが受け継いでくれる…私は、そう思いたい…」
「…仲翔」
「だから…何も残せないなんて、そんな寂しいこと言わないでよ」
「うん…ありがとう」
その笑顔に吹っ切れたものを見出せたので、虞翻も精一杯の笑顔で応えた。
そうこうしているうちに、ふたりの参拝の番が回ってきた。
揃って袖の中から財布を取り出し、示し合わせたように五円玉を取り出し、賽銭箱へ投げ入れるふたり。
二回手を打ち、手をあわせて、彼女は願っていた。
(私達の思いを受け継いでくれる娘たちが、充実した学園生活を送れますように…)
(…私を受け入れてくれた仲間と、何時までも仲良く居られますように)
と。


本殿から離れ、見上げた空から粉雪が舞い降りてきた。
「…やっぱり降ってきたわね」
「予報では、今週いっぱいは雪なんか降らないって言ってたけど…?」
怪訝そうに諸葛瑾が言った。
「ちょっと占ってみたの。私も半信半疑だったけど」
ああ、と諸葛瑾が相の手を打つ。虞翻が占いの名手であると言うことは、部内でもそれなりに知られていた。
「あー! やっぱり来てたんですか先輩方」
本殿のほうからふたり走ってくるのが見える。髪形を普段とは違って、うなじの辺りで一本に括って、赤い袴の巫女装束に身を包んだそのふたりは敢沢・歩隲の長湖部苦学生コンビだった。
「何よあなた達、こんなところでバイトしてたの?」
「えーそうですよ。なにしろ看板娘は受験のため不在ってことで、今年は此処の枠が広かったんですよ」
虞翻の問いに、その上着の裾を引っ張って、その姿を主張するように応える歩隲。
「でも珍しいですね。仲翔さんと子瑜さんって組み合わせ」
「やっぱりそう思う?」
何気ない敢沢の一言に、悪戯っぽい笑顔の諸葛瑾。
不意に肩を抱き寄せられ、虞翻は思わず諸葛瑾の顔を見やる。
「でも、いいじゃない? 私たちは"同期の桜"なんですから」
満面の笑顔の諸葛瑾。
敢沢や歩隲のみでなく、虞翻までも呆気にとられてしまったが…。
「確かに、今の長湖部幹部では古株になっちゃったわね、お互いに」
「そうね」
お互いにそういって笑いあった。
舞い降りる雪が、会場に並ぶ松明の灯に照らされ、まるで冬の夜空に舞う桜のように、ふたりには思えた。


「…なんか悪いものでも喰ったのかな?」
「まぁいいじゃねぇか。なんにせよ、仲良きことは美しき…だろ?」
歩隲の物言いに苦笑する敢沢。
「え〜っと、ひたってるトコなんですけど…先輩方、良かったら本殿のほう来ません? 一応暖かいものとかありますよ」
敢沢の呼びかけにわれに返った虞翻。
「え? …大丈夫なの?」
「ええ。先輩達の話したら、神主さんが連れてきたらどうだって」
「だから抜け出てこれたんですけどね」
その言葉に、虞翻と諸葛瑾は顔を見合わせる。
「…行ってみる?」
「そうね、折角だからお邪魔しましょうか」
頷き、後輩ふたりに伴われ…やがて、その姿は本殿の中に消えていった。

158 名前:海月 亮:2006/01/19(木) 00:53
一番槍は逃したか(;;゚Д゚)…まあいい、行くぞ!


…ってなワケで海月です。
言いだしっぺが開催日に間に合わなくてごめんなさい_| ̄|○
そして祭開催の音頭もとらないで、空気読めないひとでごめんなさい…_| ̄|
            ...○


というわけで平成十八年度、旭日祭を執り行います(゚∀゚)
そして雑号将軍様、一番槍乙です^^
そしてのっけから萌えさせてもらったぜコンチクショウw

皇甫嵩、朱儁、廬植、丁原の四人衆に、張角との出会い編ですな。
つかのっけから鮮烈なデビューを飾ったもんですな。
いやぁ本当皇甫嵩カコイイ…(;´Д`)
そして密かに登場しているお米党のヒトとか…(;´Д`)

毎度のコトながら、このあたりのツボをしっかり押していただけて、読むほうは大満足ですわい(´ー`)GJ!


それでは、あっしももうひとつ何かを…去年は二発目まで逝けなかったから今年こそは…(;;゚Д゚)ノシ

159 名前:海月 亮:2006/01/19(木) 00:58
あ…いきなり自分ので誤植発見しちまった…

一箇所だけ「を」が余計に入っているところがあります。
抜かして読めばちゃんと意味通じますのであしからず…_| ̄|○

160 名前:北畠蒼陽:2006/01/19(木) 20:57
「くくっ……」
少女は1人、笑っていた。
少女の胸から階級章はすでに失われ、それでも少女は恨みの視線にさらされていた。


その狂おしいほど透き通った空


「お前らぁ、なにか言いたいことでもあるんか……?」
董卓。
学園史に魔王として長く君臨するその少女は、昔のようにゴスロリファッションに身を包むこともなく、またそれにふさわしい言葉遣いもかなぐり捨て、狂犬のように周囲を恫喝した。
周囲の人間ははっと目を伏せ、そくささと歩みを速める。董卓はふん、と鼻を鳴らした。

かつて董卓ほど天の時、地の利、人の和に加え最悪なほど『運』に恵まれた少女はいなかった。
いつからその歯車は狂ったのだろう、董卓が呂布にトばされたのは誰が書いたシナリオだったのだろう。
魔王は栄華を極め、そして一瞬で凋落した。

董卓は惨めな思いを怒気にかえ、憤怒の表情で校舎内を歩き回る。
そして、その足がやがて、止まる。
豫州校区。
なぜこんなところまで歩いてきてしまったのだろう……
自問自答し、そしてすぐに答えが見つかったことに董卓は驚いた。
董卓には姉がいる。
決して出来がいいとはいえない姉だが、本当に優しいひとだった。
自分に対し、コネを作ってくれるというたったそれだけのためにこの豫州校区まできて一生懸命働いていた。
自分が栄華を極めることができたのは姉の努力、という面もあったことは間違いない。
そう……
姉の思いを……
私は裏切ってしまった……
いっそう惨めな気分になり、董卓はきびすを返そうとする。

だがその声が董卓の足を止めさせた。

「あぁ、本当に文若ちゃんが言ったとおり仲穎ちゃんがここにくるなんて、ね」

聞き覚えのある声。
一番聞きたかった声。
一番今の惨めな自分を見て欲しくなかった声。
董卓は恐る恐る振り返る。
やせっぽちで、でも董家の血筋なのだろう背だけはやたらと高い……姉、董君雅。

「あ、お、お姉ちゃ……」
口をぱくぱくさせてここにいないはずの姉を凝視する董卓。
「友達、がね。仲穎ちゃんだったらきっとここにくるだろう、って教えてくれてね」
にっこりと笑う姉。
董卓はその笑顔に涙腺が決壊するのを感じた。
「うあああああああああああ! ごめんなさいお姉ちゃん! 私は董家を汚しちゃった! もう! もう私は……!」
泣き崩れる董卓に董君雅はゆっくりと歩み、そして上からふわりと抱きしめた。
「よくがんばったね、仲穎ちゃん……あなたはうちの誇りよ。世界中があなたの敵になってもお姉ちゃんだけはあなたの味方でいてあげる」
姉の優しさが董卓に染み渡る。
董卓の中から憑き物が抜け落ちるような感覚があった。

魔王は魔王ではなくなった。

161 名前:北畠蒼陽:2006/01/19(木) 21:05
わざわざ! わざわざこの記念日に萌えではないモノを投稿して悦にいってる北畠です!
いや、董卓萌え? うん、微妙に萌え。

というわけで何気にワタクシも初旭記念日デス。
いつもの2人、というかいつもの蒼天会を離れたものを書いてみたわけですがもうね? ごめんなさいね?

>雑号将軍様
多分近いうちに私もその世代の話を書くと思います。でもその4人は脇役だよ! 人が書かないキャラクターを使うのダ!
というか人と同じキャラつかってたら勝てないからね!

>海月 亮様
諸葛瑾タン萌え。
正統派の萌え話書けない体質なので羨ましい限りなのですよ。
長湖部は前に1回だけ書いた記憶があるなぁ……
でもアレは萌えない。断じて萌えない。

162 名前:冷霊:2006/01/19(木) 22:54
■雪降る戦場にて・1

ラク城棟裏庭。
ここで今まさに、戦いの火蓋が切って落とされようとしていた。

話は1時間前に遡る。
東州の部室に劉璋から一つの荷物が届いた。
中身は蜜柑、しかも温州産の上物である。
たくさんもらったのでどうやらお裾分けということだったのだが……問題が一つ生じた。
六人で分ければ一人数個しか食べられない。
そこで楊懐が提案したのが雪合戦である。
東州では問題が発生したとき、何らかの形で決闘により解決する。
今回の場合は雪が降っていることもあり、雪合戦となったようである。
今回の場合、勝者は蜜柑を独り占め、他の者はお零れを期待するのみ。
一見つまらない勝負のように思えるが、炬燵に蜜柑が付くかどうかは大きな問題である。
それは即ちケーキにイチゴが乗っているか否か……いや、苺大福の苺の有無を問うことにも匹敵するだろう。

失敬。
さてさて、話は戻る。

「で、バンダナを奪われたり、雪を当てられたりしたらアウトだっけ?」
高沛が腕に的であるバンダナを巻く。
何でも発信機を埋め込んでおり、雪の衝突を感知してくれるらしい。
しかも水分を含むと赤く染まる為、当たったかどうかは見た目でもわかるそうだ。
「そうだ。当たった後は権利も無くなるから大人しくすること。いいか?」
「やられる前にやれってことか……」
不敵な笑みを浮かべる冷苞。
「残念だったな、冷苞。最後まで参加出来そうになくてよ」
トウ賢がクスリと笑う。
「そりゃ、どういう意味だよ?」
「別にー。そのまんまの意味だけどー?」
両者の間で早くも火花が散る。
「それよりこのバンダナ、いくらかけたの?」
扶禁はじろりと楊懐を見遣る。
だが、楊懐はさらりとその視線を流し、携帯を手に取る。
どうやら誰かに連絡するつもりらしい。
「もしもし、杜微?」
「あ、楊懐?この前の請求書のことだけど……」
「杜微ー、いつものチェックよろしくねー」
「は?ちょっと待って。まだ書る……」
プツ。
途中で高沛が問答無用で切った気がするのは気のせいだろうか。
杜微も良い迷惑であろう。
今頃、頭を抱えるなり、胃薬を飲むなりしているのだろうか。
「そろそろベルが鳴るわね。じゃ、あたしは一足先にっと。」
扶禁が裏庭の方へと歩いて行く。
「あ、扶禁ちゃん待って〜」
向存が慌てて扶禁を追いかける。
「向存、ちゃんとルール理解してんの?」
「さあ?」
高沛と楊懐は二人を見送る。
「せんぱーい、覚悟しといて下さいよー?」
トウ賢がバンダナを額に結び、ニヤリと笑う。
「トウ賢、てめぇこそ覚悟しとけよ?」
冷苞はバンダナを二の腕に巻き終え、トウ賢を睨み付ける。
「へいへい、お前が来んのを楽しみにしといてやるよー」
トウ賢は手をひらひらと振りながら校舎の方へと歩いて行く。
「では、私もそろそろ準備をするか。」
楊懐は何故か校舎の中へと入っていく。
何やら用意するつもりらしい。
「楊懐ー、楽しみにしてるからねー」
高沛は何をするつもりか大体の予想が付いているらしい。
「じゃ先輩、オレも失礼します。」
冷苞も軽く頭を下げ、走っていく。
「行ってらっしゃーい」
後姿に手を振る。
高沛はひょいと雪を掴み、ぎゅっぎゅっと固めていく。
「さーて、一丁やるとしますか!」
高沛が駆け出す。
それと同時に開始のベルが鳴った。

163 名前:冷霊:2006/01/19(木) 22:55
■雪降る戦場にて・2

「何で付いてきてんのよっ!」
「だって〜、一人じゃ心細いしぃ〜……」
「それじゃゲームになんないでしょ?っつーか離れなさいっ!」
ラク城棟裏庭。茂みに隠れている扶禁と、その後ろにぴったりとくっついている向存がいた。
「あーもうっ!邪魔だって言ってんでしょっ!」
「ねえ、二人で協力しようよ〜?扶禁ちゃんと一緒なら心強いし〜」
「ええいっ!さっさと離れなさいっ!」
扶禁は向存を振り切ろうとするが、上着を掴んでいる向存は扶禁にぐるぐると付いて回っている。
中々出来る芸当ではない。
「それなら……」
扶禁が向存の髪に手を伸ばす。
向存がバンダナを髪留め代わりにつけていたのは覚えている。
それを奪いさえすれば……グッと手を伸ばす。
「見つけたっ!」
高めの声と共に雪玉が飛んでくる。
「危ないっ!」
扶禁が咄嗟に向存を自分の方へ引っ張った。
耳を掠め、雪玉がボスッと地面にぶつかる。
「外しちゃったかー……ちぇ」
高沛が残念そうに言った。
「向存、早く退きなさいっ!邪魔っ!」
「あう〜、ちょっと待ってよ〜」
もたもたと立ち上がる向存。雪玉が飛来し、容赦無く足元を掠める。
扶禁もその下から這い出し、咄嗟に木陰に隠れた。
「扶禁に向存でしょ?いるのはわかってるわよー?」
ふっふっふと怪しげな笑い声が響く。
「は〜……むぐっ!」
(馬鹿ッ!馬鹿正直に返事する馬鹿が何処にいんのよっ!)
扶禁が急いで向存の口を塞ぐ。
が、遅かった。
「そこねっ!」
高沛が校舎を背に左から回り込む。手には二つの雪玉。
「向存ッ、左から来たわよっ!」
「は〜……あうっ」
立ち上がろうとした瞬間、不意に向存がバランスを崩した。
扶禁もろとも、もつれ合う様にして倒れ込む。
「向存?もしかして足……」
「えへへ……ごめんね〜……」
どうやら足首を捻ったらしい。
既に高沛の姿は見えている。
向こうも当然、こちらの位置を把握している。
もはや逃げるのは無理だろう。
正面から戦っても、間違いなく向存がやられる。
道は無い。
そう思った扶禁が取った行動は自分でも意外だった。

「向存覚悟っ!」
高沛が向存の無防備な背中目掛け、雪玉を投げる。
顔は笑っているが、玉を見る限り手心は加えていない。
ギリと奥歯を噛み締める。
次の瞬間、扶禁は向存を自分の方へと思いっ切り引っ張った。
そして、自分の身体を向存のいた位置へと差し入れる。
身体にズンと重い衝撃。呼吸が一瞬止まる感覚。
「扶禁ちゃん、大丈夫?」
向存が顔を覗き込んだ。
「いいから起きなさいっ!」
向存の背中を押し、立ち上がらせる。
立ち上がった向存が扶禁に手を伸ばした。
だが、扶禁は乱雑に手を振り払った。
「あたしに構うんじゃないっ!走れっ!」
ギリッと睨み付ける。
向存は少しだけ躊躇い、そして片足を引き摺り駆け出した。
「向存を逃がす余裕はあるみたいね」
「あの馬鹿のせいで逃げ遅れただけです」
高沛と扶禁が対峙する。
それぞれの手に握られているのはたった一つの雪玉。
「一撃で決めるわよー……おーけい?」
高沛がニッと笑う。
「そう簡単に行くと思わないほうがいいですよ?」
扶禁が口の端を僅かに緩める。
雪はまだ降り続けていた。

164 名前:冷霊:2006/01/19(木) 22:55
■雪降る戦場にて・3

南側校舎
ガッシャーンッ!
景気良く硝子の破片が降り注ぐ。
「おいおい、よーく狙えっつーの」
トウ賢がひょいと壊れた窓から顔を出した。
「野郎っ……ちょこまかとっ!」
冷苞が次々と雪玉を叩き込む。
強く押し固められ、猛スピードで飛んでくる雪玉は立派な凶器である。
頭にでも直撃すれば下手すれば病院送りであろう。
トウ賢は目立つように額にバンダナを巻いている。
それは挑発から来るものか、それとも覚悟の上か。
だが、雪玉はトウ賢に当たることなく、校舎の中へと消えていく。
何かが割れる音や砕ける音がするが今は聞こえないことにしておく。
「ホラホラ、そんなんじゃ当たんねーぞ?」
「ちっ……クソッ!」
状況は硬直状態であった。
冷苞の方が優勢に見えるものの、トウ賢はあまり力を入れて攻めて来ていない。
何か策があるのかもしれない。
「どっちにしろ、今の調子だとこっちがバテちまう……」
木陰で雪玉を作りつつ呟く。
「何かあるはずだ……何か……」
冷苞が辺りを見回す。
壊れた窓、崩れたかまくら、誰かの作った雪だるま。
どれもピンと来ない。
ふと視線を上へとやる。
「……やるだけやってみっか……」
冷苞がそろりそろりと移動し始める。

「……妙だな」
トウ賢が窓からそろりと冷苞の様子を伺う。
先程まで積極的に攻撃していたのに、あたりに姿はない。
「もうちょっと頑張ってもらわねーと困るんだよなー……」
軽く頭を掻く。
予定ではあと十分くらいは頑張ってもらわないと困る。
高沛は扶禁や向存を狙うからいいとして、問題なのは楊懐である。
どんな方法で攻めてくるか予想がし難い。
「冷苞ー、もしかして先輩たちにやられたかー?」
外へ声をかける。だが、返事はない。
「……向こうも待ちか?こうなるとメンドクセーんだよなー……」
呟きながらも耳を凝らす。
僅かな音も聞き逃すことの無い様、意識を集中させる。
カツン。
靴音である。
それは廊下の奥から聞こえてきた。
(裏をかかれた?)
頭にそんな疑問が浮かぶ。
だが、そんな疑問を気にする必要はなかった。
むに、何かを踏んだ感触。
「ん?」
思わず足元を見る。
そこにはロープが張ってあった。
ロープは頭上へと続いており、そこには木がある。
ミシリと枝が悲鳴を上げる。
枝は積もった雪の重量に耐え切れず、折れた。
「うわわっ!」
トウ賢は咄嗟に飛び退く。
そのとき、一つの雪玉がトウ賢へ飛んできた。
(まだ間に合う!)
ギリギリの所で拳で叩き落した。
「な……二つ目!?」
だが、飛んできたのは一球だけではない。同じ軌道で二球、投げていたのだ。
避けようと身体を後ろに反らす。だが、完全には避けられない。
鈍い衝撃の後、じんわりと額のバンダナが赤く染まっていく。
「へっ、オレの勝ちみてぇだな?」
「くーっ、こんな単純な手にやられるなんてよー……」
トウ賢が悔しそうに叩き落した雪玉を握り潰す。
「じゃ、これでオレの28勝目っと。一歩リードだぜ?
ニヤリと笑う冷苞。
「フン、いつものように追いついてやっから安心すんなよ?」
トウ賢が雪を払い立ち上がる。
「こうなったら先輩たちにも勝てよ。じゃねーと許さねーからな?」
「任せろって。お前には出来ねぇコト、見せてやんよ」
冷苞がニッと笑う。
そのときだった。
ひゅ〜……ぽす。
「……」
「……」
僅かな衝撃。
冷苞が二の腕に巻いていたバンダナが赤く染まっていく。
「……は?」
「アウト……?」
二人にも何が何やらわからなかった。
ただ確かなのは、これで冷苞もアウトだということである。
「誰か近くにいんのか?」
「大体の予想は付くけどなー……」
納得いかない様子でアウトとなった二人は部室へと戻って行く。
戻って行く二人の後ろで、雪だるまだけがニコニコと笑っていた。

165 名前:冷霊:2006/01/19(木) 22:56
■雪降る戦場にて・4

「あれ?扶禁先輩もアウトですかー?」
部室に入ってくるなり、トウ賢が扶禁の姿を見つけた。
扶禁は炬燵に入り、劉循と一緒にレーダーの様子を眺めている。
「冷苞とトウ賢揃ってアウト?もしかして相討ちだったの?」
「いや、オレが勝つには勝ったんですけど……ってか、循も来たのか?」
「うん、お姉ちゃんが来れないから代わりに見てきてって」
「タマさん、相変わらずこういうことだけは見逃さねーよなー」
トウ賢が煎餅を手に取り、パリッと一齧りする。
「ってコトは張任さんも来てんの?」
「ううん、張任お姉様はバイトがあるから無理だって……」
しゅんと俯いてしまう劉循。
「だったら後で手伝いに行かねぇか?どうせ暇なんだしさ」
「え、ホント?」
ぱぁっと表情が明るくする劉循。姉に劣らず、非常にわかり易い性格である。
「お、冷苞にしちゃあいいこと言うじゃねーか」
トウ賢が茶化すようにクスリと笑う。
「『冷苞にしては』は余計だ。で、誰が残ってる?」
冷苞がレーダーを覗き込む。
「楊懐さんに高沛さん、それに向存の三人ね」
「へぇ、向存さんが?何か意外だな」
冷苞が煎餅を取り、齧った。
「あれ?そういや杜微先輩はどーしたんです?」
周囲を見回したトウ賢がふと尋ねる。
確か杜微は審判もといチェック役として頼んでいたはずだが……
「ああ、杜微さんならあたしが来るなり、後宜しくって帰ったわよ」
「あれ?杜微さんって体調、あんまり芳しくねぇんじゃ……?」
冷苞が首を傾げる。
「書類整理くらいならってことで手伝ってるみたいよ。後、ついでにこれも宜しくだって」
どさっと炬燵の上に置かれる紙の束。
もう既に見慣れたものである。
「あー……もしかして始末書ですか?」
トウ賢がさり気無く目をそらす。
扶禁が是の意を込めて頷く。
「冷苞にトウ賢……また壊したの?」
劉循が溜息混じりに首を傾げる。
「あー……オレ、劉循との約束が……」
そろりそろりと冷苞が出口へと向かう。
だが、その後ろからぎゅっと扶禁が捕まえる。
「逃がさないからね?あたしも手伝ったげるから、今日中に片付けるわよ?」
冷苞の左腕を掴み、炬燵へずるずると引き摺っていく。
「良ければ私も手伝うから早く行こう、ね?」
いつの間にか劉循が右腕を掴んでいる。
もはや逃げることは出来ない。
トウ賢も既に脱出は諦めているようだ。
「い、嫌だーっ!!」
冷苞の叫びが校舎に木霊した。

166 名前:冷霊:2006/01/19(木) 22:58
■雪降る戦場にて・5

ぎゅ、ぎゅ、ぎゅ。
校舎の南側へと足音が近付いてくる。
「うっわー。こりゃまた盛大に壊したねぇ……」
やってきたのは高沛。
「多分トウ賢と冷苞の仕業ね。ってことは、まだ近くにいるのかな?」
周囲を警戒しつつ、じりじりと進んでいく。
誰かが見ている気がする。
だが、はっきりとはわからない。
「んー、校舎の中にもいないみたいだね」
ひょいと覗き込み、廊下を見渡す。
見た所、中へと続く足跡はない。
そのとき、背後に何かの気配を感じた。
「はっ!」
振り向き様、その気配を一蹴する。
高沛に迫っていた雪玉はあっさりと砕けた。
「やっぱ誰かいるなー……隠れてるってことはトウ賢の方が勝ったかなー……?」
雪玉の飛んできた方を確認する。
そこには大きな木。
そして、木の下に放置されている雪だるま。
高沛はふと、その雪だるまに目が留まった。
「……楊懐?」
ピク。
雪だるまが動いたような気がする。
そう言えば刺さっている腕代わりの木の枝には何処かで見たバンダナも……
足元の雪を掴み、おもむろに雪玉を作る。
「せーの……」
ピッチャー高沛、振りかぶりまして第一球……そんなナレーションの入りそうな雰囲気。
その刹那、雪だるまから足が生えた。
「でやぁっ!」
高沛の腕が振り下ろされる。
その手から雪玉が放たれた。
「はぁっ!」
雪だるまが避けようと横っ飛びに逃げる。
だが、玉は僅かに弧を描き、雪だるまもとい楊懐を捕らえる。
雪玉は容易に雪だるまの腕を砕き、木に激突した。
……しぃぃん……どさっ!
「うわっ!」
「うっ……」
木に積もっていた雪が一斉に落ちてくる。
綺麗に雪の中に埋もれる高沛とと楊懐(雪だるま)。
「やはり高沛には見抜かれたか……」
少しばかり悔しそうな顔を見せる楊懐。
「へへへ、まだまだ演技力が足りないよ?」
高沛は見抜けたことが嬉しいのか、非常に御機嫌だ。
「おめでとう、高沛。君の勝利だ」
楊懐が雪だるまの右腕を差し出す。
「楊懐こそ御苦労様。三人もアウトにするなんて流石ね」
高沛もがっちりと握手し返す。
「三人?」
楊懐が首を傾げた。
「あれ?三人倒したんじゃないの?」
高沛が首を傾げたそのとき。
ぼすっ。
……手首に巻いていたバンダナに雪玉が命中した。
「やった〜!ちゃんと当たりました〜!」
声は屋上からであった。
ぴょんぴょんと跳ね、そして足の痛みでこける向存。
そう、範囲はあくまでラク城棟周辺、当然ながら棟内も良いのだ。
「これは一本取られましたね」
「あはははは……忘れてたや」
苦笑いを浮かべる楊懐。
そして、笑うしかない高沛。
まだ、雪は降り止む様子はなかった。

後日談
件の蜜柑は杜微や劉循を加え、八人で分けることとなった。
が、蜜柑を食べ終わるなり冷苞とトウ賢は劉循をつれて逃走。
高沛と楊懐の追跡を振り切り、成都方面へと逃走。
結局、始末書は扶禁が徹夜で仕上げる羽目になったらしい。
合掌。



167 名前:冷霊:2006/01/19(木) 23:13
冷霊です。
いきなり萌えより程遠いものを投下してしまった気が……(汗)
しかも、長文となってしまいました。
もう少し短くまとめるよう、努力せねばです(汗)

ちなみに学年に関して少し補足しておきますと、
高沛&楊懐&杜微:劉璋と同学年
扶禁&向存:劉璋の一つ下
冷苞&トウ賢:劉璋の二つ下。劉循と同学年?
のつもりで書いてみました。

>雑号将軍様
皇甫嵩、カッコいいですー。
そしてツノを掴まれてる朱儁に萌えw
お米党の方の密かな登場にもクスリと笑わせて頂きました。

>海月様
開催宣言、乙です。
何だか虞翻と諸葛瑾の別の一面を楽しませて頂きました。
しかし、妹達は冗談とわかっていたのか、それとも本気で受け取ったのかが気になります。
個人的には後者を(以下略

>北畠様
董卓に萌えてしまいました。
董卓も姉の前ではやはり魔王である前に妹なんですよね……としみじみ思ってみたり。

168 名前:海月 亮:2006/01/19(木) 23:42
>北畠様
…先生…狼を指して「羊」と呼んでも、誰も信じやしません…。
そしてアレが「萌えじゃない」といわれて、信じられるはずもあろうハズが…

ええぃ、まさか此処に来て、よもや董卓に萌えることになろうたぁ思わなかったっつの!(;´Д`)ハァハァ
この間の董君雅の話は此処に繋がってくるんですな。GJであります!


>冷霊様
おお、早速東州軍団登場でありますな!(゚∀゚)
確かにあの連中が雪合戦やったら、まぁただで済むはずもないでしょうなw
…つか扶禁タソ哀れ(ノД`)

そして楊懐がいたことを何時の間にか忘れ、文脈から雪だるまには劉璋が入っていたと思ってしまった私は負け組でしょうか…?_| ̄|○


あと、混乱する妹達。
海月の中では、虞姉妹の中で冗談を理解できるのは虞レだけだと思ってます^^A
あと、結局みんな、お姉ちゃん大好きなんですよ。と言うわけで本気説に一票(何?

169 名前:北畠蒼陽:2006/01/19(木) 23:45
>冷霊様
学三にSS初投稿おつ!
実にいい作品だと思います!
というかこんなシチュエーション好き!

王昶世代もこんなふうに書いていきたいなぁ……

170 名前:★教授:2006/01/20(金) 00:18
◆◆ A CONVERSION! 〜転換〜 ◆◆


■■ TROUBLE ■■

「で…どうすんのよ、この状況」
「知らないよ。こんな漫画みたいなシチュエーション、私にどうしろって言うのさ」
 成都棟内、階段踊り場付近でへたり込む女子生徒二名。
 一人は赤いボサボサ髪の眠たそうな少女、もう一人は薄紫の艶やかな髪をした目線厳しい少女。言わずもがな、簡雍と法正だ。
 二人は埃まみれの上に手足に擦り傷や痣を作っている。よくよく見てみると法正はそれほど傷を負ってはいなかった。それを痛がるような素振りを見せてはいないが、端から見るとやはり二人とも痛そうな状態だ。場所と状況を見れば二人が階段から仲良く池田屋ヨロシク転げ落ちたものだと推測する事に容易だろう。
「正直…困ったわ。憲和、何とかしなさいよ」
 大きい溜息を一つ、簡雍がじろっと法正を一瞥して言う。
「冗談。何とか出来るような狡い知恵を孝直が搾り出して欲しいもんね。そーゆーの得意でしょ」
 肩を竦めて法正が言葉を返した。
「狡いはともかく、私の範疇なら幾らでも考えるわよ」
「ま、こんなワケ分かんない状況は…医者にもどうにもならないんじゃない」
 法正は立ち上がるとスカートの埃を大雑把に払う。それに続いて簡雍も立ち上がって着衣の乱れを整える。
「とにかく、ここは離れて会議室行こうよ。あそこなら一人くらいは分かると思うんだ」
 法正は服を少し着崩して簡雍に提案する。着崩している法正を見て、簡雍が慌ててその着衣を戻そうとする。
「私のイメージダウンになるような事しないでよっ」
「あー…はいはい」
 法正は思い出したように声を出して着衣を整える。安心したような表情の簡雍…二人とも様子がかなりおかしい。
「ともかく、それでいいと思うわ。問題はこの状態を信用してもらえるかってトコだけど」
「信用してもらわなきゃなんないよ。このままってワケにはいかないんだし」
 二人は喧々諤々と廊下を歩いていった。


■■ PANIC ■■


「はー…で、そっちが孝直で…こっちが憲和って事なわけやな」
 劉備が簡雍と法正を交互に珍しそうな目で見る。
「流石の憲和ちゃんも困ってるんだ。何とかなんないかな」
「いや、アンタは孝直やろ」
「だーかーらー…私が憲和なんだって」
「あ、そやったな」
 劉備と法正が漫才じみたやり取りを横で見ている簡雍。疲れたような困っているような複雑そうな顔をしている、が堪り兼ねた様で口を挟んだ。
「総代…私、真剣に困ってるんですけど」
 悲痛な思いが混ざった声に、さしもの劉備も咳払いを一つして漫才を止める。
「すまんすまん。でもな…この時間でここにおんのはウチと孔明くらいやで。孔明のトコには行ったんかいな?」
「一番行きたくないトコですが?」
「愚問やったな」
 劉備、簡雍、法正の3人ともが一人の狂科学者の顔を思い浮かべる。何を置いても研究と萌えだけは手放さない、地球が滅びても一人生き延びそうな少女の顔を。
「まあ居場所は分かるから…最後の手段として」
 法正はどかっとソファーに座ると、手近にあった本を開いた。
「ああ、エリア51な…」
 劉備はノートパソコンを開いて信用できる口の堅そうなキレ者をピックアップしながらつぶやく。簡雍は劉備の横でサポートしながら頷いた。

 エリア51。
 それは諸葛亮孔明が自分の研究を誰にも邪魔されたくない為に、築き上げた専用研究室の事である。
 その怪しい研究室は成都棟の旧校舎の中に設けられており、ただでさえ古い校舎というだけで不気味なのに危険な音を流して更に不気味さを演出していた。その為、一般生徒は怯えて近づかないのだ。当然、苦情も劉備の元に何十何百と寄せられてきた。こうなっては総代として動かざるを得ない劉備も張飛や馬超、趙雲といった歴戦の兵を率いて孔明に注意をしに行った。音には物怖じすらしないタイガーファイブに襲い掛かる侵入者排除システム。しかし、アスレチック感覚でそれを返り討ちにされていく。そして先導しているのが劉備では孔明も流石に最終防衛システムのスイッチを押すわけにもいかずお手上げ状態。結局、白旗を挙げた孔明と劉備のタイマン談義によって音は鳴らさない、侵入した一般生徒に危害を加えないという条件で研究室存続を許されたのである。
 しかし、危険な音や侵入者排除システムは解除されたものの、今までの事もありやはり誰も近づこうとはしなかった。
 そして一般人の近づけない絶対領域、成都の秘密研究施設と呼ばれ…現在の呼び名であるエリア51として呼ばれるようになったのだ──

 劉備はあかんと一言言うと、ノートパソコンを閉じる。
「みんなそこはかとなく口が軽そうや。こういう事情なら尚更やなぁ」
「やっぱ、あそこ行くしかないのか? つーか、あそこしかない」
 法正は髪をくるくると指先で弄びながら早くも最終手段を口にした。簡雍もまた同意したように強く頷く。
「今日中に何とかしないと。個人情報が危険に晒されてるもの」
 早速とばかりに部屋を出ようとする簡雍。しかし、後ろからキツイ一言が襲い掛かった。
「ホント…貧しい胸だこと」
 振り返った簡雍にぺたぺたと自分の胸を触りながら哀れみに近い溜息を吐く法正の姿が映る。
「う、うるさーい! 何さ、でかくたっていい事ない…な…の?」
 逆上して同じ事をする簡雍。しかし、そこには未だかつて体験した事のない夢幻世界が広がっていた。気にして初めて分かった事…なるほど、自慢したい気持ちは分かる。むしろ、このままでもいいかも…なんて気持ちになってしまった。
「これはこれで…」
 悦に浸り気味の簡雍から本音がポロリと出た。
「よくねー!」
 それにツッコミを入れる法正。
 そしてそれを新鮮そうな眼差しで見つめる劉備がいた──


■■ MAD and GENIUS ■■


「ほう。経緯は理解できましたが…何とも萌え要素とお約束を混同…あ、冷めた目で見られるのは辛いのでやめてほしい」
 白羽扇を手に本音感想を述べる諸葛亮に劉備、簡雍、法正の冷たい目線が浴びせられた。
「で、どないなんや? 何とかなるんか?」
「ははは。私に出来ない事は何一つないのです! この素敵現象を終わらせてしまうのはいささか残念ではありますが……これこれ、輪ゴムを撃たない」
 簡雍が太い輪ゴムを何発か撃ち込んで諸葛亮を黙らせた。彼女には素敵要素満載なのかもしれないが、簡雍にしてみればこの上なく嫌らしい。
 諸葛亮はこほんと咳払いをすると、こちらへどうぞと部屋の奥に案内をし始めた。三人は互いに見合ったが、詮索すると却って長引くと判断して後に続く。その途中、どこかで見た事がある猫型ロボットや自動歩行する城の模型が目に留まったが、敢えて無視する。そして、目的の場所に到着。
「こんな事もあろうかと、秘密裏に製作しておったのです」
「うっわー…お約束もいいとこだねぇ」
 目の前に広がるその光景。椅子が二つと頭にかぶせるのだろう、色んな突起物とパイプが伸びているヘルメット。そして、その後ろにはこれまた何処かで見た事のある機械が鎮座していた。更にその横には『秘密結社○ョッカー』と書かれた手術台があったが、諸葛亮を除く三人が協議した結果、見なかった事になった。
「つまりは…私達二人があのヘルメットをかぶって椅子に座ればいいという事なのね」
「論理的な説明をしたかったのですが、平たく言えばそういう事ですな。後は、こちらで操作しますので」
 ささ、ご両人と簡雍&法正を椅子に座らせる諸葛亮。渋い顔で椅子に座ると法正と簡雍はヘルメットをかぶった。ここに来て劉備が『ウチ、必要ないんとちゃうんかいな』と思った。
「では、お二方。覚悟完了でよろしいか?」
 諸葛亮はリモコンを手に簡雍と法正に向き直る。
「覚悟完了ー…って! ち、ちょっと! それテレビのリモコンじゃん!」
「のーぷろぶれむ」
「棒読み!? ち、ちょっと覚悟不完了!」
「腹を括ってその時を待ちなさい、お二方」
 逃げようとする二人を見て、諸葛亮がリモコンのスイッチを押す。と、椅子からベルトが飛び出し二人を拘束した。
「うわー! やめてー!」
「離してよ! うわっ! 何か生暖かい!」
 法正と簡雍、絶体絶命。それを眺めてニヤリと諸葛亮。
「では、エキセントリックな世界へご招待!」
「「するなーっ! っぎゃー!!!!」」
 馬耳東風の勢いで嫌がる二人を尻目に諸葛亮がリモコンのドクロマークスイッチを押した──


■■ an EPILOGUE ■■


 簡雍と法正は並んで夜道を歩いている。二人とも疲れきった表情で何を話すでもなく帰路を進んでいた。
 今から約2時間前、諸葛亮の機械で幸いにも元通りに戻る事が出来た。その時に彼女の言った言葉『ヒトによる臨床実験初成功』に心底青褪める思いもした。
「まー…無事に戻れたからいいか…」
 普段見せないような疲れ顔で呟く簡雍。
「贅沢も我侭も言わないわ…自分の体が一番よ」
 自分の肩を叩きながら法正も同意した。
 しかし、胸をちらりと見てやっぱり勿体無かったかな…と溜息を吐いた。
 それを見ていたのはお月様だけでした。


■■ RECOLLECTION ■■


「待てーっ! そのカメラこっちに渡しなさーい!」
「やなこった! 折角のスクープ、台無しにしてたまるもんかー!」
 毎日が日課。いつもの鬼ごっこを繰り広げる簡雍と法正。勿論、簡雍が法正のせくしぃショットを盗撮したのが原因なのだが。
 廊下を走り、教室に逃げ込み引っ掻き回し…他人の迷惑を顧みず展開される鬼ごっこも終盤に差し掛かった時だった。
「あ! しま…」
 階段を駆け下りようとした時、簡雍の足が縺れた。簡雍の体が吸い込まれるように階下に消えていく、が──
「憲和!」
 法正の手が素早く伸び、簡雍の手を掴んだ。しかし、詰めが甘かった。勢いの付いた簡雍の体を支えるのに非力な法正の力が足りようはずもない。おまけに両手で掴んだ為、手摺に掴まる事も出来なかった。
「く…」
 目を閉じ、来るべき衝撃に慄く法正。そして最初の衝撃…存外に痛みを感じなかった。その代わり、自分が抱きかかえられている事に気付いた。
「憲和!?」
 更に二度三度と衝撃が続く。痛みをそれほど感じない法正は必死で自分の盾になってる簡雍を振り解こうとするが…現状ではどうする事も出来なかった。そして最後の衝撃が──

「いたっ!」「あいたっ!」

火花が散った。もがく法正と頭へのダメージを防ごうとした簡雍の無我夢中の動作がごっつんこだったのだ──
 

171 名前:弐師:2006/01/20(金) 17:39
風が、心地良い。
やはり、私には北の地が会っている、と思う
易京棟の屋上で空を見るのが、私の日課だった。
「伯珪さま〜!」
誰かと思い、振り返ると、そこには見知った顔があった
「士起か。」
関靖 士起、いつも私のそばをうろちょろしている少女だ。
いつものように、他愛ない会話をして、それで終わり。
・・・の筈だった。
「伯珪さまって、髪は伸ばさないんですか?」
会話の中の何気ない一言、だけど、私の胸の一番ふれられたくない場所に深く突き刺さる。
私は、思わず士起の胸倉につかみかかっていた。
「え・・・伯珪さま・・?」
だけど、彼女のおびえた瞳に耐えられなくて



――――――――私は、そこから、逃げ出した








「はあ・・・」
一人残された屋上で、ため息をつく。
結局、あのあと追いかけることもできず、ずっと屋上にいた。
どうしよう、伯珪さまを怒らせてしまった。
しかも、いつもの怒り方ではない、あんな悲しそうな、寂しそうな目をした伯珪さまは初めてみた。
「どうしたの?士起ちゃん」
「わっ!」
そこに立っていたのは、公孫範さまだった、伯珪さまの従妹で、勃海棟の棟長だったが、界橋の戦い以来、本体に合流していた。
「わっ!てなによ、失礼ね」
「す、済みません!」
そう言いながらも、範さまは笑っていた、彼女は、優しく、面倒見のいい方だった。
「で、どうしたの?ため息なんてついちゃってさ。」
「それが・・・」
あたしは、範さまにあのことを話した、髪の話をしたこと、いきなり伯珪さまが怒ったこと。
「ああ、なるほどね・・・そういえば、あの頃居なかったもんね。」
あたしの話を聞いた範さまの顔も曇る、あたし、そんなまずいことを言ってしまったのだろうか。
「うーん、ちょっと長い話になるんだけどさ、いい?」
「お願いします!」
迷いはなかった、伯珪さまのことなら、何でも知りたかった。
「伯珪姉にはさ、妹が居たの。」

172 名前:弐師:2006/01/20(金) 17:39
生徒会室に戻ってきて、最初に思い出したのは、この髪を切ったときのこと。
――――――――私の、妹のこと。
あの娘、越は可愛い娘だった、姉馬鹿といわれるかもしれんが、本当に可愛い娘だった。
その頃、私は髪を伸ばしていて、あの娘は逆にショートにしていた。
いつもにこにこと人なつっこい笑顔をしていて、周りの人皆から好かれていた娘だった。

ある日のことだ、私は彼女を同盟の使者に出した、袁術の元だ。
元々袁姉妹は気にくわなかったが、だからといっていまの私の力では、手を組まないわけには行かない。
隣り合う袁紹と組めばどうせあとで潰される、だから袁術と組んだ。
それだけのこと。
そう、それだけのことだったのに。




「あの娘、飛ばされちゃったの、袁紹との戦いでさ」
「え・・・」
「あのあとは大変だったわ〜、私が勃海棟長になったのもさ、その時の伯珪姉にびびった袁紹が私に棟長を譲ってきたの。それでさ、私とか厳綱ちゃんとかが必死で冀州に殴り込みに行こうとする伯珪姉を止めたの、私たちが止めなかったら本当に一人で殴り込みに行ってたね、あれは。」



そう、その時だ、私が髪を切ったのは。
復讐への覚悟と、鏡を見るたびあの娘を思い出せるよう。
だけど、その結果が界橋の、あのざまだ。
私は端から見たら馬鹿みたいなのだろう。
だけど、後悔はしていない。
あの娘の為なら、何だってしてやれる。
それが、我が身の滅びになろうとも。
何を犠牲にしようとも。

あの娘の、為なら――――――――



「それ以来ね、伯珪姉が他人に心を開かなくなったのは。まあ、もともと自分にとって大切な人以外には愛想よくなかったけどね。」
「そんな・・・」
やっぱり、あたしは馬鹿だ、そんなことも知らないくせに。
伯珪さまにべたべたして、
傷つけて。
どうしよう、どうしよう、どうしよう。
「ねえ、士起ちゃん・・・伯珪姉のところに行ってあげてくれない?
あの人さ、いつも強がってるくせ、繊細って言うか、弱いところがあるからさ。」
範さまの声で、ふと我に返る。
「え・・・でも・・・あたし・・・」
「いいから!行って来なさい!」
私の声に驚いて、士起ちゃんは戸惑いながら階段へ向かって走り出している。
(ねえ、士起ちゃん。私、ちょっと口惜しくていえなかったけどさ、伯珪姉はね、貴女には心を開きかけてるの、貴女なら、あの人の「大切な人」になれるかもしれない。)
階段へのドアを開けようとしている士起ちゃんを見送る。
期待と、
羨みと、
ちょっとだけの、嫉妬を込めて。
「あーあ、何で私じゃだめなんだろ。」
何で私じゃ、伯珪姉の「大切な人」になれないんだろう。
誰も、多分伯珪姉自身でも答えられないであろう問いを、澄んだ青空に投げかけながら、


――――――――私は、泣いていた。

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