第四章   成都攻略戦(上)

 

 

 建安5年11月。北伐作戦が発動した。

 南蛮王呂布は自らも1万3千という大部隊を率い北上の途につく。

 雲南から益州治府の成都までは、実際の地理では気が遠くなる程の距離があるのだが、ゲームではあくまで隣接都市。2000キロも20キロもおんなじである。

 瞬く間に成都近郊に殺到した呂布軍に、劉璋もあわてて迎撃を出す。

 

陳 宮:索敵の結果、敵戦力は約5万。敵の総大将は劉璋。また参軍に法正がついているということなので、要注意です。

呂 布:はっはっは。そりゃそうだろう、お前よりずっと知力が高いからな。

陳 宮:うるさいな。それよりも策リストにひととおり目ェ通しといてくださいよ。で、作戦は中央突破でかまわんですね。

呂 布:それは別にど~でもいいけど、すぐに敵の援軍が来るんだろう。そちらはどうするんだ?

陳 宮:敵の君主自らが出陣してるんです。他の雑魚にはかまわず、殿はひたすら劉璋隊を追い回してください。

呂 布:ふん、いいだろう。

 

  呂布軍の作戦は「中央突破」。

 すなわち敵の支城のうち、正面に位置する城郭の悉くを抜いてゆくのが勝利条件である。もっとも、今回は最初から「大将狙い」であるため、あまり戦法は関係ないが。

 

呂 布:ようし、全軍、前進~っ!

陳 宮:あっ、こ、こら、ちょっと待て!

 

   陳宮が叫ぶよりはやく、真っ先に突進した孟獲隊がトラップに引っ掛かった。

   山肌からいきなり炎が吹き上がり、孟獲隊の周囲を取り囲む!

 

陳 宮:言わんこっちゃない。敵に相当の参軍がついてるときは、まず罠探し隊を前に出さないと。

呂 布:てゆうかそれ以前に、ど~ゆ~仕組みなんだ?地雷か?

陳 宮:(無視して)火に弱い藤甲を装備して無くてよかった。

 

   初っ端から千単位の犠牲を出した呂布軍だが、あとの隊は罠にかかることなくそれぞれ前へ進む。炎に取り囲まれた孟獲も、やがて脱出を果たし本隊を追い慕う。

 

法 正:援軍はまだか! 早馬を出せ

 

   対する劉璋軍は、北方へ援軍を緊急要請する。これで次のターンには、数万という敵大部隊が到着してしまうのだ。

 

呂 布:むちゃくちゃなルールだな!おい

陳 宮:仕方ないでしょう。でも、敵援軍が出現するのはマップの端の方だから、こちらの戦線に到着するまでまだ間があります。

呂 布:兵糧は大丈夫なのか?

陳 宮:敵は北からやってきますから大丈夫。念のために、高順隊1万を後詰めにしておきましょうか。

 

   やがて劉璋軍の援軍が到着したとの報せ。馬蹄の音や川を渡る船音がガーゴー聞こえてくるが、どの辺にいるかはわからない。

 

呂 布:あ~っはっは!楽しいなあ張遼。

 

  敵援軍の発する騒音を気にもとめず、騎兵のみで構成される呂布隊と張遼隊は、突進を続ける。ヒヤヒヤしながら移動している陳宮たちを尻目に、途中の城郭もすべて無視!

 

孟 獲:あっ、空き城。

木 鹿:兄ぃ、手をだすな。敵が潜んでるぜ。

 

  油断した後続の孟獲が敵支城の守将と交戦状態に入る。木鹿も、やむなく引き返して援護に向った。敵は費詩、王累などの文官ばかりだが、それぞれ数千の兵を率いている。

  …一方、先駆けする騎兵コンビ、逆巻く大河をものともせずに押し渡り、とうとう成都を守る最後の城塞を射程に治める。

 と、その瞬間!

 

呂 布:どわーっ?

張 遼:と、殿!?

 

 呂布隊が不意に隊列を乱し始めた。計略「混乱」を仕掛けられたのだ。

 さらに間髪入れず、伏兵が虚を衝いて襲いかかってくる!奇襲隊の数は少数だが、兵科は鉄騎兵団だった。

 

呂 布:な、なんでこんな山奥の地方に鉄騎がいやがるんだ!?

 

 見れば、ずらりと揃えた数千騎の白馬に白の馬鎧が燦然と輝いている。

 そしてその陣頭に悠々駒を進める白馬の敵将。あぶみも無いこの時代に々と輪乗りしてみせるのは、北方騎馬民族の証だ。

 

公孫楼:……この程度か。

陳 宮:やっぱり~!

呂 布:楼ちゃん、ちょっと待った。あと1ターン……。

公孫楼:問答無用……!

 

 混乱中の呂布本隊に、果敢に突撃してくる公孫楼。あわてて援護にまわる陳宮と張遼の前に、敵将張任と軍師法正の隊が立ちふさがった。

    

張 遼:邪魔だ、どけっ。

 

 猛然、直進する張遼。騎兵7千と歩兵1万では話にならず、張任はわずか1ターンの突撃で後退させられる。結果、法正隊と張任隊に半包囲されるカタチになるが、もともと「無双」をもつ張遼には包囲攻撃は通用しない。

 一方、混乱中の呂布隊、公孫楼ひきいる新・白馬義従に容赦なくつつきまわされ、少しずつ外殻を削り取られていく。

 

公孫楼:…飛将軍というから、どれほどのものかと思っていた。

呂 布:だからあ、もう少し待ってくれたら相手してあげるって。

 

 そんななか、マップ中央の木鹿大王の哨戒範囲に、敵援軍が姿を現したという報せが入る。敵将は呉懿と呉班、孟達。それぞれ河を渡って南下中であるという。

 

陳 宮:う~~~ん?

 

 早くも乱戦の様相を呈する成都攻略戦。はたして南蛮軍に明日はあるのか! 痛快読み切り三国志Ⅶ活劇・「後世中国の曙!?」は、絶好調です!