2009.01.01

41.河北を制圧せよ

The old world will burn in the fires of industry…

 

 南蛮の最深部、永昌郡――

 視界を埋め尽くすは、鬱蒼と生い茂る大密林。

 木々の隙間から辛うじて見える空には常に暗雲が立ちこめ、不気味な遠雷が地を震わせる。

 耳を劈くような鳥獣の叫びがそこら中に響きわたり、湿熱の瘴気が沼河から立ちのぼる。

 

 

 南中誌或いは南蛮西南夷列傳に謂う。

 永昌郡は古の哀牢(山名)國也。 洛陽を去ること六千九百里の極西南に在り、八県六万戸が属す。

 地は沃美にして、光珠、虎魄、翡翠、孔雀、犀、象、蠶桑、綿絹、彩帛、文繍を産す、と。

 また永昌人は皆耳鼻を穿つ。渠帥は自ら王者と謂い,其の耳は肩の下三寸まで至る。庶人も肩まで至ったという――。

 

 まさに南蛮王国の最深部に相応しい異観。

 その密林の遙か奥に、「その地」はあった。

 

 …遙々長安から召還され、公孫楼以下、幾人かの将帥とともに兵団輸送の任にあたっていた刀姫は、眼前に広がる光景に思わず息を呑んだ。

 

呂刀姫…これは…!?

公孫楼:――以前よりも大きくなっている…。

 

 長江の源流の一つである怒江を軽舟で遡ること数日めの深夜――

 天から覆い被さるように繁殖していた大密林が突然視界から消滅し、かわりに見渡す限りの大峡谷が姿を現す。

 数十里四方の森という森が伐り払われ、剥き出しの岩肌や峡谷の断崖に、びっしりと櫓が張り巡らされ、立哨の楼が林立し、幾万もの篝火が夜空をも不気味に照らすさまは、まさに要塞である。

 遠目には、蟻が群がっているかのように、数万もの蛮兵たちがうごめいているのが見える。

 

呂刀姫な…何ですか、これは…!?  

公孫楼:ジャングル奥地の秘密基地は男のロマン――とか何とか。

劉 璋:おお。わかるわかる。

 

 夜が昼に為ったような煌々たる篝火の下、数千とも数万と思われる裸形異相の蛮人たちが、わき目もふらず労働している。

 数百本の鎚を打つ音が轟々こだまするなか、赤熱した鉄が水につけられて灼沸し、水蒸気が激しく噴き上がっている。

 水車を利用した牽引機が、軋みをあげて溶鉱炉を引き上げ、また新たな溶鉄を鋳線へ流し込む。

 蛮兵たちが怒声をあげながら、持ち場へ戻って鎚を振るい直す。

 

公孫楼:…ますますアイゼンガルドじみてきた。

劉 循:あー言われてみればっていうか…これって秘密基地と言うよりは…

公孫楼悪の秘密要塞…

呂刀姫……。

 

 

第41話 河北を制圧せよ

 

 

 建安16年、8月。

 所は、再び中原――。

 許の宮闕の内、三公の府にほど近い殿のひとつに、大司馬・南蛮王呂布の幕府がある。

 政庁へ戻った刀姫たちは、鬱陶しそうに直轄都市の収支報告を聞き流している呂布へ、永昌の次第を質問した。

 呂布は一言「超格好いいだろー」と嬉しそうにコメント。続きは職務が一段落したらしい陳宮が引き受けた。

 

陳 宮:かの地は、南蛮のくせに兵器製作所が建設可能でしたからな。教母以下、「技術」持ち武将総動員して、ひたすら開発させておりました。

 

 南蛮は軒並み人口も低く、商業都市としての発展は望めないのだが、永昌に関して言えば、地下資源として銅、鉄、鉛、錫、黄金、銀を産出し、軍資の捻出も容易だ。

 そのためか、非常に珍しい象兵の編成所、そして貴重な兵器工廠が建設可能という、南中経営では欠かせない技術都市たりえるのだ。

 いまや永昌の都市規模は「巨」にまで達し、南蛮王国の全版図の中でも兵廠稼働率は突出している。

 刀姫をはじめ、南蛮の有力な将帥は、順々に兵団を工廠まで輸送し、かつ同地で攻城兵器の配備作業を行っているのだ。

 兵の輸送は一瞬で済むが、将の移動は数週間を要するというシュールな条件の中、南蛮の前線を固める部隊の多くは、強力な攻城兵器を実戦配備し、練度を益々高めている。

 現在、南蛮王国は合縦連合軍と対峙中であり、兵器開発はあらゆる戦線での最優先事項でもあった。

 

 

 

 

…………

……

 

 

 

 

呂文姫ぱんぱかぱーん!

呂刀姫:…はい、毎度おなじみ呂姉妹の解説です。

呂文姫ぱふぱふぱふー!(^O^)<

呂刀姫          呂文姫

 

 

呂文姫顔グラ変わってるッ( ̄□ ̄;)!?

呂刀姫:まあ、私も二十歳になったし、あんたもハイティーンなんだからね。

呂文姫:…もっとロリ顔のグラあったじゃん。

呂刀姫:あれは継母上用。ちなみに旧私用グラフィックは、崔毓美が受け継ぎました。

 

 

呂刀姫:というわけで、今回からゲームの舞台は、光栄「三国志X」に引っ越しました!

呂文姫:「三国志IXpk」だった回って、たった一回だけじゃん!

呂刀姫:あー。ゲームとしてはシリーズでも確かに最高傑作だったんですけどね、「9pk」。ただ、二度目のHDクラッシュでセーブデータと新武将データが飛んじゃってから、再現する気力を失った、ってのが実際。辛うじて崔毓美は本編で拾えたけど…

呂文姫:状況再現の作業、クリックするだけでも2ヶ月かかったしねえ…。

呂刀姫:あと、リアルタイムで進むゲームのメモ取るのが、やってみて解ったけど、死ぬほど面倒くさい、という事情も。

呂文姫:(´・ω・`)

呂刀姫:で! 気を取り直して!三国志10に移行です!

 

 

呂文姫:さて。今回のⅩなわけですが。…シリーズ集大成の感想は。

呂刀姫:どれだけ脳内補完できるか、によって評価が分かれるわね…

呂文姫:うわ。

呂刀姫:ぶっちゃけていうと、ユーザーが妥協できるか否か。もっとハッキリ言えば、どれだけ目を瞑っていられるか。

呂文姫:うーん…

呂刀姫:実際、「これは!」って面白く感じる点も多いんだよ? ただ、いつもの事ながら、練り込み不足。コンセプトが中途半端。あと、素人が見ても解るくらいテスト不足ね。巷で叩かれてるほど酷い出来とは思わないけど、荒は目立つ。

呂文姫:「Ⅸpk」がそれなりに名作だったから、余計に落差は激しいみたいだねー…

呂刀姫:パワーアップキット用に、結婚とか子育てとかの機能を温存してるのだろうけど、そういうユーザーを小馬鹿にした姿勢、正直どうかと思う。そろそろ光栄に見切りをつけた人たちも多いんじゃないかな。

 

 

呂刀姫:それはそれとして!

呂文姫:はいっ!

呂刀姫:今作はマルチプレイ不可ということで、南蛮王の再現も無理かと思われましたが!

呂文姫:ところが!

呂刀姫:例によってKz-8さまの神メモリえぢたーが!武将だけでなく都市のデータ変更その他、フリーソフトには勿体ない多彩な機能を実装!

呂文姫:おお!

呂刀姫:都市エディタがあるということは、兵力を変更できると言うこと!つまりマルチプレイでなくても、ある程度COM勢力を操ることが出来る訳なのよ。滅ぼしたい勢力の兵をゼロにしたり、とかね。

呂文姫:お~。

呂刀姫:それに加えて! 今回は大陸から神エディタが!

呂文姫:大陸!?

呂刀姫:そう。いわゆる「西側ツール」「中華ツール」と呼ばれる、中国のフリーソフト群!これはセーブデータやシナリオデータの、武将配置やら生死フラグ、果てはプレイヤーの担当武将までも途中で変更できるという、まさに神のエディタ! …説明書とかボタンとかも中国語なんだけど。

呂文姫:まあ、漢字なら何とかニュアンスで解るでしょうー。

呂刀姫:2ちゃんねるPCゲーム板の三国志Ⅹ改造スレッドに情報が上がってますので、根性で見つけだしてくださいね。

呂文姫:これらのツールは、制作者様のご好意にり、無料で配布して頂いているものです。間違っても先方の掲示板に利用方法を訊くとか、迷惑をかけないように! 全て自己責任で!

呂刀姫:ちなみに2004年8月15日の段階では(07-v1.11)、中華ツールは最新パッチ(1.02)に対応してませんアップデートで三国志Ⅹのバージョン1.02にした場合、このバージョンの中華ツールは使えませんので注意してくださいね。どうしても我慢できない方は、入会金 1,050円と年会費 1,050円払って光栄のファンクラブに入会し、公式のシナリオエディタを入手してください。

 

 

呂刀姫:というわけで!

呂文姫:はいっ!

呂刀姫:セーブエディタのおかげで、かなり細かいところまで状況を再現!

呂文姫:なんだか蘇生組の人も増えてる気がするけど(^_^;)

呂刀姫:気にしない! ――とにかく、また武将プレイに戻ったわけで!

呂文姫:今回のプレイヤー武将は!

呂刀姫:状況によって父上と私、交代交代で行います!

呂文姫:そりゃまたしんどいことを…(;´Д`)

 

 

 

 

 ――洛陽と黄河を隔てた北岸の地、河内郡。

 黄河以北の覇王たる袁紹と国境を接し、四囲を堅固な関に護られる洛陽にとっては、唯一の咽喉でもある。

 

 その郡治に、刀姫の居城がある。

 先に袁紹麾下の高幹軍団が駐留していたのを、馬超麾下であった刀姫の軍が駆逐して占拠し、以後軍政を統括しているのだ。

 刀姫の留守中は、呂布の盟友でもあり、新蘇生組(※殺し忘れ)でもある張楊が護っている。

 

 

呂刀姫:ただいま戻りました。留守役、ご苦労様です。

張 楊:オオ太守、ご無事で何より。――早速ですが、報告を待っておる者たちが控えておりますぞ。

呂刀姫:うん。先に聞きます。

 

 刀姫が政庁へ足を踏み入れると、待機していた文武の俊傑たちが、いっせいに拝拱の礼をとる。

 張任を筆頭に、関平、馬岱、張嶷、張翼、廖化、魏延、張虎、加えて馬忠、王平、句扶、霍峻といった錚々たる刀姫の家臣団が、一堂に会していた。

 

張 任:将軍、お帰りなさいませ。

呂刀姫:ただいま戻りました。

 

 家宰である張任が一同を代表して挨拶すると、刀姫は軽く頷いた。張任と軍師・徐庶が刀姫の左右に立つ。

 

呂刀姫:――では、各自から報告を聞こう。

 

…………

……

 

 業務報告の後、簡単な追加指示のみを与え、刀姫は一同を連れて政庁を退いた。

 途中、政庁前に掛けてある目安箱をひっくり返し、中身を確認する。すでに何件かの陳情が溜まっているようだ。

 

「道路が悪いから直せ」

「治安が悪いから何とかしろ」

「地場産業を守れ」

「投資しませんか?」

「お米ください」

 

呂刀姫:……。

魏 延:――ま た プ ロ 市 民 か !

張 虎:最後の方のは違うっぽいけど。

馬 岱:お米くださいって…このひとたち、30万の軍が半年戦えるだけの米、何に使うんだろう? 

関 平:全くだよ馬岱たん。彼らって、僕らの四半期分の俸禄の何十倍を、普通に持っていくんだよね。

廖 化:だいたいだな、中間管理職がする仕事だろ、こういうのって。

張 翼:いっぺん役所の職務分掌考え直した方がよくないか?

 

 匿名可にしたせいか、とても一国の太守への陳情とは思えない内容のものばかりだ。もはや苦情処理係といってよい。

 陳情表を手にとって、呆れたように眺める一同を、刀姫は真摯な表情でたしなめる。

 

呂刀姫:――民の声は神の声だ。彼らは、私たちが気付かぬ行政の不備を見つけてくれてるのだから、文句を言うものじゃない。

張 嶷:後から二番目のって、ただの先物っぽくないですか?

呂刀姫:…。私たちの知らない増資のチャンスを教えてくれてるのだから、無碍にもできない。それに、欲出さなければ、そこそこ成功するみたいだし。

張 虎:まあ陳情はリロード効くしねえ。

呂刀姫:ぎろっ

張 虎:ごめんなさい。

 

……

 

魏 延:そもそもだな、太守が戻るまで誰も陳情に手を付けないっつうシステムってどうだろうよ。

張 虎:警備なんか普通に僕らでもやってるのにねえ。

廖 化:それを言うなら、我らヒラ武将なんぞ太守が留守のあいだ、内政報告するためだけに待機してるぞ。その暇で内政の続きやりたいよなあ。

張 嶷:今回って徴兵特に面倒じゃないですか? 何であんな細切れに徴兵するんだろう。

 

 

 等々、めいめいが闊達に今作のシステムを愚痴り合いながら、暮れなずむ河内の大街を練り歩く。通行人たちが、あわてて道を譲っている。

 

 酒場へ繰り出す者は酒場へ、兵舎へ寄る者は兵舎へ、三々五々、一同がばらけた後、刀姫は久々の我が家へと戻った。

 

呂刀姫:いま帰りました!

小間使:お帰りなさいませ、姫さま

 

 小間使いが楚々とした風をくずさずに出てくると、それに続いて巨大な白犬と一緒に妹の文姫が挨拶へ飛び出てくる。

 

呂文姫:姉様、おみやげは――!?( ´∀`)

崔毓美:…お姉さま…

 

 いろいろあって文姫と義姉妹の契りを交わした崔毓美が、情け無さそうな顔で、その後ろに続く。

 門をくぐり、文姫と崔毓美に、永昌名産のフルーツ詰め合わせを手渡しているところ、こんどは魏延と張虎が連れ立ってやってきた。途中で酒屋によって来たのだろう。魏延のほうは手に酒を持っている。

 

呂文姫:あ、虎兄様!

張 虎:や、文姫、フーたん(※犬)、ひさしぶり。――お前、なんか顔変わってないか?

 

 飛びついてきた文姫と白犬の頭を撫でている張虎を後目に、魏延は刀姫や小間使いと雑談している。

 張虎は飲酒年齢に達していないため、酒宴メンバーには加われないのだ。口をとがらせて、どうせオジサンオバサンの話にはついていけないし、と口を滑らせた張虎は、刀姫の殺気だった視線を受け、慌てて逃げ出した。 

 

魏 延:そういや、こないだ近藤真彦(マッチ)が溺れてた男の子を助けたって話だが。

呂刀姫:ニュースでやってたわね。名乗らなかったって話だから、立派じゃないか。

魏 延:でも、そのときマッチが、何て言ったと思う?

崔毓美:――何と言ったのですか?

魏 延お兄ちゃんが助けてやる!

呂刀姫:ぶっ!

崔毓美:あはははははは!

魏 延:40だぜ、40歳! ある意味、格好良過ぎだ!

張 虎:自分だってもうちょっとで30のくせに…(えぢたー済み)

魏 延:男はな、36まではお兄さんなんだよ。

張 虎:その数字はどこから…?

魏 延:でもまあ、えなりが20過ぎて同じ事言ったとしたら、俺はその場で斬り殺すけどな。――要はオッサンの分界は人それぞれかもしれん。

崔毓美:ならば女性は?

魏 延:諸説あるが、そうだな…俺は、スッピンで街歩ける間までだ。

小間使:まあ手厳しい。でも、私はお化粧していませんから…セーフです。

呂刀姫:………。

呂文姫:ふっふっふっふー。姉様はアウトだね~

呂刀姫:な!

呂文姫:こないだ見ちゃったもんねえ。いっちょまえに色気づいちゃって…

張 虎:え。嘘! 化粧してるの!?

呂刀姫:し、してるわけないでしょう!

呂文姫:ふーん…ねえ、白虎、そのへんはどうなの?

小間使:…そうですね、していないと仰ってるのですから、されてないのですよ、きっと。

 

 

 小間使いの涼やかな声に刀姫のムキになった声が重なり、一同の笑声が輪を開く。

 ――それはほとんど市井の日常と変わらぬ光景だが、今この場にいる連中は、後に南蛮王朝の正史に名を刻み、数千年の時代を生き続けることになる英雄たちなのである。

 

 

 ――月が移り、9月。

 許宮闕内にある、丞相府。

 文武の百官が居並ぶ中、南蛮王太子にして漢の副丞相たる呂刀姫は、あらたな王命を帯びようとしていた。

  

呂 布:――西辺の状況が変わったぞ、刀姫。西平、天水に盤踞しておった羌族が、なんかどっかに行ってしまった。よって、長安に大軍を置く必要は無くなった。

呂刀姫:はっ。

呂 布:故に刀姫、お前に命じる。ふたたび洛陽駐留の馬超以下、第二軍団を収めて河内に開府せよ。

呂刀姫:はっ――!

呂 布:加えて命じる。涼・雍それに南中の兵馬を率いて壺口関(壺関)を抜け、河北の地を制圧しろ。期日は五年間だ。

 

 おお、と群臣が響動めいた。

 刀姫に下された命令は、第二軍団の都督として、黄河以北の悉くを制圧せよ、という苛烈なものであった。

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