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■ 【SS】性的倒錯性歪曲〜Baroque〜

1 名前:なつり:2007/11/11(日) 11:36:52 ID:z+Pg/kAk
(2005年10月13日 13時42分18秒)

性的倒錯性歪曲


激しい雷雨。時折光る稲妻に、祭壇に跪く少女のシルエットが浮かんでは消えた。


「主よ……。私は人を殺めました。私は、この手で大切な女性を殺めました」


少女の懺悔を聞くものは誰もいない。磔にされたイエス・キリストの像は、何も語りかけてはくれない。
質素な制服は泥に汚れている。よく見れば跪いた床には水たまりが出来、頭から爪先まで少女はずぶ濡れだった。
この大人しそうな少女に、一体何があったというのだろうか?
人を殺めたと言うこの少女の話を、今しばらく聞いてみようではないか――



アビス女子修道院付属学校の朝は早い。日が昇る前に少女たちは床を抜け出し、灰色の制服に身を包む。
ヴェールをつけてミサを受け、その後に朝食。しばらくの自由時間をとり、それから一日の授業が始まる。
学年は六つ、下は十二歳ほどから上は十八歳まで。学年ごとにクラスは――その人数にもよるが、五つほどに分かれている。
少女は五学年。早生まれの彼女はつい最近十六の歳になったばかり。
黒く丈夫な鞄を持った少女たちが校舎の方へ流れていくのを、少女――アンは部屋で無感動に眺めていた。
彼女たちが楽しそうに話す光景は、アンにとって不可解なものだ。もっと言うならば、恐怖ですらあった。
アンは『違う』ということを極端に恐れる少女だった。
幼い頃から敏感だった彼女は、『違う』という事が拒絶を招くものであると、無意識の内に知っていたからである。
彼女には判らなかったのだ。他人に合わせる為の笑い方が――
そしてアンのその拒絶的な雰囲気を、少女たちは敏感に感じ取っていった。
証拠として入学してから三ヶ月もしないうちに、アンは一人きりになっていた。
見かねた修道女たちは何度も少女たちを問い詰めたが、結局原因は分からず仕舞い。
そのまま彼女は現在に至る。
アンは再び窓の外を見つめて、そして今日も彼女の地獄へと出かけた。




アンが教室へ入るとすでに時間は過ぎていて、担任の修道女が教壇に立っていた。
シスター・ミゼットは厳粛な雰囲気を持つ生活指導担当の修道女で、生徒は皆彼女を畏怖の対象としていた。
アンにとってもやはりこの修道女は恐怖の対象であったが、もともとこの人も干渉を嫌う性質であったため、微妙な誤解の下良好な関係が成り立っていた。
心優しい他の修道女であったならば、この生徒を正しく導く事こそ神のお望みになった事だとここぞとばかりに干渉していただろうが、シスター・ミゼットはそれをしなかった。放っておく事こそが最善であると、自らの過去を思い返しそう結論付けたのであった。
まぁ二人の関係はともかくとして、この朝、シスター・ミゼットの隣には見知らぬ少女が立っていた。
月光のような薄い色の髪に、淡く日の光を反射して白くすら見える瞳。ほっそりと痩せた三日月のような少女の後ろの黒板には
ダイアナ・メルダース
と白墨で書かれていた。どうやら変わった時期だが編入生のようだ。
そのためか咎めを受ける事もなく、アンはすんなり席につくことができた。
「アン、こちらはダイアナ・メルダース。今日からこのクラスに編入する事になりました。ダイアナ、アン・ニルヴァナです。彼女の隣の席になりますね」
普通ならここでアンにダイアナの世話を頼むのが妥当なのだろうが、前述したとおりシスター・ミゼットはアンを理解していた――それは多少の見当違いを孕んでいたけれど――数少ない賢明な人であったので
「……ミシェル・マールブランシェ」
「はい、シスター」
綺麗な栗色の巻き毛を大胆なショートカットにした少年めいた雰囲気の少女が立ち上がる。
どこか厭世的な雰囲気を持つ彼女だが、同年の少女たちにはそれが大人らしく頼りになると映るのか、毎年委員長に任じられるという、本人的には大変不愉快な結果を生み出していた。
「しばらくダイアナの世話を頼みます。ダイアナ、ミシェルについてしばらくここの生活について学びなさい」
ダイアナは長い睫を伏せて慎ましく答えた。「はい、シスター」その瞳に一瞬浮かんだ興味の光を、ミシェルだけが気づいていた。


「ミシェル、申し訳ないけど校内の案内はいらないわ。……というか、ここについての一切の説明は不要よ」
長引いた朝拝の後休み時間もなしにそのまま授業に入ったため、ミシェルはダイアナとの接触を昼まで持つ事が出来なかった。
そうしてやっと声をかけることに成功したかと思えば、さっきのセリフ。ミシェルは当惑した。
「ダイアナ?それじゃあ私はシスター・ミゼットに何を報告すればいいと言うの」
「私はアンに教えて欲しいのよ、ミシェル」
歌うように言ったダイアナはまさに気まぐれに姿を変える月そのもの。ミシェルは眉間の皺を深くして、ため息をついた。
「面倒ごとが好きなの、ダイアナ。アンに関わるのはお止めなさい。……どうせあの子は相手にしないでしょうけれど」
「あら、なぜ?」
「なぜって、……あの子は干渉されるのが嫌いなのよ。私も似たようなものだから、わかるわ」
「違うわよ」
満月のように柔らかな、しかし断固とした口調でダイアナは断言した。
「あれは、違うわ。干渉を嫌っているんじゃないのよ」
「じゃあなんだっていうの?」
どうやらこの編入生と自分とはとことん合わないらしい。ミシェルは内心の苛立ちを抑えつつダイアナに問いただした。
しかし返って来た答えといえば
「さぁ?」
「さぁ……て、あなたねぇ」
「私にわかるのは違うという事だけよ。とにかく見てて御覧なさいな、私は絶対にアンと友達になって見せますからね」
「もう。私は知らないわよ、忠告はしたんだから。シスター・ミゼットには伝えておくわね。それと、私は別にあなたが諦めたからといって見下したりなんかしないから安心して頂戴」
「良い保険を頂いたわ、ミシェル。必要になる事は多分ないでしょうけれどね」
とことん相性が悪かったらしい二人は、そこで別れた。
そしてこの時の事を、ダイアナは悔恨を持って思い出す事となる。しかしその時既に、事態は手遅れとなっていたのだけれど。

2 名前:なつり:2007/11/11(日) 11:37:32 ID:z+Pg/kAk
(2005年10月13日 13時47分21秒)

私の稚拙な小説を読んでいただき有難うございました
バロ子さんがアン。月のように美しい少女がダイアナ。だから名前はアンで!(某名作小説より
ミシェル以外にもクラスメイトにサンホラ少女が沢山出てくる予定です
よろしければ感想など教えてくださいませvv

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