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■ ★しょーとれんじすと〜り〜スレッド★

503 名前:海月 亮:2004/12/17(金) 03:17
こちらでは初書き込みの海月です。
やっとこさSSが仕上がったんで、もってきました。何気に全六話。
しかも詰め込みすぎて一話一話がバカみたいに長いので…全部見せるのにスレッドをいくつ消費するのやら…

というわけで今回は第一話のみを置いていきます。


「風を継ぐ者」
-第一部 鈴音の鎮魂歌-

「ええっ、叔武と義封が…!」
「はい…帰宅部連合の勢いは抑えがたく、早急に援軍を要するとの事です!」
揚州学園の中枢にして、長湖部の総本部がある建業棟に、その報がもたらされたのは孫桓出陣の二日目でのことだった。
その報を受け、まだ幼さの残る長湖部代表・孫権の表情が驚愕に染まる。集まった幹部達にも動揺は隠せない。
孫桓軍団の"三羽烏"こと李異、謝旌、譚雄のリタイア。
そして追い詰められた孫桓とお目付け役の朱然が夷陵棟に押し込められた格好で孤立しているという、最悪の戦況。前線からの報告から察するに、孫桓の類稀な指揮能力を百戦錬磨の朱然がサポートすることによって、辛うじて現状を維持しているという有様である。
そのとき、孫権の右側、廊下側の壁に腕組みしてもたれていた、ロングの黒髪をきちんと整えた眼鏡の少女…いや、年齢的には、女性というべきか…が、これ見よがしに溜め息をつく。
皆の注目を集めたその女性…既に学園から卒業したものの、いまだに長湖部の顧問を気取っているかつての功臣・張昭は孫権をたしなめるように、口を開く。
「言ったとおりでしょ、関羽を処断したことがどういうことを意味するかって」
「うぐっ…でも、でもあっちが悪いんだよ! ボクだけじゃなくて、お姉ちゃん達のことやみんなのことまでバカにするなんて…」
「………………」
その一言に、ロバの耳に見える特徴的な癖っ毛の少女−諸葛瑾は、バツが悪そうに視線を逸らした。先に関羽の元に使いにいって、その「暴言」を直に浴びせられ、せがむ孫権にそれを一言一句過たず伝えた張本人こそ、彼女であったからだ。
「確かにあの態度は頭に来るわね…あたしのことまで、散々馬鹿にしてくれたみたいだし。でも、荊州学区さえ手に入れれば十分にヤツの鼻もあかせるし、送還させたって勢力はこっちのほうが上になるから、仕返ししたくたって手出しできなくなるわよ」
「うう…でも、飛ばしておけば厄介事がひとつ減ると思ったから…」
「ええ、そりゃあひとつは減ったわよ、その意味では正解。その代わり、呂蒙は関羽軍団残党の闇討ちにあって飛ばされるし、今劉備の怒りも買っちゃった意味では、大失敗じゃない。収支はマイナスだわ」
「…うう…だってぇ…」
ほら見なさい、と言わんばかりの口調の張昭に、部長たる孫権は完全にやり込められ、半べそどころかもう完全に泣いている。張昭の言い方もどうか、と思う他の幹部達も、その言葉が正鵠を射ている以上フォローの言葉も出てこない。
一人息巻く張昭と、泣きべそをかいている孫権、いまだ視線を逸らしたままの諸葛瑾、そして現状の居辛さと事の深刻さに何の言葉も出てこない他の幹部達…普段は孫権以下和気藹々と進行していくはずの長湖部幹部会議は、ここ数日はそんな重苦しい空気に支配されていた。その理由は、既に学園を去りながらも、いまだにこうして首を突っ込んでくる"御意見番"張昭の存在だけでないことは、誰の目から見ても明らか…今、長湖部全体が置かれているのは、その存亡の危機だったからだ。
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事の発端は、荊州・益州の二学区を支配下に治めた劉備が、その統合生徒会長(←正史で言えば漢中王)の座に就いた事にあった。
かつては幽州近辺の非公認報道組織の長として、様々な実力者の庇護を受けながら各地区を流れ歩いていただけの少女が、遂に蒼天学園を三分する大勢力の一角を担うまでになったのだ。
早くから蒼天会の中枢部にいて、学園を動かす立場にあった曹操にすれば、実に面白くない話である。かつては自分の庇護の元に居たクセに、妙な野望をもって自分に歯向かい続けた挙句、自分と対等の勢力と権力を得る…曹操の性格を考えれば、黙って見ている筈がない。
だが、敵は劉備率いる帰宅部連合だけではない。それと手を結び、赤壁島で曹操の学園制覇の野望を頓挫させたもうひとつの勢力の存在が、劉備との全面戦争を躊躇わせていた。その存在こそ、今や孫姉妹の三女である孫権に受け継がれた長湖部である。
曹操はまず、長湖部を唆して帰宅部連合に当たらせることを考えた。
長湖部にしても、勢力拡大の為に荊州学区の領有、ひいては、益州学区までを制圧する遠大な戦略構想を抱いていた。だが、後に言う「赤壁島の戦い」のどさくさに紛れて荊州学区を抑えた帰宅部連合の為に、その戦略も大きな見直しを余儀なくされた。
曹操の蒼天会に対抗するために、劉備と結んだことが今や大きな癌となって、長湖部幹部を悩ませていたのだ。
曹操の申し出に議論百出する長湖部にあって、その重鎮の一人・諸葛瑾が一策を案じる。すなわち、劉備の名代として、荊州学区の生徒会長代行の座に収まっている関羽に個人的な友誼関係を持ちかけ、荊州学区併呑の布石にし、蒼天会に対抗する力をつけてからその申し出を受けるというものだった。
もし関羽がこれを突っぱねたら、それを口実に帰宅部連合との同盟を破棄し、このとき荊州を伺うために出張ってきていた曹仁をぶつけ、その隙に荊州を狙う…という二段構えの策だ。
その案が通り、言い出しっぺの諸葛瑾は関羽の元へと赴くが、関羽はそれ突っぱねるどころか長湖部を挑発するかのような暴言を吐く有様だった。口を渋る諸葛瑾からその口上を聴きだした孫権は、普段の彼女からはとても想像出来ないくらい激怒し、完全に頭に血が上った孫権の剣幕に押される形で、諸葛瑾が示した第二の策は決行された。
果たして曹仁と関羽の激戦が繰り広げられ、戦線は関羽軍有利の状況で進んでいた。蒼天会が送り込んできた大援軍も、関羽の水攻めによって壊滅、総大将の于禁は関羽の虜囚となり、名将(ホウ)徳を筆頭に多くの将が処断された。
それで勢いに乗ったことが仇となり、荊州学区は完全に手薄の状況となる。その一因には、荊州学区との境目に当たる陸口棟の責任者が、名将で名高い呂蒙から、その呂蒙の策謀で、当時学園全体ではまったくの無名だった陸遜にかわったこともあった。呂蒙はこの機を逃さず、荊州学区諸棟の責任者の調略にかかる。
関羽の勘気を被って後方支援を任されていた傅士仁、糜芳を筆頭に、長湖部の威容を恐れた各棟の責任者は先を争って帰順し、関羽の退路を断つことに成功する。
さらに曹仁の援軍として現れた徐晃の活躍もあり、関羽は荊州学区の外れにある、廃棄寸前の麦棟へ敗走した。そして長湖の大軍勢に包囲された関羽は、脱出に失敗してとらわれ、件の暴言に対する怒りの覚めやらぬ孫権の独断で、その部下もろとも処断されてしまったのだ。
その後、この復讐の機を劉備と共に伺っていたその義妹・張飛が、自身の不始末によって引退を余儀なくされたことで焦りを覚えた劉備は、学園生活最後のこの時期に、長湖部への復讐を遂げるための大号令をかけたのである。
関羽・張飛縁故の者達と、連合の荊州学区系構成員の意気は凄まじく、それを迎撃するために孫権の妹分の一人・孫桓が勇んで出陣していったのだが…その顛末は、冒頭のとおりである。
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「まぁ、過ぎたことを今更言っても仕方ないわ。向こうが烏合の衆でないことが解った以上、こちらも戦い慣れた古参の手練で対抗すれば良いだけの話でしょ」
「で…でも、ほとんどの人たちはもう、引退しちゃったんだよ?」
大学生にもなってこんなトコに顔出してるあなたを除いては、なんて言葉が喉まで出かかっていたが、孫権はぎりぎりのところでその言葉を飲み込んでいた。多少感情を乱していても、張昭を徒に刺激することの愚は承知していた。
後ろに控えた谷利から手渡されたハンカチで涙を拭うと、孫権はすがるような目で張昭を見つめた。
これまで部を支えてきた周瑜や魯粛、そして先に不慮の事故でリタイアした呂蒙といったメンバーが居ない以上、今この場にいるメンバーで一番頼りになるのは張昭しかいないこともまた、孫権は理解していた。
流石の張昭も、頼りにされるのは悪くないと見え、柄にもなくちょっと照れ臭そうに視線を逸らす。この甘え上手なところも、孫権の長所であり武器である。
「ん…まぁ、そうだけどさ。幸いにも韓当はまだ残っててくれてるし、周泰や凌統、徐盛だっているじゃないの。連中を駆り出して、当たらせるのが最善手ね。山越高や対蒼天会の護りは呂岱や賀斉で十分だし」
そこまで話し、急に普段どおりの真面目な顔に戻る。
「ただ、総指揮を任せるとなると適任は…」
「それだったら、俺様が引き受けるぜ」
そのとき、不意に会議室の扉が開け放たれ、全員の視線がそちらへ集まる。"御意見番"の完全な一人舞台状態に割って入ったのは、先に引退を表明したばかりの甘寧だった。

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