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■ ★しょーとれんじすと〜り〜スレッド★

1 名前:★ぐっこ:2002/02/07(木) 00:41
はい。こんなの作っちゃいます。
要するに、正式なストーリーとして投稿するほどの長さでない、
小ネタ、ショートストーリー投稿スレッドです。(長文も構わないですが)
常連様、一見様問わず、ココにありったけの妄想をぶち込むべし!
投降原則として、

1.なるべく設定に沿ってくれたら嬉しいな。
2.該当キャラの過去ログ一応見て頂いたら幸せです。
3.isweb規約を踏み外さないでください…。
4.愛を込めて萌えちゃってください。
5.空気を読む…。

とりあえず、こんな具合でしょうか〜。
基本、読み切り1作品。なるべく引きは避けましょう。
だいたい50行を越すと自動省略表示になりますが、
容量自体はたしか一回10キロくらいまでオッケーのはず。
(※軽く100行ぶんくらい…(;^_^A)、安心して投稿を。
省略表示がダウトな方は、何回かに分けて投稿してください。
飛び入り思いつき一発ネタ等も大歓迎。

あと、援護挿絵職人募集(;^_^A  旧掲示板を仮アプロダにしますので、↓
http://isweb41.infoseek.co.jp/novel/gaksan1/cgi-bin/upboard/upboard.cgi target=_blank>http://isweb41.infoseek.co.jp/novel/gaksan1/cgi-bin/upboard/upboard.cgi
にアップして、画像URLを直接貼ってくださいませ〜。
作品に対する感想等もこのスレ内でオッケーですが、なるべくsage進行で
お願いいたします。

ではお約束ですが、またーりモードでゆきましょう!

66 名前:玉川雄一:2002/04/01(月) 00:10
(続き)

「お姉ちゃん、コレ、使ってみようよ」
「ええっ! でも、いいのかな…」

まあ、持ち出したからにはそう来るとは十分予想できたが、やはり鍾会はただ者ではない。
躊躇う鍾毓に揺さぶりをかけていく。

「大丈夫! ちょこっとならバレやしないって!」
「う、うーん…」

(いや、もうバレてるけど)

鍾ヨウが一部始終を眺めているのも知らず、妹たちの謀議は続く。何やらヒソヒソと話し合っていたが、
どうやら鍾会が渋る姉を丸め込んだらしい。

「それじゃ、暗くちゃわかんないから電気点けよう」
「姉さん、起きたりしないかなあ…」
「ちょっとだから平気平気! それじゃはい、お姉ちゃん」
「え、私が先? しょうがないなあ…」

姉に先鋒を任せる辺り、無意識ではあろうが何か策士めいた物を感じさせる。ともあれ、鍾毓の方もまんざらではないようで、
妹からルージュを受け取ると、念のため部屋を見回してから明かりを付ける。鍾ヨウは薄目を開けた寝たフリでごまかした。
鍾毓はそこで、何故か鍾ヨウの方に向き直るとペコリと頭を下げ、「姉さん、ごめんなさい」と呟いた。

(?? あの娘、何のつもりだったのかしら)

そして鏡に向き直り、キャップを外して数回ひねると色合いを確かめてからスウッ、と唇に這わせる。

「うわあ…」

大人びた姉、童顔気味な妹の間でまあ年相応の顔つきの鍾毓だったが、唇に引かれたルージュがこれまたよく映えていた。
上下二人がある意味自己主張が激しいので影に隠れがちだが、彼女もまた相当の美貌の持ち主である。
思わず、密かに盗み見ている鍾ヨウも感心してしまう。

(へえ、あの娘もなかなかやるじゃない)

「お姉ちゃんもよく似合ってるよ。やっぱり、もっとメイクに凝ってみたら?」
「そ、そう? それじゃ、考えてみようかな」

やはり満更ではなかったようで、少し照れながら鍾会へルージュを手渡した。
妹はそれを受け取ると躊躇うことなく、あたかも自分の物のようにヤケに慣れた手つきで手を動かす。
と、愛らしいとすら形容できる唇(吐かれる言葉は結構アレだが)が鮮やかな色に染まったのだった。

(うわ、これはまた… 我が妹ながら、侮れないわ)

なんだかんだ言って妹馬鹿の鍾ヨウである。自らの美貌にはそれなりに自信があったが、
妹のそれはまた違った方向性で“そそる”ものがあったのである。

「どう、お姉ちゃん?」
「うーん… なんか、ミスマッチが却って効果的、っていうのかな…」
「えへへ、そう?」

二人はしばらく互いの成果を批評しあっていたが、やがて証拠隠滅とばかりに唇をふき取ると、ルージュを元の場所に戻していた。

(…なんか、ヤケに慣れた手つきねえ。まさか、今までにも…?)

鍾ヨウの胸にちょっぴり疑念がわき起こったが、始末を終えた二人が電気を消してベッドに潜り込んだのを見届けると、
おとなしく睡魔に身を任せたのだった。

67 名前:玉川雄一:2002/04/01(月) 00:12
(続き)

「ふわあ… おはようございます」
「おはよう、姉さん。 …はあぁ」
「二人とも、おはよう。何だか眠そうね」

翌朝。何事もなかったかのように… にしてはやや眠たげな二人の妹の様子を見て、鍾ヨウはちょっとした悪戯心を起こした。
何気ない風を装って、さらりとカマをかける。

「…あら? 稚叔、パジャマの胸のとこ、何か色がついてない?」
「ええっ!」
「あ、お姉ちゃん…!」

必要以上に驚きを見せた鍾毓、だが、対応がまずかった。胸元より先に、唇に指が行ってしまったのである。
あちゃー、とうなだれる鍾会を横目で見ながら、鍾ヨウはニコニコと問いかけるのだった。

「あらあら、唇の方が気になるの? まあ、あなたにはちょっとあの色は合わないかな? もう少し淡いのが似合うと思うわよ」
「………あっ」

そこでようやく、罠に掛けられたと気付いて真っ赤になる鍾毓。一方の鍾会は、悪びれる風もなく問いかけた。

「姉さん、気付いてたの? 人が悪いんだから」
「まあ… ね。偶然よ。なんだかあなた達、面白そうなことしてたみたいだし」
「姉さん、ご免なさい。勝手に使った分は返すから…」

鍾毓はちょっと混乱気味。鍾ヨウそんな妹を苦笑しながら見つめると、咎める気がないことを示しながら言葉を返す。

「それは別に気にしなくていいのよ。 …それより、あなたそれを使う前に私に頭を下げたわね。どうして?」
「わ、それも見てたの? 参ったな… ほら、メイクも儀礼の一種でしょう?
  姉さんのを勝手に借りてたこともあったし、そうしないわけにはいかなかったの」

いかにも、ヘンに生真面目なところがある鍾毓らしい答えだった。可愛い妹だと思えば自然と笑みもこぼれる。
次いで、相変わらずニコニコしている鍾会へと向き直る。

「士季、あなたはまた平然と使ってくれたわね。どうして?」
「姉さん、それはだって、アタシは姉さんのを盗んだんだもの。盗むのに礼もなにもあったものじゃないわ」
「…まったく、あなたらしいわね。まあ、それなりに似合ってたのが何だか悔しいけど」

いっそ心地よささえ漂うこのふてぶてしさ、将来が楽しみなんだか不安なんだか。
それでも、女子のたしなみと思えば許せる気がするのも、やはり妹馬鹿だからだろうか。

「そうね、今度いっしょに、あなた達に合うのを選びに行きましょうか」
「えっ… 姉さん、いいの?」
「やった、そうこなくっちゃ♪」

思わぬ姉の提案に、驚きを隠せないながらもパアッと顔をほころばせる妹たち。
今日も明日も明後日も、鍾姉妹の美への追究は飽くことを知らない…

68 名前:玉川雄一:2002/04/01(月) 00:16
えー、今回は、世説新語言語編12番目のエピソード。
japanさんの「聖帝と小四姫」の次の話が元ネタです。

もちろん、元ネタではルージュじゃありません(笑)
お酒(薬酒)を飲んじゃった、という話です。
ちなみに別バージョンがありまして、キャストは孔融と二人の子供。
まあやってることは同じですが。曲者親子ってのも共通かな(^_^;)

しかし、鍾さんとこや陳さんとこのネタ多いですなあ、世説新語。

69 名前:★ぐっこ:2002/04/01(月) 00:50
ぐわ〜〜〜〜っ!!!!!!
義兄上、ナイス!! お兄さんこういう頼もしいハァハァをお待ちしておりました!
うーむ、あのエピソードがこうくるか〜っ!
凄い!いいですぞっ!

たしかに、孔融もありましたな(^-^; 伝承作家のミス…?

70 名前:japan:2002/04/01(月) 23:37
か、かか、カワイイ〜っっ!!
あの簡潔な記述を、良くぞここまで萌え萌えなエピソードに…流石です、玉川様。
ラストも最高です。次の日曜に三人仲良くデパート巡りをしている姿が目に浮かびます。
ついでに妹達のランジェリーも選んであげる元常姉様…ハァハァ
(実は昨日こんな話をしてたり・汗)

71 名前:玉川雄一:2002/04/03(水) 02:00

 ◆ 学園世説新語・第5話 〜お茶目さん♪〜 ◆

満奮、風を畏る。(満奮は風を畏れ嫌っていた)

    奮
  (( ;゚Д゚))ブルブル

晋の武帝の坐に在り、北窓に瑠璃屏を作る、実は密なれども疎なるに似たり。

(晋の武帝司馬炎の側に坐しているとき、北の窓が瑠璃の屏になっており、
 実際はきっちり閉まっているのに透いているように見えた)

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄」
―――――――――――――‐┬┘
                        |    風
       ____.____    |    が
     |        |  。。゚。°|   |   吹き込む
     |        |  奮   |   |  
     |        |∩´Д`∩ |   |  
     |        |/     ノ |   |  
        ̄ ̄ ̄ ̄' ̄ ̄ ̄ ̄    | 


奮難色有り、帝之を笑ふ。(満奮が困った顔をしていたので帝がそれを笑った)

             奮
          (((( ゚Д゚;)))ガクガクブルブル

  炎
( ´,_ゝ`)プッ


奮答へて曰く、(満奮がそれに答えて言うには)

             / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
           / 臣は猶ほ呉牛の月を見て喘ぐがごとし
 奮       < 
(;´Д`)ハァハァ    \ (私は、呉牛が月を見てもハァハァするようなものです)
             \_____________________


    /劉\     今で言う水牛は、江淮地方にだけ生息しているので呉牛といいます。
   ( ´∀`)      南方は暑さがひどいので、そこの牛は暑さを畏れて、
  /     \    月を見ても太陽かと思います。だから月を見てハァハァするのです。
  | | 孝標 | |   『蜀犬、日に吠ゆ』という言葉もありますね。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
 ヒガイモウソウ(・∀・)カコイイ!       |

72 名前:玉川雄一:2002/04/03(水) 02:03
今回は、言語編第20番目のエピソード。
満寵の孫、満奮のお話です。「呉牛、月に喘ぐ」の故事ですね。

ところでコレ、明らかに晋代=東晋ハイスクールネタですけど、
世説新語をタネにした話はこちらのスレで行こうと思います。
東晋ハイスクールスレにはオリジナルの話ということで。

73 名前:玉川雄一:2002/04/03(水) 02:20
っつーか、よく考えたら今回学三関係ないし(-_-;)

74 名前:★ぐっこ:2002/04/03(水) 23:52
マターリ(^-^;
妙にイヤされました…不思議な間だな〜。

75 名前:玉川雄一:2002/04/13(土) 03:15

 ◆ 歴史家魂外伝・口は災いの…もと? ◆

『山陽公戦記(笑)』にいわく。

馬超は益州校区に招かれて帰宅部連合の一員となったが、劉備の厚遇と、
また生来のキャラクター故か劉備と話をするときにはいつも彼女のことを「パンダ」と呼んだ。

「ねえ、パンダぁ。こんどの原稿だけど…」
「あん? 何や、この前話し合うたやんか。いい加減忘れるなや。せやから…」

しかし、劉備との付き合いの長い関羽にはそれが心底我慢ならなかった。
常日頃は怒りを表に現さない彼女が、あの「武装した紫式部」の面もちを浮かべて劉備に願い出たのである。

「姉者、今度という今度は我慢なりません。馬超をシメさせて下さい!」

久々に見る形相だが、劉備としては馬超とのやりとりは一種のコミュニケーションであり、むしろ楽しいものであった。
とはいえ関羽がここまで怒りを露わにするのだからただ事ではない。まずはなだめにかかる。

「なんや、関さんらしくないなあ。 …ええか、あの娘は曹操に追いつめられてきたんや。
 アンタらはあの娘がウチの事をああ呼ぶゆうて物騒なこと言いよるけどなあ、そんなことじゃあ人からの理解は得られへんで」

だが、いくら敬服する劉備に言われたといって今回は承伏できることでもなかった。
そして、関羽以上に怒り心頭に発しているのは言うまでもなく張飛だったのである。

「せやったらなア、ヤツに礼儀っちゅうものを教えたるわ!」

またいかにも彼女らしく、両手の指をバキバキと鳴らしながら気勢を上げるのだった。

「はあ… まあ、気が済むようにしや。だけど、血ィ見るようなことだけはあかんで」

結局、ここまでなってしまうと劉備には二人を止める術はなかった。


翌日、帰宅部連合の緊急集会が開催された。馬超も当然招かれたわけだが、予定変更を余儀なくされておかんむりである。

「ちょっとパンダぁ、ちょおちょおむかつくー! アタシ原稿描かないといけないのにい!」

それでも渋々ながら着席して周囲を見れば関羽と張飛の姿が見えない。

「…あれえ、関Pとヒッキー(関羽と張飛のことらしい)はぁ?」

といって更に見渡すと、劉備の脇に二人が立っていた。しかも、こちらを凄まじい形相で睨み付けている!

「しおしお〜。アタシったら、部長のことパンダって呼んだから二人にシメられるところだったのね…」

馬超は、己の敗北を悟った。そうして、それ以後は劉備に敬意を持って接するようになったという−

(続く)

76 名前:玉川雄一:2002/04/13(土) 03:18

(続き)

「…だって。こんな事が書いてあったけど、どう思う?」

今日も今日とて史料を山のように積み上げて、学園史の編纂にいそしむ陳寿と生き人形(?)・ハイショーシ君。
とりあえずは史料に総当たりだ! となぜかやる気に満ちたハイショーシ君の主張に負けて、陳寿も雑多な史料を漁っていたのだ。
そんな中で馬超に関する興味深い記述を見つけたのだが、ハイショーシ君は彼好みのネタに飛びつくかと思えば
意外な反応が返ってきたのだった。

「あァ? 誰がこんなクソネタ信じるよ? …いいか、馬超は追いつめられて帰宅部連合に参加したんだぜ?
 いくら何でも劉備に対してそんな態度取るはずがねえだろうが!」
「はあ…」

何故か普段以上にテンションの上がっているハイショーシ君。時折、彼はこうしてキレてしまうのである。
いつもの様子からはちょっと想像も付かない鋭さで、彼の分析は続く。

「それにだな、そもそもこの頃関羽は帰宅部連合の荊州校区総代として江陵棟にいたはずだぜ?
 成都棟でやってた会議にどうして関羽も出られるんだよ? だいたい、関羽だって馬超が参加したときに、
 諸葛亮に馬超はどんなヤツかって聞いたぐらいだぜ? ガセネタだよガセネタ!」
「そ、そうかしらね」
「しかも、馬超が劉備のことをああ呼んだってのは、ヤツのキャラクターからすれば自然なんだよ。
 それに、それが原因で関羽と張飛にシメられそうになったかなんてあの脳天気なオツムで分かるはずないんだって!
 …ったくよお、こんなガセネタ引いてんじゃねえよ!」
「そんな、私に言われても…」

言いたいだけまくしたてると、ハイショーシ君は別の史料に没頭してしまった。
何だか理不尽な気がしないでもなかったが、陳寿は内心彼の分析力に改めて驚かされていた。

(やっぱり、見るところはきちんと見てる。これなら、うまく行きそう…)

口では何やかやと言いながらハイショーシ君がこの作業を楽しんでいることが嬉しくなり、陳寿のやる気も一段と増すのだった。


…やがて完成した学園史は、取捨選択を重ねた陳寿のシンプルな記述と、
それを批判精神豊かにフォローしたハイショーシ君の註が絶妙に融合して、稀代の名著と讃えられることになる。
だが、今のところはまだ、二人して喧々囂々のやりとりが交わされる毎日が続くのだった。

77 名前:玉川雄一:2002/04/13(土) 03:19
何だか発作的に書き上げてしまいました。
そういえば、歴史家魂の本編を完結させないといけませんね(^_^;)

78 名前:一国志3:2002/07/20(土) 18:08
一国志3と申します。

学園三國志掲示板では、はじめての書きこみになります。
拙い作品ですが、よろしくお願いします。
まだ、舞台設定を完全に掴みきれていないので、他の皆さんの話と背景が一致しない
ところがあるかもしれませんが、ご了承下さい。
元ネタは、光栄三國志2〜4の能力値(武力)とあずまんが大王の一部分です。

#三國志3の武力70は重要な分岐点ですが、覚えている人います?


定期試験〜赤点ラインの攻防〜

ここ蒼天学園でも、当然のことながら定期試験は存在する。
特に、赤点すれすれの生徒にとっては、戦いの場となるのであった。

剣道部の部員である、于禁・楽進・李典たちの場合はというと…。
于禁「歴史のテスト55点か。なかなか低レベルな争いになりそうだな。」
と言いながら、夏侯惇の机をのぞき込んでみたところ、
夏侯惇「ん、どうした?」
于禁「(93点!?夏侯惇がそんなに頭良かったとは。)
   あ、なんでもない…。」
別な机では、徐晃と張遼がテストの結果を見せ合っていた。
張遼「テストどうだった?」
徐晃「92点だった。」
張遼「あっ、惜しいな。私91点。」
于禁「もしかして、これってすごく悪いのかも……。」
楽進と李典もテストを見せ合っていたのでありが。
楽進「李典〜、テストどう?」
李典「あ、だめだめ。」
楽進「じゃあ、見せっこしようぜ。44点、あたしの負けだ〜。」
李典「えへへ〜、56点。」
于禁「わ〜い!バカたち〜!」
楽進「バカって言うな!だいたいおまえ何点だよ。」
于禁「55点。」
楽進「あたしらと変わらんじゃん。」
張遼「おまえら、これでいいのか?今回のテストは60点未満が赤点だぞ。」
楽進「え〜っ。そんなの聞いてないよ。」
于禁「でも、まだ追試があるしな。」
李典「追試だと合格点が70点だけどね。勉強しなおさなきゃ。」

で、追試が終わり、テストを見せ合う3人であった。
楽進「ひゃほ〜っ!74点だぜ。」
李典「72点か…ぎりぎりでした。」
于禁「…………。今のきみたちがまぶしく見える。」
楽進「ということは、だめだったんか、于禁?」
于禁「60点だった…。留年するかも。」
結局、于禁も再追試で74点を取り合格ラインを超えて、留年の危機を免れたのであった。

79 名前:★ぐっこ:2002/07/21(日) 00:35
うわははは! なるほど、テストの点=ゲーム武力!
学三的にはパロ系はなるべく避けてるのですが(女性読者多いので)、
これはこれでまた面白い!
しかし低武力=ボンクラーズにすると、どうしても李典がバカの仲間入り
になってしまうんですねえ…(;^_^A

80 名前:一国志3:2002/07/21(日) 01:26
さっそくのコメントありがとうございます。>ぐっこ様

実は、テストの点数を武力か知力にするか迷っていたんですよ。
あえて武力にしたのは、三國志2→3→4になるにつれて、魏の名将が真っ当な
評価になりつつある様子を描きたかったためです。
雑魚武将からの転身というテーマでは、韓浩も取り上げてみたかった人物でした。
今回の話にも登場させようかと思ったのですが、描ききれませんでした。
(三國志1〜3では、韓玄の弟という演義設定のせいで兄と似たり寄ったりの能力。
 三國志4では一旦リストラされて消え、5以降では正史修正の入った能力になる。)

81 名前:一国志3:2002/07/24(水) 01:23
一国志3です。

またまた、思いつくがままに学三のサイドストーリーを書き上げてみました。
史実で言うところの蜀滅亡のあたり、学園正史では「第二次漢中アスレチック決戦」の
あたりを題材にしています。
(このへんだと、キャラ設定のない人物が多いですね。)


■帰宅部最後の日■

2年前までは放課後の抗争が学園の華となっていた蒼天学園であった。
しかし、司馬一族が生徒会の中枢を占めてからは、部活動に対する締め付けが
厳しくなり、放課後はおとなしく勉強している生徒が多くなってきた。
そんな中、劉備−劉禅と続く帰宅部は異彩を放つ存在であった。
どこぞの光画部のように、放課後の部室にたむろして好き放題に遊びまくって
いたのである。

3学期のある日、時の生徒会長・司馬昭は、ついに帰宅部壊滅作戦を遂行する。
司馬昭「蒼天学園の恥部は、帰宅部と長湖部よ。こんな部が存在するだけでも、
    学校の品位を傷つけているわ。まずは、帰宅部の番よ。
    あの薄汚れた部室を接収して、文化的に作り変えてやるわよ。」

生徒会の不穏な動きは、帰宅部にも伝わってきた。
費[ネ'韋]が馬券購入のかどで謹慎処分を受けた後なので、帰宅部の実質トップは、
姜維であった。(部長の劉禅は飾り。)
張翼「大変〜っ!生徒会が帰宅部解散と部室退去を企んでいるそうよ。」
廖化「生徒会は、実力行使も辞さない構えみたいね。」
[言焦]周「このへんでおとなしく降参したほうがいいかも…。
     星占いの結果も悪いし。」
姜維「ちょっと、なに弱気なこと言ってるのよ!
   あっちが実力行使するなら、うちらだって全力で抵抗するんだから。」
張翼「で、何か作戦あるの?」
姜維「『バリケード剣閣』よ! 孔明さまデザインの難攻不落の要塞!
   数で押してくる生徒会なんて、問題じゃないわね。」
廖化「お〜っ、なんかすごそうだな。」
姜維「というわけで、部長、我々は作戦を遂行するのであります!」
劉禅「よきにはからえなのれす。てへてへ。」

対する生徒会側は、[登β]艾・鍾会を中心にして、人海戦術で帰宅部部室を制圧する
作戦のようである。
[登β]艾「こ、これはすごいバリケードですね。」
鍾会「バカみたいに感心している暇があったら、さっさと作戦考えなさいよ。
   だいたい、2年飛び級の天才美少女のあたしと、どもりでさえないあんたが
   同格だなんて、今でも納得できないんだからね。」
[登β]艾「・・・べ、別行動にしましょうか。」
鍾会「好きにしたら??アタシひとりで充分だからさ。」
人知れず地図マニアであった[登β]艾は、バリケード剣閣の抜け道に気付いていた。
それを顔には出さずに、密かに帰宅部部長室を目指すのであった。

部長室でのんきにお菓子をつまんでいる劉禅であった。
劉禅「なんかうるさいれすね。おちついておかしもくえないのれす。」
そんなとき、部長室の扉からノックする音が聞こえてくる。
劉禅「だれれすか?」
[登β]艾「あ、あの、生徒会の[登β]艾と申すものです。詳しくはこの手紙を。」
劉禅「(手紙を読んで)むずかしいかんじだらけでよめないのれす。」
[言焦]周「『帰宅部を直ちに解散せよ。さもなくは部員に退学を命ず。』
     部長室に生徒会側が乗りこんだということは、姜維ちゃんたちが
     力尽きたということね。……今日が帰宅部最後の日かしら。」
[登β]艾「解散か、退学、どちらを選びます、劉禅さん?」
劉禅「がっこうをくびになるのはいやなのれす。
   きたくぶは、きょうれおしまいれす。」
かくして、劉禅の一言で帰宅部の廃部が決定したのであった。
なお、その後も劉禅はお気楽な学校生活を送っている。

さて、バリケード剣閣で一進一退の攻防を続けていた姜維たちのもとにも、
帰宅部廃部の知らせが届いてきた。
姜維「本日をもって帰宅部解散!?嘘だ!嘘だろ〜?」
張翼「まだ勝負がついていないはずなのに…。何があったのかしら?」
廖化「劉禅ちゃんが先に降伏してしまったらしい……。」
姜維「帰宅部は、これで終わりなんだね。
   孔明さま……私、孔明さまにあこがれて帰宅部に入部しました。
   趙雲さん……もう一度、薙刀のお手合わせしたかったです。
   帰宅部の想い出が走馬灯のように蘇ってくる………。」
廖化「関羽さん〜〜っ。私、かっこいい関羽さんに………。」
鍾会「感傷にひたってるとこ悪いけど、あんたたちに話があってよ。」
姜維「誰……鍾会!?なんであんたがここに?」
鍾会「ねえ、ここで帰宅部再結成しない?」
張翼「エリートコースのきみが帰宅部希望だなんて、変な感じするな。」
鍾会「このままレールに乗っていくのも馬鹿馬鹿しくなってね。
   好きなことやってるあんたらがうらやましくなったってこと。」
姜維「この話乗った!やっぱり、私たちには帰宅部しかないからね。」

当然のことながら、鍾会たちの新・帰宅部は生徒会に承認されずはずもなかった。
失敗するのはわかっていて、バカをやったというところだろうか。
鍾会「生徒会から追放されて、ただの一生徒になったけど、これでいいのよ。
   だってね、好きなだけ漫画描けるし。(他人の真似ばかりなんだけどね。)」
姜維「お〜い、鍾会。この前頼んでた、孔明さまのイラストできた?」
鍾会「あいよっ。」
姜維「やっぱり、孔明さまはいいよね。うんうん。
   でも、誰かの画風にそっくりなんだけど、気のせいかな。」
鍾会「あたしのオリジナルに決まってるわよ。
   (玉川っていう人の絵をまるまる参考にしたよは言えないよな〜。)」

82 名前:玉川雄一:2002/07/24(水) 21:08
…それだ! 「鍾会の乱」をどう描くか考え所ではありましたが、
この筋なら『独立』の動機としてなかなか面白いモノになりそうです。それがコケた所まで含めて。
しかし、「姜維の肝が鶏の…」はうまくネタに入れられないかなあ(^_^;)

ただ、残念だったのは劉禅のキャラが違うかな、と。

83 名前:惟新:2002/07/24(水) 22:24
おお〜! お見事な力作!
なるほど、鍾会の「魔が差した」をそう描かれましたか!
少し路線が気になりますが(^_^;) 面白いです〜!
あ、でも玉川様がおっしゃっている通り、劉禅ちゃんだけはちょっと違う気がしますね。

>姜維の肝
そのものズバリはさすがにできませんものねぇ(^_^;)
では、こんなのはどうでしょう?

失敗したあと捕まり、それでも堂々と生徒会に噛み付く姜維。
こののち、校内で次のような噂が立った。「姜維の肝は10キロはあったに違いない」と。

ちなみに、人の肝臓の平均的な重量は1〜1,5キロらしいです。

84 名前:一国志3:2002/07/25(木) 01:05
コメントどうもありがとうございます。>玉川様、惟新様

「姜維の胆」は入れようがなかったので、無視してしまいました。
鍾会の「他人の筆跡を真似るのが上手い」は、何とか取り入れてみました。
今回の作品では、あまり姜維のキャラを立てることができなかったのですが、
私のイメージでは、夢中に突き進んで空回りするタイプといったところです。
(1年生のときは、『孔明さま』に夢中のレズっ娘ということで。)

劉禅は、2chのとある掲示板から拾ってきたキャラを流用してみたのですが、
どうも学三の設定には合っていなかったようですね。学三歴が浅いもので、
ご勘弁下さい。

85 名前:japan:2002/07/25(木) 21:55
>玉川様

陳寿たんとハイショーシ君の掛け合い漫才、良かったです〜!
令君贔屓のハイショーシ君のことだから、「荀搏`」あたりはさぞや文句たらたらだったのでしょうね。
「何で優れた人間にケチばっかつけたがるんだろうな、凡人って奴はよ!
クソネタは数あれ、これが一番酷い出鱈目だな!」
なんて息巻いてそう。

>一国志3様

はじめまして!
「三国志3」は初めにプレイしたゲームなので、懐かしく拝見させていただきました。
最近の毛カイ・韓浩あたりの再評価は魏のファンとしては嬉しい限りです。
武力=テストの点数というのは新解釈ですね。
文官verを書いてみたい…などと思ってしまいました。

鍾会たんの乱もナイスでした。
冷徹な策士のようでいて、変なところでマニアックですからね、この娘も…
意外に帰宅部生活が水に合っていたのかもしれません。
何かと話題になる鍾会の学年ですが、飛び級にすれば幼い頃から活躍していたのも理由が通りますね。
こちらも素晴らしい解釈だと思います。

86 名前:★ぐっこ:2002/07/25(木) 21:58
うお! これ案外イケル!?
ただストーリーが正史ルートですので、いずれ正式に長文にリメイク
したいところですが、このノリ、イイ!
キャラも上手いですし、ナニゲに道理が通ってます!「あーる」知らないと
キツいところもありますが…
ただ劉禅たんについては、ここの「Gちゃんねる」スレッドで、キャラが
できあがってしまったんですよ(;^_^A 大阪をもっとぼーっとした感じに…。

うーん、蜀滅亡…以前に、孔明たちの活躍をもう一度煮詰め直さないとダメですね…
北伐…どういう形にしたモノか…。
あ、孔明の年齢、設定よりさらに下げるつもりです(;^_^A

87 名前:一国志3:2002/07/26(金) 00:50
>japan様

テストの点数=知力or政治力の文官ver.だと、鍾[月缶系]あたりが
いい題材なのかなと思います。初期の三國志では二流の文官で魅力も
低く、その他大勢だったのですが、最近は政治力が90前後と
評価されています。
あと、鍾会(生年225)と[登β]艾(生年197)は、実は親子ぐらい年齢が
離れているんですよね。

>ぐっこ様
なにしろ、2時間あまりで書き上げた作品ですので、長文リメイク
していただけるとありがたいです。
(戦闘シーンは、ほぼはしょってしまいましたし。)

88 名前:玉川雄一:2002/07/28(日) 09:58
鍾ヨウに目を付けられるとはさすが! ご安心めされ。学三の鍾ヨウは半端なキャラじゃないですよ。
旧掲示板(現仮あぷろだ)の過去ログ…は当の昔に流れてしまいましたが、とりあえず
http://isweb41.infoseek.co.jp/novel/gaksan1/zinbutu/sousou/zyunikus.html target=_blank>http://isweb41.infoseek.co.jp/novel/gaksan1/zinbutu/sousou/zyunikus.html
辺りを参照までに。

89 名前:一国志3:2002/12/23(月) 00:57
>>(気が向いたら、ショートストーリースレッドにでも書きこんでみるかもしれません。)

というわけで、長坂坡のくだりを書いてみました。


生徒会が袁紹一派の残党勢力をしらみつぶしにしていた頃、劉備率いる帰宅部連合は、
劉表の好意でプレハブ新野棟を借りて、何とか部室を確保していた。

だが、新年度になって劉表が卒業し、新たに荊州校区の総代となった劉[王宗]は、
生徒会に従属する道を選んでしまった。劉[王宗]・蔡瑁らは生徒会に対して恭順の
意を示すため、荊州校区からの帰宅部の追い出しを謀っているところであった。

劉備「えらいこっちゃやで。今のうちらではこの部室守りきれへんし。」
諸葛亮「いっそのこと、荊州校区の本部を急襲してみてはいかがでしょうか?
    相手が蔡瑁程度なら、私たちの側に充分に勝算があります。」
劉備「そんなのあかんで!
   いくら蔡瑁が嫌な奴いうても、劉表さんの恩を裏切ることはできへん。
   うちら帰宅部のモットーは、義理と人情の浪花節や。」
諸葛亮「次善の策としては、江夏棟に避難することでしょう。
    江夏の劉[王奇]さんなら、私たちを快く迎え入れてくれるはずです。」

帰宅部連合の部員たちは、荷物をまとめて江夏棟に避難する準備をする。
一般部員「劉備部長!私たちも一緒に江夏までついていきます。」
諸葛亮「事態は急を要します。幹部だけが先に避難すべきと存じますが。」
劉備「部員をひとりでも見捨てることは、うちにはできへん。
   帰宅部連合はいつでも一緒や。みんな、行くで〜!」

急に帰宅部連合の全員が一斉に避難を始めたので、江夏棟までの連絡通路は
渋滞してしまう。生徒会がそんな状況を見逃すはずもなく、少なからぬ数の
帰宅部部員が生徒会に捕まってしまうのであった。

荊州校区の本部と江夏棟の中間あたりに用水路があり、長坂橋という小さな
橋がかかっていた。大部分の部員たちが橋を渡り終えたのを確認したところで、
張飛と趙雲がしんがりとして生徒会の進撃を食い止めようとする。
張飛「これで主なメンバーは無事に避難できたようだな。」
趙雲「……劉禅ちゃんが!」
張飛「劉姉貴の妹じゃねえか。
   あいつトロいし、どこかで道草でも食ってるのかもしれんな。」
趙雲「……行ってくる。劉禅ちゃんを助けに……。」
張飛「…って、待てよ、趙雲!ま、いいか。
   生徒会の雑魚どもの相手なら、オイラひとりで十分だし。」

わき道を進んでいると、見覚えのある一匹の猫と出くわす。
趙雲「(あれは……劉備部長のところの……びぃちゃん?)」
猫は趙雲の姿を目にすると、草むらのほうへ駆け出す。
趙雲「(ついてこいってことか…?)」
猫を追いかけると、そこには怪我をして倒れていた劉禅の姿があった。
趙雲「どうした…?」
劉禅「わ〜い!趙雲さんが来てくれたよ〜。
   阿斗ちゃんはねぇ、道に迷って、それで転んで怪我しちゃったの。」
趙雲「もう大丈夫だ。……私に任せろ。」
趙雲は怪我をした劉禅を背負う。
劉禅「趙雲さんってどうしてそんなに背が高いんですか?」
趙雲「…小さいほうがかわいくていいよ……。」
劉禅「ふ〜ん、そうなのかなぁ?
   それとさぁ、びぃちゃんも一緒につれてってくれるよね?」
趙雲「う、うん……。(ドキドキドキ……)」
趙雲は猫を抱きかかえようとするが、逃げられてしまう。
趙雲「………なぜ?」
劉禅「あ〜っ、びぃちゃん、逃げちゃったよ〜。」
趙雲「追いかけなくては!」
謎の声「追ってはいけない。ネコの気持ちを察してあげるのだ。」
趙雲「(……誰!?)」
謎の声「あのネコは、自らの身を挺して阿斗の居場所を伝えに来たのだ。」
趙雲「(ええっ……!?でも、びぃちゃんが生徒会に捕まってしまう。)」
謎の声「君はネコの好意を無にするのか?まずは無事に阿斗を送り届けるのだ。」
劉禅「趙雲さん、どうしたの?ボーっとしちゃって。」
趙雲「いや……何でもない。劉禅ちゃん、しっかりつかまっていろよ。」

迫り来る生徒会の大軍を目前にしながら、趙雲と劉禅の逃避行が始まるのであった。

(つづく)

90 名前:一国志3:2002/12/23(月) 02:48
>>89の続きです。


劉禅を背負いながら、生徒会の手から逃れようとする趙雲であった。
途中、夏侯恩から曹操所有の竹刀「青[金工]」を奪い、この竹刀を振るいながら、
晏明ら生徒会の追っ手を退ける。

劉禅「すご〜い!趙雲さんは無敵だぁ!」
張[合β]「哀れなるものよ。戦場の華となって散りなさい。
     曹操直属の五剣士の一、張[合β]儁艾ここにあり。」
趙雲「……………。」
劉禅「ねぇねぇ、戦場の花ってきれいなの?」
仮面をつけたまま、張[合β]が挑んでくる。
張[合β]「どうです?私と剣の勝負を受けてみませんか。
     美しき戦いになりそうですよ。」
趙雲「(今は劉禅ちゃんを送り届けるのが先だ。)
   ……断る。」
張[合β]「敵を目の前にして逃げ出すとは、美しくありませんねぇ。」
趙雲「しっかりつかまって、劉禅ちゃん。」
劉禅「は〜い!がんばれ趙雲さ〜ん。」

しかし、趙雲たちが逃げた先には落とし穴が仕掛けてあった。
趙雲「ああっ……。劉禅ちゃん、大丈夫か?」
劉禅「ううん、阿斗ちゃんはなんでもないよ。それよりも、上、見て!」
張[合β]「淑女たる私であっても、大義のためならば、時には醜い手段を
     使わざるを得ないのです。」
趙雲「………………。」
張[合β]「あなたがたには、万に一つの勝ち目もありません。
     これ以上あなたの名を辱めたくはありません。潔く降伏しなさい。」
劉禅「ねぇ、趙雲さん。どうすればいいの?」
趙雲「………だめだ。あくまでも帰宅部として……。」
張[合β]「そうですか。あなたに美しき散り際を提供しましょう。」
趙雲「(劉備部長………ごめんなさい。)」
張[合β]の竹刀が振り下ろされたとき、猫型の不思議な赤い光が趙雲を包む。
趙雲「………………!!」
張[合β]「し、竹刀がはね返るとは!?」
謎の声「今のうちに逃げるといい。」
趙雲「あなたはさっきの……。」
謎の声「ああ、名乗るほどのものではないが、阿斗の父です。
    娘が世話になっています。」
趙雲「お父さん…?劉禅ちゃんの?」
劉禅「あたしのパパ?学校には来てないよ。」
張[合β]「くっ、私の剣が通じぬとは…。醜い戦いはやめておきましょう。」
趙雲「(……ありがとう、お父さん。)」

生徒会の追っ手として、今度は曹洪が現れる。
曹洪「よっしゃ、趙雲ゲット〜!賞金が……。」
趙雲「ん……?」
曹洪「あんたが趙雲ね。おとなしく生徒会に降伏しなさい。
   あんたが生徒会に従えば、あたしも賞金十万元ゲットできるのよ!」
劉禅「ねえ、阿斗ちゃんの賞金はいくらなの?」
曹洪「あんたは無能だから賞金ゼロよ。ってわけで、あたし的には価値ないの。
   曹操さんが惚れこんでいる関羽なら、賞金百万元よ!いつかは説得して…。」
趙雲「悪いが、付き合っている暇はない。」
曹洪「ふふふ………。逃がすものですか。あんたの弱点は調査済みよ。
   行け〜っ、『百万の青州兵』!!」
曹洪の号令とともに、無数の猫たちが趙雲めがけて一斉に襲いかかる。
趙雲「あ……噛み猫!」
劉禅「あ〜〜っ!ネコの爪はバイキンがあって!
   おばあちゃんがひっかかれてすごいはれて!」
猫たちが趙雲に飛びかかろうとしたとき、行方不明だったびぃちゃん(劉備の飼い猫)
が立ちはだかる。
趙雲「……びぃちゃん!?」
びぃちゃんは渾身の力を振り絞って雄叫びをあげる。
その気迫に押されて、猫の大群は四散してしまう。
趙雲「(猫を抱きかかえて)……ありがとう。」
だが、この瞬間、びぃちゃんは息を引き取ったのであった。
趙雲「うそだ………。」
劉禅「死んじゃったの?」
曹洪「まあ、所詮、ネコはネコね。役に立たないったらありゃしない。
   趙雲、今度こそおとなしく生徒会に降伏しなさい!」
趙雲「(睨み付ける)」
曹洪「い、いや、なんでもないです。(せっかく賞金もらえると思ったのに〜)」

生徒会の追っ手を振り切り、何とか長坂橋までたどり着いた趙雲と劉禅であった。
趙雲「……劉禅ちゃんを連れてきた。でも、まだ追っ手が……。」
張飛「よ〜し、あとはオイラに任せとけ!」
長坂橋は張飛に任せ、趙雲は劉禅を劉備の元に送り届ける。
趙雲「……劉禅ちゃんは無事です。でも、びぃちゃんが……。」
劉禅「お姉ちゃ〜ん!会いたかったよ〜!」
劉備「どアホ!おまえは何遍、人に迷惑かけたら気が済むんや!」
劉備は劉禅の頭をハリセンで、これでもかというほどにどつきまわす。
劉禅「え〜ん、え〜ん…。お姉ちゃん、痛いよ〜。」
趙雲「あの……、そんなに叩かなくても。」
劉備「こいつのせいで、危うく優秀な部員を一人失うところやったんや。
   え〜い、叩いても叩いても叩き足らんわ。」
諸葛亮「劉備部長、お気持ちはわかりますが、気を静めてくださいませ。
    ただでさえ足りない劉禅ちゃんの頭の中身が……。」
劉備「…す、すまん。つい、ウチとしたことがカッとなってもうてな。
   そうか、びぃちゃんが亡くなったんか。
   そこらへんに埋めとくしかできへんな……。」
趙雲「私のせいで……。」
劉備「いや、趙雲のせいやない。気にしたらあかんで。」
諸葛亮「気を取りなおして進みましょう。江夏棟まではあと少しです。」

江夏棟にたどり着いた劉備たちは関羽と合流し、舞台は赤壁島に進むのであった。

(おわり)


*張[合β]のキャラは三国無双を参考にしました。(実は未プレイですが)

91 名前:★ぐっこ:2002/12/24(火) 01:21
おお、コレは力作!
オールあずまんがですが…あずまんが知らない人はちとキツイかも…
そういえば、長坂消したままだったな…(^_^;) いや、殺伐よりも、こういう
のんびりした活劇を目指しておりますので、演義のほうは、たぶんこっち
に近いものになるでしょう〜。

ナル張[合β]…その手があったか。

92 名前:惟新:2002/12/27(金) 16:59
ナル張[合β]Σ( ̄□ ̄;)
そこ来るとはとてつもなく予想外でしたが(^_^;)
てか、張[合β]は三人いるという説も…
それはさて置き、私はあずまんがわかりますので(^_^; 楽しんで読ませていただきました。
けっこうパロディって入れられるものなんですね〜勉強になりましたですよ。

93 名前:教授:2003/01/07(火) 23:48
■■親友 〜黄忠と厳顔〜■■



 夕暮れの巴西棟。
 その屋上に一人の女性が物憂げな表情で眼下に広がる景色を見ている。
 大人びた容姿、風に靡く艶やかな髪に凛とした顔立ち。
 彼女の名は厳顔。
 劉備率いる帰宅部連合の中でも名うての人物だ。
「帰宅部連合に加わってから…色々な事があったわね…」
 小さく呟き、柵を背にもたれかかった。
 現在の主、劉備玄徳の益州校区攻め…漢中アスレチック戦…。
 厳顔が活躍した場はそれ程多くはない。
 しかし、それは彼女の中で生涯忘れる事のない出来事。
 大切な記憶なのだ。
「学園生活の最後に楽しい思い出が出来たかな…」
 感慨深く言葉を紡ぐと深く息を吐いた。
 と、屋上のドアがゆっくり開く。
「ここにいたのね。話って何?」
 ドアの向こうから大人しそうな印象のウェーブがかった髪の女性が姿を見せた。
 だが、その格好は少し変わっていた。
 ――弓道着。
 練習中だったのだろう、制服姿の厳顔とは明らかに違う。
 厳顔は親友の姿を捉えると優しくも哀しげな眼差しを向けた。
「漢升…忙しい所呼び出したりしてすまないね」
「それはいいけど…珍しいわね。貴方が大事な用事があるなんて…」
 厳顔は特に大事がない限り自分の用件は後回しにする。
 それが人づてに修練中の黄忠を呼び出したのだ。
 漢升…黄忠は厳顔の心中を察してか茶化すような事はせず、真面目な顔を見せる。
 余談だが二人は3留というかなり不名誉な経歴を持つ。
 それが故か学園内で年増コンビ呼ばわりされる事が多々見うけられた。
 憤る黄忠、それを宥める厳顔。
 無論、厳顔も腹が立たないという事はない、所詮は人間だ。
 しかし、彼女が怒りを露わにする事は滅多にない。
 以前、理由を劉備に尋ねられた。

『厳顔の姐さんは何で怒らんのや? ああも言われ続けたらいい加減キレるやろ…』
『総代…私と漢升の二人ともが怒り狂ってちゃ歯止めが利かないでしょ? だから私が気にしないようにして抑え役に回ってるってわけ』
『そんなん…腹にたまって気分悪いやろ。ウチが言わさんようにしたるさかいにな…』
『気を遣ってもらわなくてもいいよ。人の口に戸は立てられない…昔から言うでしょ。別に諦めてるとかいうわけじゃないわ…ホントの事だし』

 その時は苦笑いをしてやんわりとしていた。
 劉備も大人やなぁと感心した程だ。

94 名前:教授:2003/01/07(火) 23:51
 それから後も、年増発言は後を立たなかったが二人はいつも通り過ごしていた。
 周りからどう言われようとも、二人の仲は間違いなく良かった。
 同じ3留だからとか、年が同じだから…そんな陳腐な理由ではなく、本当に気が合う親友同士なのだ。

「総代よりも…先に貴方にだけは話しておきたかったから」
 厳顔は真っ直ぐに黄忠の目を見据える。
 黄忠もその言葉と真剣な眼差しを受け、それに応える。
 そして続きを促すように頷いた。
「私…ここで引退する事に決めたわ」
 ひどく重圧感のある言葉。
 だが、黄忠は取り乱さなかった。
 いつもと何ら変わらぬ姿勢を崩さない。
「そう…」
「…漢升は驚かないんだな」
 落ち着き払った黄忠を見て、却って厳顔の方が動揺する。
「ここに呼び出された時に…何となくそんな気がしてたからね」
 黄忠がどこか寂しげな笑みを浮かべて付け加えた。
「そっか…」
 厳顔はどこか嬉しいような安心したような気分になった。
 親友は自分の考えてたよりも、ずっと強い。
 引退しようとは前々から考えていた。
 だけど、自分の言葉で親友の心を乱すような事があれば…今後の指揮系統に支障を来たすかもしれない…。
 そんな事が脳裏を過ってなかなか言い出せなかった。
 でもその考えは杞憂に過ぎなかった。
 だが…黄忠はそんな事を言ったのだ。
「それじゃ…私も一緒に引退しようかな。年が年だしね」
 ひゅうと吹いた一陣の風が二人の髪を大きく靡かせた。
 一瞬の沈黙の後…厳顔はその言葉に首を横に振る。
「まだ…貴方は駄目」
 ここで初めて黄忠の瞳に動揺の色が表れた。
「何でなのよ…。貴方が引退するのは自由…私が引退するのも…」
「自由だ…って言いたいの? 貴方にはまだ大事な仕事が残ってるわ」
 厳顔は神妙な表情で黄忠の言葉を遮った。
「大事な…仕事?」
 黄忠は自分の言葉を先に言われ、どうしたらいいのか分からないような顔で聞き返す。
「そう…大事な仕事よ。貴方には…まだ後輩達への指導がある」
「そんな…そんな事なら貴方にだって…!」
 感極まって普段出さないような大声を張り上げて厳顔の肩を掴む。
 その顔は悲壮感で一杯だった。
 厳顔はゆっくりと首を振ると、言葉を紡ぎ始めた。
「貴方じゃないと出来ない事よ…。荊州校区の生徒に関しては私は全く分からない、何よりも貴方の方が私より優れてるし…他の誰よりも経験が豊富だから」
「それなら…二人でやればいいじゃない! それが嫌なら貴方は益州校区の生徒達だけでも…」
「…この校区の生徒達には早く総代達に慣れてもらいたいの。それに私はもう十分役目を果たしたわ…だから、ここで身を引くの」

95 名前:教授:2003/01/07(火) 23:51
「一人より二人の方が指導も…」
「漢升…分かって…」
 確固たる信念と決意、そして哀しく淀みのない眼差し。
 澄んだ瞳から発せられるどこまでも真っ直ぐな想いは黄忠の心を射抜いていた。
「………」
 黄忠は厳顔を掴む手を離すとそっぽを向いてため息を吐いた。
 そしてくるりと向き直る。
 悲壮感のない、苦笑いだ。
「しょうがないわね…貴方の気持ちは分かったわ。後は…私に任せなさい」
 力強く言い放つ。
「頼んだよ……あ、それから」
「何?」
「年増やおばさん呼ばわりされても怒るなよ〜。もう、宥める役はうんざりなんだからさ。引退してから呼び出されても困るしね」
「そんな事、保証できないわよ」
 思わず吹き出す二人。
 彼女達の明るい笑い声が屋上に響いた…。


 翌日、厳顔は劉備の元へ赴き理由も告げず自らの階級章を返上した。
 勿論、劉備や他の幹部達は厳顔を引き止めようとする。
 厳顔は振り返る事なく、ただ一つだけ皆に言い残し…。
「後は若い子に任せるわ、それじゃ」
 そして、静かに去っていった。


「………」
 黄忠は去り行く親友の背中を見送る。
 ――無意識の内にに涙が頬を伝った。
 はっと我に返り慌てて涙を拭う黄忠。
 誰にも見られていないかと内心ひやりとしたが、幸い誰も気付いていない様子に安堵の息を吐く。
 …と、劉備が黄忠の服の裾を引っ張った。
「漢升はん…ちーと話あるんやけど」 
「…総代?」
「ここやとなんやし…ちょっと奥まで来たって」
 黄忠は引張られるがままに会議室の奥の部屋に連れ込まれる。
「総代…何の用です…」
「漢升はん、あんた…厳顔の姐さんの引退の理由…知っとるやろ」
「…っ!」
「やっぱりやな…。理由も言われずにコレを返されても…かなわんわ。…理由…聞かせてくれへんか?」
 劉備の放つ威圧感に気圧される。
 黄忠は重い口を開き始めた。
「彼女…引っ越すんです。ここからずっと遠い所に…」
「そないな事やったら…言うてくれてもええのに…」
「静かに去りたかったそうです…」
「…ウチら騒がしくしたか?」

96 名前:教授:2003/01/07(火) 23:52
「…送別会が嫌だったんじゃないですか? 彼女なりに気を遣ってくれてるんです…『私なんかの為に予算使わなくてもいいよ』って…」
 その言葉に劉備は深いため息を吐いた。
「厳顔姐さん…こないな時にまで遠慮せんでもええやん…」
 呟くように言うと黄忠に暫く一人にしてくれと告げる。
 黄忠は頷くとそのまま部屋を後にした。


「………」
 黄忠の足は部室に向かっていた。
 いつも隣に居た厳顔はもういない。
 果てしない喪失感が心を支配している。
 少しでも気を紛らわせたい。
 そんな一心で部活動に励もうとしていた。
 道場の方からは既に気合いの入った声が聞こえている。
 もう練習は始まっているのだ。
 急いで更衣室に入ると、自分のロッカーを開く。
 そこには…自分の弓道着と弓、そして見慣れない竹刀袋と手紙が添えられていた。
「何かしら…」
 手紙を開く。


『漢升へ

 私がここにいなくても心はずっと傍にいるよ

 辛くなっても漢升ならきっと乗り越えられる

 がんばれ!

 私の竹刀…置いて行くから、使ってあげてね

 その子も喜ぶと思うし

 それじゃ…また何処かで会おうね!

 親愛なる友人、黄忠漢升へ…   厳顔』


「厳顔…」
 手紙の文字がぽつりぽつりと涙で滲んでいく。
 そして竹刀袋を開き、中から竹刀を取り出す。
 見間違える事はない、親友が振るっていた竹刀だ。
「う…うう…」
 黄忠は溢れる涙を抑えられなかった。
 ただ、声を殺して泣いた。
 親友の残してくれた竹刀と優しい別離の手紙を抱きしめて…。
 

「漢升…総代…そして皆…元気でね」
 荷物をまとめたバッグ(大体の荷物は既に小包にして実家に送ってある)を肩に引っさげた厳顔。
 益州校区が見える場所から静かにその景観を眺めている。
「楽しかったよ…こんなに胸が一杯になる程…」
 踵を返すと止めてあったバイクに跨る。
 ヘルメットを手にし…もう一度振り返った。
「漢升…私達はずっと親友だからね…。そう…遠くにいても…」
 厳顔の頬を涙が伝い落ちる。
 その涙を拭う事無く、そのままヘルメットをかぶると勢い良くエンジンをふかせた。
「…じゃあ…またね!」
 誰にともなく言うと、一気にアクセルを絞り込んだ…。

97 名前:教授:2003/01/07(火) 23:54
あとがき

長くなりました。しかも稚拙で申し訳ないです。
厳顔の引退で非常に悩みましたが、引越しという形にしてみました。
多分、これは賛否両論になりそう…。

98 名前:惟新:2003/01/08(水) 18:23
ゲンガ━━━━━━(T∀T)━━━━━━ ン!!!
ええもん読ませて頂きました!
最後の手紙はぐっと来ますなぁ…こりゃ名文や…

えーっと、引退方法ですか?
引越しということは転校なんでしょうか。引越しの理由にもよりますねぇ…
1、家庭の都合(転勤等)
2、特に家庭の都合はなく、自主的な転校のため
問題があるとすれば2で、3留した挙句転校されるのは親御さんが大変ですが…
でもまぁ3留を許した親御さんです、寛大に許してくださるでしょう(^_^;)
というわけで、特に不都合もなく、別にいいのでは? と私は思うのですが。

そーいや3留ってことは私と同級生の年頃なんだなぁ(^_^;)

99 名前:★ぐっこ:2003/01/08(水) 23:03
ええ話や…・゚・(ノД`)・゚・
ていうか親友同士だったんですね…姉さんコンビ…
黄忠もさびしさひとしおでしょうに…

引っ越しは問題ありませーん。というか、そう次々とリタイヤするのも
アレなんで(^_^;) そういうのもアリにしましょう!

100 名前:教授:2003/01/08(水) 23:06
書き漏れで恐縮してます。
家庭の都合(親の転勤)で引っ越す事になってます。
それも国内ではなく海外という事でして…。
投稿した後で気がつきました、大失態申し訳ないです。

101 名前:アサハル:2003/01/09(木) 21:10
乗り遅れたあ!!

厳顔姐さん格好よすぎ・・・
竹刀を置いていくということは、引越し先では
剣はやらないんでしょうか・・・
海外だから武具の店もないだろうし・゚・(ノД`)・゚・

てか、ここから帰宅部陣営、引退者続出するんですよね・・・
切ない・・・

102 名前:項翔:2003/01/09(木) 22:56
...厳顔さん......。

......大人......(T_T)

残(遺)した手紙と黄忠の涙、二輪と厳顔の後ろ姿...。

......感動です......っ!

>教授様
かッ、海外に引っ越しですか!?
家具や思い出の荷造りも大変かもしれませんが、どうか頑張って下さい!

103 名前:教授:2003/01/09(木) 23:58
拙い文章に素晴らしい感想、感謝感激です。
これからも頑張って書きますのでよろしくお願いします。

項翔様>

いえ、私が引っ越すのではなくて…(^^;)
文中の厳顔の事です、微妙な描写すいません。

104 名前:彩鳳:2003/01/10(金) 20:20
すみません。完全に遅れましたね。(--;

 厳顔姐さん・・・潔い!!
帰宅部に来る時も格好良いけど・・・去る時も鮮やかですね。

>アサハル様
海外で竹刀・・・4年前、カナダの農場で1ヶ月バイトした時に
(タダ働きでしたが)夜、どこかのチャンネルのKー1を見てたら、
竹刀持って乱入した兄ちゃんがいました。見ているこっちは「はぁ!?んなの
アリかい!」て心境でしたが、試合の方は武器アリなので
かなりやばかった(容赦無し)のを覚えています。
すみません。厳顔姐さんとは全然関係ありませんね(^^;

105 名前:教授:2003/01/11(土) 00:00
■■ 関羽の巫女さん ■■


 日曜日の午前中、場所は常山神社。
 境内で巫女服に身を包んだ少女がせっせと箒を動かしていた。
 彼女の名前は趙雲子龍。
 帰宅部陣営に属する薙刀の達人だ。
 それと同時にこの常山神社の一人娘でもある。
「子龍、頑張ってるな」
 ふと趙雲が顔を上げると長く艶やかな光沢を放つ黒髪の女性が立っていた。
「関羽さん、おはようございます」
 丁寧に礼をする趙雲。
「うん、おはよう。今日はこの間借りてた本を返しに来たんだ」
 関羽は持ってきた鞄を開くと、中から分厚い本を取り出す。
「折角の休日に持ってこられなくても学校で渡してくれれば良かったのに…どうもすみません」
「いや、暇だったしな。返せる時に返しておかないと」
 関羽は微笑むと本を趙雲に手渡す。
 と、関羽がある異変に気付いた。
「子龍…熱があるのか?」
「え? …いえ、大丈夫ですよ」
 苦笑いしながら言葉を返す趙雲。
「………」
 無言のまま関羽は趙雲の額に手を伸ばす。
 ひんやりとした感触が額から全身に伝わる。
「やはりな…。体調が悪い時くらいゆっくり休みなさい」
「…今日は両親が用事で出かけてますので…私が掃除とか管理をしないと…」
「責任感が強いのは立派な事だけど、倒れでもしたら元も子もないわよ」
 関羽は諌めるように声を掛けると、少し考え込む。
 そして、意を決したように口を開いた。
「今日は…私が変わってあげるわ」
「そんな…悪いですよ…。私なら大丈夫ですから…」
 趙雲は気丈にそう答えるが、激しく咳き込んだ。
「説得力ないぞ。今日する事を言ってちょうだい、私が変わりにやっておくから」
 優しく微笑みかけると関羽は趙雲を抱き上げる。
「すみません…」
 趙雲は申し訳なさそうに謝ると、作業の指示を関羽に伝えた。

106 名前:教授:2003/01/11(土) 00:03
「さて…趙雲はあれでいいとして…」
 関羽は趙雲を部屋まで運び(巫女服から猫柄のパジャマに着替えさせた)、自分が着るべき巫女服を見下ろした。
「サイズ…合うかな」
 巫女服のサイズを気にしながらも袖を通していく。
 案の定、彼女に見合ったサイズの服が見つからない。
「困ったな…」
 苦笑いを浮かべながら巫女服を漁る関羽。
 幸いにも関羽の体躯に合う巫女服を見つけ、着る事ができた。
「………髪も括った方がいいか」
 鏡を見ながら髪の先端を藍色のリボンで括る。
 出来あがった自分の姿を映しながら苦笑い。
「…我ながらはまってるな…」
 ため息混じりに呟くと箒を片手に境内に出た。
「こうして見ると広いんだな…境内って」
 内心、挫けそうだったが黙々と箒掛けを始める。
 ある程度は趙雲がやってくれているとはいえ、その量は半端ではない。
「これを…趙雲は一人でやっていたのだな…」
 感心しながら箒を動かす。
 黙々とひたすら掃除を続けていたおかげか、1時間余りで8割辺りを消化できた。
「これは翼徳には絶対ムリだな…」
 張飛が1時間以上も単調な作業を続けたら壊れそうだな…と思いくすくすと吹き出す。
「後は…境内の裏か」
 足早に境内の裏手に回る。
 しかし、そこは既に趙雲が掃除した後のようで綺麗に箒掛けされていた。
「こっちは済みか…」
 関羽が境内の方へ戻ろうと踵を返した時だった。
「孟徳! あんまり走りまわるな!」
「分かってるって!」
 聞き覚えのある声にぎょっとする。
 思わず関羽は身を隠してしまった。
「……まさか」
 境内の陰からそーっと顔を覗かせて声の主を確認する。
「今日は巫女さんいないよー?」
「中で掃除してんだろ? 邪魔しちゃ悪いから用事だけ済ませたらさっさと行くよ。淵も下で待ってるんだからさ」
 そこにいたのは生徒会長こと曹操とその右腕、夏侯淳だった。
 関羽は再び隠れ直すと心を落ちつかせる。
「お参りか…? よりにもよってこんな時に…」
 間が悪いとはこのような事を言うのだろう。
 しかし、関羽の不運はまだ続く。
 もう一度様子を窺おうと顔を覗かせたところ…
「あ…」
「うっ」
 曹操と思いきり目が合ってしまった。
「関羽見っけ〜」
 とてとてと走りながら関羽の傍までやってくる曹操。
 関羽の姿を見るなり、はしゃぎまくる。
「わぁ♪ 綺麗だね、巫女服」
「か、会長…」
 はしゃぐ曹操に困惑する関羽。
 それ以上に、こんな姿を見られたという恥ずかしさがあった。
 曹操は更にとんでもない事を口にした。
「私も着たい」
「ち、ちょっ…それは…」
 言い出したら聞かないのが曹操。
 不可視のオーラが関羽を包みこむ。
 しかし、神はまだ関羽を見捨ててはいなかった。

107 名前:教授:2003/01/11(土) 00:04
「わ、悪いな…関羽」
 危機的状況の関羽の元に夏侯淳がやってきて曹操を担ぎ上げた。
「わーっ! まだ話があるのに〜!」
「だから、まだ用事があるって言っただろー! 行くよ!」
 夏侯淳に担ぎ上げられた曹操はじたばたと可愛い抵抗をしながらも、そのまま連れて行かれた。
 一瞬の出来事に呆然とする関羽。
「こ、これは…助かったのか…?」



 曹操達が去ってから3時間後。
 関羽は掃き集めた落ち葉で焚き火をしていた。
「はぁ…人心地着いた気分ね…」
 既に境内の雑巾掛けや窓拭きを終えている。
 のほほんと落ちついていると、境内の方から見慣れた人物が何人も姿を見せた。
「おーい、関さーん」
 劉備だ。
 両サイドと後ろに張飛、劉禅、簡擁が付いてきている。
「義姉者、こっちです」
 関羽が手を振りながら4人を呼ぶ。
「うわっ、関さん…何で巫女服着てるんや?」
「これには事情がありまして…そこっ! 写真撮影禁止!」
 簡擁からデジカメを没収する関羽。
「ちぇっ…折角いいもの撮れると思ったのに」
 不貞腐れる簡擁。
「関羽おねーちゃん…趙雲おねーちゃんは?」
 劉禅がきょろきょろと趙雲の姿を探す。
「子龍ですか? 今…熱があるみたいで部屋で休ませてます」
 その答えに泣きそうな表情を浮かべる。
「えー! 大変だよ、死んじゃうの?」
「アホ! 神社で不吉な事言うな! 簡擁、悪いけどこいつと一緒に子龍の様子を見に行ったって」
「御意」
 簡擁は劉禅の手を引きながら神社の中に入っていった。
 さながら、迷子を連れて歩くデパートの従業員のようだった。
 だが、この時は誰も気付いていなかった。
 簡擁の懐にもう一つデジカメが忍ばされていた事に…。
 二人を見送って劉備が関羽に向き直る。
「まあ、なんや。事情は分かった気がするわ…子龍のヤツ、風邪引いとったんやな?」
「ええ。熱があるのにも関わらず仕事をしてましたから…大事を取って休ませました。よって、彼女の仕事を私が引き継いでやっていたんです」
「うん、よう分かったわ。大変やったな、関さんも…お疲れさん」
 劉備の労いの言葉に嬉しさを隠し切れない関羽。
 ふと、さっきから喋らない張飛に気付く。
「翼徳、何で喋らないんだ?」
「………」
 張飛は関羽の問いに答えず、ただ左頬を押さえていた。
「あー、このアホな。虫歯にかかりよったんや」
 劉備が屈託なく笑いながら張飛の左頬を突つく。
「んーっ!」
 張飛は激しく抵抗。
「ほな、関さん。ウチはコイツ連れて歯医者行ってくるわ」
「そうですね、早く連れて行ってあげてください」
 関羽は二人を見送ると晴れ渡った青空を見上げた。
「こんな平和が続けば…。ふふっ…無いものねだりか」
 不敵に微笑むと箒を片手に社の中に姿を消して行った…。


おまけ

「趙雲おねーちゃん、大丈夫?」
「アトちゃんがお見舞いに来てくれたから、すっかりよくなりましたよ」
 微笑ましい光景。
「…………」
 趙雲に気付かれないようにデジカメを回し続ける簡擁。
「………(宴会の席で流そうかな♪)」
 邪だった。

108 名前:教授:2003/01/11(土) 00:07
あとがき

えーと、まずはごめんなさい。
関羽と簡擁の性格が微妙になってます。
全体的に見ても非常に拙いので…ホント、申し訳ないです。

109 名前:惟新:2003/01/13(月) 01:02
>(巫女服から猫柄のパジャマに着替えさせた)
こうしたさりげない萌えポイントが光ってます(^_^;)

…で、巫女さん関羽キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!
うおぉぉインスピが! インスピが舞い降りてまいりやがりましたよ!
ロクなの描けないけど描きてぇっ! 描きたいけど当分暇がねぇっ!
こ、この溢れかえる欲情(え?)をどこにぶつけたらいいんだぁああ!!
……ぷしゅ〜


落ち着きました(^_^;)
前回に引き続き…いいじゃないですか〜!
欲を言えば最後にもうひとつ何か欲しかったですが…
でも! 存分に萌えさせていただきました!
熱っぽい趙雲タンと巫女関羽タン…
ぐあぁ…!!(再暴走

110 名前:アサハル:2003/01/13(月) 01:57
簡雍!グッジョブ!!(そっちかよ!!)

趙雲かわええ〜・・・
関羽姐さんもかっこええ・・・
巫女ブーム到来の予感。
そして惇姉に担ぎ上げられる(私この辺ネコみたいに
首根っこつかまれて持ち上げられている所を連想した)
曹操がまたかわええ・・・。

私も同じく存分に萌えさせて頂きました。ごちそうさまでした(・∀・)

111 名前:★ぐっこ:2003/01/13(月) 15:42
おなじくゴチです教授様!
(;´Д`)ハァハァ…いいなあ…もう…萌える…
簡雍もイイ感じだ(^_^;)

さて…はやいところガンパレ熱を沈静させて学三補強にかからねば…

112 名前:惟新:2003/01/13(月) 17:20
結局描いちまいやした…
http://members.jcom.home.ne.jp/holly-night/kannu.GIF target=_blank>http://members.jcom.home.ne.jp/holly-night/kannu.GIF
シチュは「写真を撮ろうとした簡雍を叱る関さん」
真っ白なのはCGに慣れたら彩色しようという小さな野望です(^_^;)

…良く考えたら玉川様やアサハル様におねだりした方が良かった罠。

113 名前:惟新:2003/01/13(月) 18:05
改めて読み直してみたら箒は持ってそうにないですねぇ…
デジカメを持たせるべきであったと反省。

114 名前:郭攸長若@凡ミス:2003/01/13(月) 23:24
■信念と迷い

黄巾事件は終わった。
だが、蒼天学園を取り巻く動乱は既に収拾不可能な所まで来ていた。
黄巾事件の収拾に貢献し、その名声を学園中に轟かせた少女・皇甫嵩。
終わりを知らぬかのように思えるその動乱に、彼女は一人思いを馳せていた。

コンコン。
部屋の戸が叩かれる音、気が付けば時間は夜の九時を回っていた。
「先輩・・・私、閻忠です。ちょっとお話宜しいですか?」
「閻忠か・・・あぁ、入れ」
不機嫌なようにも思えるぶっきらぼうな態度、彼女にとっては普通であった。
後輩である閻忠もそれを知っているからこそ、何も言わずに扉を開けた。
「失礼します・・・」
閻忠は靴を脱いで部屋に上がった。
どこか真剣な面持ちだがそれは彼女とて同じこと・・・いや、もしかして閻忠も同じようにこの動乱に思いを馳せていたのかもしれない、彼女はふとそんなことを思った。
「何か飲むか?」
「いえ、すぐお暇しますのでお構いなく・・・」
僅かな沈黙の末、閻忠が口を開いた。
「先輩、チャンスってとても貴重な物なんですよ」
唐突な話だった。
閻忠という少女は唐突に話を切り出す節がある。
だから彼女もそれを心得ていた。
だがそれにしても、今までにない唐突な切り出し方である。
困惑する彼女をよそに閻忠は言葉を続けた。
「この学園をリードしてきた人達は皆、チャンスを上手く掴んだからこそそれが出来たんです。どうして先輩は、こんなチャンスを前にしながらそれを掴もうとしないんですか?」
「どういうことだ・・・?」
閻忠のかつてない勢いに押されながらも、彼女は口を開いた。
閻忠は言葉を続けた。
「この学園をリードするのに地位なんて関係ありません。先輩のような功績を挙げられる人が、あんな生徒会長のような能無しの下にいるなんてあってはならないことです! 先輩の威光は生徒会中に広がり、学園の外にまで聞こえ渡っています。多くの生徒達が先輩に注目し、先輩の為に尽くそうといきり立っているんです。それなのにあんな会長の下にいて、どうやって無事に学園生活を終えることが出来るんですか!」
閻忠の声は、興奮で高ぶっていた。
「私は生徒会に付いて行くと決めた人間、その心を忘れることはない。なのに何故そんな事を言う・・・!」
彼女は高ぶる感情を抑えて言い返した。
それに対し、閻忠もまた言い返す。
「それは違います! 昔、韓信先生は劉邦先生から受けたもてなしを裏切ることができず、蒯通先輩の言葉を拒否して、旧蒼天学園の勢力を三分するチャンスをむざむざと見逃しました。今、生徒会の勢いは当時の劉邦先生や項羽先生より弱く、先輩の力は韓信先生よりもずっと強大です。ですから先輩が立ち上がれば風雲のような勢いを巻き起こすことができるんです。学園中をまとめ上げ、生徒会を掌握し、蒼天会を押しのけて先輩が学園トップの座に就くこと、これこそチャンスを生かす最高の決断です! 先輩のような聡明な人が事態を見極めず、チャンスに先手を打たなければ、必ず後悔することになるはずです。それではもう手遅れなんですよ!」
感情を抑えず、精一杯力説した閻忠は息を切らしていた。
「先輩・・・」
彼女の目は真剣であった。
しかし彼女は何も言わない、ただその真剣な眼差しを閻忠に向けているだけだった。
「し、失礼しました!」
居たたまれなくなった様子で、閻忠は部屋を出て行った。
そして閻忠が部屋を出て行った後・・・。
「私がそんなことをしたって、学園は変わらない・・・いや、変われないさ・・・」
彼女は一人呟いていた、自分に言い聞かせるようにして。

115 名前:郭攸長若@凡ミス:2003/01/13(月) 23:42
皆様がオリジナリティ溢れる文章を書いておられる中、一人原文まんまパクリ・・・皆様の「しょ〜とれんじすと〜り」とは別種の「せっていすと〜り〜」として受け入れていただければ幸いです。
学園の平和を誰よりも願う少女、一度決めた信念は何が何でも貫き通す少女、それが私の抱く(学三での)皇甫嵩のイメージです。
一方の閻忠、実際には皇帝を批判しているはずなのですが「学三」における「蒼天会長」には実権がないので何進批判をして頂きました。
偉大なる先輩・皇甫嵩を尊敬してやまない少女、それが閻忠のイメージなんですが・・・ぶっちゃけた話、榊さんを慕うかおりんが頭に出て来てたり(爆)

で、最後に韓信についての語りなのですが・・・。
またも勝手な設定です。
私の中の設定では「蒼天学園」は昔「前漢市」にあり、劉邦先生や項羽先生は学生時代をそこで過ごしたということになっています。
つまり、劉邦・項羽・韓信・張良etc・・・は皆、蒼天学園の卒業生ということです。
この内容はここに書くことではないかもしれませんが、いかがなものでしょうか?

116 名前:教授:2003/01/14(火) 00:10
郭攸長若様>

うひゃあ…整った文体、読ませる内容…感服です…。
皇甫嵩&閻忠とは…考えもしなかった。
閻忠たんが熱い…達観した皇甫嵩たんもかっこいいです〜。
劉邦や項羽…あんまし大きな事言える身分でもないですが、その設定はかなりイケてると思います。

117 名前:教授:2003/01/14(火) 00:11
レス書き忘れ、誠に申し訳ないです。

維新様>

う、巫女関羽たん…ハァハァ。
いかん…暴走しそうだ…。
愛が感じられます、萌え〜…。

118 名前:★ぐっこ:2003/01/14(火) 23:41
皇甫嵩たんキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!
一時期は朱儁を凌ぎ董卓をも圧倒し、天下に最も近かった英傑!
従姉の皇甫規をも上回る声望にめぐまれ、「蒼天会長に」と
熱狂的に支持する生徒達もいたとか。

ちなみに演義での彼女は、格技研所長。バリバリの武断派であります。
イメージぴったり!

119 名前:惟新:2003/01/14(火) 23:54
ぶっきらぼうなしゃべり方萌え〜!!!
……
ハッ! いかんいかん…
え〜徳高き名将、皇甫嵩タンのご登場です!
この方には「内に秘めたる思い」があるように感じています。
彼女は何を思っていたのか…それを語るは大変意味があるかと!
…もしかすると私が皇甫嵩を掴みきれてないだけなのかもしれませんが(^_^;)

そんでもって閻忠タン! 賈[言羽]を見出したのも彼女でしたっけ。
王国が皇甫嵩に敗れた後、代わりに担がれたのが閻忠タンというのは、運命の皮肉を感じますねぇ…

>教授様
感想どうもです〜!
実は、司馬遷先生を描くまで自分がイラスト描けたことをすっかり忘れてました(^_^;)
思い返してみると半年くらい絵を描いてなかったんですよね。
「絵を描くってこんなに楽しかったんだよなぁ…」とか「そういや俺の絵柄ってこんな感じだったなぁ」とか、
思い出し思い出し描いています。
…せっかく思い出したのにこれから学業が修羅場に突入し、また忘れてしまいそうな罠。

120 名前:教授:2003/01/17(金) 22:54
■■宴会 −その後−■■


 日曜日の朝。
 けたたましく目覚し時計が部屋に鳴り響く。
「う…うん…」
 二段ベッドの上側で寝ていた少女は音の発生している方に手を伸ばす。
 何度か空やあらぬ所を掴みながらも、ようやく目的の物を掴む。
「…七時前…」
 寝ぼけ眼の法正は横になったまま顔をしかめて呆けていた。
「折角の日曜日なのに…何で目覚ましをセットしちゃったんだろ…」
 ゆっくりと上体を起こす。
 頭を鈍器で殴られたような、シェイクされたような重い痛みが走った。
「いたた…」
 額を手で押さえる。
 …と、視界の先に見知った人物がいた。
 その人物は玄関のドア辺りで、不思議な寝相でいびきをかいていた。
「…張飛さん?」
 何故、ここに張飛がいるのだろう…。
 法正は必死に記憶を整理しようと試みるが、ある時間からぽっかりと記憶に欠落が生じていた。
 そればかりか、考えれば考えるほど頭痛がひどくなる。
「だめ…思い出せない…」
 気分が悪くなりそうなので、思い出す事をやめる法正。
 大きく深呼吸をして気持ちを落ちつける。
 幾分か冷静さを取り戻すと、二段ベッドから降りた。
「あれ…? 私…こんな服着て寝てたの…?」
 自分の着ている服に戸惑いを隠せない様子。
 下着を除いて、ぶかぶかのYシャツ(男物)のみ。
 世の男性諸君には、このスタイルの良さが理解できると思われる。
「なんで…?」
 頭の中をハテナマークが支配している。
 最早、冷静な思考は限りなく不可能になってきていた。
「と、とにかく…カーテン開けて…」
 照明を点けていない薄暗い部屋に採光する為、カーテンを開く。
 眩い日の光が法正の目に飛び込んでくる。
 今日も快晴のようだ。
 取りあえず、着替える為に振り返る。
「う…こ、これは…」
 その光景に思わずたじろぐ法正。
 二段ベッドの下の部分、ここに簡擁、劉備。
 キッチンには魏延、馬超、馬岱。
 クローゼットを開ければ、中から趙雲と劉禅が出てきた。
 いびきをかいて爆睡してる者から憔悴しきって青白い顔の者まで幅広く法正の部屋を埋め尽くしていたのだ。
 おまけにそこら中に酒の瓶やカン。お菓子の袋、食事の無残な残りカスが散乱している。
 さながら戦場の死体置き場のような凄惨さだった。
「いつから…いつから私の部屋がサバトになったのよーっ!」
 収集の付きそうもない自分の部屋を前に叫ぶしかない法正であった…。

121 名前:教授:2003/01/17(金) 22:55
「…で、誰か憶えてるヤツ…おるか?」
 劉備は部屋の片付けをしながら、同じく片付けをしている周りの人間に尋ねる。
「さっぱりだな」
「全然」
「思い出せないです…」
 これだけいるのに張飛、簡擁、趙雲の3人しか返事をしない。
 他は青い顔をしながら部屋の隅で首を横に振っていた。
「うう…何で私が…」
 法正は既に半べそで掃除をしている。
 服は着替え済みでジャージ姿になっていた。
「しゃーないやろ…動けるのはこんだけなんやし」
 劉備がゴミを分別しながら法正を宥める。
「昨日、アレだったろ? 漢中アスレチック戦の祝勝会。アレの打ち上げで呑んでたじゃん」
 珍しく張飛が核心に迫る発言をした。
「でも…何で私の部屋にいるんですか…」
 酒瓶を両手一杯に抱えて恨みがましい目で張飛を見る法正。
 その時、簡擁が一本のビデオテープを劉備に差し出す。
「…これは?」
「多分、撮れてるはずだから…」
「でかした! これで全ての謎が解けるわ!」
 ビデオテープを片手に狂気乱舞する劉備。
「見たいような…見たくないような…」
 法正は複雑な気分だった。
 その後、一通り後片付けと掃除が済んだのは昼前だった。
 その間に、グロッキーだった者が次々と復活。
 劉禅を残して全員が回復していた。
「ほな…始めるで〜」
 劉備はデッキにビデオを投入すると巻き戻しを開始する。
 無機質な音がやけに心に残る時間だ。
「正直…見たくないような…」
 魏延の呟きに何人かが頷く。
「謎を解く為や。多少の恥は我慢したってーな」
 御気楽気分の劉備が再生ボタンを押した…。

122 名前:教授:2003/01/17(金) 23:01
『おっしゃー! デキあがってきた所で二次会やーっ!』 
『どこでやるんだよー!』
 一升瓶を空けた劉備と張飛が異常なテンションで宴会場を闊歩している。
『………』
 グラスを傾けながらぶつぶつ言ってる魏延。
 かなり不気味。
『孟起〜! お高くとまってんじゃねぇぞ〜!』
『ああー…ご無体な〜…』
 酔った馬岱が同じく酔った馬超にジャイアントスイングをかましている。
『アトさん…私…体が熱いです…』
『趙雲おねーちゃ〜…ん〜…私もぉ…』
 抱き合いながら桃色の空気を出している趙雲と劉禅。
 それを遠くでほくそえみながら黄忠と厳顔、そして孫乾が見ている。
 テレビ画面越しにも止めるつもりが全くないのが伝わってくる。
 他の部員は既に撤収済みなのだろう、姿が見えない。
 と、カメラのファインダーの隅に窓から逃走を図ろうとする法正の姿が映った。
『法正が逃げる! 誰か捕まえろ!』
 簡擁の声だ。
 その声と同時に張飛が動く。
『ど〜こに…いくんだぁ!』
『ひゃあっ!』
 身を乗り出して逃げようとした法正の首根っこを張飛の手が掴んだ。
『逃げられると思っとんのか? 宴会はこれからやで!』
 劉備の前に引き出された法正。
 彼女の魔手が法正の服に伸びた。
 いやいやと首を振っているが張飛に羽交い締めにされて逃げ出せない。
『お、いい画像が撮れる!』
 一際高い声の簡擁、興奮しているようだ。
 今、正に法正のおへそが露わになりかけた…その時だった。
『年増って…年増って言うなーっ!』
『誰がおばさんだーっ! ふざけんなーっ!』
 絶叫のハモり。
 もうそれ以外に例えようのない叫びが宴会場に轟く。
 劉備も張飛も…宴会場にいた全員が絶叫の轟くポイントに目をやる。
 そこには黄忠と厳顔が一升瓶を片手にふらふらと立ち上がる姿があった。
 二人とも目が座り、野獣のような唸り声を上げている。
『か、漢升はん…?』
 劉備の声が震えている。
 どうやら酔いが醒めてしまったようだ。
 それは周りの全員にも言える事だった。
『あん…? 誰がトリプルババアだってぇ…!』
『い、言ってへん! そんなの言ってへん!』
『一度痛い目に遭わさないと…ね』
 劉備の抗議に黄忠と厳顔がのそりのそりと動き出す。
 いつもは制止役の厳顔まで酔ってキレているのだから手に負えない。
『や、やばい…。ここは撤退や!』
『ど、どこに!』
『こっから一番近いのは…法正の部屋や!』
 その言葉に弾かれたように我先にと宴会場から出て行く。
 ある者は出入り口から、ある者は窓から…。
 それをビデオに収めている簡擁は天晴だった。
『待てやぁ!』
『ひぃ〜!』
 酒で動きが緩慢になっている黄忠&厳顔。
 ふらふらとした動きで迫ってくる二人は、まるでゾンビ。
『…捕まえた』
『わ、私は何も喋ってません〜!』
 逃げ遅れた孫乾が二人に捕まった事を確認すると簡擁も逃げ出した。
 テレビの中から孫乾の断末魔が響いた…。

123 名前:教授:2003/01/17(金) 23:01
「……………」
 全員が悄然としながら砂嵐を見つめていた。
 自分の酔った時の姿を初めて目の当たりにするとこんな感じになってしまうのだろう。
 御気楽気分で再生ボタンを押した劉備は青ざめていた。
 全身天然ボケの劉禅ですら口をぱくぱくさせている。
 言葉を失った重苦しい空気が流れた。
「つ、つまりは…避難場所にこの部屋が選ばれて…ここでそのまま二次会が勃発したって事か…」
 逸早く立ち直った張飛が乾いた笑みを浮かべて状況を整理する。
 それよりも孫乾の安否を全員が気にしていた。
「わ、私…帰るよ…」
 馬超は馬岱にヘッドロックを掛けながらそそくさと部屋から出て行く。
「う、ウチらも帰るわ…」
 続いて劉備、劉禅、張飛、簡擁が逃げるようにその場を立ち去った。
「あ、部長! お供します!」
 魏延も遅れて出て行く。
 風のように去っていった狼藉者達。
 二次会の現場に残ったのは部屋の主、法正と趙雲の二人だけ。
 趙雲はデッキからビデオを抜き取ると、法正に向き直る。
「このテープ…捨てましょう…」
「そだね…」
 赤い顔の趙雲と法正がビデオテープをゴミ袋に放りこむ。
 普段見る事がない趙雲と法正の姿態。
 流石に後世に残したくはないようだ。
「所で…誰が私にあんなの着せたのかな…」
 法正は首を傾げる。
「それよりも…何で私とアトさんがクローゼットの中に…」
 趙雲も首を傾げた。
 自分の身に起こった不思議。
 二人はそれ以上にある事に気が向いている。
 そして、二人の声が重なった。

『孫乾さんが気になる…』


            −謎を残しておしまい♪−

124 名前:教授:2003/01/17(金) 23:06
あとがき

またしても変なモノを投稿してしまいました。
いい加減、怒られそうですね(汗)
こちらの作品はアサハルさんのサイトにあります、『女達の宴会』のその後みたいな…感じです。
大分、キャラが壊れてます。勘弁してください…。

125 名前:★ぐっこ:2003/01/18(土) 00:36
うわははっはは!
教授様っ、もう最高!
何か楽しそう! いいなあこういうの!
クローゼットの中から発掘される趙雲たんと阿斗たん!
そして年増コンビの凄絶な迫力!

一人割を食う法正たん! 案外要領悪いのね…(;^_^A
問題は公祐たんだが。

126 名前:アサハル:2003/01/18(土) 01:05
やー萌えすぎてえらいことになりました・・・
詳しくは当方の学三屋台にて。
(流石に直リンで貼り付ける勇気はないですハイ)
しかしえーもん読ませて頂きました。
これでまた1週間頑張れます(*・∀・)=3

簡雍たんは相変わらずグッジョブですけども
助けろよアンタ!!孫乾たんを!!(w

127 名前:教授:2003/01/18(土) 01:24
おまけ ■■その後のその後■■


 簡擁は部屋に戻ると、懐から一本のビデオテープを取り出した。
「これだけは流石に一般公開できないからね〜」
 そう呟くと手早くテープをビデオデッキに挿入する。
 巻戻しをする間に冷蔵庫からカップ酒を取り出す。
 そして…再生ボタンを押した。

法『くぅ…』
簡『お、法正が無防備で寝てるじゃん。部長〜、これを法正に着せてよ』
劉『何? …面白そうなもん持ってるやん。貸してみ』
法『うーん…(何かされてるのは分かるが混濁状態)』
劉『酔いつぶれとるから、楽に着替えさせられるわ』
趙『アトさん…(見つめてる)』
禅『おねーちゃん…(とろんとしてる)』
飛『女同士でいい雰囲気出すんなら、ここ入ってろ!(クローゼットに押し込む)』
禅『狭いよ〜…(←案外素面くさい)』
趙『私が一緒です…だから安心♪(←酔ってる)』
超『くー…(馬岱に抱きついてる)』
岱『すぅ…(馬超に抱きついてる)』
魏『こいつら…何抱き合って寝てんだ…?(酔いが醒めかけてる)』
飛『お前も寝なっ(酒瓶で後頭部を不意打ち)』
魏『くは…(昏倒して倒れこむ)』
飛『…眠たい(一人で大暴れして勝手に玄関で横になる)』
劉『ここ空いてるやん。ウチはここで寝よっ(この際、中身の入った缶や料理の乗った皿をぶちまける)』

「…見せられんよな…帰宅部崩壊につながるわ、コレ」
 真面目にそんな事を言う簡擁は、このテープを肴に暫く愉しんだそうな。

128 名前:惟新:2003/01/18(土) 12:39
>教授様
グゥッジョォブ!!! これは萌える!
今週はイロイロありすぎて気持ちがドロドロでしたが、おかげさまで全部吹き飛びましたよ〜
いや〜簡雍にはぜひ殊勲賞をあげたいですな〜
てか、その後のその後でも語られなかった孫乾タンの運命はいかに(^_^;)

>アサハル様
キタぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ(゚∀゚)ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!
いかん…ハァハァしすぎて死ぬ…
まだ見てないヤツは今すぐ巡礼し、必ず見ておかれよ!
「隠しがみつかんねぇ」とかって弱音を吐くな! 探せば見つかるっつーか全然隠れてないぞ!

129 名前:アサハル:2003/01/18(土) 20:41
つまり諸悪の根元は全て簡雍と張飛にあり、と・・・
もしや帰宅部最強(最凶)は関羽でも張飛でもなく、
ある意味実は簡雍なんじゃなかろうかと思う今日この頃。

何故か抱き合って寝てる馬ズに萌え〜・・・(*´Д`)

130 名前:アサハル:2003/01/18(土) 20:50
連投スマソです。

>惟新様
やっぱ隠れてないですね(・∀・;
でもああしたのは一応良心ということで・・・

131 名前:★ぐっこ:2003/01/19(日) 00:34
おまえらッ! 今日この日を学三の祭日に指定してアサハル様の義侠心と
萌え心を末永く称える事にするぞッ!
というわけで、1月18日は学三歴内でも「旭記念日」で休日。なぜか
色っぽいイベントがやたら起こるイベント特異日。

というわけで…(;´Д`)ハァハァ…もお――ッ!
法正たんお持ち帰りしてよろしいか。わたくし久々にときめいちゃったよ…

>教授様
なるほど! そう言ういきさつが(;^_^A
簡雍め、案外なキーパーソンと見える…磊落で関羽も孔明も屁とも思ってない
洒脱人だからこそ、こういう役回りが似合うというモノ。
あー、何か今年は萌え年だなあ…

132 名前:教授:2003/01/19(日) 01:29
反響がよくて嬉しい限りです。もー…恐縮。
アサハル様の法正タンと簡擁タンに萌えながら、宴会シリーズ最後のおまけ〜!

おまけ2 ■■ 〜後始末〜 ■■

「うーん…」
 夜も半ばを過ぎて、痛む頭を押さえながら厳顔が上体を起こす。
 横には一升瓶を抱えて眠る黄忠がいた。
 何故か体操服姿なのが妙に気になる。
「酔いつぶれて寝てしまったか…それにしても…」
 自分の姿を見ながら苦笑い。
 Tシャツに単パン、しかも酒をかぶったのだろう濡れている。
 微妙に透けているのが重要事項なのだが、これについては敢えて触れない。
 ちらりと顔を上げてみると、ぐったりしている物体が見えた。
「あれは…孫乾…か?」
 痛む頭を推して孫乾の様子を見に行く。
 頭に殴られたような痕と、背中を踏まれたのだろう足跡。
 更には酒浸しになっており、全身ずぶ濡れだった。
「これは…一体…」
 さっぱり状況が掴めない厳顔。
 不意に視線を感じ、向き直る。
「………」
 宴会場の出入り口に不自然なファインダー。
 思わず閉口して見つめてしまう。
 と、ファインダーが引っ込む。
「だ、誰!?」
 我に返った厳顔が追いかけるが、時既に遅し。
 撮影を敢行していた人物はもう影も形もなかった。
「くそっ! 逃げられたか!」
 悔しそうに地団太を踏む。
 一頻り悔しがると、思い出したかのように宴会場に飛びこむ。
「孫乾忘れてた! 大丈夫か!」
 ちなみに厳顔は自分でやった事に全く気付いていない…。


「へへー…いいもん撮れた撮れた♪」
 簡擁はほくほく顔で法正の部屋に向かう。
 全員が寝静まった事を確認してから撮影に向かったのだ。
 そして何食わぬ顔で部屋に入ると、そのまま床に就いた…。


 余談だが、孫乾は暫くの間黄忠と厳顔に怯えていた。
 当人達は何故怯えられるのか分からず、困っていた。
 事情を知る者達も頑なに口を閉ざしていた。
 真実を知る簡擁はしれっとしていた…。

133 名前:★ぐっこ:2003/01/19(日) 20:54
(;´Д`)…。
孫乾たんカワイソウ…ていうか厳顔も黄忠も覚えてないのね…
それにしても簡雍は要領がいいというか抜け目がないと言うか。
しかしお嬢ちゃんの麋竺が、三羽ガラスの中では一番要領いいのかも。

134 名前:アサハル:2003/01/19(日) 22:22
す、すげえ・・・最凶のジャーナリストだ簡雍・・・
それでも憎まれないんだからすごいキャラだ。
下手したら本当に帰宅部崩壊しかねないのに(;゚∀゚)
ていうか生きててよかった、孫乾たん・・・

>ぐっこ様
お持ち帰り上等ッス!
ってゆかこれは1月18日には何か色気な絵を描けと暗に命じて
いらっしゃるのですね?ええい臨むところよー!!(待て)
むしろ絵しか描けませんから(苦笑)、こういうところで
貢献させて頂ければ至福であります!!

135 名前:郭攸長若:2003/01/19(日) 22:56
 ■また一つの勇気■
「以上で報告を終わります・・・」
「は〜い、下がっていいわよ〜♪ じゃあ次の人〜?」
董卓によって、新たに雍州校区に設置された生徒会室。
彼女はこの場所で、学園に関するあらゆる事柄を報告させるようにしていた。
報告を行うのは、生徒会役員だけに限ったことではない。
本来は董卓の傘下ではない蒼天承認委員会や全校評議会も、何かあれば真っ先に董卓へ報告することになっていた。
この時、それほどまでに董卓の権力は強大化していたのである。

「失礼します」
生徒会室の扉がノックされ、また次の報告を行う女生徒が入ってきた。
「あっら〜、義真ちゃんじゃな〜い!?」
子悪魔・・・いや、ある種悪魔のような、人を見下した笑みを浮かべて、董卓は女生徒を字で呼んだ。
彼女の名は皇甫嵩義真、黄巾事件の殊勲者であり、董卓とは幼い頃からのライバル関係にある。
そんな彼女でさえも、董卓の権力がここまで強大化した現在では、その傘下に加わらざるをえなかった。
いや、最早学園の組織内で、董卓の権力の届かぬ所など存在しないのだが・・・。
「久しぶりだな、『会長』?」
学園の誰もが恐れる存在である董卓を前にしてなお、皇甫嵩の表情には余裕さえ感じられた。
そして董卓にはそれが、大変不愉快なことだったらしい。
「ふふっ、義真ちゃんはこの卓ちゃんが怖くないのかしら? お星様は卓ちゃんの望みなら、何だって叶えてくれちゃうのよ♪」
そう言う董卓の顔から笑みは消えていた。
代わりに、えもいわれぬ不気味な威圧感が皇甫嵩に向けられている。
そんな董卓の感情の変化を感じながら、皇甫嵩は答えた。
「会長は全校生徒の信頼を受け、生徒会を一手に支えておられるのです。そんな会長の何を怖がる事がありましょう」
凛とした表情を一切崩すことなく、へりくだった態度を見せる皇甫嵩。
これにはさすがの董卓も驚かずにはいられなかった。
そんな董卓をよそに、皇甫嵩は続けた。
「ただもし・・・会長が校則を乱用して権力を振り回すような事があれば、全校生徒は皆怯えることになるでしょう。そうなったら、怯えるのは私一人に限ったことではありません」
皇甫嵩は董卓のもとに歩み寄ると、机の上に報告書を置いた。
「報告書、確かにお渡ししました」
そう告げて皇甫嵩は会長室を去ろうとした。
そして彼女がドアに手を掛けた瞬間、呆然と沈黙していた董卓が口を開いた。
「待って、義真ちゃん!!!」
董卓は焦った様子で皇甫嵩のもとに近づき、彼女の手を取って言った。
「今日は〜・・・卓ちゃん、義真ちゃんに負けちゃったみたい♪」
そう言う董卓の顔には心からの笑みが、そして皇甫嵩の顔にも笑みが浮かんでいた。

だがこの時の皇甫嵩の心中、それを知る者は彼女自身しかいなかった・・・。

136 名前:郭攸長若:2003/01/19(日) 23:23
またも「せっていすと〜り〜」です。
もうちっと早く書き終えるつもりだったんですが書き出しやらなんやらで意外と時間かかりました。
学園設定の方に脱線してたりするし・・・(爆)

まずは今回のお話を書くに辺り、学三正史よりjapan様の「連環の計」及びアサハル様の設定画を参考にさせて頂きました。
japan様の「連環の計」は董卓像を書く上で大変参考になりました。
というより、台詞一部パクってます(爆)
アサハル様の設定画には、私、PCの前で拝礼を行いました(マテ
私の文章なんぞに萌えて下さったことをまことに嬉しく思いまする。

そして今更ながら、前回の拙文に対し私の身にあまる賛美を下さった皆様に感謝m(__)m
そろそろ「せっていすと〜り〜」は止めて普通に投稿させて頂こうかしらw

また遅ればせながらレスを・・・。
>教授様
激しくワラタ箇所が多すぎて挙げ切れませぬ!
とりあえず最初に笑わせて頂いたのは、「クローゼットを開ければ中から趙雲と劉禅が出てきた」です^^
>アサハル様
簡雍たん・・・萌えすぎて吹きました(笑)
法正たん・・・萌えすぎて泣きました(爆)
いや、美味しいもの食べて泣く事はよくあるんですがさすがにこれは初めての経験ですw

137 名前:岡本:2003/01/20(月) 02:50
郭攸長若様への支援砲撃のつもりでしたが、誤射してしまったかもしれません。
ご一読ください。

■中天の星々(1)■
蒼天学園暦 29年度 3月
何進の失脚、菫卓の騒乱、旧菫卓四天王の乱入等、蒼天学園蒼天会および生徒会は度重なる政変で権威を失墜、学園の総括は不可能となり、中華市は群雄割拠の様を示していた。それでも残された生徒会の役員たちは、旧菫卓四天王の支配下で蒼天会の位置する長安棟周辺の安寧を求めて苦慮し続けていた。

ばたばたばたばた、バンッ。
暫定生徒会会長として、執務に当たっている皇甫嵩の部屋の扉が勢いよく開かれた。
「何事だ、騒々しい。」
内心、いつ来るかと時間を読んでいたところであった。10名ほど、執行部の腕章をつけた生徒達が飛び込んでくるや入り口付近を固める。と、入り口の両側に列をつくり、巫女装束に身を固めた女生徒がその間をしずしずと通って皇甫嵩の目の前に現れた。李傕だ。
一礼して口を開く。
「会長、凶事が生じたのでございます。」
オカルトに凝っている李傕は、適当な自然現象に託けていろいろ生徒会や蒼天会に無理難題を言ってきている。今回もその例にもれまい。だが、護衛が多すぎる。
「なるほど。で、その凶事とは?」
取り敢えず聞くだけは聞いてみようと皇甫嵩は呼び水を向ける。
「昨晩深更、長安棟を掠めて隕石が落下したのです。これは地の不安定を早急に正せ、という天の催促の相違ありません。」
「それではその不安定を正せばよいということになるわね」
得たり、と李傕の顔が緩むのが分かった。
「この長安棟にて不安定なもの、それは私めの如き非才には思いもよりませぬ。」
オーバーアクションでよよ、と片袖で顔を覆ってみせる。
「ただ1つ、選挙で正式に定まることなく暫定の生徒会長をおいたことを除いては。」
落としどころはやはりそこか。
旧菫卓四天王たちは生徒会を少しでも早く牛耳りたかったのだが、生徒会を担うには彼女らでは何れも貫目にかける。また、利害関係でいがみ合う以上誰を頭にしても角が立つ。ましてや反菫卓勢力を総じて敵に廻すわけにも行かないので(いまさらという気もするが)生徒会会長を彼女らのうちから立てるわけには行かない。そこで皇甫嵩に白羽の矢が立った。涼州校区の名門である皇甫嵩は、劉宏が蒼天会会長であった時から各地での騒乱鎮圧に功をなし、対菫卓の最有力対抗馬と見做されていたものの、生徒会に対する反抗の意志は露ほども見せたことが無かった。彼女を暫定として生徒会会長に立てることは対外への宣伝効果にはもってこいだった。
が、長安棟近辺の不満をそれなりに抑え、基盤が固まり始めると形式とはいえ自分たちの上の存在は厄介になる。馬騰・韓遂の連合軍を撃退したこともあり最早、近隣に恐れるべき強敵はいない。四天王内の勢力争いに本格的に入る前に、お飾りの厄介者は降ろしておきたいのだろう。自ら暫定生徒会会長に建てた立場上、武力闘争で座を追うのは外聞が悪い。都合のいい口実が欲しかったのだ。前暫定生徒会会長の王允を蒼天会本部に押しかけて身柄を確保した上階級章の強制剥奪に及んだ以上、評判は地に落ちているにもかかわらず何とかなると考えているあたりが猿知恵だ。
しかし、隕石が降ったからとは...。もっとましな口実は無かったのか。
「先輩の卒業も間近です。私めは、先輩にも蒼天会にも良かれと思い愚考した次第。これまで生徒会を守って来られた先輩が晩節を汚す可能性を看過するわけには参りません。ここは、会長職を引退された上、恙無く卒業されることが望ましいかと。」
仰々しく巫女衣装の袖を合わせて一礼するが、抜け目のなさそうな視線が上目使いに向いている。ややこしいことになれば後ろに控えている体育科学生へいつでも合図を送る気である。常設執行官の最高位である車騎主将を務めた身だ。当然の対策だろう。
・・・猿芝居に付き合うのもこれまでだな・・・。
「了承した。」
「はっ?」
あっさり、承諾の返事が返ってきたことに拍子抜けしたのか目を丸くする。
「そもそも、暫定ということで着いていたのだ。元に戻るだけだろう。委任状はここにある。持っていくがいい。」
階級章自体には権力は付随しない。生徒会会長という地位から追ってしまえばもう恐れることは無いのだ。後1週間もしないで今年度の卒業式が行われる。皇甫嵩は来年度から大学部で学ぶよう手続きを済ませていたため、ほおって置けば今年度末に自動的にデータ・ベース上で課外活動終了の処理がなされる。階級章を奪うまでも無い。誰も、皇甫嵩の止めを刺したとして、これ以上学園生の反発を買いたくない。李傕の用件はすんだのだ。
「いや、学園を正すことに第一義をおかれる。まさに“成徳の名将”でございますね。
卒業式におきましては僭越ながら私めが、先輩の階級章をお受け取りいたします。」
愛想よく、それではごきげんよろしゅうと仰々しく一礼した上で退室する。

皇甫嵩は“聖徳の名将”と評されていたが、それは買いかぶりと思っていた。中華学園都市の中央、司州校区に鎮座する蒼天会とその実務機関たる生徒会。そこを自分の居場所と見定めていた。生徒会執行部“十常侍”の暗躍で沈没寸前とは言え沈む船から逃げられるねずみではない。いわば、船と身を共にする犬、生徒会の定める蒼天学園の安寧を妨げる外敵を狩る猟犬だ。
自らの立つ大地を支える柱が根腐れを起こしているからといって、切り倒すことはできなかった。大地を支える巨人アトラスにはなれない以上、切り倒すことは自らの破滅を意味するからだ。巨人以外にも大地を支えることができるものはいる。ギリシャ神話にてアトラスと1日代わって大地を支えた英雄・ヘラクレス。だが、生徒会の猟犬に過ぎない自分は巨人にも、英雄にもなれない。

黄巾事件の鎮圧の最中、卓抜な活躍を示した一人の騎隊長がこんなことを言っていた。
『蒼天学園を導くということは、生徒会会長にとってかわること、ましてや蒼天会会長にとってかわることとイコールじゃありません。中華市全学生の学園生活を支える生徒会を”創りあげる“ことです。』
『それは生徒会を作り変えるということなのか?』
『場合によっては。既存の統治形態に取って代わるだけで学園を導けると考えているこの争乱は失敗以外ありえません。』
漠然と感じてはいたが言葉にするほどには考えが及ばなかったことをあっさり言ってのけたこの後輩に恐れに似た感情を覚えた記憶がある。彼女が“治世の能臣、乱世の姦雄”と評された人物と聞いて頷いたものだった。

138 名前:岡本:2003/01/20(月) 02:54
■中天の星々(2)■

皇甫嵩こそが英雄と断じ、生徒会に成り代わって学園を導くようと進言した娘がいた。彼女・閻忠も、自分なりに蒼天学園の行く末を案じた上の進言だった。学園内で声望高い皇甫嵩が生徒会会長ひいては蒼天会会長に立てば学園に平安を取り戻すことができると信じていたのだ。が、皇甫嵩は、自らが立つ気が無かったことに加えて、仮にたったとしても生徒会を創りかえる方向性が把握できない以上蒼天学園を支え平安を取り戻すことはできないという気がしていたため、閻忠の進言を入れなかった。結局、閻忠は皇甫嵩自身によって追われた王国に首魁として担ぎ出されたが、自らの理想と現実のギャップに耐え切れず自己返済するに及んだ。

実際、専ら己の欲望に引きずられていたとは言うものの現生徒会へ不信感をいだき、学園のトップに立つことが学園を導くことだと考えていたものは多くいた。
涼州校区にて反旗を翻した王国、
徐州校区下邳棟で新蒼天会会長を自称した闕宣、
そして最たるは菫卓。
各騒乱の鎮圧では様々な不手際を示し、常に皇甫嵩の風下にいた菫卓は、生徒会会長就任後、彼女を呼び出した。
『うふ〜。卓ちゃんの方が凄いって義真ちゃんにも分かったでしょ〜。』
『あなたがここまでくるとは正直思いもよらなかったわ。』
『卓ちゃんは前から凄かったのよぉ〜。義真ちゃんが知らなかっただけだよぉ。』
『昔は、2人とも虎だったが、今あなたが獅子になったということよ。』
半分は本心だった。自ら餌をとる虎に対して、ライオンのオスはハイエナや他の群れのライオンを追い払うが自らは餌をとらない。菫卓は、諸悪の根源であった生徒会執行部員“十常侍”の残余を駆逐し、王允等著名な生徒を役員として抜擢、生徒会の運営を自分の恣意に反しない範囲で活動させた。自分には“十常侍”を処断する決心は付かなかったし蒼天会や生徒会役員を利用しようという考えも起こらなかった。結局菫卓は、生徒会に寄生することで残された余力を食いつぶした。
そしてその獅子、いや餓狼の食べカスを4頭のハイエナが争っている。自分が奪おうとしている舞台は、最早自力で立つこともできない状況にあることを理解しようとしていない。自分が舞う機会を作ってくれた舞台が倒れるのを見るに偲びないという理由で、倒壊確実の柱を支え続けている皇甫嵩も、蒼天会や生徒会の幻想から逃れられない点では彼女らとかわりない。

生徒会会長辞任に付属する様々な事務手続きを済ませていると、朱儁や楊彪が押しかけてきた。李傕の暴挙に悲憤慷慨する彼女らに皇甫嵩は心に期していたことを告げる。
「幕を下ろすべきときがきたのよ。もとより地位に執着していたわけじゃなく、蒼天学園の安寧を願い戦ってきた。その点では人後に落ちるつもりはない。李カクの如き小人に最後までいいようにされる気はないわ。連中の暴挙を認めたわけではないことをこの身で
示す。」
「義真、まさか…。」
皇甫嵩と共に幾多の騒乱を潜り抜けてきた朱儁には彼女の思案が読み取れた。
「あなた一人だけ逝かせる訳に行かないでしょう!私も...。」
「駄目よ。」
ピシャリと朱儁の口を封ずる。
「一人なら、あの連中も意味を深くは考えないでしょう。」
「だからといって、黙って耐えられるか...。」
「ここで全員が軽挙妄動して、劉協会長にご迷惑をかけるわけにはいかないのよ。」
彼女らをなだめているうちに時間が流れ、学生寮についたのは夜遅くになってしまった。
休むことなく机に向かうと封筒を取り出し、宛先をしたためる。
中華研究学園都市 蒼天学園事務部学生課 御中
便箋を一葉抜き、ペンを走らせる。修辞とは縁のない用件は一行で事足りた。
− 一身上の理由により、課外活動の終了を申請いたします。−
胸の階級章を取り、折った便箋と共に封筒へ収め、口を閉じる。
上着を羽織って、封筒片手に外へでる。今夜は冷え込みそうだ。

寮の外は春先で寒かった。加えて深夜ということもあり、明かりのついている寮も少なくしんと静まり返っている。
カタン、パサッ
ポストに投函するだけの作業だ。だが静寂の中、封筒の落ちる音は想像以上に耳に響いた。
ふと、頬に眦から毀れた温かいものが伝うのを感じる。
「未練など、とうに振り切ったものと思っていたが…。」
ピッと、頬に伝う液体を指でぬぐい上を向く。満天の星空だ。13校区の上に輝く1つ1つの星は、混乱期の今まさに勢力拡大を推し進める各地の群雄のようだ。その中には、将来の生徒会を担うものと嘱望されたものの、何進政権崩壊後の菫卓の横暴から現生徒会での立身を断念し、菫卓に抗った者たちがいる。彼女らは自分と違い、蒼天会の伝統という呪縛に過度に捕らわれてはいない。忘恩の徒と評されようと彼女らなりに学園を導こうとする活気が今は必要とされているのだ。大地を支えることができるものは巨人か英雄。
河北の巨人、汝南の巨人、兗州の英雄。

・・・袁紹、袁術、曹操・・・この学園のこと、頼むわね・・・。

中天にて他を圧倒せんと輝きを競う数多の星々にともすればかき消されそうではあるが、長安棟を守護するかのごとくその上に確かに蒼く瞬いていた数個の星。その1つが今、堕ちた・・・。

139 名前:岡本:2003/01/20(月) 02:58
>教授様、アサハル様
正に、一服の清涼剤!!
堅い文章しか書けなくなっている私には甘露ですね。

>郭攸長若様、惟新様
お2人の作品に触発されて書いて見ましたが、お邪魔なだけ
だったかもしれません。参考になれば幸いです。

140 名前:惟新:2003/01/20(月) 19:15
>教授様
おまけ2とは…ありがたい!
うはぁ〜またもや艶やかな! 憐れ孫乾、悲惨な姿に(^_^;)
でもって簡雍また沸いて出たか(w
いいキャラですわ、簡雍タン…

>郭攸長若様
伝説は終わらない! 皇甫嵩第二弾!!
身の毛のよだつような董卓と、カコイイ皇甫嵩タンの対比がいいですね〜!
>そろそろ「せっていすと〜り〜」は止めて普通に投稿
お待ちしてます〜!

>岡本様
援護射撃キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!
心底ありがたいっす!! ぜひ参考にさせていただきます〜
これほどの名作にストーリー上で続くのが私の駄文というのが申し訳ないですが(^_^;)
やっぱり皇甫嵩ほどの大人物にはこうした花道を用意すべきですね〜
私ナンゾガテケトーニ挿入センデヨカタヨ…
にしても…やっぱカッコいいわ、義真タン…

141 名前:惟新:2003/01/20(月) 19:59
>ぐっこ様
>アサハル様
>「旭記念日」
これは確実に祭りになりますね。
では、我らの責務として当日もしくは翌日の朝までに我らが聖地「南北本命テイクオフ」神宮を訪れる「旭詣」をいたしましょう。
可能な者は旭姫にご挨拶すること。挨拶では三村つっこみ必須(マジかよ
さらに可能ならばご供物を捧げ、それがSSならば事前にしょーとれんじすと〜り〜スレッドに奉納、神のご降臨を待つこと。

…いや、出来ればの話ですよ、挨拶と供物は(^_^;)
それと、向こうの方々にご迷惑をおかけしないようにしましょう(お前が言うなよ

142 名前:★ぐっこ:2003/01/21(火) 00:11
うおっとお! またしても逸作が数々投下されている!
皆々様感謝!

>アサハル様
(;´Д`)ハァハァ…いま小細工考え中…。アレの方はやはり隠しつくって…

>郭攸様、岡本様
そして皇甫嵩! にわかに義真祭ですが(^_^
いずれの作品も非常にイイ! 案外まったりしてる董卓もそうですが、皇甫嵩
にしても通底する意思は他人には読みづらい。
そのなかでも、皇甫嵩は一本の道を守ったのですから…もっとファンが増えて
しかるべき人物ですな…

>惟新様
委細承知。

143 名前:★ぐっこ:2003/01/21(火) 00:14
ていうか、今頃13,16日くらいのメールがパラパラ到着。
惟新様の鍾ヨウたんの続きあり! 諸君ら期待せよ!

144 名前:アサハル:2003/01/21(火) 00:17
皇甫嵩・・・悲しいほど格好良すぎます・・・(つДT)
萌え〜なんて軽々しく言えません・・・
何というか、こういう群雄割拠の時代には合わない人だ・・・

・・・で、岡本様&郭攸長若様に感謝しつつ、また調子に乗ると。
http://homepage2.nifty.com/radiance/g3/post.jpg target=_blank>http://homepage2.nifty.com/radiance/g3/post.jpg

>惟新様
あにょ〜・・・
何かこう・・・こそばゆいんですが・・・(;・∀・)

145 名前:教授:2003/01/21(火) 02:34
>郭攸長若様

内に秘めた熱き孤高の魂…皇甫嵩をここまでかっこよく書かれるとは…。
正に見事としか言いようがないです。
皇甫嵩のイメージが更にグレードアップされました!

>岡本様

皇甫嵩…感動しました!
一行の短い手紙と涙…それだけでも彼女の心情がひしひしと伝わってきました!
真面目なお話を書ける事は素晴らしい事だと思います。
私はあんまり文章上手くないので、文章構成や創造力に驚くばかりです。
岡本様や郭攸長若様を見習って修行に励もう…。

146 名前:惟新:2003/01/21(火) 19:50
>ぐっこ様
あ〜今ごろ届きましたか(^_^;)
郵送事故か何かだろうと思い、三月にでも手直しして送り直すつもりでしたが…
届いたのならそれでOKです。年明けでお忙しいでしょうから、
お暇なときにでもよろしくお願いします。分量も前作比二倍以上ですし。

なお、第三部は三月にお届けする予定です。
ひょっとしたらもう一部増えるかもしれませんが。

>アサハル様
まぁその、讃える日ということで(^_^;)

それはそうとして、涙の義真タン! 素晴らしい…
見ているとぐっと来て、引き込まれるような作品ですよ。
こうした情感溢れる作品を生み出されるのは素晴らしいことです。
てかもの凄く羨ましいです…(←人物しか描けない奴

147 名前:教授:2003/01/21(火) 23:11
■■法正と眼鏡と写真■■


「ウチのメガネ知らんか?」
「はい?」
 会議室に入ってきた法正。
 いきなり帰宅部連合総長、劉備にメガネの所在を尋ねられたのだ。
 その劉備は人に尋ねるだけの事はあり、メガネを掛けていない。
 法正の目には主がやたらと新鮮に映っていた。
 メガネを外した劉備を見るのはこれが初めてだったからだ。
 当の劉備はメガネを探して必死な様子。
「メガネって…頭に乗ってるのがそうじゃないんですか?」
 法正は含み笑いをしながら答える。
「へ? あーっ! ホンマや!」
 頭に手を伸ばし、自分のメガネを確認する劉備。
 すちゃっと装備すると、いつものように微笑む。
「おーきにな。まさか、自分の頭に乗っとるなんて思わんかったわ」
「灯台下暗しって言いますし。意外な身近に落とし穴があるんですよね」
 相槌を打つと法正は自分の席に移動する。
 と、自分の席に置いてあるギンガムチェックの包装紙に包まれた小さな箱に気付いた。
 それも、ご丁寧に『法正様専用』と書かれてある。
 訝しげにその箱を凝視する法正。
「部長〜。この箱…何ですか?」
 取りあえず疑って掛かる法正は部屋にいた劉備に尋ねる。
「さあ…ウチが来た時にはもうあったで」
「そうですか…」
 贈り物と思しき正体不明の箱を前に悩む法正。
「これ…開けてもいいのかしら…」
 箱を持ち上げて周囲をチェックしながら呟く。
 重量は軽すぎと言っても過言でない程無かった。
「ま…いっか」
 妥協したのか、包装紙を丁寧に取り除いていく。
 そして本体が露わになった箱のフタを開けると…。
「……は?」
 そこにはメガネがすまし顔で鎮座していた。
 言葉を失う法正。
「なんやったん? …メガネか?」
 劉備が後ろから覗き込んでくる。
 メガネに興味があるのだろうか、法正に了解を取ってそのメガネを掛けた。
「うわっ…なんやコレ…。度が入ってないやん…」
 霞む視界に慌てて自分のメガネを掛け直す劉備。
「度が入ってない? じゃ…伊達メガネなの、これ…」
 伊達メガネと聞いて、ある事を思い出す法正。
 以前、諸葛亮がメガネを掛ける掛けないで話(一方的だった)を持ちかけてきたのだ。
「…………」
 法正は伊達メガネに手を伸ばすと、軽い気持ちで装着した。
 すると次の瞬間、ロッカーがけたたましい音を立てて開き…
「もらった!」
 …の声と、同時に飛び出してきた簡擁がシャッターを切った。
 無論、ファインダーの視点はメガネを掛けた法正。
 びっくりしたような顔の劉備と法正。
 どうやら事態が呑みこめていないようだ。
 それをいい事に簡擁が二度三度とシャッターを切りまくっていた。
 フラッシュを何度か浴びると流石に誰でも我に返る。
「簡擁〜!」

148 名前:岡本:2003/01/21(火) 23:12
>アサハル様
状況が読者の方々にイメージしやすいように雰囲気描写を
意識して書いたつもりでしたが、ここまでイメージを再現してくださるとは。
いや、感激の至りであります。

149 名前:教授:2003/01/21(火) 23:13
「おっと…それじゃ、私はこれで失礼♪」
 法正が歩みよるよりも素早い動きで会議室から脱出する簡擁。
 その神懸り的な動きを見て法正は追い掛ける事を早々に諦めた。
 代わりに劉備の方に向き直り、詰め寄る。
「部長! アレはどういうことなんですか!」
「そないな事言われてもなぁ…。それに写真の一枚や二枚くらいええやん」
「それはそうですけど…って、違います! 部長…ぐるだったんじゃないでしょうね…」
「昔っからアイツの行動パターンはウチにも読めんわ…。こっちかてびっくりしたっちゅーの」
 劉備は胸を押さえて大きく深呼吸する。
 彼女が嘘を吐いてない事は法正にも伝わってくる。
 諦めてため息を吐くと、開きっぱなしのドアを閉める。
「私の写真撮って…何するつもりなんだろ…」
 法正は小首を傾げながら伊達メガネを外した…。



後日

「法正〜見たよ〜」
 馬超がにやにや笑いながら法正の元にやってくる。
「…? 何を?」
「メガネ写真だよ、結構可愛かったじゃん」
「…っ!?」
「いやぁ〜…メガネ掛けるとこんなにも…って、あれ?」
 馬超が続きを言おうとした時には既に法正の姿はなかった。

「簡擁〜!」
 会議室のドアを荒荒しく開く法正。
「騒々しいな」
 中にいたのは諸葛亮ただ一人だけだった。
「簡擁…見なかった?」
「簡擁殿は見てないが…君のメガネ写真は拝見した。やはり想像通り綺麗だったよ」
 諸葛亮は白羽扇を口元に当てて目を細める。
 その言葉に一気に耳まで赤くする法正。
「ちなみに…これがそのネガだ」
 そう言うと、諸葛亮は懐からネガを取り出した。
「あーっ! 何で持ってるのよ!」
「私が簡擁殿に依頼したのだ。喜んで引きうけてくれたよ」
 淡々と口にするとネガを法正に投げて寄越す。
「やはり君にはメガネが似合う。私のプレゼントした伊達メガネ…大事にしてほしい」
 ぽんと法正の肩を叩くと、そのまま会議室を後にする諸葛亮。
「…やられた」
 がくりと膝を落とす法正、完全敗北だった。
 これから後、法正は諸葛亮と簡擁の動きを注意深く観察するようになったのは言うまでもない。
 今回の主役、伊達メガネは…と言うと…。

飛「なあなあ、コレどうよ」
劉「…アンタが掛けると微妙やなぁ…」
飛「なんでだよ!」
劉「アンタには宴会用の鼻メガネの方が似合ってるわ」
飛「なにをーっ!」
 張飛の元へ嫁いでいたとさ。

150 名前:教授:2003/01/21(火) 23:15
あとがき

皆様が真面目で心が熱くなるようなSSを書いてるのに…何書いてんだろ、私。
元はアサハル様の萌えイラストから来てます。パクリと言われればそれまでです。
こんなSSばかり書いてる私って…。(;_;)

151 名前:左平(仮名):2003/01/21(火) 23:50
>教授さん
ご謙遜を。面白いですよ。笑いながら拝見しました。

作品数が多いので、全部はまだ見てないのですが…。皆さん、これほどのものが書けるのですから、他のジャンルも、ぜひ!

152 名前:惟新:2003/01/22(水) 00:48
>教授様
簡雍タンは果てしなく神出鬼没ですね(^_^;)
つーかおのれ諸葛亮、やってくれる!
この孔明タンなら
「法正が性格キツいって? ふ、むしろ萌えポイントだ!」
とか言ってのけそう…
で、簡雍。ある意味三國一の豪傑(^_^;)
個人的に蜀では一番おいしいキャラだと思ってたり…

>左平(仮名)様
そのとおりです!
というわけで、ぜひがんばってみましょうよ、教授様!

…と偉そうに言ってしまいましたが、私の方では
萌えSSを書くと途中で暴走してしまいそうで、自粛してたり(^_^;)
なかなか新境地は遠いですなぁ…

153 名前:アサハル:2003/01/22(水) 01:14
やっぱ強えわ、簡雍((( ;゚Д゚)))
つかずっとロッカーの中に入ってたのね・・・
更にプラス諸葛亮の最凶コンボ・・・絶対敵に回したくねー!
個人的に最後の劉備と張飛のやりとりに爆笑しました。
鼻眼鏡てアンタ。

で、前々から法正は好きだったんですけども、最近
めちゃめちゃかわいく見えてしょうがないっす(*´△`*)

154 名前:玉川雄一:2003/01/22(水) 01:16
とりあえず、憲和タンの株が上がってきているようなので。

パシャッ    パシャッ
    パシャッ
.       ∧_∧ パシャッ   
 パシャッ (   )】     ←簡雍
.      /  /┘   パシャッ.    
     ノ ̄ゝ

155 名前:★ぐっこ:2003/01/23(木) 00:06
↑ワロタ。

そりゃそうと! 教授様最近ナイスなペース! はやいところhtmlに
してしまって(;´Д`)ハァハァしなきゃ! 神の挿絵もあることですし☆( ̄ー ̄)
学三ってのはこういう(;´Д`)ハァハァを求める世界も大切なのですよ! 感謝。
ここんところ法正たんが振り回されっぱなしでワタクシも大好きであります!

156 名前:教授:2003/01/24(金) 00:41
■■帰宅部解散 〜非業の烈女〜■■

「なんで…なんでなんだよ!」
 会議室に轟く怒声と打撃音。
 声色に違わぬ形相の少女は、主であり実の姉でもある少女に詰め寄る。
「劉シンさん、落ちついてください!」
 周りにいた幹部達が怒りの炎に燃え上がる彼女を宥めにかかる。
「うるさい! どけっ!」
 少女は幹部達を押しのけ、姉の前に仁王立ちする。
 彼女の名は劉シン。
 帰宅部の創設者、劉備玄徳の妹だ。
 熱く潔い性格は帰宅部内から益州校区でも有名だった。
 最も、どれほど小さい事でも納得できない事や卑怯な振る舞いを良しとしない厳しい性格は周りから疎遠を呼ぶ事になっていたが。
 その劉シンは今正に怒りの限界点を振り切っていた。
「…禅姉、悪い冗談はよせよ…。降伏? …ははっ、そんなわけないやろ?」
 乾いた笑みを浮かべ、姉――劉禅の肩に手を置く。
 と、劉シンの手に信じられない感覚が伝わった。
「禅姉…、何で震えてるんだよ…」
「…………」
 上目遣いで劉シンを見る劉禅。
 その瞳には、怯えの色が見て取れた。
 ――姉は…自分に怯えている…の?
 そんな思いが過った時だった。
「貴方みたいに威圧するだけじゃ駄目なのよん」
 人を食ったような口調。
 全員が声の主に振り向く。
 そこにいたのは、黄皓であった。
「あんた…か? 禅姉にいらん事吹きこんだんわ!」
 劉シンの怒りは、黄皓に向いた。
 今にも飛びかからんばかりの勢いだ。
 しかし、劉禅の口から劉シンを絶望させるに十分な言葉が飛び出した。
「シンちゃん…恐いから遠く行って…」
「禅…姉…」
 劉シンは愕然とすると同時に体の力が抜けていった。
「禅姉は…この…玄姉や孔明さんや張飛さんや関羽さん達が必死に守ってきた帰宅部を…そんなあっさり放棄するんか…?」
 つぅ…と劉シンの頬を涙が伝う。
 それは鮮烈な赤だった。
 ――血涙を流す程の訴え。
 だが、それが劉禅に伝わる事はなかった。
 劉禅は俯き、妹と顔を合わせないように背け続けていたのだ。
「ほら、部長命令よん。さっさと出て行ってね〜」
 黄皓が劉シンの背をぽんっと押す。
 その顔には勝ち誇ったような嫌らしいものが浮かんでいた。
 その場にいた幹部達も顔を背け、誰一人として劉シンを見ていなかった。
「こんなん…納得できん…」
 震える小さな声、小刻みに揺れる肩。
「…こんな…こんな運命に従うくらいやったら…」
 劉シンは階級章を引き千切る。
「こんなもんいらへん!」

157 名前:教授:2003/01/24(金) 00:45
 轟雷を思わせる叫びと共に、階級章を床に叩きつけた。
 そして、ゆっくりと会議室から出ていく。
「ふん…やっと目の上のコブが消えたね〜」
 黄皓は鼻で笑うと、降伏の準備を進め始めた…。


「玄姉…ごめん…」
 劉シンは自室で荷物をまとめていた。
 悔し涙が頬を伝う、しかし拭おうとはしない。
「合わせる顔なんて…ない…」
 元々少なかった荷物をバッグに詰めこむと、部屋から出る。
 何も言わず寮を後にする。
 途中、友人から呼びとめられたりもしたが…敢えて全てを無視した。
 いつも通っていた道を夜の帳が蒼く暗く染めていく。
 まるで劉シンの内に燃え盛っていた炎を包みこみ…そして鎮めていくようだった。
 ふと、劉シンの足がポストの前で止まった。
「もう…未練なんてない…」
 懐から一通の手紙を取り出す。
 その書面には『退学届』と殴り書かれていた。
 劉シンはそれを何の躊躇いもなくポストに入れる。
 カタン…と無機質な音が耳に残り続ける。
「…ばいばい」
 小さく…重い別れの言葉を呟くと、歩み始めた。
 溢れる涙を拭わず…覇気を失った劉シンの姿は闇の中に消えていった…。


 ――劉シンがいなくなった翌日。
 帰宅部は最後の日を迎えた――。



■あとがき 

 いつもの萌え路線から一変、シリアスものです。
 結論、慣れないモノは書くもんじゃない…。

158 名前:郭攸長若:2003/01/25(土) 11:56
久々にまた〜りとPC・・・そして皆様へのレスw
>岡本様
支援砲撃されたはずなのに私に直撃しております!(爆)
卓越した比喩的表現、設定を追いながら「しょ〜とすと〜り〜」として読ませる文章と独自のストーリー性、感服いたしましたm(__)m

>アサハル様
感動は最早言うに及ばず。
あえて言います、(義真たんの)服が萌え!(マテ

>教授様
>法正と眼鏡と写真
半ば帰宅部内でストーキングされてるような法正たん万歳w
>帰宅部解散 〜非業の烈女〜
短いストーリーの中に、各々のキャラがよく表現されてますね。
ほとんど言葉を発しない劉禅の表現が好きです。

159 名前:アサハル:2003/01/26(日) 20:41
りゅ、劉[言甚]たん…・゚・(つДT゚)・゚・
思えば退学以外に何かしら手段を思いつかなかったんでしょうか…
黄皓のキャラがハマりすぎてナイスっす。そら司馬昭もキレるわ。

160 名前:★ぐっこ:2003/01/26(日) 22:15
貰い泣き・゚・(ノД`)・゚・ つうかマジに黄皓たそがムカツク!
子上たん、やっちゃってください!
劉禅も劉禅だ…(T.T) [言焦]周たんをはじめ、「理性的降伏論者」
と「ヘタレ降伏論者」双方のプッシュがあったからでしょうけど…

161 名前:教授:2003/01/28(火) 00:43
黄皓に関してはとことん憎たらしいタイプを追及してみました。
正直、黄皓の扱いはどうしようかと悩みました。
しかし後漢末にもこういう汚れを担うキャラは必要かなーっと偏った独断と偏見でこんな風になっちゃいました。

劉シンについて。
アサハルさんのご指摘通り、退学以外の手段もあったと思います。
しかし、姉の期待を裏切った事に対する申し訳なさと後ろめたさ。
そして自分の愛した帰宅部連合の崩壊を見たくなかったのでしょう。
史上では自害してるし、自主退学が妥当かなと思いました。
これに関するレスを頂けましたら幸いです。

162 名前:彩鳳:2003/01/28(火) 21:26
 劉[言甚]の最期については、最期が凄絶なだけに自主退学も
止む無しと思います。(−−;
 大きな王朝が滅びる時は、彼女の様な人が居るものですし・・・
(郤正や司馬孚の様に、最後まで君主に尽くした人も居ますが。)

 黄皓・・・この時は、自分自身がああなるとは夢にも思わなかったのでしょうが・・・
 まぁ、董允や費イがいなくなってからは好き放題やった事でしょうし、
袁術じゃないけど因果応報って事で(^^;
 (これはこれでよくあるパターンだと思いますが)

163 名前:アサハル:2003/01/31(金) 01:33
ごめんなさい…自分のレスの2行目の主語抜けてますわ…凹

退学以外の…ってゆか、史実の劉[言甚]もそーなんですけども、
なんかこう、一家心中なり自主退学なり、玉砕みたいな手段しか
彼女は取れなかった、思いつかなかったのかなあ、と。
何か、それが惜しいなあ…と思った訳であります。うるり。

164 名前:教授:2003/02/08(土) 00:41
復活。リハビリ程度に描いた拙いSSです。

■■ 平和な会議室 ■■


「はぁ〜…平和ねぇ…」
 孫乾はぐぐーっと伸びをしながらそんな事を呟いた。
「まぁ…漢中アスレチック戦が終わった後だし、曹操だって自分のトコの立て直しで手一杯じゃないの?」
 法正がジェンガからパーツを抜きながら返事をする。
「でも長湖部の方は? 荊州棟狙ってるんだろうし…あっ!」
 簡擁は相槌を打ちながらジェンガを崩してしまう。
 法正がニヤリと口元を歪めた。
「その辺りなら関羽さんが睨みを利かせてるでしょうから暫くは問題ないかと」
 湯呑みを片手に御嬢様、麋竺がのほほんと答えた。
 その答えには全員が頷く。
「それにしても、ホント暇ね…」
「ジェンガやる? 憲和って結構弱いし」
 ちらりと簡擁を見て、法正が孫乾を誘う。
 日頃、ストーキングされてる腹いせなのかもしれない。
 当の簡擁は別段気にする風でもなく、デジカメを磨いている。
 その時、物静かに緑茶を傾けていた麋竺が口を開いた。
「…昔話に登場する人達を誰かに当てはめてみる…というのはどうかしら」
「「「それだ」」」
 瞬間的に他の三人の言葉が重なった。
 麋竺は顔色を変えずに更に口を開く。
「例えば…孫悟空=張飛さん等…ですね」
 ある意味、本人に失礼な発言に三人が吹き出す。
「なーるほどね♪ そういうのだったら…金角と銀角は黄忠さんと厳顔さんで決まりね。年増コンビだし、ピッタリだもん」
 簡擁が楽しそうに問題発言。
「それなら、三蔵法師は部長でしょ…ブタとカッパは?」
 法正が唇に指を当てながら考え込む。
「ブタさんは関羽さん…カッパさんは趙雲さんでどうですか?」
 本人に聞かれると殺されそうな発言をする麋竺。
「関羽さんはかぐや姫って感じがするわ。じゃ、牛魔王とその嫁さんは?」
 孫乾も便乗しはじめた。
「牛魔王は…孔明さん、嫁さんは馬超さんでよろしいのでは?」
 麋竺の言葉に全員が嫌そうな顔をする。
「そんな魔王…倒せるの? 嫁さんはタカビーでやかましそうだし…」
 法正は苦笑いをしながら素直な感想を口にする。
 そんなこんなで今日も平和な会議が続いていましたとさ。

■■ おまけ ■■

 簡擁は自室に戻ると、懐からカセットテープを取り出す。
 それをデッキに放りこむと、何の躊躇いもなく再生ボタンを押す。
 デッキからは、今日会議室で盛りあがった話が流れ始める。
 そう、簡擁はテープレコーダーを忍ばせていたのだ。
「さぁて…私の声の部分は編集してっと…」
 周到で狡い簡擁は自分の音声部分をカットし始める。
 …このテープが表に出たのかどうかは皆様のご想像にお任せします。

                       end
 

165 名前:アサハル:2003/02/08(土) 23:11
Σ( ̄□ ̄; ぶっちゃけトークが!!
後でどうなっちゃうんでしょう、簡雍以外のメンツ。
特に麋竺、ぽやーんとしてるよーで結構言いますなあ…
しかもまたハマり役だわ帰宅部西遊記!ウケました。

簡雍がジェンガが弱いのは、性格が大雑把だからなのか、
それとも法正が何処を引き抜いても崩れるようにし向けたのか。

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