29.えいえんはそこにあるよ

えいえんはそこにあるよ

  

――呂布はなお昏睡の淵にある。
兵士達も比較的楽に漢中を攻略したという悦びから醒め、気遣わしげな視線を南鄭城へ向けている。

張 遼:因果なものだ。去年は漢中で敗れ、成都で殿の蘇生を願っていたものだが…

 

  またしても病室から締め出され、待合場でたむろしている将軍たち。前回ほどの悲壮感は無いものの、このところの呂布の変容とあわせて、不吉な予感がしなくも無い。
 ――呂布が意識を失ってまる2日が経ち、彼らの間からも、そろそろ焦燥感が漂ってきていた。

 翌日。呂布の意識はまだ回復しない。一同、朝から陰気くさい顔を堂に並べ、たっぷり夜が更けるまで待ち、目礼して解散する。

 その翌日。まだ呂布が目覚めたという報告は無い。

 その翌日。陳宮から、最高幹部以外は職務に戻るよう指示が出され、待合場には、張遼、公孫楼、高沛、楊懐のみが居残ることになった。
 が、相変わらず待つだけの一日であった。

 ――そしてその翌日。
 呂布が意識を喪ってから。ちょうど7日目の朝。
 担当の典医が、恐る恐る帳をくぐって呂布の病室を伺い、血相を変えて飛び出してきた。
 彼はそこに無人の牀を見出したのだ。

 南蛮公行方不明…! 
 その異常な事態は、わりとすぐに解決された。
 陳宮が、食卓で悠然と朝食を食べている呂布を発見したからである。

小間使い:今日こそはきちんと椎茸を食べてください!

呂 布:だから俺様は喰えんと言ってるだろうが!

小間使い:どうしてそう嫌がるんですか!

呂 布:どうしてそう薦めるんだ!

 …と、その日の朝餉を挟んで対峙しているところに、出くわしたのだ。

陳 宮:…………。

小間使い:…呂布さま。椎茸は宇宙人じゃないんですよ…?一介の菌糸類じゃないですか…。

呂 布:だがIEの中止ボタンに見える事実はいまだ否定できん。

小間使い:はあ…でもXPに入っているIE6だと、それもないんですよ。

陳 宮:…………。ひとついいですか。

呂 布:おう。

小間使い:あ、おはようございます!

陳 宮……何やってるんですか!こんなところでッ!

 数時間後――。
 呂布、面白くもなさそうな顔で、諸将の拝跪をうけている。
 

呂 布:まったく! 俺様が留守の間に、こんな面白いことになっていたとは。

 どうやら、荊州を半ば制圧し、難攻不落の漢中要塞をも陥落させた、この疾風怒濤の一年間を、まるで覚えていないようなのだ。不貞腐れの原因は、それであった。

陳 宮:それより、この一年間、殿の精神はどこへ飛んでいたのですか

呂 布:ああ、ちょっと「えいえん」に行ってた。

陳 宮「えいえん」…? ――えいえんってどこにあるんですか?

呂 布:ああ、えいえんはそこにあった

陳 宮:はあ…。

 ちょっと意味不明なところも有るが、どうやら呂布、元に戻ったらしい。


呂文姫ぱんぱかぱーん!

呂刀姫:はい、ここで呂姉妹の解説です。

呂文姫いえーい!\(^O^)/

呂刀姫          呂文姫

 

呂刀姫:父上の完全復活に合わした訳ではないんですが、「南蛮王呂布の痛快活劇」は、次回から三国志VIIIパワーアップキット版に引っ越します!

呂文姫:ずいぶんと時間がかかったねえ~!

呂刀姫:まあ、一度通常版でゲームクリアしていたから、どこからデータを入れ替えるか、という事もありましたが…。

呂文姫:とりあえず、キリのいい漢中攻略地点から、ということで!

呂刀姫:そう。また状況再現に奔走しました。顔グラ交換とかね。

呂文姫:あ、こんどは光栄の配布しているオリジナル顔グラも導入したんだよね~!

呂刀姫:その通り! 以下、その一例です!

孫策

  曹仁   馬岱
   

 

改造したけどイマイチ…。

どうせなら項羽と交換。

  賈逵顔使ってたけど…。 英布顔にしちゃえ。   陸抗顔から… 高長恭へ。
               

徐晃

  羊[示古]   公孫淵
   

 

典満ヅラから…

頭巾ヘッドじゃないけど楊大眼に。

  この顔、張儼に。 憂いの名将・楽毅を!   弱そう… 勿体ないけど始皇帝。
               

夏侯栄

  張虎   孫瑜
   

 

夏侯淵の息子。曹沖タイプの神童だったけど、父と共に戦死。陳慶之顔で   まあ実際こんなもんだろうけど…。 霍去病顔に。一応主役ですし。   私を孫瑜FCと知っての狼藉か…? 李勣顔で。格好いいし。

呂刀姫:新武将については、玉川雄一様から、顔交換ができなくらいぎっしり詰まった史実補完武将を頂き、相当数流用しました!

呂文姫:祝融夫人とか孫尚香も新武将登録したんだよ~!

呂文姫:ところで、このパワーアップキット…。

呂刀姫:うん…。

呂文姫:惨憺たる出来だったんだよね…

呂刀姫:ああ…。ちょっと、ね。今回はね。

呂文姫:何せ、未登場武将が、いつまで経っても出てこないという致命的欠陥が…。

呂刀姫:ホントに致命的だったよね…。もし、まだコレを読んでて、修正パッチを当ててない方。すぐに光栄HPのユーザーコーナーから差分ファイルをダウンロードしてくださいね。

呂文姫:うーん…(‐_‐)

呂文姫:ちなみに、プレイヤーキャラクターは、今までどおり、父様、姉様。そして来年からは虎兄が加わります!

呂刀姫:う、うん…。

呂文姫:新展開♥ 楽しみだね~!

呂刀姫:お、おう!

呂文姫:うふふー。姉さま可愛い~


呂 布:ふん、大体の事情はわかった。
 

 ここ一年間の経緯についてざっと説明を受けた呂布は、不機嫌そうに頷く。
 まだ「お祭り」に参加できなかった(?)ことに腹を立てているらしい。

陳 宮:さて、殿。過ぎた話は置いといて、これからの話をしましょうか。

 口調を改めて、陳宮が一同の注意を促した。

陳 宮:ご覧の通り、我らが漢中を手中に収めたことで、米賊の勢力圏は、武都一郡のみとなっております。ここは間髪いれずに彼らを攻め潰し、涼州方面との連絡を回復するべきでありましょう。

 軍師の言に、皆一斉に頷く。
 馬超軍と分断されて、はや3年の歳月が過ぎようとしていた。
 ――が、それもあと一戦。
 あと一戦に勝ちさえすれば、懐かしいあの馬軍団たちと再会できるのだ。
 多数の将兵を失い、聖地を奪われ、西辺に逼塞している五斗米教団に、もはや昔日の威は無い。
 漢中を奪取した余勢を駆って、そのまま武都陰平を攻略すべし――!
 一同、期待を込めたひとみで呂布を見上げる。
 …ところが次に呂布が発した一言は、彼らを唖然とさせた。

呂 布:何をアホなことを言ってるんだ?

 復活した南蛮公・呂布は、むしろ純一戦士時代よりも苛烈な視線で一同を睥睨した。

呂 布:馬超との連絡を取り戻すんだろ? ならこれから長安を攻めるのが筋だろうが!

陳 宮:あっ!

 諸将は総立ちとなった。なるほど、一連の戦闘で長安の曹操軍は疲弊し、勝機があるとすれば今のうちだけかもしれない。
 …それにしても公の豪気さよ…と一同はあらためて思い知らされたようであった。

 

呂 布:俺様は冬までに長安でマターリするつもりでいるから、貴様らはその準備を整えておけ!

一 同:はっ…! 
 

 建安11年、秋。
 隴の地は、かつて見たことも無いような異相の軍団で溢れかえっていた。
 孟獲・木鹿らの大渠帥率いる南蛮軍団・7万が到着したのである。どこをどうやって運んできたのか、おびただしい数の戦象部隊が、南鄭城郊外に集結し、天幕を連ねていた。
 当初は猛烈な反発が予想された漢中在家の道教徒たちだったが、さすがにこの異様な光景に度肝を抜かれたのか、ただただ呆然と、南蛮兵や戦象の様子を眺めている。
 …そのうち好奇心の強い子どもたちが勝手に象の天幕を覗きに来るようになり、南鄭郊外はいつのまにか野外サーカスの状況を呈していた。

 ――建安11年、10月。南蛮公呂布は3度目の長安攻略戦を開始する。
 兵力は、単独の出兵としては過去最大規模の17万余。公に従う主だった将帥は、陳宮、孟獲、張遼、公孫楼、呉班、黄権らであった

 
  いよいよ三国志VIIIpkに対応し、本格始動した痛快活劇! やっぱり書きやすい通常版呂布に戻り、ストーリーは一気に佳境に! 第二部への伏線をはらみつつ、南蛮王は今日もゆく!